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持続化補助金は個人事業主も対象?条件を線引き

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「持続化補助金は法人向けの制度でしょう」と思い込んでいないでしょうか。結論は逆です。個人事業主・フリーランスも対象になります。むしろこの補助金は「小規模事業者」を支援する制度なので、規模の小さい個人事業主こそ使いやすい設計になっています。

ただし「個人事業主なら誰でも使える」わけではありません。開業していること・従業員数の基準を満たすこと・必要な税務書類を用意できることという3つの前提があります。ここを取り違えると、書類を揃える段階でつまずきます。順番に見ていきましょう。

個人事業主・フリーランスが対象になる制度は、小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>(第20回)/創業型です。 対象は全業種(医師・歯科医師・助産師、系統出荷が中心の農業者等は対象外の場合あり)で、常時使用する従業員数が商業・サービス業は5人以下、製造業その他・宿泊娯楽業は20人以下という基準で判定されます(個人事業主は資本金の概念がなく、この従業員数だけで判定されます)。補助上限額は通常枠50万円(インボイス特例で最大100万円、賃金引上げ特例で最大200万円、両特例で最大250万円)、創業型は基本上限200万円(インボイス特例で最大250万円)、補助率は2/3です。第20回の申請受付は2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00(事業支援計画書の受付締切は12月4日(金))で、公式サイトは小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>です。

【類型別】個人事業主は対象になるか、ならないか

状況対象になる対象にならない
開業届を提出し、事業を営んでいる対象。 一般型(通常枠)に申請できる
開業して1年以内(特定創業支援等事業の支援実績あり)対象。 創業型(上限200万円〜250万円)に申請できる通常枠との併願は不可
これから開業する予定(まだ開業届を出していない)対象外。 申請時点で開業していない者は申請できない
開業したが、決算期を一度も迎えていない対象。 確定申告書の代わりに、開業届の写し+開業以降の売上台帳等(任意様式)の写しを出せる開業日の記載がない開業届は無効
開業して決算期を1回以上迎えた対象。 確定申告書の写しを提出所得額に関係なく確定申告書が必須。「赤字だから不要」は通らない
医師・歯科医師・助産師対象外。 公募要領が名指しで除外している
系統出荷による収入のみの個人農業者(林業・水産業者も同様)農作物の加工・料理提供を行う場合、その部分の経費に限り対象農作物の生産自体に必要な経費は対象外
過去に持続化補助金を使い、様式第14(事業効果・賃金引上げ等状況報告書)が未提出対象外。 提出を完了し、事業実施期間終了月の翌月から1年経過してから申請できる
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なぜこの線が引かれているか。 持続化補助金は「小規模事業者の販路開拓」を支援する制度であり、事業の実態を確認できることが前提です。開業前は事業そのものが存在しないため対象にできず、確定申告の実績は「実際に事業を営んでいる」ことを税務署の記録で裏付ける役割を果たしています。

第20回の公募要領は、開業日について踏み込んだ書き方をしています。「既に税務署に開業届を提出していても、開業届上の開業日が申請日よりも後の場合は対象外」。さらに「既に税務署に開業届を提出していても、申請時点までに事業を開始していない場合も補助対象外となります。採択後に判明した場合は、採択・交付決定の取消し等を行う場合があります」とあります。つまり開業届を出したという事実だけでは足りず、申請日の時点で実際に事業が動いていることが求められます。

業種そのもので対象外になる個人事業主がいます

従業員数を満たしていても、営んでいる事業の種類で対象外になる場合があります。公募要領が名指しで挙げているのは次の3つです。

  • 医師・歯科医師・助産師。開業医は個人事業主でも対象になりません
  • 系統出荷による収入のみである個人農業者(個人の林業・水産業者も同様)。ただし例外があり、農作物の加工や、農作物を使った料理の提供などを行っている場合は、その加工・料理提供に必要な経費に限って対象になります。農作物の生産そのものに必要な経費は対象外です
  • 任意団体。法人格も個人事業の登録もない団体は申請できません

農家の方は、この例外の書き方をよく読んでください。米を作って農協に出荷するだけなら対象外ですが、自分で加工して直売所やECで売る取組を始めるなら、その部分は補助の対象になりえます。ここが個人農業者にとっての分かれ目です。

個人事業主が提出する書類(第20回)

公募要領の提出書類一覧のうち、個人事業主に関わるものは次のとおりです。

書類何を出すか決算期を一度も迎えていない場合
直近の確定申告書第一表・第二表・収支内訳書(1・2面)、または第一表・第二表・所得税青色申告決算書(1〜4面)開業届の写し+開業以降の売上台帳等(任意様式)の写しに代えられる
損益計算書直近1期分売上台帳等(任意様式)の写しに代えられる
事業支援計画書(様式4)商工会・商工会議所が発行同じ(決算期に関係なく必須)
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書類まわりで押さえておきたい点が3つあります。

  1. 開業日が書かれていない開業届は無効です。控えに開業日の記載があるか、提出前に確認してください
  2. 決算期を1回以上迎えているなら、所得額に関係なく確定申告書の写しが必要です。「赤字だったから」「所得が少なかったから」は理由になりません
  3. マイナンバーが書類に写り込んでいる場合は、番号が見えないよう黒塗りしてから提出します

どれを選ぶべきか

  • 開業して1年以上経ち、確定申告の実績がある → 一般型(通常枠)。補助上限50万円、各特例で最大250万円まで
  • 開業して1年以内、かつ特定創業支援等事業の支援を受けている → 創業型。通常枠の4倍にあたる基本上限200万円が使えます。ただし通常枠との併願はできません
  • 開業直後で、決算期をまだ一度も迎えていない確定申告を待つ必要はありません。 開業届の写しと、開業以降に売上が発生していることを示す売上台帳等(任意様式)の写しで申請できます。これは第20回公募要領の提出書類一覧に明記されています

従業員数の判定シミュレーション

① 一人で営むネイルサロン(従業員0人) 事業主本人のみで運営。サービス業のため従業員数基準は5人以下。 → 従業員0人(本人のみ)は基準を大きく下回り、小規模事業者に該当します。

② 家族経営の弁当店(事業主+同居の配偶者+パート1人) 「常時使用する従業員」に事業主本人・同居の親族従業員は含まれません。カウントされるのはパート1人のみ。 → 商業・サービス業の基準5人以下を下回り、小規模事業者に該当します。

③ スタッフ6人を雇用する美容室(個人事業主) サービス業の基準5人以下を、常時雇用のスタッフ6人が上回っています。 → 小規模事業者の基準を超えるため対象外になります。中小企業向けの他の補助金(デジタル化・AI導入補助金等)を検討することになります。

「常時使用する従業員」に数えない人・数える人

ここが個人事業主にとって一番間違いやすいところです。第20回の公募要領は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」=労働基準法第20条の「解雇の予告を必要とする者」と定義したうえで、数に含めない人を具体的に挙げています。

数えない人数える人
事業主本人正社員
同居の親族従業員(配偶者・親・子など)同居していない親族の従業員
会社役員契約社員
日雇労働者2か月を超える期間を定めて雇う人
2か月以内の期間を定めて使用される者期間の定めなく働くパート・アルバイト
季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
試用期間中の者
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パート・アルバイトは、一律に除外されるわけではありません。 除外されるのは「2か月以内の期間を定めて雇っている」場合です。期間を決めずに継続して働いてもらっているパートは、週の勤務時間が短くても1人と数えます。ここを「パートだから0人」と誤解したまま申請すると、基準を超えていたことが後から判明します。

具体例で確認します。商業・サービス業(基準5人以下)の個人事業主で、次の構成だとします。

  • 事業主本人 … 数えない
  • 同居している配偶者(専従者) … 数えない
  • 別居している息子(給与を払っている) … 1人と数える
  • 期間の定めなく働くパート3人 … 3人と数える
  • 繁忙期だけ1か月契約で雇う短期スタッフ2人 … 数えない

合計は4人。基準の5人以下に収まるので対象になります。仮に別居の息子とパートがもう1人増えて6人になれば、対象から外れます。

家族に給与を払っているときの注意

同居の親族従業員は従業員数に数えませんが、その家族への発注は補助対象経費になりません。公募要領は補助対象外の経費として「社内の役員・従業員や代表者・役員の親族(3親等以内)へ発注しているもの、あるいは代表者・役員の親族(3親等以内)が代表または役員に就いている事業者へ発注しているもの」を挙げています。

たとえば「息子がデザイン会社をやっているので、チラシ制作を頼んで持続化補助金で出す」は通りません。3親等以内かどうかで判断されるので、身内に仕事を出す予定があるなら、申請前に関係を確認しておいてください。

賃金引上げ特例は、従業員がいないと使えません

補助上限を50万円から200万円に引き上げる「賃金引上げ特例」は、金額のインパクトが大きいぶん、個人事業主から見ると落とし穴があります。

公募要領は特例における「従業員」を、「非常勤を含む。代表者、役員及び専従者は含めない」と定義しています。つまり事業主本人と、同居の専従者だけで営んでいる個人事業主は、賃金引上げ特例の計算対象になる従業員が存在せず、この特例を使えません

要件の中身も押さえておきます。

  • 補助事業実施期限日(2028年3月31日)を終点とする連続12か月と、その前年同月の12か月を比べる
  • 従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増やす
  • 採択後、交付決定までに全従業員または従業員代表者・役員に対して目標を表明する
  • 実績報告の時点で目標を達成している必要がある

さらに注意すべき記載があります。「申請時点では要件を満たしている場合であっても、実績報告時までに従業員が退職する等により、1人あたり給与支給総額の年平均上昇率を算出できなくなった場合は、補助金は交付されません」。従業員1人だけで特例を使うのは、その1人が辞めた瞬間に計算が成立しなくなるという意味でリスクがあります。

そしてもう1点。「賃金引上げ特例を希望した場合、通常枠および賃金引上げ特例の要件を1つでも満たさない場合は、補助金は交付されません(特例による上乗せ部分のみではなく全体が交付対象外となります)」。150万円の上乗せ分だけが消えるのではなく、基本の50万円も含めてゼロになります。上限を狙って安易に特例を選ぶと、達成できなかったときの損失が大きくなります。

パートの人数の数え方も、従業員数の判定とは別ルールです。特例では正社員の就業時間に換算します。公募要領の例では、正社員が1日7時間・週35時間の事業者で、1日3時間・週15時間のパートは0.42人(3÷7を小数点第3位で切り捨て)として計算します。

赤字なら補助率が3/4に上がります

賃金引上げ特例に申請する事業者のうち、業績が赤字の場合は、補助上限の引上げに加えて補助率が2/3から3/4に上がり、さらに「赤字賃上げ加点」が付いて優先採択されます。

個人事業主の赤字判定は、直近1年間の「所得税および復興特別所得税」の確定申告書 第一表の「課税される所得金額」欄で見ます。該当する場合は、その写しを申請時に提出します。

法人成りした場合はどうなるか

個人事業主として持続化補助金を活用したあと、法人成り(法人化)する事業者は少なくありません。ここで注意したいのは、採択・交付決定後に法人成りすると、事業の実施主体が変わったとみなされる可能性があることです。

  • 申請前に法人成りする予定がある場合 → 申請時点でどちらの立場(個人事業主/法人)で出すかを先に決め、途中で変更しない
  • 交付決定後に法人成りする場合 → 補助事業の実施主体の変更にあたるため、事務局への事前相談・承認が必要になることがあります。無断で名義を変更すると交付決定の取り消し・返還を求められるリスクがあります

何に使えるか——対象になる経費・ならない経費

個人事業主が使いたくなる経費を、公募要領の記載に沿って○×で並べます。

やりたいこと可否根拠・条件
新商品を紹介するチラシ・カタログの外注、その発送広報費。宣伝広告が目的であること
新聞・雑誌への広告、看板の作成・設置広報費
インターネット広告、バナー広告、SNS広告・運用代行費広報費
自社サイト・ECサイトの制作、顧客管理システムの構築ウェブサイト関連費。補助金交付申請額の上限は30万円(税込)。かつこの費目だけでの申請は不可で、必ず他の経費と組み合わせる
集客用の椅子・ショーケース・冷凍冷蔵庫・製造機械機械装置等費。販路開拓につながること
展示会への出展料展示会等出展費。出展申込みだけは交付決定前でも可(ただし請求書の発行が交付決定日以後であること)
パソコン・タブレット・プリンター・複合機×「汎用性が高く目的外使用になりえるもの」として明示的に対象外
PC周辺機器(ハードディスク・LAN・Wi-Fi・サーバー・モニター・スキャナー・ルーター・ヘッドセット・イヤホン等)×同上
WEBカメラ・ウェアラブル端末・電話機・家庭用電気機械器具×同上
会社案内パンフレット・名刺の作成×「単なる会社の営業活動に活用されるもの」として対象外
単なる取替え更新の機械装置×新たな販路開拓につながらないため
消耗品(文房具・インクカートリッジ・用紙・段ボール・梱包材等)×対象外経費として列挙
家賃・駐車場代・敷金・光熱水費・電話代・インターネット利用料×対象外経費として列挙
税理士への決算書作成費用、弁護士費用×対象外経費として列挙
中古品の購入一定の条件を満たす場合のみ可。ただし開業していない個人からの購入やオークション(ネットオークション含む)は不可
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ウェブサイト関連費の30万円上限は、個人事業主がとくに引っかかるところです。 「補助金50万円をまるごとホームページ制作に充てよう」と考えていた場合、その設計は成立しません。ウェブサイトに出せる補助金は最大30万円で、しかも単独申請ができないため、チラシや展示会出展など他の経費と組み合わせる必要があります。

もうひとつ。50万円(税抜)以上でウェブサイト・システムを作ると「処分制限財産」になります。補助金を受け取ったあとも、通常は取得日から5年間、廃棄・譲渡・目的外使用が制限されます。承認を得ずに処分すると、交付取消と返還命令(加算金付き)の対象になります。サイトを数年でリニューアルする前提なら、この点を織り込んでおいてください。

審査で何を見られるか

第20回の公募要領は、審査の観点を基礎審査と計画審査に分けて示しています。基礎審査は1つでも欠けると失格です。

  • 必要な提出資料がすべて提出されていること
  • 補助対象者・補助対象事業・補助率と補助上限額・補助対象経費の要件に合致すること
  • 補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
  • 小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること

そのうえで、計画審査で点数がつきます。個人事業主が書きやすい形に言い換えると、次の4点です。

  1. 自社の経営状況分析の妥当性 … 自分の店・事業の強みと弱みを、思い込みでなく把握できているか
  2. 経営方針・目標と今後のプランの適切性 … 強み弱みを踏まえ、商圏や顧客のニーズを捉えたうえで、売上高・売上総利益の増加を目指すものになっているか
  3. 補助事業計画の有効性 … 効果の目標が客観的事実に基づいているか。実現可能性が高いか。新たな価値を生む商品・サービス・提供方法があるか。デジタル技術を有効に活用する取組が見られるか。取得した資産を事業終了後も使い続けることが明確か
  4. 積算の透明・適切性 … 事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額か

「デジタル技術の活用」が明示的な審査項目に入っている点は、押さえておく価値があります。予約システム、キャッシュレス決済、SNS運用など、デジタルの要素を計画に組み込めるなら書いておくほうが有利です。

過去に持続化補助金を使ったことがある方は、追加の注意があります。 公募要領は「より多くの事業者に補助事業を実施いただけるよう、過去の補助事業(全国対象)の実施回数等に応じて段階的に減点調整を行います」と明記しています。回数を重ねるほど不利になる設計です。あわせて、過去の採択回と「明確に異なる新たな事業であるか」も審査されます。

加点は「重点政策加点」と「政策加点」から1つずつ

加点はそれぞれから1種類、合計2種類までしか選べません。2種類以上を選ぶと加点審査の対象そのものから外れます。「たくさん選んだほうが有利」と考えて全部にチェックを入れると、加点がゼロになります。

個人事業主が使いやすい加点の例を挙げます。

加点区分必要なもの
事業環境変化加点重点政策原油・LPガス価格の高騰、米国の相互関税等の影響を受けている内容を様式2に入力
賃金引上げ加点政策1人あたり給与支給総額を年平均2.0%以上引き上げる目標。誓約・同意書(様式7)。従業員がいることが前提
経営力向上計画加点政策「経営力向上計画」の認定書。基準日までに認定を受けている必要がある
事業承継加点政策事業承継診断票(様式10)。商工会・商工会議所が発行するので、様式4と同時に発行依頼する
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事業承継加点を狙うなら、商工会に行く回数を増やさないためにも、様式4の依頼と同時に伝えてください。経営力向上計画加点は認定に時間がかかるので、締切間際に思い立っても間に合いません。

併用できるか

持続化補助金の一般型(通常枠)と創業型は併願できません。 どちらか一方を選ぶ必要があります。創業型に申請中、または採択を受けている事業者は、一般型 通常枠の対象外と明記されています。

一方で、経費が重ならなければ、デジタル化・AI導入補助金など他の制度と組み合わせることは可能です。たとえば「ウェブサイト制作費は持続化補助金」「会計ソフトの導入費はデジタル化・AI導入補助金」のように、対象経費を分けて設計すれば両方使える余地があります。

申請の流れ(共通)

  1. 商工会・商工会議所に相談し、事業支援計画書の作成を依頼する(経営指導員との面談が必要。この計画書の受付締切は本申請の締切より前なので注意)
  2. 経営計画書・補助事業計画書を作成する
  3. 電子申請システム(またはjGrants)で申請する
  4. 採択発表・交付決定の通知を受け取る(ここより前に発注・契約・支払いをしない)
  5. 交付決定後に発注・契約・支払いを行う
  6. 実績報告を提出し、確定検査を経て補助金が入金される

落ちる・返還になる要因

もっとも見落とされやすいのが「事業支援計画書の受付締切」です。 本申請の締切だけを見ていると、商工会・商工会議所への相談・計画書発行が間に合わず、締切に間に合わないという事故が起きます。本申請の締切より前に、必ず商工会・商工会議所への相談を済ませてください。

その他の要因:

  • 交付決定より前に発注・契約・支払いをしてしまう(もっとも多い返還事由)
  • パソコン・タブレット等の汎用機器単体の購入を対象経費に含めて申請する(明確に対象外と公募要領に記載されている)
  • 開業していない、または確定申告の実績が確認できない(決算期を一度でも迎えていれば確定申告書の写しが必須)
  • 販路開拓との関連が薄い投資を「持続化」の名目で申請する(会社案内の作成のみ、日常の仕入れ費用等)
  • 賃金引上げ特例の適用を受けたのに、実際の賃上げが計画未達だった(前述のとおり、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されません)

個人事業主がとくに引っかかる4つ

上の一般的な事故に加えて、個人事業主に固有の落とし穴があります。

① 開業届は出したが、事業がまだ動いていない。 開業届上の開業日が申請日より後だと対象外です。届出を出した日ではなく、届出に書いた開業日で判断されます。

② 身内に発注してしまう。 3親等以内の親族、またはその親族が代表・役員を務める事業者への発注は対象外です。個人事業主は「知り合いや家族に頼む」のが自然な選択になりやすいので、見積もりを取る前に確認してください。

③ 事業効果および賃金引上げ等状況報告書(様式第14)を出していない。 過去に持続化補助金(一般型・コロナ特別対応型・低感染リスク型・創業型)で採択され補助事業を実施したのに、この報告書を出していない事業者はそもそも申請できません。しかも「事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年間が経過し、報告書の提出を完了している場合に、申請が可能」という条件があります。数年前に一度使った記憶がある方は、報告を済ませたか先に確認してください。

④ 補助事業終了後おおむね1年以内に売上につながる見込みがない。 公募要領は「本事業の終了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業」を対象外事業として挙げています。例として「機械を導入して試作品開発を行うのみであり、本事業の取組が直接販売の見込みにつながらない事業」が示されています。研究・試作だけで終わる計画は書けません。

業種によっては事業内容そのものが対象外

公募要領は「事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの」を対象外としています。例示されているのはマージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業等です。

また、国が助成する他の制度と同一・類似内容の事業も対象外です。例としてデイサービス・介護タクシー等で介護報酬が適用されるサービス、薬局・整骨院等で保険診療報酬が適用されるサービスが挙げられています。整骨院を営む個人事業主が保険診療の部分で申請することはできませんが、自費メニューの販路開拓であれば話は別です。自分の事業のどの部分で申請するのかを切り分けてください。

いつ何をするか——スケジュールの逆算

第20回で押さえるべき日付は、締切日1つではありません。

いつ何が起きるか
2026年11月5日(木)申請受付開始
2026年12月4日(金)事業支援計画書(様式4)の発行受付締切これ以降の発行依頼は、いかなる理由があっても受け付けられません
2026年12月15日(火)17:00申請受付締切
採択発表後 おおむね1〜2か月交付決定(見積書等を速やかに提出した場合の目安)
2028年2月29日見積書等の提出期限。これを過ぎると採択取消
2028年3月31日(金)補助事業の実施期限
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実質的な締切は12月4日だと考えてください。 様式4は商工会・商工会議所が発行するもので、経営指導員との面談を経ます。窓口は混みますし、公募要領は「発行には時間を要する場合がありますので、十分な余裕をもって、商工会・商工会議所の窓口へご依頼ください」と書いています。11月に入ってから動き始めるのでは遅い可能性があります。

さらに「申請要件を満たしていないと判断される場合も発行はできません」とあります。様式4は自動的に出るものではありません。 計画の中身が持続化補助金の趣旨に合っていなければ、窓口の段階で止まります。

交付決定までに採択発表から1〜2か月かかる点も重要です。交付決定より前の発注・契約・購入・支払い(前払いを含む)はすべて対象外なので、「採択されたからもう発注してよい」と考えると事故になります。採択と交付決定は別物です。

似ている別の制度と混同しやすい点

「持続化」と「事業継続」を混同していないか

持続化補助金は「事業を持続させる」という名前から、災害時の事業継続支援や資金繰り支援の制度と混同されることがあります。実際は販路開拓(新しい顧客層への展開・新商品の広報等)に使う経費を補助する制度であり、運転資金の補填や既存事業の維持費そのものは対象になりません。「持続化」という言葉から連想する意味と、制度の実際の中身にはズレがあることを押さえておいてください。

商工会地区と商工会議所地区で窓口が違う点

持続化補助金の事業支援計画書は、事業所の所在地によって商工会(町村部が中心)と商工会議所(市部が中心)のどちらかが窓口になります。どちらに相談すればよいか分からない場合は、まず自社の所在地の市区町村名で検索し、該当する商工会・商工会議所に問い合わせてください。窓口を間違えて時間を浪費すると、締切に間に合わなくなるリスクがあります。

よくある質問

開業したばかりの個人事業主でも申請できますか?

税務署に開業届を提出し、事業を開始していれば申請できる可能性があります。ただし決算期を一度でも迎えている場合は確定申告書の写しの提出が必須です。開業から1年以内で特定創業支援等事業の支援を受けている場合は、通常枠より上限額の大きい「創業型」も選択肢になります。

確定申告をまだ一度もしていませんが申請できますか?

決算期を一度も迎えていない場合に限り、申請できます。 第20回公募要領は、確定申告書の代わりに「申請段階で開業していることがわかる開業届の写し」と「開業以降売上が発生していることを証する売上台帳等(任意様式)の写し」を提出するよう定めています。ただし開業日の記載がない開業届は無効です。決算期を1回以上迎えている場合は、所得額に関係なく確定申告書の写しが必要になります。

従業員がいない一人事業主でも、上限200万円の賃金引上げ特例は使えますか?

使えません。賃金引上げ特例における「従業員」は「非常勤を含む。代表者、役員及び専従者は含めない」と定義されているため、事業主本人と同居の専従者だけの事業では、1人あたり給与支給総額を算出する対象がいません。一人事業主が狙える上限は、通常枠50万円、インボイス特例を使って100万円までです。

パートを雇っていますが、従業員数にカウントされますか?

期間を決めずに継続して雇っているパートは、勤務時間が短くてもカウントされます。カウントから外れるのは、日雇労働者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試用期間中の者です。「パートだから数えない」という理解は誤りです。

ホームページ制作費に補助金50万円をまるごと充てられますか?

できません。ウェブサイト関連費は補助金交付申請額の上限が30万円(税込)で、さらにこの費目だけで申請することはできません。チラシ制作や展示会出展など、他の対象経費と組み合わせる必要があります。また50万円(税抜)以上でサイトを作ると処分制限財産となり、通常5年間は承認なしに廃棄・譲渡できなくなります。

家族が経営する会社にチラシ制作を頼んでもよいですか?

対象経費になりません。公募要領は、代表者・役員の3親等以内の親族への発注、およびその親族が代表または役員を務める事業者への発注を補助対象外としています。身内に依頼する予定があるなら、見積もりを取る前に関係を確認してください。

加点はできるだけ多く選んだほうが有利ですか?

逆です。加点は【重点政策加点】【政策加点】からそれぞれ1種類、合計2種類までしか選べません。2種類以上を選ぶと加点審査の対象から外れます。自社が確実に要件を満たすものを1つずつ選んでください。

フリーランス(業務委託中心)でも対象になりますか?

事業として開業届を提出し、小規模事業者の従業員数基準(本人・同居親族以外の常時雇用が5人以下または20人以下)を満たしていれば、業務形態がフリーランスであっても対象になりえます。

採択後に法人成りしたら補助金はどうなりますか?

補助事業の実施主体の変更にあたる可能性があるため、無断での名義変更は交付決定の取り消し・返還リスクがあります。法人成りを予定している場合は、事前に事務局へ相談してください。

一般型と創業型はどちらが有利ですか?

開業から1年以内で特定創業支援等事業の支援実績があるなら、上限額が大きい創業型(基本上限200万円)が有利です。1年を超えている場合は一般型(通常枠)のみが選択肢になります。両者は併願できません。

【攻略ガイド】採択される事業計画書のつくり方

無料記事では、この補助金で「何に使えるか」「いくらもらえるか」「締切はいつか」までをお伝えしました。ここから先は、同じ経費・同じ金額で申請しても、書き方ひとつで採択・不採択が分かれるという話をします。審査員が何を見ているか、どう書けば伝わるかを、実際の記入パターンで見ていきましょう。

1. この補助金の"審査の勘所"

持続化補助金の書面審査は、大きく次の4つの観点で行われます。

観点審査で見られること
①経営状況分析の妥当性自社の強み・弱み、置かれている市場環境を客観的に把握できているか
②経営方針・目標の適切性自社の強みを踏まえた方針か、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか
③補助事業計画の有効性実現可能性が高いか、創意工夫やITの活用が見られるか、今回の経費が販路開拓にどうつながるか
④積算の透明・適切性経費の内訳が明確で、事業の実施に必要なものと言えるか、見積もりの根拠が妥当か
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この4つのうち、多くの事業計画書が弱くなりやすいのが③の「その経費が、なぜ販路開拓につながるのか」の因果関係です。「古くなったので新しくする」「あった方が便利」だけでは、単なる設備更新・運転資金の範囲に見えてしまい、③で評価が伸びません。

さらに、直近の回では「客観的な市場データ」「販売単価の見込み」「売上総利益(粗利)の増加見込み」など、数字とその根拠をひもづけて書くことがより重視される傾向にあります。「なんとなく売上が伸びそう」ではなく、「客席回転率が月◯回転→◯回転に上がる見込みで、客単価◯円×増加分=月商+◯円」のように、根拠のある数字で語れるかどうかがポイントです。

つまり審査の勘所は一言でいうと、「その投資が、自社の強み・市場の特性を踏まえたうえで、販路開拓や生産性向上にどうつながるか」を、数字を交えて筋道立てて説明できているか、です。

2. 採択される事業計画書の骨子

上の4観点に沿って、事業計画書(経営計画書・補助事業計画書)は次の章立てで組み立てると書きやすくなります。

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免責事項: 本記事の内容は2026年9月時点で確認できた情報にもとづきます。補助上限額・補助率・対象要件・受付状況は制度改定により変更される場合があるため、申請前に必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。

出典(一次情報)

この記事を書いた人
GRANTOS編集部
補助金メディア編集部

中小企業・個人事業主の「次の一手」を後押しするため、国・自治体の補助金情報をわかりやすく整理してお届けします。掲載内容は公募要領などの一次情報をもとに編集しています。

本記事は情報提供を目的としており、補助金の採択・交付を保証するものではありません。 補助上限額・補助率・締切等の内容は変更される場合があります。申請にあたっては、必ず 公式サイト・最新の公募要領をご確認ください。