太陽光発電とセットで蓄電池を入れたいけれど、「国の補助金がいつ使えるのか」で迷っている方は多いと思います。実は2026年9月時点で、国の蓄電池補助金(DR補助金)はすでに予算上限に達して募集を終了しています。 一方で、東京都のように独自の蓄電池補助を継続している自治体もあります。
蓄電池は、太陽光発電で作った電気やお得な時間帯に買った電気をためておき、夜間や停電時に使うための設備です。近年は災害時の備えとしてだけでなく、電気料金の値上がりに対応する目的で導入する家庭が増えています。ただしその分、本体価格・工事費はまとまった金額になりやすく、補助金の有無で導入のハードルが大きく変わります。
この記事では、国の制度の現状と、東京都が実施している上乗せ補助(クール・ネット東京の「家庭における蓄電池導入促進事業」)を実例として紹介しながら、実際にいくらもらえるのかを試算します。「必ず今すぐもらえる」制度ではないという前提を踏まえたうえで、次の募集を待つ間に何を準備しておくべきかも整理しました。
主KW: 蓄電池
蓄電池の補助金の全体像
蓄電池の補助金は、次の2層で考えると分かりやすくなります。
- 国の制度:経済産業省の委託を受けた一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が運営する「家庭用蓄電システム導入支援事業」(通称DR補助金)。全国が対象ですが、2026年9月時点では募集を終了しています
- 都道府県・市区町村の制度:東京都のように、独自の蓄電池補助を継続している自治体があります
まずは国の制度の現状を正確に見ていきます。
【国の制度】家庭用蓄電システム導入支援事業(DR補助金)の現状
すでに募集を終了しています
令和7年度補正予算による家庭用蓄電システム導入支援事業(DR補助金)は、2026年3月24日に公募が始まりましたが、2026年5月29日に交付申請額の合計が予算に達したことが確認され、公募が終了しました。 予算規模は約54億円で、前年度の66.8億円から減額されており、募集開始からおよそ2か月で締め切られています。
「国の補助金だから通年で使える」と思い込むと、実際には予算切れで受付が終わっていることがあります。 制度の存在を知っていても、募集期間そのものが短い点に注意が必要です。
次回募集の見込み
2026年9月時点で、次回公募の正式な再開時期は公式サイトで発表されていません。 過去の実績では、年度をまたいで新しい公募が組まれることが多い制度です。
制度の内容(参考: 終了した公募の概要)
- 対象:デマンドレスポンス(DR、電力需給に応じた使用量の調整)に対応した家庭用蓄電池
- 申請窓口:SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録された蓄電池アグリゲーター・小売電気事業者経由
- 補助額の単価は、公募終了に伴い公式サイトで確認できなくなっています。 次回公募が始まった時点で改めて公表されるため、SIIの公式サイトで確認してください
そもそもDR補助金の「DR」とは何か
DRとはデマンドレスポンス(Demand Response)の略で、電力の使用量を需給状況に応じて調整する取り組みのことです。電力会社からの信号に応じて、蓄電池にためた電気を使う・売るタイミングを調整することで、電力系統全体の安定に協力します。DR補助金は、単に蓄電池を設置するだけでなく、このDRの取り組みに協力することが条件になっている点が、一般的な設備補助と違うところです。具体的には、対応するアグリゲーター(蓄電池を遠隔でコントロールする事業者)と契約し、指定されたメニューに登録することが求められます。
募集が短期間で終わりやすい理由
DR補助金は、太陽光発電・蓄電池の普及が進むにつれて申請が集中しやすく、公募開始から2か月程度で予算上限に達することが続いています。これは制度自体に問題があるわけではなく、予算規模に対して申請件数が多いことが背景にあります。導入を検討している場合は、公募開始の時期を待つのではなく、事前に登録事業者・アグリゲーターと相談し、公募開始と同時に申請できる準備をしておくことが実質的な対策になります。
都道府県・市区町村の上乗せ(東京都の例)
国の制度が募集を終了している一方で、東京都は独自の蓄電池補助を継続しています。窓口は公益財団法人東京都環境公社が運営する「クール・ネット東京」です。
令和8年度「家庭における蓄電池導入促進事業」
| 区分 | 補助額 |
|---|---|
| 蓄電池パッケージ(新規設置) | 蓄電容量×10万円/kWh(上限120万円/戸) |
| 蓄電池ユニット増設 | 蓄電容量×6万円/kWh(上限72万円/戸) |
| デマンドレスポンス(DR)実証への参加 | 加算10万円〜15万円+設置機器台数×5万円 |
実際の助成額は、上記の計算額と「助成対象経費(税抜)」を比較して小さいほうが適用されます。 つまり、容量から計算した金額が上限額に届いていても、実際の工事費用がそれより低ければ、工事費用のほうが優先されます。
加算の内訳
DR実証に参加する場合、次の2つが上乗せされます。
| 加算 | 金額 |
|---|---|
| DR実証への参加 | 10万円〜15万円(エネルギーマネジメント機器の設置の有無で変動) |
| エネルギーマネジメント機器等の設置 | 設置台数×5万円 |
DR実証参加の加算は、蓄電池パッケージの新規設置でも、ユニット増設でも受けられます。
容量別の助成額の目安(新規設置・DR実証なし)
| 蓄電容量 | 計算値(10万円/kWh) | 上限120万円との関係 |
|---|---|---|
| 5kWh | 500,000円 | 上限内 |
| 7kWh | 700,000円 | 上限内 |
| 10kWh | 1,000,000円 | 上限内 |
| 12kWh | 1,200,000円 | ちょうど上限 |
| 16kWh | 1,600,000円 | 上限120万円が適用 |
12kWhを超えると、容量を増やしても助成額は増えません。 上限に達する容量を把握しておくと、機種選びの判断がしやすくなります。
対象要件
- 都内住宅への新規設置であること
- 設置期間は令和8年4月1日〜令和11年3月30日
- SIIに登録された機器(令和8年10月1日以降の申込みは令和8年度登録製品に限る)
- 東京都・東京都環境公社が実施する他の助成との重複受給は不可
申請の流れ
- 認証用メールアドレスの登録
- 事前申込み(受付開始:2026年5月29日)
- 交付申請兼実績報告(受付開始:2026年6月30日)
DR実証に参加する場合は、交付申請前にDR契約の締結が必須です。着工タイミングについての明記はありませんが、事前申込みを済ませてから契約・設置に進む運用が基本です。
東京都以外にお住まいの方も、同様の制度がある可能性があります。 2025年8月時点の東京都の子育て・住宅支援制度データでも、蓄電池を含む省エネ設備への独自補助を行う区市町村が複数確認されています。お住まいの自治体の公式サイトで確認してください。
いくらもらえるか(試算)
ケース1: 東京都内・7kWhの蓄電池を新規設置
- 東京都の補助のみを利用(国の補助は募集終了のため対象外と仮定)
- 7kWh×10万円/kWh=70万円(上限120万円以内、かつ対象経費の実額以下であることが条件)
- 工事費用が70万円を下回る場合は、その実額が補助額になります
ケース2: 東京都内・10kWhの蓄電池をDR実証に参加して設置
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 基本額(10kWh×10万円/kWh) | 1,000,000円 |
| DR実証への参加加算 | 150,000円 |
| エネルギーマネジメント機器の設置(1台) | 50,000円 |
| 合計(計算値) | 1,200,000円 |
助成対象経費(税抜)と比べて小さいほうが適用されます。 工事費が120万円を下回る場合は、その実額が助成額になります。
ケース2-2: 東京都内・16kWhの大容量蓄電池を設置(DR実証なし)
- 計算値は16kWh×10万円/kWh=160万円ですが、上限120万円が適用されます
- 12kWhを超える容量にしても、DR実証に参加しない限り助成額は120万円で頭打ちです
- 容量を大きくするなら、DR実証に参加して加算を取りにいくほうが合理的です
ケース3: 東京都外・国の補助を待つ場合
- 2026年9月時点では、国の補助(DR補助金)は募集を終了しています
- 次回公募が始まるまでは、蓄電池単体での国の補助は使えません
- お住まいの自治体独自の補助があるかどうかを、先に確認しておくことをおすすめします
ケース4: 東京都内・蓄電池ユニットを増設する場合
- すでに設置している蓄電池パッケージに、追加でユニットを増設するケース
- 増設は基本額の単価が異なり、蓄電容量×6万円/kWh(上限72万円/戸) が適用されます
- 例えば3kWhの増設なら、3kWh×6万円/kWh=18万円(対象経費の実額が上限)
- 増設でもDR実証参加の加算(10万円〜15万円)は受けられます。 3kWhの増設でDR実証に参加すれば、18万円+15万円=33万円という計算になります
新規設置の10万円/kWhに対し、増設は6万円/kWhと4割低い単価です。 「まず小さく入れて後から増やす」より、最初から必要な容量を入れるほうが助成の効率はよいということです。
ケース5: 太陽光と蓄電池を同時に導入(東京都内・既存の戸建て)
東京都では太陽光発電と蓄電池がそれぞれ別の制度になっているため、両方に申請できます。
| 制度 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 家庭における太陽光発電導入促進事業 | 3.5kW×15万円/kW(上限45万円) | 450,000円 |
| 家庭における蓄電池導入促進事業 | 7kWh×10万円/kWh | 700,000円 |
| 合計(計算値) | 1,150,000円 |
いずれも助成対象経費(税抜)と比べて小さいほうが適用されます。申請はそれぞれ別に行う必要があります。
蓄電池の導入で確認しておきたいポイント
補助金の有無にかかわらず、蓄電池を導入する際は次の点を施工業者と確認しておくと安心です。
- SII登録製品かどうか:登録されていない機種は、国・東京都いずれの補助も対象になりません
- 設置スペースと重量:屋外設置型・屋内設置型で必要なスペースが異なります
- 既存の太陽光発電システムとの連携:後付けの場合、パワーコンディショナの互換性を確認する必要があります
- DR実証への参加要否:加算を受けたい場合は、契約内容を事前に確認してから判断してください
併用できるか
- 東京都の「家庭における蓄電池導入促進事業」は、国の補助との併用が想定されていますが、東京都・東京都環境公社が実施する他の助成事業との重複受給はできません
- 国のDR補助金と都道府県の上乗せ制度を併用する場合、対象経費から国の補助額が差し引かれるのが一般的です(東京都の制度でもこの考え方が採られています)
- 太陽光発電とセットで導入する場合は、太陽光発電側の補助制度(別記事で解説)と組み合わせて検討してください
申請の流れ(東京都の例)
この制度でいちばん重要なのは順序です。 事前申込みを済ませる前に契約・設置をしてしまうと、対象外になる可能性があります。
- 施工業者を探し、見積りを取る(この段階では契約していないので問題なし)
- 認証用メールアドレスを登録する
- 事前申込み(受付開始2026年5月29日)
- DR実証に参加する場合はDR契約を締結する(交付申請の前に必須)
- 契約を結ぶ
- 設置工事(設置期間は令和8年4月1日〜令和11年3月30日)
- 交付申請兼実績報告(受付開始2026年6月30日)
- 助成金の交付
見積りで必ず確認したい5点
- 蓄電容量(kWh)(12kWhを超えると上限120万円で頭打ちになります)
- SII登録機器かどうか(令和8年10月1日以降の申込みは令和8年度登録製品に限られます)
- 助成対象経費(税抜)の額(計算値がこれを上回っても、超えた分は出ません)
- DR実証に参加するか(加算10万〜15万円。ただし契約上の制約が生じます)
- エネルギーマネジメント機器を設置するか(台数×5万円)
DR実証に参加するかどうかの判断
DR実証への参加で10万〜15万円が加算されますが、アグリゲーターと契約し、電力需給の状況に応じて蓄電池の充放電を遠隔で制御されることになります。
- 加算のメリット:10万〜15万円(エネルギーマネジメント機器を含めるとさらに5万円/台)
- 考慮すべき点:契約期間、遠隔制御される時間帯、停電時の動作への影響
「災害時の備え」として蓄電池を入れる方は、DR実証の契約内容が非常時の使い方に影響しないかを事前に確認してください。
蓄電池の補助金でよくある失敗
- 事前申込みの前に契約してしまう。 東京都の制度で最も多い失敗です。順序を間違えると助成を落とします
- SII未登録の機種を選ぶ。 国・東京都いずれの制度も、SIIに登録された機器であることが前提です。令和8年10月1日以降の申込みは、令和8年度の登録製品に限られます。年度をまたぐ工事では、機種が対象から外れることがあります
- 12kWhを超える容量にして上限で頭打ちになる。 DR実証に参加しない場合、上限120万円を超える分は出ません
- 計算値をそのまま受け取れると思い込む。 助成額は助成対象経費(税抜)の実額が上限です
- 「まず小さく入れて後から増設」を選ぶ。 増設の単価は6万円/kWhと、新規設置の10万円/kWhより4割低くなります
- DR契約を交付申請の後に結ぶ。 DR実証の加算を受けるには、交付申請の前にDR契約を締結している必要があります
- 国の補助が再開するのを待ち続ける。 次回公募の時期は2026年9月時点で未定です
注意点(対象外になるケース)
- 国の補助はすでに募集終了:2026年9月時点で新規の申請はできません。次回公募を待つ必要があります
- 登録製品以外を選んだ場合:SIIに登録されていない機種は対象外です
- 予算上限に達した場合:東京都の制度も、必ずもらえるものではありません。予算の範囲内で運用されており、申請が集中すると想定より早く受付が終了する可能性があります
- 事前申込み前に契約・設置してしまった場合:制度によっては事前申込みが必須の前提条件になっているため、順序を間違えると対象外になることがあります
蓄電池を導入するタイミングの考え方
国の補助が募集終了している状況では、「補助金が出るまで待つべきか、今導入すべきか」で迷う方も多いと思います。判断のポイントを整理します。
- 東京都など、自治体独自の補助が使える場合:国の補助を待たずに導入を進めても、自治体の補助でまとまった金額を受けられることがあります
- お住まいの自治体に独自の補助がない場合:国の次回公募を待つか、補助金なしで導入するかの判断になります。停電時の備えとして急ぎたい事情がある場合は、補助金の有無だけで先送りしないほうがよいこともあります
- 太陽光発電とセットで検討している場合:太陽光発電側の補助(都道府県・市区町村の制度)は蓄電池の補助とは別枠で用意されていることが多いため、まず太陽光発電の補助から確認し、蓄電池は追って検討するという進め方もできます
「補助金が出るまで待つ」という判断は一見合理的に見えますが、次回公募の時期が未定である以上、待っている間のリスク(停電への備えができない期間が延びる等)も考慮したうえで判断することをおすすめします。
お住まいの自治体で探す方法
この記事で紹介した東京都の制度は一例です。全国の自治体を網羅しているわけではないため、お住まいの地域の制度は次の方法で確認してください。
- お住まいの都道府県・市区町村の公式サイトで「蓄電池 補助金」を検索する
- 太陽光発電・蓄電池の販売施工店に相談する(自治体の補助制度に詳しいことが多いです)
- SIIの公式サイトで国の次回公募の情報を定期的に確認する
よくある質問
国の蓄電池補助金はもう使えないのですか?
2026年9月時点では、令和7年度補正の「家庭用蓄電システム導入支援事業」(DR補助金)は予算上限に達し、募集を終了しています。次回公募の時期は未定です。SIIの公式サイトで最新情報を確認してください。
東京都以外でも似た補助金はありますか?
都道府県・市区町村単位で独自の蓄電池補助を実施している例があります。すべての自治体を網羅した情報ではないため、お住まいの自治体の公式サイトで直接確認してください。
蓄電池の補助額は容量が大きいほど有利ですか?
東京都の制度では容量×単価で計算されますが、上限額(120万円/戸)と対象経費の実額のうち小さいほうが採用されます。容量を大きくしても、工事費用の実額を超える補助は出ません。
太陽光発電と蓄電池を同時に導入する場合はどうなりますか?
太陽光発電には別の補助制度(東京都の場合は「家庭における太陽光発電導入促進事業」)があり、蓄電池とは別枠で申請します。両方を導入する場合は、それぞれの制度の要件と申請時期を確認してください。
DR実証に参加すると何が必要ですか?
デマンドレスポンス(電力需給に応じた使用量の調整)に協力する契約を、交付申請の前に締結する必要があります。参加することで加算額が上乗せされますが、契約内容を事前に確認してから判断してください。
蓄電池だけを増設する場合も補助金は使えますか?
はい。東京都の制度では、蓄電池パッケージの新規設置とは別に、既存の蓄電池へのユニット増設も対象になっています。ただし単価・上限額が新規設置とは異なる(増設は6万円/kWh、上限72万円/戸)ため、事前に確認してください。
何kWhまでなら容量を増やす意味がありますか?
東京都の制度では、DR実証に参加しない場合、12kWhで上限120万円に達します。それを超える容量にしても助成額は増えません。DR実証に参加すれば加算10万〜15万円とエネルギーマネジメント機器の加算が乗ります。
増設と新規設置で単価が違うのはなぜですか?
東京都の制度では、蓄電池パッケージの新規設置が10万円/kWh(上限120万円)、蓄電池ユニットの増設が6万円/kWh(上限72万円)と単価も上限も異なります。増設の単価は新規設置の6割です。
SII登録製品はどこで確認できますか?
SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)の公式サイトで登録機器の一覧が公表されています。令和8年10月1日以降の申込みは令和8年度の登録製品に限られるため、年度をまたぐ工事では機種が対象から外れないか施工業者に確認してください。
DR実証に参加すると停電時に困りませんか?
DR実証はアグリゲーターが電力需給に応じて蓄電池の充放電を遠隔で制御する仕組みです。停電時の動作や契約期間の制約については、契約前にアグリゲーターに確認してください。災害時の備えとして蓄電池を導入する場合は特に重要な確認事項です。
太陽光発電の補助と同時に申請できますか?
東京都では太陽光発電と蓄電池がそれぞれ別の制度になっており、両方に申請できます。ただし申請はそれぞれ別に行う必要があります。
国の補助金の次回公募はいつ頃始まりますか?
2026年9月時点で、正式な次回公募の時期は発表されていません。過去の実績では年度をまたいで新しい公募が組まれることが多い制度ですが、確実な時期はSIIの公式サイトで確認する必要があります。
