温泉地の一等地に、何年も営業していない廃旅館が建ったままになっている――そんな光景を見たことがある人は多いはずです。解体には数千万円単位の費用がかかるうえ、所有者が不明だったり、権利関係が複雑だったりして、民間だけでは動かせないケースが目立ちます。観光庁は令和8年度、この廃屋の撤去・再生に特化した補助金を新設しました。
支援は2段階です。まずエリア全体の再生計画を作り、その計画が採択されて初めて、解体費の補助に進めます。
図: 廃屋撤去・再生事業の全体像。詳しくは本文で解説します
廃屋撤去・温泉地まちづくり支援の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人)・地方公共団体 ※官民連携の協議会、地方公共団体、民間事業者等 |
| 制度名 | 廃屋撤去・再生による地方温泉地等のまちづくり支援事業 |
| 対象業種 | 宿泊業(旅館・ホテル)を中心とした温泉地のまちづくりに取り組む団体 |
| 利用目的 | エリア再生計画の策定、廃屋の撤去・減築、周辺施設の整備 |
| 対象地域 | 全国(地方の温泉地。実施:観光庁/事務局:株式会社ダイブグループ) |
| 従業員数 | 規定なし |
| 補助上限額 | 1次支援(計画策定等)+2次支援(撤去・減築・周辺事業)の合計で最大6億円(周辺事業費は単独で最大3億円) |
| 補助率 | 1次支援2/3、廃屋の撤去・減築費2/3、周辺事業費1/2(地域再生の核となるコア事業は2/3) |
| 申請受付 | 令和8年7月1日12:00〜令和9年2月26日12:00(随時審査) |
| 公式サイト | https://kanko-haioku.go.jp/ |
1次支援と2次支援。順番を飛ばせない
この事業は2段階構成です。2次支援は、1次支援で採択されたエリア再生計画がなければ申請できません。いきなり解体費だけを単独で申請することはできない点に注意してください。
- 1次支援:エリア再生計画の策定費、廃屋の調査費(協議会運営費、計画策定費、専門家派遣費等を含む)を補助率2/3で支援
- 2次支援:1次で採択された計画にもとづき、廃屋の撤去・減築費(補助率2/3)と、跡地活用など周辺事業費(補助率1/2、コア事業なら2/3・上限3億円)を支援
つまり、単体の旅館オーナーが自分の建物だけを壊したくて申請できる補助金ではありません。地域が「この一帯をどう再生するか」を先に描いてから使う制度です。
こんな計画は対象になりにくい
観光庁の狙いは、廃屋の撤去そのものではなく、跡地を含めた温泉地全体の再生です。したがって、次のようなケースは制度の趣旨と合いにくくなります。
- 撤去後の土地活用計画がなく、更地のまま放置する予定
- 周辺の観光地域づくりと連動しない、単独の建物の解体のみが目的
よくある質問
個人の旅館オーナーが自分の廃業した宿の解体費だけを申請できますか?
単独では対象になりにくい制度です。1次支援でエリア全体の再生計画が採択されたうえで、その計画に組み込まれる形で申請する必要があります。
補助率はすべて一律ですか?
いいえ。1次支援と廃屋の撤去・減築費は2/3、周辺事業費は1/2(コア事業は2/3、上限3億円)と、費用の種類によって補助率が異なります。
申請の受付期間はいつまでですか?
令和8年7月1日12:00から令和9年2月26日12:00までで、随時審査です。予算の状況によって早く締め切られる可能性もあります。
