予約の空きがあるのに、ホームページがないから新規のお客さんに見つけてもらえない。施術には自信があるのに、次の来院につながる予約の仕組みがなくて一回きりで終わってしまう。自費の骨盤矯正メニューを始めたいのに、院内で案内するチラシやPOPひとつない――。こうした「やりたかったけど後回しにしていた投資」の3分の2(上限の範囲内)を、国がまかなってくれるのが小規模事業者持続化補助金です。
第20回は補助上限250万円(基本額+特例加算)、補助率2/3。申請受付は2026年11月5日に始まり、締切は12月15日17:00です。整体院・治療院・接骨院で何に使えて、いくらもらえて、自分の院が対象になるのか――順番に見ていきましょう。
図: 持続化補助金(第20回・整体院向け)の全体像。詳しくは本文で解説します
持続化補助金は整体・治療院・接骨院の何に使える?
持続化補助金は、新規の来院を増やし、来院を続けてもらうための「集客・販促」の投資を幅広くカバーします。単なる消耗品の買い足しや日々の運転資金は対象外ですが、次のような使い道はイメージしやすいでしょう。
対象になる使い道の例
- 予約・集客のIT化:ネット予約システムの導入、院のホームページ制作、web広告(リスティング広告・SNS広告)の出稿
- 販促物・院内案内:新規向けチラシ、院の看板・のぼり、自費メニューを紹介する院内POP・パンフレットの制作
- 販路開拓につながる設備:新規のお客さんを受け入れるための施術ベッドの増設、自費メニュー専用の施術機器の導入
- リピート・口コミ施策:予約状況や来院履歴を管理する予約管理システム、公式LINEアカウントと連携した再来院案内の仕組み
図: 持続化補助金で対象になりやすい整体院・治療院・接骨院の使い道の例
対象にならないものの例
- 施術用オイル・テープなどの消耗品、家賃、人件費など、日々の施術を回すための「単なる運転資金」
- パソコン・タブレットなど、業務以外にも使える汎用品の購入
- 交付決定より前に発注・契約してしまった費用(いわゆる「フライング発注」)
- 販路開拓や生産性向上につながらない、事業計画と関係のない支出
いずれも「その投資が、院の販路開拓(新規集客・リピート率向上)にどうつながるか」を事業計画で説明できるかどうかが判断のポイントです。
じつは、施術ベッドや施術機器の入れ替えが対象になるかどうかは、はっきり白黒つくものばかりではありません。同じ「機器の入れ替え」でも、それが院の販路開拓の取組にどう結びつくのかを事業計画のなかで具体的に示せるかどうかで、対象と認められるかどうかが変わります(あくまで、実際に販路開拓につながる取組であることが前提です)。この“販路開拓の取組として正しく位置づけ、事業計画に落とし込むための考え方”は、GRANTOS公式LINEの登録者限定ページで、採択されやすい書き方の例とあわせて紹介しています。
いくらもらえる?上限250万円の中身は
「上限250万円」は無条件ではありません。基本額に特例を組み合わせることで上限が引き上がる仕組みなので、まずは内訳を正確に押さえておきましょう。
| 区分 | 補助上限額 |
|---|---|
| 基本 | 50万円 |
| +インボイス特例 | 100万円(基本50万円+50万円) |
| +賃金引上げ特例 | 200万円(基本50万円+150万円) |
| +両特例併用 | 250万円(最大) |
特例の中身は次のとおりです。
- インボイス特例:適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)に新たに登録した免税事業者向けの特例です。自費メニューの拡大などにあわせてインボイス登録した個人経営の院であれば対象になりやすい特例です。
- 賃金引上げ特例:事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる計画がある場合に使える特例です。
補助率はいくら?
補助率は通常2/3です。賃金引上げ特例を利用する事業者のうち、赤字事業者は3/4に引き上がります。
院タイプ別・シミュレーション
同じ「上限」でも、院の規模とやりたいことで使い方はまったく変わります。3つの院を例に、いくら投資すると補助がいくらになるかを見てみましょう(補助額は「対象経費×2/3」を、その枠の上限まで受け取れる、という考え方です)。
図: 院タイプ別に見る「いくら投資して、いくら補助されるか」。枠が上がるほど一度にできることが広がります
① 個人経営の整体院(基本枠・上限50万円) これまで紹介と口コミだけでやってきたが、新規のお客さんがネットから予約できる仕組みを整えたい。ネット予約システムの導入と、院の雰囲気や施術メニューが伝わるホームページ制作の見積もりは75万円。 → 75万円 × 2/3 = 50万円の補助(基本枠の上限に到達)。自己負担25万円で、新規集客の入り口を整えられます。
② 数名の接骨院(インボイス特例・上限100万円) 自費メニュー専用の施術機器を導入し、あわせてweb広告(リスティング広告)で近隣エリアの新規層にも届けたい。見積もりは150万円(機器の導入・設置費とweb広告の出稿費として計上。汎用的なタブレット単体の購入費は対象外になるため注意が必要です)。 → 150万円 × 2/3 = 100万円の補助。 ここがポイントです。基本枠(上限50万円)のままだと、機器導入だけで枠を使い切ってしまいます。インボイス特例で枠が+50万円に広がると、同じ申請で機器導入に加えてweb広告まで一度に手が届くのです。
③ 賃上げに取り組む自費特化のサロン系治療院(両特例併用・上限250万円) 自費メニュー専用の新規機器を導入し、あわせてホームページのリニューアルと自費メニューを案内する院内POP・パンフレットも作りたい。見積もりは375万円。 → 375万円 × 2/3 = 250万円の補助(両特例併用の上限に到達)。 賃金引上げ特例(+150万円)まで使えると、機器導入“だけ”で終わらず、集客導線(ホームページ・院内POP)まで同時に実現できます。施術者の賃上げと自費メニューの強化を一度に進めたい院に向いています。
このように、使える特例が増えるほど「一度の申請でできること」が広がります。まずは自分の院が2つの特例(インボイス・賃金引上げ)に当てはまるかを確認してみましょう。
予約システムやホームページ以外にも、施術機器の導入や省力化ツールの導入など、やりたいことによっては別の補助金のほうが多くもらえるケースもあります。この補助金だけで足りないと感じたら、他に使える補助金がないか探してみるのも有益です。
あなたの院で使える補助金は、これだけではないかもしれません。 → 他に使える補助金を無料で診断する
第20回のスケジュール(申請受付開始・締切)
第20回の申請受付は2026年11月5日(木)に始まり、申請締切は2026年12月15日(火)17:00です。受付開始日と締切日を取り違えないよう、まずこの2つの日付を押さえておきましょう。採択発表は2027年3月頃、事業の実施期間は交付決定日から2028年3月31日までが予定されています。
図: 申請から着金までのスケジュール。11/5と12/15の違いもあわせて確認できます
補助金は、経費を立て替えて支払った後に交付される「精算払い」です。着金は実績報告のあとになるため、予約システムやホームページの制作費、施術機器の導入費などはいったん自己資金や借入で用意しておく必要があります。着金までの資金繰りに不安がある場合は、早い段階で金融機関や商工会議所・商工会に相談しておくと安心です。
承認までの重要なタイミングと必要書類
「何が必要か」よりも「いつ何が必要か」を押さえるほうが、準備のスケジュールを組みやすくなります。着金までの主なタイミングと、その時点で必要になる書類は次のとおりです。
| タイミング | やること | 必要になるもの |
|---|---|---|
| 〜2026年12月4日(金) | 商工会議所・商工会に相談し「事業支援計画書(様式4)」を発行してもらう | 経営計画書・補助事業計画書の下書き(相談時に使う) |
| 〜2026年12月15日(火)17:00 | 電子申請(GビズIDが必要) | 経営計画書、補助事業計画書、見積書、事業支援計画書(様式4) |
| 2027年3月頃 | 採択発表 → 交付決定 | ― |
| 交付決定日〜2028年3月31日 | 事業実施(発注・制作・支払い) | 契約書・請求書・領収書などを保管 |
| 事業終了後 | 実績報告 → 補助金の入金 | 実績報告書、支払いを証明する証憑(領収書・振込明細など) |
図: いつ・何が必要になるか。様式4の発行締切(12/4)は申請締切より前の“隠れ期限”です
特に注意したいのが、**事業支援計画書(様式4)の発行締切が申請締切の11日前=2026年12月4日(金)**にあること。発行には商工会議所・商工会での相談・手続きが必要なため、申請締切ぎりぎりに動き始めると間に合わない可能性があります。施術の合間で時間を確保しづらい方こそ、逆算して早めに窓口へ相談しておきましょう。
「うちみたいな個人院でも対象?」
整体院・治療院・接骨院は、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の区分にあたります。従業員要件は次のとおりです。
- 整体・治療院・接骨院(商業・サービス業):「常時使用する従業員」5人以下
- 宿泊業・娯楽業、製造業その他:従業員20人以下
ポイントは、パートやアルバイトを全員数えるわけではないことです。この「常時使用する従業員」には、次の人は含めません。
- 事業主本人(個人事業主)・会社役員
- 同居の親族従業員
- 通常の従業員より勤務時間が短いパート・アルバイト(=短時間労働者)
- 日雇い、2か月以内の短期雇用、季節的な短期雇用の人
これを自分の院に当てはめて数えてみましょう。
例:院長本人+受付を手伝う短時間パート1人の整体院(院長は個人事業主) → 院長本人は数に入りません。短時間の受付パートも「常時使用する従業員」に含まれません。数えるのは実質0人。5人以下なので、対象になります。
例:柔道整復師2人+受付事務1人の接骨院(法人) → 代表者を除く施術者2人と受付事務1人を合わせて3人。5人以下に収まるため、対象になります。
例:常勤の施術者3人+出張施術で業務委託契約の施術者を随時活用するサロン系治療院 → 数えるのは常勤の施術者3人。業務委託(雇用契約を結んでいない働き方)は雇用関係にないため、「常時使用する従業員」には含まれない見込みです。単発で来てもらうスポットワーカー(タイミー等)を施術補助やスタッフとして活用している場合も、日雇い的な働き方であれば同様に含まれない可能性が高いですが、この扱いを明記した公式資料は確認できていないため、該当する場合は商工会議所・商工会に個別に確認しておくと確実です。この院も3人=対象です。
院長本人・家族・短時間パートを除くと、思っているより人数は少なくなり、多くの個人経営の整体院・治療院・接骨院が対象になります。ただし雇用形態の判断は個別事情で変わることがあるため、業務委託やスポットワークの扱いを含め、迷う場合は商工会議所・商工会や公募要領で確認しておくと確実です。
商工会議所・商工会への相談は必須?
持続化補助金の申請には、商工会議所・商工会の支援を受けて事業計画を作成するプロセスが組み込まれています。事業所の所在地が「商工会議所地区」か「商工会地区」かによって相談窓口が異なり、同一事業者が両方に申請することはできません。まずは自分の院がどちらの地区にあたるかを確認しましょう。
相談枠は申請締切が近づくほど混み合いやすくなります。事業支援計画書(様式4)の発行にも時間がかかるため、公募が始まったらできるだけ早いタイミングで相談の予約を取っておくことをおすすめします。
よくある質問
締切は2026年11月5日ですか?
いいえ。2026年11月5日は申請受付の開始日です。第20回の申請締切は2026年12月15日(火)17:00です。あわせて、事業支援計画書(様式4)の発行締切(2026年12月4日)にも注意してください。
補助上限は本当に250万円ですか?
250万円は、基本額50万円にインボイス特例・賃金引上げ特例を両方併用した場合の最大額です。特例を使わない場合の基本上限は50万円で、無条件で250万円がもらえるわけではありません。
従業員が5人を超える整体院・治療院は対象外ですか?
整体・治療院・接骨院は商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の区分にあたり、従業員5人以下が対象要件です。宿泊業・娯楽業は20人以下が要件になります。該当するか判断に迷う場合は商工会議所・商工会にご確認ください。
商工会議所と商工会、どちらに相談すればいいですか?
事業所の所在地によって決まります。所在地が「商工会議所地区」か「商工会地区」かで窓口が異なり、両方に申請することはできません。まずは自分の院がどちらの地区にあたるかを確認しましょう。
※補助上限額・補助率・締切などの制度内容は、公募要領の改定により変更される場合があります。申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
出典(一次情報): 中小企業庁 第20回公募要領公開告知/中小企業庁 小規模事業者持続化補助金について/商工会議所地区 公式サイト/中小機構 補助金活用ナビ
採択される事業計画書には“書き方の型”があります
同じ投資内容でも、事業計画書の書き方ひとつで採択・不採択は変わります。審査で見られるポイントや、そのまま使える記入例は、一般には出回っていません。
\プロだけが知る申請のコツはコチラから/
この補助金の概要(早見表)
| 検索項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 小規模事業者持続化補助金(第20回・一般型/通常枠) |
| 対象業種 | 全業種(整体院・治療院・接骨院=「その他のサービス業」も対象) |
| 利用目的 | 設備整備・IT導入をしたい/販路拡大・海外展開をしたい |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 5人以下(宿泊業・娯楽業・製造業その他は20人以下) |
| 補助上限額 | 最大250万円(基本50万円+特例加算) |
| 補助率 | 2/3(賃金引上げ特例利用の赤字事業者は3/4) |
| 申請受付 | 2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00 |
| 公式サイト | 小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠> 公式ポータル |
※この表の項目(対象業種・利用目的・対象地域・従業員数)は、GRANTOSの補助金診断の検索軸に対応しています。

