2026年度、住宅のリフォームに使える国の補助金は「住宅省エネ2026キャンペーン」という枠組みのもとに3つの事業(みらいエコ住宅2026・先進的窓リノベ2026・給湯省エネ2026)がまとまっており、上限は最大100万円/戸(みらいエコ住宅・窓リノベ)です。 工事内容に応じて複数を組み合わせて使うことができます。
リフォームの補助金が分かりにくいと感じる最大の理由は、「窓の工事」「断熱の工事」「給湯器の工事」でそれぞれ管轄する事業が違うことにあります。1つの工事にまとめて申請できる単純な制度ではなく、工事内容ごとに対象になる事業を選ぶ必要があります。
この記事では、断熱改修から給湯器交換まで、リフォームで使える国の3事業を整理し、東京都の上乗せ制度を実例として紹介しながら、実際にいくらもらえるのかを試算します。リフォームの補助金は、契約前・着工前に手続きが必要になるものがほとんどなので、そのタイミングも時系列でまとめました。
リフォームの補助金の全体像
住宅のリフォームで使える補助金は、次の3層で考えると整理しやすくなります。
- 国の制度(住宅省エネ2026キャンペーン):断熱改修・窓改修・給湯器交換をカバーする3つの事業の総称です。全国どこでも使えます
- 都道府県の上乗せ制度:東京都のように、国の補助にさらに上乗せする制度を用意している自治体があります
- 市区町村の制度:市区町村単位で独自のリフォーム補助を実施している例もあります
まずは国の3事業を、工事内容別に見ていきます。
【国の制度】みらいエコ住宅2026事業(断熱・省エネ改修全般)
みらいエコ住宅2026事業は、前年度の「子育てエコホーム支援事業」の後継にあたる事業です。名称が変わっているため、前年度の制度名で検索して出てくる要件は、そのまま2026年度に当てはまらない場合があります。
対象者
リフォームについては、全世帯が対象です(新築の一部区分では若者夫婦世帯・子育て世帯限定の枠がありますが、リフォームは世帯要件がありません)。対象住宅は平成28年12月31日以前に新築された住宅です。
対象工事
- 開口部(窓・ドア)の断熱改修
- 躯体(外壁・屋根・天井・床)の断熱改修
- 特定のエコ住宅設備の設置
- 子育て・防災・バリアフリー改修など、合計8種類の工事区分
このうち「外皮に面する開口部を有する1つの居室」を、一定の断熱基準まで引き上げる工事(要件化工事)が必須で、それ以外の対象工事を組み合わせて補助額が積算されます。
補助額
住宅の建築年と、目指す断熱性能の水準によって上限額が変わります。
| 住宅の建築年 | 義務基準まで引き上げ | 次世代省エネ基準まで引き上げ |
|---|---|---|
| 平成3年以前 | 100万円/戸 | 50万円/戸 |
| 平成4年〜28年 | 80万円/戸 | 40万円/戸 |
古い住宅ほど、断熱性能を大きく引き上げる工事をするほど、補助上限が高くなる設計です。
「義務基準」「次世代省エネ基準」とは何か
早見表・補助額の表に出てくる「義務基準」「次世代省エネ基準」は、国が定める住宅の断熱性能・省エネ性能の水準を指す用語です。みらいエコ住宅2026事業の公式資料では、次世代省エネ基準への引き上げは「断熱等性能等級4、一次エネルギー消費量等級4に相当する水準」とされています。義務基準はこれより一段階手前の水準にあたります。読者が自分でこの等級を判定するのは難しいため、「うちの家は今どの等級で、工事後にどの等級まで上がるか」を施工業者・みらいエコ住宅事業者に確認してから補助額を試算するのが実務的な進め方です。
対象製品・工事の性能要件は登録リストで確認する
断熱改修に使う窓・断熱材等の製品も、給湯器と同じくメーカーが対象製品として事務局に登録を申請し、性能基準を満たすことが確認された製品だけが補助対象になります。カタログの断熱性能表示だけでは対象かどうか自己判断できないため、必ずみらいエコ住宅事業者に登録製品かどうかを確認してください。
- 補助金を扱えるのは、「みらいエコ住宅事業者」として事前登録を済ませた施工業者だけです。契約前に登録事業者かどうかを確認する必要があります
- 使用する断熱材・窓・ドア等の製品が対象製品として登録されているかどうかも、あわせて確認が必要です
- 対象工事は最終的に「性能証明書」等の書類で確認されるため、施工業者が発行する書類を必ず保管しておいてください
申請タイミング
- 着工期間:2025年11月28日〜2026年12月31日
- 申請予約:2026年11月16日まで
- 交付申請:2026年12月31日まで
工事請負契約より前に着手した工事は対象外になります。見積りだけを取る段階では問題ありませんが、契約前に着工しないよう注意してください。
【国の制度】先進的窓リノベ2026事業(窓の断熱改修)
窓・ドアの断熱改修だけに特化した事業です。みらいエコ住宅2026事業と重複して申請することはできないため、窓の改修だけを行う場合はこちらを、複数の断熱改修を組み合わせる場合はみらいエコ住宅2026事業を選ぶことになります。
対象工事
- ガラス交換(既存窓のガラスのみ交換)
- 内窓設置(既存窓の内側に新規設置)
- 外窓交換(カバー工法・はつり工法)
- ドア交換(カバー工法・はつり工法)
補助額
補助額は対象製品の性能・サイズ・建物の建て方によって変動し、1戸あたりの上限は100万円です(240㎡超の非住宅建築物は1棟あたり1,000万円)。1申請あたりの補助額合計が5万円以上であることが条件です。
対象要件
- 建築から1年以上経過した既存住宅、または過去に居住された住宅
- 戸建住宅・集合住宅(低層・中高層)が対象
- 窓リノベ事業者(登録施工業者)との工事請負契約が必須
対象製品の確認は「性能証明書」で行う
先進的窓リノベ2026事業では、メーカーが登録を申請し、事務局が一定の性能を満たすと確認した製品だけが「対象製品」として扱われます。対象製品には、製品の性能・サイズが記載された性能証明書がメーカーから発行される仕組みになっており、この証明書が申請時の根拠書類になります。
- 型番だけでは自己判断が難しいため、契約前に「この製品の性能証明書は発行されますか」と施工業者に確認してください
- 施工業者側も「窓リノベ事業者」として事務局への事業者登録が必要です。登録は、住宅省エネ2026キャンペーンの住宅省エネ支援事業者としての登録に加え、窓リノベ事業への参加を申告することで完了します
- 登録のない事業者と契約すると、対象製品を使っていても補助金は使えません
申請タイミング
- 着手期間:2025年11月28日〜遅くとも2026年12月31日
- 工事請負契約以前に着手した工事は対象外
- 申請手続きは登録事業者(窓リノベ事業者)が行い、住宅所有者が直接申請することはできません
みらいエコ住宅2026事業との違い
窓だけを改修するなら先進的窓リノベ2026事業、外壁・屋根・床など複数の断熱改修を組み合わせるならみらいエコ住宅2026事業、という使い分けが基本です。同じ窓に対して両方の事業へ重複して申請することはできないため、リフォーム全体の計画を立てる段階で、どちらの事業を軸にするかを決めておく必要があります。窓の改修を含む複数箇所の断熱改修を検討している場合は、施工業者に両方の試算を出してもらい、補助額の合計が大きくなるほうを選ぶのが実務的な進め方です。
【国の制度】給湯省エネ2026事業(給湯器の交換)
リフォームで給湯器(エコキュート・ハイブリッド給湯機・エネファーム)を交換する場合は、この事業が対象になります。
| 機種 | 基本額 | 性能加算 | 撤去加算 |
|---|---|---|---|
| エコキュート | 7万円/台 | 3万円/台 | 電気温水器2万円/台、電気蓄熱暖房機4万円/台 |
| ハイブリッド給湯機 | 10万円/台 | 2万円/台 | 同上 |
| エネファーム | 17万円/台 | なし | 同上 |
申請の受付は2026年3月31日から始まり、予算上限に達し次第終了します(遅くとも2026年12月31日まで)。給湯器の設置着手日より前に契約を済ませておく必要があります。
給湯器も断熱改修と同様に、メーカーが登録した「対象製品」だけが補助対象です。エコキュートの性能加算(3万円/台)は、2025年度目標基準値に0.2を加えた値以上の性能を持つ機種が対象になります。対象製品かどうかは、公式サイトの「補助対象製品の登録」ページ(給湯省エネ2026事業「補助対象製品の登録」)でメーカー・型番から検索できます。給湯器を扱う施工業者にも事前の事業者登録が必要です。
都道府県・市区町村の上乗せ(東京都の例)
東京都は、国の3事業に加えて、独自のリフォーム関連補助を複数用意しています。窓口は公益財団法人東京都環境公社が運営する「クール・ネット東京」です。
令和8年度「既存住宅における省エネ改修促進事業」(窓・ドア・断熱材・浴槽)
| 工事内容 | 単価(グレードPの例) |
|---|---|
| 内窓設置 | 46,000円〜133,000円/か所(窓面積による) |
| 外窓交換 | 109,000円〜277,000円/か所 |
| ガラス交換 | 11,000円〜69,000円/枚 |
| ドア交換 | 220,000円/枚 |
- 戸建住宅の上限は200万円/戸(防犯窓を併用する場合は300万円/戸)
- 集合住宅の管理組合(50戸以上の改修)は240万円×改修戸数
- 令和8年4月1日以降に設置した工事が対象
- 事前申込みの受付後に契約・工事を行うことが条件で、事前申込みから交付申請まで1年以内に完了させる必要があります
令和8年度「熱と電気の有効利用促進事業」(給湯器)
エコキュート・ハイブリッド給湯機に対する都独自の上乗せです。太陽光連動機能付きの機種で基本額14万円/台、再エネ電力契約で5万円/台、DR実証参加で8万円/台などの加算があります。
東京都以外にお住まいの方も、同様の上乗せ制度がある可能性があります。 お住まいの都道府県・市区町村の公式サイトで確認してください。
いくらもらえるか(試算)
ケース1: 築30年の戸建て・窓と給湯器を同時にリフォーム(東京都外)
- 先進的窓リノベ2026事業で内窓設置:仮に20万円
- 給湯省エネ2026事業でエコキュート交換(性能加算・撤去加算あり):14万円
- 合計で34万円程度(工事内容により変動)
ケース2: 平成2年築の戸建て・断熱性能を義務基準まで引き上げ(東京都内)
- みらいエコ住宅2026事業(平成3年以前・義務基準):上限100万円
- 東京都「既存住宅における省エネ改修促進事業」を窓工事に併用:上限200万円(実際の受給額は工事費用の実額が上限)
- 組み合わせにより、窓周りだけで100万円を超える補助が見込めるケースもあります
ケース3: マンションの管理組合が共用部の窓を一括改修(東京都内)
- 東京都「既存住宅における省エネ改修促進事業」の管理組合向け枠(50戸以上):240万円×改修戸数
- 大規模修繕のタイミングに合わせて申請する管理組合が多い制度です
ケース4: 築40年の戸建てで断熱改修と給湯器交換を同時に実施(東京都外)
- みらいエコ住宅2026事業(平成3年以前・次世代省エネ基準):上限50万円
- 給湯省エネ2026事業でエコキュートに交換(性能加算あり):10万円
- 合計で60万円程度(工事内容・住宅の現況により変動)
リフォーム計画の立て方(補助金を前提にする場合)
複数の事業をまたいで申請することになるリフォームは、工事の順番や事業者選びを最初に整理しておくと、あとの手続きがスムーズになります。
- やりたい工事をリストアップする:窓・外壁・給湯器など、どこを改修したいかを洗い出します
- 対象になる事業を工事ごとに確認する:窓ならみらいエコ住宅2026事業か先進的窓リノベ2026事業のどちらか、給湯器なら給湯省エネ2026事業、というように振り分けます
- 登録事業者を選ぶ:複数の事業に対応できる施工業者であれば、窓口を一本化できます
- 契約前に補助額の見積りを確認する:どの事業を使うと合計の補助額が最大になるか、施工業者と一緒に試算します
- 契約・着工:ここで初めて工事に着手します
併用できるか
- みらいエコ住宅2026事業と先進的窓リノベ2026事業は、同一の窓に対して重複申請できません。 どちらか一方を選ぶ必要があります
- 給湯省エネ2026事業は、上記2つの断熱改修事業と別枠で併用できます(対象が給湯器と断熱改修で異なるため)
- 国の制度と都道府県・市区町村の上乗せ制度は、多くの場合併用可能です。ただし同一経費への二重受給はできず、交付決定通知書の提出を求められることがあります
申請の流れ(共通)
- 登録事業者を探す:みらいエコ住宅・窓リノベ・給湯省エネのいずれも、事前登録した施工業者を通じて手続きします
- 見積り・契約:契約前の着工は対象外になるため、必ず契約後に工事を始めます
- 工事の着手:契約後、実際の工事を行います
- 予約・交付申請(事業者が実施):工事完了後、事業者が手続きを行います
- 補助金の還元:工事代金への充当、または後日の現金還元というかたちで消費者に渡ります
注意点(対象外になるケース)
- 契約前に工事を始めた場合:どの制度も、契約前の着工は対象外です
- みらいエコ住宅と窓リノベを同じ窓に重複申請した場合:どちらか一方しか使えません
- 予算上限に達した場合:各事業とも予算の範囲内で運用されており、必ずもらえるものではありません。申請が集中すると想定より早く受付が終了することがあります。予算総額は、みらいエコ住宅2026事業が新築・リフォーム合わせて2,500億円(うちリフォーム分は300億円)、先進的窓リノベ2026事業が1,125億円、給湯省エネ2026事業が570億円と公表されています
予算の執行状況は公式サイトで確認できる
先進的窓リノベ2026事業は、公式サイトに予算に対する申請額の割合(執行率)を示すページがあります。2026年9月5日0時時点で執行率は約21%と公表されています(先進的窓リノベ2026事業「予算に対する補助金申請額の割合」)。この執行率は日々更新されるため、リフォームを検討し始めた段階で一度確認しておくと、「まだ予算に余裕があるか」の目安になります。
- 登録事業者以外に依頼した場合:補助金を扱えるのは登録事業者のみです
お住まいの自治体で探す方法
この記事で紹介した東京都の上乗せ制度は一例です。全国の自治体を網羅しているわけではないため、お住まいの地域の制度は次の方法で確認してください。
- お住まいの市区町村の公式サイトで「リフォーム 補助金」を検索する
- 都道府県の住宅部局・環境部局のページを確認する
- リフォームを依頼する施工業者に相談する(登録事業者は自治体の補助制度に詳しいことが多いです)
よくある質問
みらいエコ住宅2026事業と先進的窓リノベ2026事業、どちらを使えばいいですか?
窓の改修だけを行うなら先進的窓リノベ2026事業のほうが上限額に達しやすい設計です。外壁・床など断熱改修を複数組み合わせる場合は、みらいエコ住宅2026事業のほうが対象工事の幅が広くなります。どちらも施工業者に相談して試算してもらうのが確実です。
前年度の「子育てエコホーム支援事業」とは何が違いますか?
制度の名称が「みらいエコ住宅2026事業」に変わっています。前年度は子育て世帯・若者夫婦世帯に手厚い設計でしたが、2026年度のリフォームについては全世帯が対象になっています。旧名称のままの情報は当てはまらない場合があるため、必ず最新の公式情報で確認してください。
個人で直接申請できますか?
いいえ。いずれの事業も、申請の手続きは登録事業者が代行するしくみです。個人が国や自治体に直接書類を提出するわけではありません。
賃貸住宅でもリフォームの補助金は使えますか?
賃貸住宅の場合、工事を発注する立場(オーナー等)が申請者になります。入居者が単独で利用できる制度ではありません。
予算がなくなったらどうなりますか?
各事業とも、予算の上限(100%)に達した時点で交付申請の受付を終了します。年度の途中で締め切られることがあるため、リフォームを検討している場合は早めに施工業者へ相談することをおすすめします。
窓と給湯器、両方を同時にリフォームする場合はどう申請しますか?
窓は先進的窓リノベ2026事業(またはみらいエコ住宅2026事業)、給湯器は給湯省エネ2026事業と、それぞれ別の事業に申請します。同じ施工業者がどちらの事業にも登録されていれば、窓口を一本化できます。
複数の事業のうち、どれを選べば補助額が最大になりますか?
工事内容・住宅の現況によって最適な組み合わせが変わります。窓の改修だけなら先進的窓リノベ2026事業のほうが上限に達しやすい設計です。断熱改修を複数組み合わせるならみらいエコ住宅2026事業のほうが対象工事の幅が広くなります。施工業者に両方の試算を出してもらい比較することをおすすめします。
