国立公園や国定公園の荒れた登山道を直す費用の半分を、環境省が補助します。近自然工法(自然に近い素材で道を補修する工法)による補修や、周辺の植生の復元が対象です。木道や橋梁など、工作物の整備は対象外なので、事業計画をその線で分けられるかが最初の分かれ目です。
山岳等受入環境改善等事業費補助金の要点まとめ
正式名:山岳等受入環境改善等事業費補助金
だれが
- 申請者
- 民間企業・NPO・自治体・観光協会・承認を受けた協議会
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 登山道の保全対策、周辺植生の復元、自然環境調査
- 対象地域
- 全国(国立公園・国定公園の中)
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 公式に上限額の記載なし(基準額は環境大臣が認めた額)
- 補助率
- 対象経費の1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年7月7日〜2026年10月30日(二次公募)
- 事業の完了
- 令和8年度内
自分の団体は対象になる?
事業者の種類と、事業の内容の両方に条件があります。次の項目にすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどちらかに当たると対象外です。
- ✕ 木道・橋梁など工作物の整備
- ✕ 要件の一覧にない個人
事業者の要件は、次の7種類です。民間企業、一般社団法人・一般財団法人と公益社団法人・公益財団法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、都道府県・市町村・特別区・地方公共団体の組合、地方公共団体の観光協会と広域観光推進機構、法律で直接設立された法人、民間企業等で構成する協議会などです。協議会など最後の区分は、環境大臣の承認が要ります。
協議会には条件があります。会長が国の機関や職員ではないこと、意思決定や会計の方法を定めた規約があることです。
「歩道事業の執行者か、協定の相手」とは、実施要領の採択の要件にある言い方です。自然公園法第10条第2項に基づく歩道(登山道)の事業を執行しているか、その事業の執行者と維持管理の協定などを結んでいることを指します。事業計画書には、公園事業執行者の名前と、維持管理の協定先の有無を書く欄があります。自社が当てはまるかは、現地の事務所への事前相談で確かめます。
いくら補助される?
次の2つを比べて、少ないほうの1/2です。
- 総事業費から寄付金などの収入を引いた額
- 補助対象経費の支出予定額と基準額を比べて、少ないほうの額(要綱では選定額)
基準額は「環境大臣が必要と認めた額」で、公式ページに上限の金額は載っていません。1,000円未満は切り捨てます。補助対象経費に含まれる消費税のうち、仕入れ分として控除できる金額が明らかなときは、その分を補助額から引きます。
次の数字は、仕組みを確かめるための仮の事業費です。総事業費の全額が補助対象経費で、基準額も事業費を下回らない前提で計算します。
- 総事業費400万円 × 1/2 = 200万円
- 総事業費400万円、寄付金100万円なら、(400万円 − 100万円) × 1/2 = 150万円
自治体からの補助金や交付金は、引く収入に入れません。総事業費400万円に、市の補助金が100万円あっても、計算上は400万円 × 1/2 = 200万円です。
基準額で補助額が頭打ちになるかは、事前相談で確かめてください。要領や要綱に、金額の目安は書かれていません。
何に使える?
対象にならないもの
- 木道、橋梁などの工作物の整備
- 国立・国定公園の外の登山道
対象になるもの
- 荒廃した登山道区間の補修(近自然工法など)
- 周辺植生の復元や保全
- 地道(土の道)の路体維持、荒廃の防止
- 利用実態や荒廃状況を調べる自然環境調査
対象経費は、本工事費、付帯工事費、機械器具費、測量及試験費、事務費などです。環境大臣が承認した経費に限ります。事業の一部は、ほかの者に委託して進められます。
申請の流れ
- 環境省の事務所へ事前相談を連絡する(事業者→管轄の自然保護官事務所・管理官事務所。具体的な事業計画を持って)
- 交付申請書を書く(事業者。押印は不要。様式は環境省の案内ページにある)
- 国立公園課へ送る(事業者→環境省 自然環境局 国立公園課。10月30日まで)
- 審査を受けて交付決定を待つ(環境省→事業者。原則、月ごとに取りまとめて審査)
- 年度内に事業を終える(事業者。遅れそうなら早めに報告書を出す)
- 実績報告を出す(事業者→環境大臣。完了から30日後か翌年度の4月10日の早い日まで)
メールで送るときの件名は「令和8年度山岳等受入環境改善等事業応募書類」です。書面なら、郵送か持参で1部出します。
標準の処理期間は、申請書の到達から原則2か月以内です。補助金は、額が確定してから支払われます。
必要な書類
準備できた 0 / 6
様式は、案内ページの「交付申請様式等」(Word)にまとまっています。申請書には、責任者と担当者の氏名・連絡先も書きます。位置図と補足資料は、補助の対象にする区域の位置と事業内容の詳細が分かるものです。設計図などの出来高が分かる資料も付けます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 予算の上限に達した:公募期間の中でも、予算の上限に達するとそれ以降の受付は終わります。
- 工作物を事業に含めた:木道や橋梁の整備は対象外です。計画を分けて申請します。
- 補助金を目的外に使った:交付決定が取り消され、返還と、年10.95%の加算金を求められます。
- 事前相談を飛ばした:実施要領は、応募の前に事務所へ相談することを定めています。
単価50万円以上の機械器具などは、取得後も処分に環境大臣の承認が要ります。
よくある質問
民間企業や個人でも申請できますか?
民間企業は申請できます。ほかに、一般社団法人・一般財団法人、公益社団法人・公益財団法人、NPO法人、都道府県・市町村、観光協会、民間企業等で構成する協議会なども対象です。協議会など最後の区分は、環境大臣の承認が要ります。個人は、事業者の要件の一覧に載っていません。ただし、登山道を管理している事業者であること、または事業者と維持管理の協定を結んでいることが別の条件です。協議会は、運営の規約が必要です。
補助率と上限額はいくらですか?
補助率は1/2です。総事業費から寄付金などの収入を引いた額と、補助対象経費の支出予定額と基準額を比べた少ないほうの額を比べ、さらに少ないほうが対象です。基準額は環境大臣が必要と認めた額で、公式ページや要綱に、上限の金額は載っていません。金額の見通しは、事前相談のときに現地の事務所と国立公園課へ確かめてください。1,000円未満は切り捨てです。
木道を直す工事は対象になりますか?
対象になりません。木道や橋梁などの工作物の整備は、この補助事業の対象外と明記されています。対象になるのは、既存施設の機能改善、地道の路体維持、荒廃の防止、周辺植生の保全に関わる内容です。木道の補修と登山道の補修が一つの計画に混ざる場合は、事前相談で、補助の対象になる部分を整理しておくと安心です。
受付はいつまでですか?
令和8年度の二次公募は、2026年7月7日から10月30日までです。原則として、月単位で応募案件を取りまとめて、審査と採択を行います。ただし、補助金の予算の上限に達すると分かった時点で、それ以降の受付は終わります。期間の途中でも打ち切られることがあるため、申請の準備ができたら、早めに事前相談を始めると安心です。
事前相談は必ず必要ですか?
必要です。実施要領に、応募の前に、その国立公園を所管する環境省の自然保護官事務所・管理官事務所へ連絡して、具体的な事業計画で相談することが定められています。工作物を設置するかどうかにかかわらず、すべての応募が対象です。事前相談の段階で、対象になる工事の範囲や、協定の有無も確かめられます。
申請はどこへ、どう出しますか?
環境省 自然環境局 国立公園課へ、電子メールか書面で出します。メールの宛先は shizen-kouen@env.go.jp で、件名は「令和8年度山岳等受入環境改善等事業応募書類」です。書面は、郵送か持参で1部です。押印は不要です。交付申請書は、環境省の案内ページにある様式を使います。わからない点は、直通電話03-5521-8278で聞けます。
委託して工事を進めてもよいですか?
進められます。補助事業の一部は、ほかの者に委託して実施できます。申請者が補助事業者となり、維持管理も申請者の責任です。補助事業者は、適切な維持管理を行う必要があります。登山道の工事は専門の業者に頼む場合も多いので、委託先と役割を事前相談で伝えておくと、審査での確認がしやすくなります。
自治体の補助金と併用できますか?
実施要領には、地方公共団体の補助金や交付金を、補助額の計算で引く収入にしないと書かれています。市町村の補助金を受けていても、その分は差し引かれません。同じ経費にあてられるかなど、個別の扱いは書かれていないので、国立公園課へ確かめてください。
事業はいつまでに終わらせますか?
令和8年度のうちに終わらせます。補助事業は、その年度内に完了するのが原則です。やむを得ず間に合わない見込みになったら、年度の3月10日までに、繰越の報告書を環境大臣に出して指示を受けます。完了後は、完了から30日たった日か翌年度の4月10日の、早いほうまでに、実績報告書を出します。
補助金はいつ支払われますか?
実績報告のあと、補助金の額が確定してから支払われます。事業者が先に工事の費用を立て替える形です。真に必要と認められる経費だけは、概算払い(先に概算で受け取る方法)もできます。工事の費用を立て替える資金繰りを、事前に考えておくと安心です。交付決定の前に着手してよいかは、要綱に書かれていないので、事前相談のときに確かめてください。
問い合わせ先はどこですか?
環境省 自然環境局 国立公園課です。直通電話は03-5521-8278、メールは shizen-kouen@env.go.jp です。事業を予定している公園の事前相談は、その公園を所管する自然保護官事務所・管理官事務所が窓口です。対象になる工事の範囲や、歩道事業との関係のように、判断が分かれやすい点は、申請の前に連絡して確かめておくと安心です。
