エコキュートを入れ替えたいけれど、本体と工事費で40万円前後かかると聞いて手が止まっている方は多いのではないでしょうか。実は、エコキュートの買い替えには国の補助金と自治体の補助金を重ねて使えるしくみがあります。うまく使えば、初期費用を半分近くまで圧縮できるケースもあります。
エコキュートは、空気の熱を利用してお湯を沸かすヒートポンプ式の給湯機です。電気代の安い夜間にお湯を沸かして貯湯タンクにためておく仕組みのため、オール電化住宅や太陽光発電を導入している家庭との相性がよく、ガス給湯器から乗り換える家庭も増えています。本体と工事費を合わせると数十万円の初期費用がかかるため、補助金の有無が導入の判断を大きく左右します。
この記事では、2026年度に使える国の「給湯省エネ2026事業」を中心に、東京都が実施している上乗せ補助(クール・ネット東京の事業)を実例として紹介しながら、実際にいくらもらえるのかを具体的な試算で見ていきます。申請は着工前の手続きが必要になる場面が多いため、そのタイミングについても時系列で整理しました。
先に結論です。国の「給湯省エネ2026事業」で、エコキュートは1台あたり最大14万円が出ます。 内訳は基本額7万円、性能加算3万円、既存機器の撤去加算が最大4万円です。基本額7万円と性能加算3万円は、事業の公式サイトにそのまま書かれている金額です。申請受付は2026年3月31日に始まっており、予算に達し次第終了、遅くとも2026年12月31日までとされています。
ここに自治体の上乗せが重なります。東京都なら太陽光と連動するタイプで14万円/台という枠があり、国と都を合わせると、機器の条件しだいで20万円台後半まで届きます。
いくらになるかを、状況別に見る
住んでいる場所と機器の条件で、受け取れる額がかなり変わります。自分がどこに当たるかを先に確認してください。
| あなたの状況 | 国からいくら | 自治体からいくら | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 東京都外・普通のエコキュートに交換 | 7万円 | 制度があれば数万円 | 7万円〜 |
| 東京都外・性能加算の対象機種+電気温水器を撤去 | 7+3+4=14万円 | 制度があれば数万円 | 14万円〜 |
| 東京都内・太陽光連動タイプ | 7万円(おひさまエコキュートは基本額のみ) | 都から14万円 | 21万円〜 |
| 東京都内・性能加算対象+撤去あり+太陽光連動 | 14万円 | 都から14万円+加算 | 28万円以上 |
| すでに給湯省エネ2025事業で補助を受けた住宅 | 0円 | 自治体の判断による | 国の分は使えない |
最後の行は見落とされやすいところです。同じ住宅で給湯省エネ2025事業の補助をすでに受けている場合、2026事業の対象外になります。 前回いつ交換したかを先に確認してください。
エコキュートの補助金の全体像
エコキュートに使える補助金は、大きく分けて2つの層があります。
- 国の制度:経済産業省・国土交通省・環境省が連携する「給湯省エネ2026事業」。全国どこに住んでいても対象になります。
- 都道府県・市区町村の上乗せ制度:自治体が独自に用意している補助で、国の補助と重ねて使えることが多いです。東京都はこの上乗せが手厚く、クール・ネット東京(東京都環境公社)が窓口になっています。
まずはこの2つの制度を順番に見ていきます。
【国の制度】給湯省エネ2026事業
給湯省エネ2026事業は、高効率な給湯器(エコキュート・ハイブリッド給湯機・エネファーム)の設置に対して定額の補助金を出す国の制度です。前年度までの「給湯省エネ事業」の後継にあたり、2026年度も継続して実施されています。
補助額
| 機器 | 基本額 | 性能加算 | 撤去加算 |
|---|---|---|---|
| エコキュート | 7万円/台 | 3万円/台(要件を満たす高性能機種) | 電気温水器の撤去で2万円/台、電気蓄熱暖房機の撤去で4万円/台 |
| ハイブリッド給湯機 | 10万円/台 | 2万円/台 | 同上 |
| エネファーム | 17万円/台 | なし | 同上 |
エコキュートの場合、性能加算と撤去加算をすべて満たすと最大14万円/台になります。戸建住宅は2台まで、共同住宅等は1台までが補助の対象です。
対象要件
- 新築注文住宅、新築分譲住宅、既存住宅のリフォーム、既存住宅購入(販売者による機器交換が条件)のいずれか
- 給湯省エネ2025事業ですでに補助を受けた住宅は対象外
- 事業者が「J-クレジット制度」への参加を表明していることが条件になっています(個人が直接手続きする項目ではなく、登録事業者側の要件です)
住宅の種類によって「いつから対象になるか」が違う
給湯省エネ2026事業は、住宅の取得方法によって補助対象者と、いつの時点から手続きを始められるかが異なります。
| 住宅の種類 | 補助対象者 | いつから対象になるか |
|---|---|---|
| 新築注文住宅 | 建築主 | 建築の着工日以降 |
| 新築分譲住宅 | 住宅購入者 | 購入契約の締結日以降 |
| 既存住宅(リフォーム) | 工事発注者(買取再販事業者は除く) | 給湯器の設置着手日以降 |
| 既存住宅(購入) | 購入者(販売者が給湯器交換を条件にする場合) | 個別の契約条件による |
注文住宅を新築する場合は「着工日」、リフォームの場合は「給湯器の設置着手日」が起点になるという違いがあります。どちらも契約前の着手は対象外という原則は共通していますが、住宅の取得方法が違うと確認すべき日付そのものが変わるため、施工業者・ハウスメーカーに「うちのケースだと、いつの時点が対象開始日になりますか」と確認しておくと安心です。
性能加算の対象になる機種とは
エコキュートの性能加算(3万円/台)は、すべての機種で受けられるわけではありません。給湯省エネ2026事業の公式資料によると、性能加算の対象になるのは「2025年度目標基準値(JIS C 9220に定める年間給湯保温効率、または年間給湯効率)に0.2を加えた値以上の性能を持つ機種」と定められています。基本の性能要件を満たす機種と比べて、CO2排出量が5%以上少ない機種、という言い方もされています。カタログのどこを見ればこの数値が分かるかは製品ごとに表記が異なるため、カタログスペックだけで自己判断するのは難しく、「この機種は性能加算の対象になりますか」と施工業者に確認したうえで機種を選ぶことをおすすめします。同じ価格帯の製品でも、性能加算の有無で実質的な負担額が3万円変わってきます。
「対象製品」かどうかは事業者登録された製品リストで決まる
給湯省エネ2026事業では、メーカーが対象製品として事務局に登録を申請し、性能基準を満たすことが確認された製品だけが補助の対象になります。同じ「エコキュート」という名称の製品でも、型式によっては登録されていない場合があります。
- 対象製品は、公式サイトの「補助対象製品の登録」ページでメーカー・型番から検索できます(給湯省エネ2026事業「補助対象製品の登録」)
- 自分で型番を調べる場合は、本体に貼られている型番シールや、見積書に記載された型式番号を控えておくと照合しやすくなります
- 施工業者に依頼する場合も、契約前に「この型番は対象製品リストに載っていますか」と確認しておくと安心です
施工業者側にも登録が必要
エコキュートの補助金を扱えるのは、「住宅省エネ支援事業者」として事前に事業者登録を済ませた施工業者・販売業者だけです。この登録は消費者ではなく施工業者側が行うものですが、登録されていない業者と契約すると、性能基準を満たす製品を選んでも補助金は使えません。見積もりの段階で「給湯省エネ2026事業の登録事業者ですか」と確認しておくことが、対象製品選びと同じくらい重要です。
申請タイミング(重要)
給湯省エネ2026事業は、個人が直接申請する制度ではありません。 施工業者(登録事業者)が申請の手続きを行い、補助金は工事代金の値引きや後日の還元というかたちで消費者に渡ります。
タイミングの制約は次のとおりです。
- リフォームの場合、給湯器の設置着手日以降でなければ対象になりません。契約前に着工してしまうと補助の対象から外れます
- 予約(交付申請の前段階)は工事全体の着手日以降に行います
- 実際の交付申請は、工事の引き渡しまたは利用開始のいずれか早い時点以降です
- 申請受付は2026年3月31日から始まり、予算上限に達し次第終了します(遅くとも2026年12月31日まで)
契約前に工事を始めてしまうと、それだけで補助の対象外になります。 見積りを取るところまでは問題ありませんが、契約・着工は登録事業者が決まってからにしましょう。
「おひさまエコキュート」は性能基準が別扱いになる
エコキュートの中には、太陽光発電の余剰電力を活用するタイプの「おひさまエコキュート」という区分があります。給湯省エネ2026事業の公式資料では、このタイプについて「2025年度の目標基準値を満たしていないものも対象とする」と明記されており、通常のエコキュートより性能基準が緩やかに扱われています。基本額は通常のエコキュートと同じ7万円/台です。
太陽光発電をすでに設置している家庭、またはこれから設置を検討している家庭は、おひさまエコキュートを選ぶことで、通常機種なら性能加算の対象にならない製品でも基本額の補助を受けられる可能性があります。次に紹介する東京都の上乗せ制度でも「太陽光利用機能付き」であることが上乗せの条件になっており、太陽光発電とエコキュートをセットで検討している場合は、この2つの制度がどちらも太陽光連動を評価している点を押さえておくと選択がしやすくなります。
東京都の上乗せ例(クール・ネット東京)
東京都は、国の給湯省エネ2026事業に上乗せするかたちで、独自の補助制度を用意しています。窓口は公益財団法人東京都環境公社が運営する「クール・ネット東京」です。2025年8月時点の東京都の子育て支援制度データに加えて、2026年9月時点で確認できた最新の一次情報をもとに紹介します。
令和8年度「熱と電気の有効利用促進事業」
エコキュートやハイブリッド給湯機を対象に、国の補助とは別枠で上乗せ補助が受けられます。
| 加算の種類 | 金額 |
|---|---|
| 基本額(太陽光利用機能付き) | 14万円/台 |
| 再生可能エネルギー100%電力メニュー契約 | 5万円/台 |
| デマンドレスポンス(DR)実証への参加 | 8万円/台 |
| エネルギーマネジメント機器等の設置 | 5万円/台加算 |
条件を組み合わせると、都の補助だけで最大30万円台後半になるケースもあります。国の補助と東京都の補助を合わせると、理論上は40万円を超える組み合わせも見えてきます(対象経費の実額が上限になるため、実際の受給額は工事費用によって変わります)。
- 対象要件:ヒートポンプ給湯器またはハイブリッド給湯機であること。太陽光連動機能や再エネ電力契約、DR実証参加のいずれかを満たす必要があります
- 国や区市町村の補助との併給は原則可能ですが、交付決定通知書等の提出が必要です
- 設置期間は令和8年4月1日から令和11年3月30日まで
- 事前申込みの受付開始は2026年5月29日、交付申請兼実績報告の受付開始は2026年6月30日
東京都以外にお住まいの方も、同じような上乗せ制度が用意されていることがあります。 お住まいの都道府県・市区町村の公式サイトで「給湯器 補助金」「エコキュート 助成」などのキーワードで確認してみてください。
いくらもらえるか(試算)
条件が異なる3つのケースで試算します。あくまで一次情報にもとづく制度上の上限額の組み合わせであり、実際の受給額は工事費用の実額や審査結果によって変わります。
ケース1: 戸建て・電気温水器からの買い替え(東京都外)
- 国の給湯省エネ2026事業のみ利用
- エコキュート(性能加算対象)を導入し、古い電気温水器を撤去
- 基本額7万円+性能加算3万円+撤去加算2万円=12万円
ケース2: 戸建て・電気蓄熱暖房機からの買い替え(東京都内)
- 国の給湯省エネ2026事業+東京都「熱と電気の有効利用促進事業」を併用
- 国:基本額7万円+性能加算3万円+蓄熱暖房機撤去加算4万円=14万円
- 都:太陽光連動機能付きエコキュートを選び、基本額14万円を追加
- 合計で最大28万円程度(対象経費の実額を上限とする点に注意)
ケース3: マンション(共同住宅)でハイブリッド給湯機に更新
- 共同住宅は国の補助が1台までとなる点に注意
- 国:基本額10万円+性能加算2万円=12万円
- 都の上乗せは個別の要件確認が必要(マンションの設置環境によって対象になるかどうかが変わります)
ケース4: 戸建て・2台のエコキュートを同時に導入(東京都外)
- 戸建住宅は国の補助が2台まで対象になります
- 1台あたり基本額7万円+性能加算3万円=10万円 → 2台で20万円
- 太陽湯タンクの設置スペースが2台分必要になるため、事前に施工業者と設置場所を確認しておく必要があります
給湯省エネ2026事業と東京都の制度、それぞれの窓口の違い
国の給湯省エネ2026事業と東京都の上乗せ制度は、申請の窓口・タイミングが異なります。同じ工事について、2つの制度に別々に申請する必要があることを理解しておきましょう。
- 国の制度は、給湯省エネ2026事業に登録された施工業者・販売業者が窓口になります
- 東京都の制度は、クール・ネット東京に登録された事業者が窓口になり、事前申込みという追加のステップがあります
どちらも同じ施工業者が両方の登録を受けていることが多いため、契約前に「国と都、両方の補助金に対応していますか」と確認しておくと、手続きがスムーズに進みます。
併用できるか
国の給湯省エネ2026事業と、都道府県・市区町村が独自に実施する補助制度は、多くの場合、併用が可能です。ただし次の点に注意してください。
- 同一の設備・同一の経費に対して二重に受給することはできません(対象経費の実額が上限になります)
- 都道府県・市区町村側の制度で「国の補助との併給不可」と明記されている場合は使えません
- 併用する場合は、交付決定通知書などの提出を求められることがあります
申請の流れ
エコキュートの補助金は、個人が国や自治体に直接申請するのではなく、施工業者(登録事業者)が代行して手続きを行うしくみになっています。時系列で見ていきます。
- 登録事業者を探す:給湯省エネ2026事業・東京都の各事業とも、事前に登録した施工業者・販売業者でなければ補助を扱えません
- 見積り・契約:契約前の着工は対象外になるため、必ず契約後に工事を始めます
- 工事の着手・設置:契約後、実際の設置工事を行います
- 予約・交付申請(事業者が実施):工事の完了後、事業者が交付申請の手続きを行います
- 補助金の還元:工事代金への充当、または後日の現金還元というかたちで消費者に渡ります
「契約前に見積りだけ取る」のは問題ありませんが、「契約前に工事を始める」のは補助の対象外になります。 ここを混同すると、せっかくの補助が受けられなくなるため注意してください。
注意点(対象外になるケース)
- 契約・着工の順番を間違えた場合:工事着手日より前に契約していないと対象外になります
- 前年度にすでに補助を受けている場合:給湯省エネ2025事業で補助を受けた住宅は、2026年度は対象外です
- 予算上限に達した場合:給湯省エネ2026事業の予算総額は570億円(令和7年度補正予算。うち36億円は古い機器の撤去補助に充当)と公表されています。この制度は予算の範囲内で運用されており、必ずもらえるものではありません。 申請が集中すると、想定より早く受付が終了することがあります
- 登録事業者以外に依頼した場合:補助金を扱えるのは登録事業者のみです。依頼先が登録事業者かどうかは契約前に確認しましょう
お住まいの自治体で探す方法
この記事で紹介した東京都の上乗せ制度は一例です。全国の自治体を網羅しているわけではありません。 お住まいの地域に同様の制度があるかどうかは、次の方法で確認できます。
- お住まいの市区町村の公式サイトで「給湯器 補助金」「エコキュート 助成金」を検索する
- 都道府県の環境部局・住宅部局のページを確認する
- 施工業者に相談する(登録事業者は自治体の補助制度に詳しいことが多いです)
よくある質問
エコキュートの補助金はいつまで申請できますか?
国の給湯省エネ2026事業は、2026年3月31日から予算上限に達するまで受付を行っています(遅くとも2026年12月31日まで)。予算の消化状況によっては早期に受付が終了することがあるため、早めの検討をおすすめします。
個人で直接申請できますか?
いいえ。給湯省エネ2026事業も東京都の上乗せ制度も、申請の手続きは登録事業者が行うしくみになっています。個人が直接、国や自治体の窓口に書類を提出するわけではありません。
賃貸住宅でも使えますか?
給湯省エネ2026事業は既存住宅リフォームの場合、工事発注者が対象者になります。賃貸住宅では、給湯器の設置・交換を発注する立場(オーナー等)が申請者になるのが一般的です。入居者が単独で利用できる制度ではありません。
東京都以外に住んでいても国の補助は使えますか?
はい。給湯省エネ2026事業は全国共通の制度です。東京都の上乗せ制度のような自治体独自の補助が別途あるかどうかは、お住まいの自治体でご確認ください。
見積りだけ取るのは契約前でも大丈夫ですか?
はい、見積り取得自体は問題ありません。対象外になるのは「契約前に工事(設置)に着手してしまうこと」です。見積りと契約は別の行為として扱われます。
性能加算の対象かどうかはどこで確認できますか?
給湯省エネ2026事業に登録された施工業者であれば、機種ごとに性能加算の対象かどうかを把握しています。見積り時に「この機種は性能加算の対象になりますか」と確認してください。
戸建てで2台以上のエコキュートを導入したい場合はどうなりますか?
国の補助は戸建住宅で2台まで対象になります。3台目以降は補助の対象外です。共同住宅等は1台までが上限です。
