トラックを買う費用に出る補助は、国にも都道府県にもあります。ただし出るのは新車の一部の車種と、電動車や燃費基準を満たした車に限られます。普通のトラックを買い替えるだけでは出ず、ブレーキの安全装置やテールゲートリフター、運転免許、システムといった周辺の投資に出る補助のほうが数は多くなっています。
主な制度を先に並べます。燃費基準を満たした新車のトラックには、環境省の低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業があり、令和8年度の大型の額は廃車ありで75万円です。EV・PHEV・燃料電池のトラックには商用車等の電動化促進事業、ハイブリッドと天然ガスのトラックにはもう一つ別の事業があります。そのほか都道府県トラック協会を通じた全日本トラック協会の助成と、愛媛県のように車両本体の3分の1を出す県の制度があります。
読者のほとんどは運送事業者か、自社でトラックを使う会社です。この記事で扱う制度は事業で使う人向けで、個人が趣味やレジャーで買う車に出る制度は見つかりませんでした。社用車の乗用車やバン、法人の車両購入については、後半の章でまとめています。
この記事では、先に補助の仕組みと目的別の選び方を整理し、そのあとに代表的な補助金の金額と締切の暦、共通の注意点、全国の一覧を載せました。各制度の細かい条件は制度の記事に進んで確かめてください。
トラックの補助金の概要
トラックの補助金は、何に対して出るかで大きく4つに分かれます。トラックそのものの購入、荷役機器や安全装置、システム、人(免許や採用)です。出す側は国、全日本トラック協会と都道府県トラック協会、都道府県、市区町村、厚生労働省と分かれます。
目的別に見る、どの補助金を選ぶか
読者が知りたいのは「自分の場合はどれか」です。やりたいことから探すと次のとおりです。
| やりたいこと | 候補になる制度 | 窓口 | 対象の目安 |
|---|---|---|---|
| 燃費基準を満たした新車のディーゼルトラックを買う | 低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業 | 環境優良車普及機構 | 中小のトラック運送事業者、リース会社 |
| EV・PHEV・燃料電池のトラックを買う | 商用車等の電動化促進事業、各都道府県の独自の補助 | 環境優良車普及機構、都道府県 | 運送事業者、自家用で2.5トン超を使う事業者 |
| ハイブリッド・天然ガスのトラックを買う | ハイブリッド及び天然ガストラック・バス導入支援事業 | 北海道環境財団 | トラックを事業に使う者、リース会社 |
| 環境対応車(低公害車)を買う | 環境対応車導入促進助成事業 | 都道府県トラック協会 | 協会の会員事業者 |
| 安全装置・点呼機器・空調機器を入れる | 全日本トラック協会の助成、事故防止対策支援推進事業 | トラック協会、日本自動車輸送技術協会 | 会員事業者、運送事業者 |
| テールゲートリフターやダブル連結トラックを入れる | 中小物流事業者の労働生産性向上事業、都道府県の補助 | 日本能率協会コンサルティング、県 | 中小のトラック運送事業者 |
| 運転免許の費用を補助してほしい | 若年ドライバー等確保のための運転免許取得支援助成事業、県の免許補助 | トラック協会、県 | 協会の会員事業者、県内の運送事業者 |
| 燃料の高騰で資金が苦しい | 市町村の支援金、燃料費対策特別融資 | 市町村、トラック協会 | 市内・県内に営業所のある運送事業者 |
| 賃上げと合わせて車や設備を買う | 業務改善助成金 | 労働局 | 賃金を引き上げる中小企業 |
この表で「窓口」が違うことを押さえてください。国の補助はどれも、公募した団体が決まっていて、申請先も申請の方法もばらばらです。1か所に書類を出せば全部そろう仕組みはありません。
国の補助は車両本体にも出る
上位の記事の中には「トラックの車両本体は補助金の対象外」と書いているものがあります。実際には、国の制度でも車両本体が対象のものがあります。
環境優良車普及機構の公式ページには、低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業の対象として、車両総重量3.5トン超で、令和8年4月1日から令和9年1月29日までに新車新規登録された事業用トラックが出ています。電動化促進事業も、EV・PHEV・燃料電池のトラックと、一体で導入する充電設備を対象にしています。
車両本体に出る場合でも、条件は絞られます。次のような線引きが多くあります。
- 新車であること(中古は対象外のものがほとんど)
- 燃費基準を達成した車、電動車など、車の種類が決まっていること
- 事業用ナンバー(緑ナンバー)か、自家用の商用車か、制度ごとに決まっていること
- 申請する会社の規模や、導入計画の有無
「車両本体は対象外」と言い切れるのは、一部の制度についてだけです。自分が買う車がどの制度の対象車に入るかは、販売店に聞くか、制度の対象車一覧で確かめます。
低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業
最も多くの事業者に関係するのは、この制度です。令和8年度の内容は、環境優良車普及機構の事業概要に次のように書かれています。
- 対象者は、トラック運送事業者(資本金3億円または従業員数300人以下の中小事業者)と、その事業者に車両を貸すリース事業者です
- 対象車は、車両総重量3.5トン超の事業用車両(緑ナンバー)で、令和8年4月1日から令和9年1月29日までに新車新規登録されたものです
- 自動車検査証の備考欄に「令和7年度燃費基準達成車」か「令和7年度燃費基準105%達成車」と記載がある車が対象です(「95%達成車」は対象外です)
- 1事業者につき4台までです
- 受付期間は令和8年6月8日から令和9年1月29日(消印有効)までです
額は車の大きさと、古いトラックを廃車(スクラップ)にするかどうかで決まります。
| 車型区分(車両総重量) | 廃車あり | 廃車なし |
|---|---|---|
| 大型(12トン超) | 75万円 | 50万円 |
| 中型(7.5トン超〜12トン以下) | 42万円 | 28万円 |
| 小型(3.5トン超〜7.5トン以下) | 15万円 | 10万円 |
燃費基準の105%を達成した車は、この額に5万円が加わります。廃車ありの場合に対象になる古い車は、平成27年度以前に初度登録された事業用トラックで、一定の期間使われていて車検が有効なものなど、要件があります。詳しくは公募要領で確かめます。
申請は申込順に受け付けられます。予算の残りが2割程度になると受付のやり方が変わり、残額を超えるときは初めて申請する事業者を優先して抽選などを行うと書かれています。制度の細かい点は低炭素型ディーゼルトラック補助金の記事に書いています。
電動化促進事業(EV・PHEV・燃料電池)とハイブリッド・天然ガス
商用車等の電動化促進事業は、環境省を中心に国土交通省と経済産業省が連携する事業です。トラックの窓口は環境優良車普及機構で、令和7年度補正予算の事業としては、令和8年4月24日から令和9年1月15日まで申請を受け付けています。予算は車両と充電設備を合わせて約175億円と書かれています。
申請できる者は、貨物自動車運送事業者のほか、自家用の商用車(トラック等)を業務に使う者で車両総重量2.5トン超のものが含まれます。さらに国の目標に準じた非化石エネルギー自動車の導入計画を作っていることが条件です。運送会社でなくても、自社便のトラックを持つ会社が使える可能性があります。審査は原則として申込順ですが、省エネ法の導入目標をすでに達成している事業者から申請が極端に多いときは、ほかの事業者の申請を優先して審査することがあると書かれています。
車ごとの補助額は、公募要領によると、機構が公表する「補助対象車両一覧」の基準額が上限です。車両の値引きがあると、電気自動車は値引額の3分の2、プラグインハイブリッド自動車は2分の1、燃料電池自動車は4分の3が基準額から引かれます。基準額そのものは、この記事を書くために開いた公式ページには載っていませんでした。商用車の電動化促進事業(トラック)の記事に制度の整理があります。
ハイブリッドと天然ガスのトラックは、環境省の環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業のうち、公益財団法人北海道環境財団が窓口の事業です。令和8年度は7月17日から令和9年1月29日の18時必着で受け付けています。対象の車は、いすゞ自動車と日野自動車が出している補助対象車両一覧に載った車名・型式のものです。購入前に申請する「通常申請」と、購入後に申請する「実績申請」の2つの流れが用意されています。額は公募要領で確かめます。ハイブリッド・天然ガス車導入支援の記事にまとめています。
都道府県の独自の補助もあります。東京都のEVバス・EVトラックの購入補助は東京都の記事、大阪府の物流の脱炭素化(EV・FCトラック)は大阪府の記事に書いています。国の補助との併用ができるかは、県の要綱で確かめます。
全日本トラック協会と都道府県トラック協会の助成
トラックの補助金を探すとき、検索結果の上位に出てくるのが全日本トラック協会(全ト協)のページです。全ト協の助成は、各都道府県トラック協会を通じて行われます。窓口は所属する都道府県トラック協会で、会員事業者が対象です。
令和8年度の助成事業には次のものがあります。
- 環境対応車導入促進助成事業は車両総重量2.5トン超の環境対応車が対象で、令和8年4月1日から令和9年3月12日までに新車新規登録が完了する車です。電気自動車と燃料電池車は、資本金3億円以下か従業員300人以下の中小企業者だけが申請できます
- 安全装置等導入促進助成事業はバックアイカメラなどの後方視野確認支援装置、呼気吹込み式アルコールインターロック、遠隔点呼用の携帯型アルコール検知器は、機器取得価格の2分の1で上限2万円です。側方衝突監視警報装置は1台につき2分の1で上限10万円、トルク・レンチは1事業所1台で2分の1の上限3万円です
- アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業はエアヒータと車載バッテリー式冷房装置が対象で、取得価格の2分の1以内、上限6万円です
- 自動点呼機器導入促進助成事業は国土交通省の認定を受けた機器で、令和8年4月1日以降に契約または利用を始めたものが対象です。上限は10万円で、1協会1事業者につき1台分、Gマーク事業所がある事業者は2台分(上限20万円)です
- 若年ドライバー等確保のための運転免許取得支援助成事業は特例教習の受講、準中型免許の新規取得と5トン限定の解除、外国免許切替講習の受講が対象です
全ト協のページには、各都道府県のトラック協会によって対象の機器や助成額が異なる場合があると書かれています。環境対応車の助成額は、全ト協のページの表が文字として取得できず、この記事では確認できませんでした。所属する協会の要綱を開いて確かめてください。
助成事業のうち令和8年度の自動点呼機器の助成は、助成金の申請額が予定の予算額に達したため令和8年12月18日(地方トラック協会の受付)で受付を終了する旨が、全ト協のページに書かれています。協会の助成も、予算に達すると受付が終わります。
協会に入っていない事業者は、全ト協の助成を受けられません。県の補助には、トラック協会に入っていない事業者も対象にしているものがあり、兵庫県の交通DX等労働生産性向上事業(トラック)がその例です。
荷役機器・ダブル連結・システムの補助
テールゲートリフター、トラック搭載型クレーン、2段積みデッキ、ダブル連結トラックに出る補助があります。国土交通省の「中小物流事業者の労働生産性向上事業(テールゲートリフター等導入等支援)」は、中小のトラック運送事業者とリース事業者が申請できます。システムでは、物流連携最適化システム、業務効率化システム、車両動態管理システム、原価管理システムも対象のメニューに入っています。
この事業の令和7年度補正予算の2次公募は、受付の上限に達したため受付を終了したと執行団体のページに書かれています。申請書類を受理した順に先着で受け付け、予算額に達すると期間内でも締め切る仕組みです。
国土交通省・経済産業省関係の「トラック輸送省エネ化推進事業」は、トラック事業者と荷主が連携して取り組むことを要件に、車両動態管理システムや予約受付システムなどの導入と、ダブル連結トラック・スワップボディコンテナ車両の導入を支援する事業です。公式ページには、令和8年度は4次公募で公募は全て終了し、追加の公募はないと書かれています。この事業は、普通のトラックを1台買い替える補助ではない点にも注意してください。制度の整理はトラック輸送省エネ化推進事業の記事にあります。
兵庫県は、国の重点支援地方交付金を使った「交通DX等労働生産性向上事業(トラック)」を設けています。テールゲートリフターは1台あたり5万円から10万円、ダブル連結トラックは1台あたり400万円を上限に、設備ごとに決めた補助率を掛けた額を補助します。システムは業務効率化が1者12万円、車両動態管理が1台6万円、原価管理が1者3万円を上限にしています。県内に営業所のある一般貨物自動車運送事業者が対象で、申請は兵庫県トラック協会が窓口です。
事故防止対策支援推進事業は、国土交通省が日本自動車輸送技術協会を窓口に、先進安全自動車(ASV)の導入を支援する事業です。令和8年度の申請受付は、令和8年6月30日から令和9年1月29日17時までで、申請総額が予算に達すると期間内でも終わります。事故防止対策支援推進事業の記事も参考になります。
県・市区町村の独自の補助
県や市区町村は、トラックの購入そのものに出す制度と、運転手の確保や燃料高騰の対策に出す制度に分かれます。
愛媛県の「トラック物流効率化等緊急支援事業費補助金」は、車両の購入に出る県の制度です。令和8年度の交付要領では、営業用トラックの車両本体価格(消費税を除く)の3分の1を補助し、上限は大型(10トンクラス)が1台250万円、中型(4トンクラス)が190万円、小型(2トンクラス)が170万円です。申請は1事業者3台までで、中古車とリース車両は対象外です。国などの補助との併用ができ、県の補助と国の補助の合計が車両価格を超えてはならない、と書かれています。事業期間は令和9年2月26日までです。申請の受付期間は令和8年4月1日から4月30日で、予算に余りが出た場合は追加募集を行うことがある、と交付要領に書かれています。
福岡県の「トラック運転手確保対策助成事業」は、職場環境の整備などに出る助成で、補助率は2分の1、上限50万円です。申請先は福岡県トラック協会で、先着順で予算に達すると期間内でも終わります。
運転手確保の助成では、青森県が運転免許の取得費用に出す免許補助金があります。燃料や物価の高騰への支援金は、青森県の運行支援金、福島県郡山市の給付金、秋田県能代市の経営安定化補助金のように、1台あたりの定額で出す制度が目立ちます。熊本県のトラック物流持続的発展支援補助金のような県の制度もあります。額と期間は年度で変わるので、各制度の記事と公式ページで確かめてください。
融資と税金の優遇
補助金のほかに中央近代化基金の「燃料費対策特別融資」があります。ポスト新長期規制適合車か平成28年排出ガス規制適合車で、平成27年度燃費基準を達成した車両の導入と、自家用の燃料供給施設の整備に必要な設備資金に利子補給をする制度です。全ト協の案内では、申込は都道府県トラック協会を通じ、推薦は融資の決定とは別物と書かれています。推薦のあと、取扱いの金融機関が返済の見通しなどを審査して融資の可否を決めます。
自動車を取得するときにかかる自動車税の環境性能割は、経済産業省の資料によると令和8年3月31日をもって廃止されました。令和8年4月以降に取得するトラックには、環境性能割はかかりません。
社用車(乗用車・バン)と法人の車両購入
トラックの補助金は運送事業の車に出る制度が中心で、会社の営業車や送迎用の乗用車、軽バンは対象に入らないものがほとんどです。こうした社用車を法人が買うときは、制度の探し方が変わります。
EVを社用車にする場合は、次世代自動車振興センターのCEV補助金が基本になります。ただし公式ページには、自動車検査証の自家用・事業用別の欄が「事業用」の車両は対象外で、補助金の交付は「自家用」に限ると書かれています。会社の営業車でも、白ナンバーの自家用で登録するなら対象になりえます。緑ナンバーのトラックは、前に書いた電動化促進事業のほうを探します。黒ナンバーの軽貨物車が同じ扱いになるかは、この記事では確認できませんでした。センターに問い合わせてください。
CEV補助金は、国が実施するほかの補助金と重複して申請した車両を対象外にしています。一方地方公共団体の補助とは重複して申請できると書かれています。補助金を受けた車には処分制限期間があり、期間内に売却や廃車をするときは事前に財産処分の承認手続きが要ります。法人名義の申請の書類はCEV補助金は法人名義でも申請できるかの記事にまとめました。軽自動車のEVは軽EVの記事と軽自動車のEV補助金(商用車向け)の記事、中古のEVは中古EVの記事を見てください。
賃上げと一緒に車を買う場合は、厚生労働省の業務改善助成金が候補になります。愛媛労働局の案内によると、令和8年度は、物価高騰等の要件に当てはまる特例事業者の設備投資の拡充分で、定員7人以上または車両本体価格200万円以下の自動車と貨物自動車が助成の対象外になりました。福祉車両などの特殊用途自動車は引き続き対象です。通常分の車両の扱いと申請期間は、都道府県の最低賃金の発効日で変わるため、所在地の労働局で確かめます。制度の詳細は業務改善助成金の記事にあります。
ものづくり補助金や省力化投資補助金のような汎用の補助金で、トラックなどの車両が経費に入るかは、この記事では確認できませんでした。公募要領の補助対象外経費の項目を読むか、事務局に確かめてください。
福祉車両(車いすのまま乗れる車や送迎車)の補助は仕組みが違うので、福祉車両の補助金の記事に分けて書いています。
補助金は重ねて使えるか
重ねて使えるかは、制度ごとの決まりで変わります。愛媛県の補助は国などの補助との併用を認める一方で、県が交付するほかの補助との併用は認めず、市町村の補助にも併用できないものがあると書かれています。CEV補助金は、国のほかの補助金との重複を認めず、地方公共団体の補助とは重複できます。
同じ車や同じ装置に、国と県と協会の助成を重ねるときは、それぞれの要綱で併用の項目を読みます。申請書に、ほかに使う補助金の名前を書く欄がある制度が多くあります。
トラックの代表的な補助金の金額
国の制度と、上限の大きい都道府県の制度を上限額で比べた表です。一覧に出る制度はトラックのほか、バス、タクシー、燃料電池フォークリフトなどを含みます(制度名を押すと下の全国一覧のその制度へ移ります)。
