現場は元請けからの紹介ばかりで、自社の名前で仕事が取れていない。リフォームや外構の仕事を増やしたいのに、施工事例を見せる場所がない。求人を出しても、どんな現場か伝わらず若手が集まらない――。こうした「やりたかったけど後回しにしていた投資」の3分の2(上限の範囲内)を、国がまかなってくれるのが小規模事業者持続化補助金です。

第20回は補助上限250万円(基本額+特例加算)、補助率2/3。申請受付は2026年11月5日に始まり、締切は12月15日17:00です。工務店・建設業で何に使えて、いくらもらえて、自分の会社が対象になるのか――順番に見ていきましょう。

図: 持続化補助金(第20回・建設業向け)の全体像。詳しくは本文で解説します

持続化補助金は建設業・工務店の何に使える?

持続化補助金は、元請け依存から抜け出して自社の名前で仕事を取りにいくための「販路開拓」の投資を幅広くカバーします。工具や重機の単なる更新は対象外ですが、次のような使い道はイメージしやすいでしょう。

対象になる使い道の例

  • 自社の情報発信:施工事例・実績を紹介する自社ホームページの制作、リフォーム・注文住宅の事例集(カタログ)の作成
  • 販促・集客:現場に立てる自社の看板・のぼり、チラシのポスティング、地域向けの折込広告
  • ショールーム・展示スペース:エンド顧客に直接提案できる小規模ショールームや相談スペースの設営
  • 見積・現場管理の効率化:見積作成・工程管理・顧客とのやり取りを効率化するシステムの導入(元請け依存から抜け出し、自社で直接受注を回すための基盤づくり)
  • 採用のための発信:職人・現場スタッフの採用につながる求人ページ・会社案内パンフレットの制作

図: 持続化補助金で対象になりやすい建設業・工務店の使い道の例

対象にならないものの例

  • 仕入れ代・外注費・人件費など、日々の現場を回すための「単なる運転資金」
  • 重機・工具の単なる買い替え(性能維持のための更新だけでは、販路開拓につながる投資として認められにくい)
  • パソコン・タブレットなど、業務以外にも使える汎用品の購入
  • 交付決定より前に発注・契約してしまった費用(いわゆる「フライング発注」)
  • 販路開拓や生産性向上につながらない、事業計画と関係のない支出

いずれも「その投資が、自社の販路開拓(元請け依存からの脱却・エンド顧客の獲得)にどうつながるか」を事業計画で説明できるかどうかが判断のポイントです。

じつは、重機・工具の入れ替えが対象になるかどうかは、はっきり白黒つくものばかりではありません。同じ「機材の入れ替え」でも、それが自社の販路開拓の取組にどう結びつくのかを事業計画のなかで具体的に示せるかどうかで、対象と認められるかどうかが変わります(あくまで、実際に販路開拓につながる取組であることが前提です)。この“販路開拓の取組として正しく位置づけ、事業計画に落とし込むための考え方”は、GRANTOS公式LINEの登録者限定ページで、採択されやすい書き方の例とあわせて紹介しています。

いくらもらえる?上限250万円の中身は

「上限250万円」は無条件ではありません。基本額に特例を組み合わせることで上限が引き上がる仕組みなので、まずは内訳を正確に押さえておきましょう。

区分補助上限額
基本50万円
+インボイス特例100万円(基本50万円+50万円)
+賃金引上げ特例200万円(基本50万円+150万円)
+両特例併用250万円(最大)

特例の中身は次のとおりです。

  • インボイス特例:適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)に新たに登録した免税事業者向けの特例です。一人親方や小規模な個人事業の工務店で、元請けとの取引のためにインボイス登録した場合は対象になりやすい特例です。
  • 賃金引上げ特例:事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる計画がある場合に使える特例です。

補助率はいくら?

補助率は通常2/3です。賃金引上げ特例を利用する事業者のうち、赤字事業者は3/4に引き上がります。

事業者タイプ別・シミュレーション

同じ「上限」でも、会社の規模とやりたいことで使い方はまったく変わります。3つの事業者タイプを例に、いくら投資すると補助がいくらになるかを見てみましょう(補助額は「対象経費×2/3」を、その枠の上限まで受け取れる、という考え方です)。

図: 事業者タイプ別に見る「いくら投資して、いくら補助されるか」。枠が上がるほど一度にできることが広がります

① 一人親方の工務店(基本枠・上限50万円) これまで知人の紹介と元請けからの下請け仕事だけでやってきたが、自分の名前で直接エンド顧客から仕事を取りたい。施工事例を載せた自社ホームページの制作と、現場に立てる自社看板の作成の見積もりは75万円。 → 75万円 × 2/3 = 50万円の補助(基本枠の上限に到達)。自己負担25万円で、自社の名前を出して営業できる土台が作れます。

② インボイス登録した数名のリフォーム会社(インボイス特例・上限100万円) リフォームの相談を気軽に受けられる小規模なショールームを設営し、あわせて見積作成から工程管理までを効率化するシステムも導入したい。見積もりは150万円(ショールームの内装・什器費+システム導入費として計上。汎用的なパソコン単体の購入費は対象外になるため注意が必要です)。 → 150万円 × 2/3 = 100万円の補助。 ここがポイントです。基本枠(上限50万円)のままだと、ショールーム設営だけで枠を使い切ってしまいます。インボイス特例で枠が+50万円に広がると、同じ申請でショールームに加えて見積・工程管理システムまで一度に手が届くのです。

③ 賃上げに取り組む内装専門業者(両特例併用・上限250万円) 施工事例集(カタログ)を制作して工務店・設計事務所への営業を強化し、あわせて職人採用につながる求人ページと会社案内パンフレットも作りたい。見積もりは375万円。 → 375万円 × 2/3 = 250万円の補助(両特例併用の上限に到達)。 賃金引上げ特例(+150万円)まで使えると、営業用の施工事例集“だけ”で終わらず、採用のための発信まで同時に実現できます。職人の賃上げと採用強化を一度に進めたい会社に向いています。

このように、使える特例が増えるほど「一度の申請でできること」が広がります。まずは自分の会社が2つの特例(インボイス・賃金引上げ)に当てはまるかを確認してみましょう。

情報発信やショールーム以外にも、施工用の設備投資や省力化ツールの導入など、やりたいことによっては別の補助金のほうが多くもらえるケースもあります。この補助金だけで足りないと感じたら、他に使える補助金がないか探してみるのも有益です。

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第20回のスケジュール(申請受付開始・締切)

第20回の申請受付は2026年11月5日(木)に始まり、申請締切は2026年12月15日(火)17:00です。受付開始日と締切日を取り違えないよう、まずこの2つの日付を押さえておきましょう。採択発表は2027年3月頃、事業の実施期間は交付決定日から2028年3月31日までが予定されています。

図: 申請から着金までのスケジュール。11/5と12/15の違いもあわせて確認できます

補助金は、経費を立て替えて支払った後に交付される「精算払い」です。着金は実績報告のあとになるため、ホームページ制作費やショールーム設営費などはいったん自己資金や借入で用意しておく必要があります。着金までの資金繰りに不安がある場合は、早い段階で金融機関や商工会議所・商工会に相談しておくと安心です。

承認までの重要なタイミングと必要書類

「何が必要か」よりも「いつ何が必要か」を押さえるほうが、準備のスケジュールを組みやすくなります。着金までの主なタイミングと、その時点で必要になる書類は次のとおりです。

タイミングやること必要になるもの
〜2026年12月4日(金)商工会議所・商工会に相談し「事業支援計画書(様式4)」を発行してもらう経営計画書・補助事業計画書の下書き(相談時に使う)
〜2026年12月15日(火)17:00電子申請(GビズIDが必要)経営計画書、補助事業計画書、見積書、事業支援計画書(様式4)
2027年3月頃採択発表 → 交付決定
交付決定日〜2028年3月31日事業実施(発注・制作・支払い)契約書・請求書・領収書などを保管
事業終了後実績報告 → 補助金の入金実績報告書、支払いを証明する証憑(領収書・振込明細など)

図: いつ・何が必要になるか。様式4の発行締切(12/4)は申請締切より前の“隠れ期限”です

特に注意したいのが、**事業支援計画書(様式4)の発行締切が申請締切の11日前=2026年12月4日(金)**にあること。発行には商工会議所・商工会での相談・手続きが必要なため、申請締切ぎりぎりに動き始めると間に合わない可能性があります。現場が忙しい時期こそ、逆算して早めに窓口へ相談しておきましょう。

「うちみたいな工務店でも対象?」

建設業の従業員要件は次のとおりです。

  • 建設業(「製造業その他」区分):「常時使用する従業員」20人以下
  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):5人以下

ポイントは、パートやアルバイトを全員数えるわけではないことです。この「常時使用する従業員」には、次の人は含めません

  • 事業主本人(個人事業主)・会社役員
  • 同居の親族従業員
  • 通常の従業員より勤務時間が短いパート・アルバイト(=短時間労働者)
  • 日雇い、2か月以内の短期雇用、季節的な短期雇用の人

これを自分の会社に当てはめて数えてみましょう。

例:一人親方+パートで事務を手伝う配偶者の工務店(事業主は個人事業主) → 事業主本人は数に入りません。同居の親族が事務を手伝っている場合もカウントしません。数えるのは実質0人。20人以下なので、対象になります

例:職人8人+事務スタッフ2人のリフォーム会社(法人) → 代表者を除く職人8人と事務スタッフ2人を合わせて10人。建設業の要件「20人以下」に十分収まるため、対象になります

例:常用の職人5人+繁忙期に応援を頼む一人親方・業務委託の職人を随時活用する内装業者 → 数えるのは常用の職人5人。業務委託(雇用契約を結んでいない働き方)は雇用関係にないため、「常時使用する従業員」には含まれない見込みです。応援で単発で来てもらう一人親方も、雇用契約を結んでいなければ同様に含まれない可能性が高いですが、この扱いを明記した公式資料は確認できていないため、該当する場合は商工会議所・商工会に個別に確認しておくと確実です。この会社も5人=対象です。

建設業は20人以下という比較的余裕のある要件のため、職人を複数抱える工務店・リフォーム会社でも対象になるケースが多い業種です。ただし雇用形態の判断は個別事情で変わることがあるため、業務委託や応援の職人の扱いを含め、迷う場合は商工会議所・商工会や公募要領で確認しておくと確実です。

商工会議所・商工会への相談は必須?

持続化補助金の申請には、商工会議所・商工会の支援を受けて事業計画を作成するプロセスが組み込まれています。事業所の所在地が「商工会議所地区」か「商工会地区」かによって相談窓口が異なり、同一事業者が両方に申請することはできません。まずは自分の会社がどちらの地区にあたるかを確認しましょう。

相談枠は申請締切が近づくほど混み合いやすくなります。事業支援計画書(様式4)の発行にも時間がかかるため、公募が始まったらできるだけ早いタイミングで相談の予約を取っておくことをおすすめします。

よくある質問

締切は2026年11月5日ですか?

いいえ。2026年11月5日は申請受付の開始日です。第20回の申請締切は2026年12月15日(火)17:00です。あわせて、事業支援計画書(様式4)の発行締切(2026年12月4日)にも注意してください。

補助上限は本当に250万円ですか?

250万円は、基本額50万円にインボイス特例・賃金引上げ特例を両方併用した場合の最大額です。特例を使わない場合の基本上限は50万円で、無条件で250万円がもらえるわけではありません。

従業員が20人を超える建設業は対象外ですか?

建設業は「製造業その他」の区分にあたり、常時使用する従業員20人以下が対象要件です。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は5人以下と、業種によって基準が異なります。該当するか判断に迷う場合は商工会議所・商工会にご確認ください。

商工会議所と商工会、どちらに相談すればいいですか?

事業所の所在地によって決まります。所在地が「商工会議所地区」か「商工会地区」かで窓口が異なり、両方に申請することはできません。まずは自分の会社がどちらの地区にあたるかを確認しましょう。

※補助上限額・補助率・締切などの制度内容は、公募要領の改定により変更される場合があります。申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

出典(一次情報・裏取り情報): 中小企業庁 第20回公募要領公開告知中小企業庁 小規模事業者持続化補助金についてJ-Net21 第20回公募要領を公開の記事商工会議所地区 公式サイト中小機構 補助金活用ナビ


採択される事業計画書には“書き方の型”があります

同じ投資内容でも、事業計画書の書き方ひとつで採択・不採択は変わります。審査で見られるポイントや、そのまま使える記入例は、一般には出回っていません。

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この補助金の概要(早見表)

検索項目内容
制度名小規模事業者持続化補助金(第20回・一般型/通常枠)
対象業種全業種(建設業も対象)
利用目的設備整備・IT導入をしたい/販路拡大・海外展開をしたい
対象地域全国
従業員数20人以下(建設業=製造業その他区分。商業・サービス業は5人以下)
補助上限額最大250万円(基本50万円+特例加算)
補助率2/3(賃金引上げ特例利用の赤字事業者は3/4)
申請受付2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00
公式サイト小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠> 公式ポータル

※この表の項目(対象業種・利用目的・対象地域・従業員数)は、GRANTOSの補助金診断の検索軸に対応しています。