この助成金は、金額より先に順番で決まります。認定申請の期限は、介助者を付ける日の前日までです。付けたあとに出しても、期限に間に合いません。
対象は、障害のある人を労働者として雇っている事業主です。職場介助者の配置は月15万円まで、委嘱は1回1万円(年150万円)までを、費用の4分の3の割合で助成します。職場支援員は月4万円(中小企業の一般労働者)、職場復帰支援は月6万円(中小企業)と、月額で決まるメニューもあります。
申請先は、事業所を管轄するJEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)の都道府県支部です。認定申請の期限は、メニューによって前日、3週間前、1か月前と違います。審査結果が出るまでには、概ね2〜3か月かかります。
障害者介助等助成金の要点まとめ
正式名:障害者介助等助成金
だれが
- 申請者
- 事業者(障害者を労働者として雇う事業主)
- 対象業種
- 全業種
- 利用目的
- 介助者・支援員の配置や委嘱、職場復帰、研修など
- 対象地域
- 全国(事業所を管轄するJEED支部へ申請)
- 従業員数
- 規定なし(中小企業かどうかで額が変わる区分あり)
いくら
- 補助上限額
- 配置は月15万円、委嘱は1回1万円(年150万円)
- 補助率
- 3/4(継続・中高年齢等は2/3。月額で決まる区分も)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 通年(措置を始める前に認定申請。期限は区分ごと)
- 公式サイト
- JEED「障害者介助等助成金」
何から始める?まず窓口になるメニューを選ぶ
名前は1つでも、中身は措置ごとに分かれています。雇っている人の障害と、実際に付けたい支援から選びます。
言葉を3つだけ先に押さえます。「配置」は常用雇用の労働者を担当に置くこと、「委嘱」は役員や常用雇用以外の、資格や経験のある人に業務を任せることです。「中小企業事業主」は、業種ごとに資本金と常時雇用の労働者数の基準があり、どちらか一方を満たせば当たります。小売業(飲食店を含む)は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、それ以外は3億円以下または300人以下です。
| 区分 | 誰のための措置 | 助成率と限度 | 認定申請の期限 |
|---|---|---|---|
| 職場介助者の配置・委嘱 | 2級以上の視覚障害者、重度の四肢機能障害者 | 3/4。配置は月15万円、委嘱は1回1万円・年150万円。最長10年 | 付ける日の前日まで |
| 同・継続措置 | 上の支給期間が終わったあとも続ける場合 | 2/3。配置は月13万円、委嘱は1回9千円・年135万円。最長5年 | 元の支給期間が終わる日の前日まで |
| 同・中高年齢等措置 | 35歳以上で、加齢により困難が増した人 | 2/3。中小企業は月15万円、委嘱1回1万円(年150万円)。それ以外は月13万円、1回9千円(年135万円)。最長10年 | 付ける日の前日まで |
| 手話通訳・要約筆記等担当者の配置・委嘱 | 2・3・4・6級の聴覚障害者 | 職場介助者と同じ額。継続と中高年齢等の措置も同じ区分 | 付ける日の前日まで |
| 職場支援員の配置・委嘱 | 身体・知的・精神・発達・高次脳機能障害、難病などの人 | 配置は月額(中小企業の一般労働者で4万円)。委嘱は面談1回1万円(月4万円まで)。最大2年(精神障害は3年) | 始める日の前日から数えて1か月前の同じ日まで |
| 同・中高年齢等措置 | 35歳以上で、加齢により困難が増した人 | 配置は月額で同じ。最大6年 | 同上 |
| 職場復帰支援 | 1か月以上の療養休職から復帰する人 | 月6万円(中小企業)、4万5,000円(それ以外)。最長1年 | 復帰予定日の前日から数えて3週間前の同じ日まで |
| 中途障害者等技能習得支援 | 休職から復帰し、職務を変える人への研修 | 3/4。1人につき年30万円(中小企業)、20万円(それ以外) | 復帰予定日の前日から数えて3週間前の同じ日まで |
| 中高年齢等障害者技能習得支援 | 35歳以上の人への研修 | 3/4。1人につき年30万円(中小企業など)、20万円(それ以外) | 措置を行う日の前日から数えて3週間前の同じ日まで |
| 介助者等資質向上措置 | 介助者の研修や資格取得の講習 | 3/4。1社あたり年100万円 | 措置を行う日の前日から数えて3週間前の同じ日まで |
| 健康相談医の委嘱 | 5人以上の対象障害者を雇う事業主 | 3/4。1回2万5千円、年30万円。最長10年 | 委嘱する日の前日まで |
| 職業生活相談支援専門員・職業能力開発向上支援専門員の配置・委嘱 | 5人以上の対象障害者を雇う事業主 | 3/4。配置は月15万円、委嘱は1回1万円・年150万円。最長10年 | 配置・委嘱する日の前日まで |
「重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金」は、同じJEEDのページに別のパンフレットがあり、手続も上の表と異なります。この記事では扱いません。
自分の会社は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 国や地方公共団体の機関
- ✕ 役員や同居の親族を対象者にする
- ✕ 就労継続支援A型の利用者
- ✕ 派遣労働者を介助者にする
「労働者」は、週の所定労働時間が10時間以上で、法人の役員、同居の親族、昼間に授業を受ける学生ではない人を指します。雇用保険の適用を受ける人は、役員などでも含まれます。
職場介助者と手話通訳・要約筆記等担当者の助成は、雇ってから1年を超えた人は原則として対象外です。ただし、雇ったあとに障害者となった人や障害が重くなった人、人事異動で業務が変わった人は、事情が認められると対象になります。1年を超える場合は、まず支部に事情を話します。
介助者や担当者になれない人もいます。役員、その家事使用人、事業主と同居の親族、昼間に授業を受ける学生は、雇用保険の適用を受けていなければなれません。
いくら戻ってくる?
配置の場合は、介助者の時給に、実際に介助した時間を掛けた額が費用です。そこに3/4を掛け、月15万円を上限にします。時給は、割増賃金の基礎になる賃金から1円未満を切り捨てて計算します。介助した時間は、所定労働時間の内側の分だけで、月の合計に1時間未満の端数が出たら30分未満は切り捨て、30分以上は切り上げます。
委嘱の場合は、1回の委嘱費のうち介助に当たる分に3/4を掛け、1回1万円を上限にします。交通費と雑費は含めません。
時給や委嘱費は例として置いた数字です。
- 配置で、時給1,600円の介助者が月100時間付く:1,600円 × 100時間 = 16万円、16万円 × 3/4 = 12万円
- 配置で、時給2,000円の介助者が月150時間付く:2,000円 × 150時間 = 30万円、30万円 × 3/4 = 22.5万円 → 月の上限15万円
- 委嘱で、1回の委嘱費のうち介助分が1万5,000円:1万5,000円 × 3/4 = 1万1,250円 → 1回の上限1万円
- 職場支援員を配置(中小企業の一般労働者):4万円 × 12か月 = 48万円
- 職場復帰支援(中小企業):6万円 × 12か月 = 72万円
上限に当たるのは、配置なら月の費用の3/4が15万円を超えるとき、つまり費用が20万円を超えるときです。職場支援員の配置と職場復帰支援は、対象者の出勤した割合が6割に満たない月が数えられません。職場支援員の配置では、助成額は職場支援員に実際に払った賃金額が上限です。
何に使える?
対象にならないもの
- 介助者が自分の判断で進める業務
- 複数人の作業担当者の一員として分担する業務
- 対象者と同時に同じ業務をすること
- 対象者が自分でできる作業の手伝い
- 事業所の外で働き、労働時間が測れない業務
- 派遣労働者の介助者の費用
- 委嘱の交通費・雑費
対象にならない場面の見分け方は、「対象者がその都度判断して指示し、介助者はその指示を受けて動く」かどうかです。指示だけして、あとは見ずに別の仕事をする形は外れます。
対象になるのは、次のような業務です。
- 視覚障害者への介助:朗読・代読、録音図書の作成、代筆、文書作成の補助、書類の整理、業務上の移動・外出の付添い(介助者が運転する場合を除く)
- 重度の四肢機能障害者への介助:代筆、機器の操作とコンピュータ入力、書類の整理、付添い
- 手話通訳・要約筆記等:業務で必要な手話通訳や要約筆記、研修での通訳、職場の人に向けた手話研修
- 休憩時間の食事介助と、勤務中のトイレ介助(職場介助者の特記事項。休憩中に行った分は、所定労働時間内に介助者の休憩を別に取ります)
申請の流れ
- メニューを決めて、支部に相談する(事業主→事業所を管轄するJEED都道府県支部)
- 認定申請を出す(事業主→支部。付ける日の前日まで。職場支援員は1か月前、職場復帰は3週間前の同じ日まで)
- 認定通知を受ける(JEED→事業主。申請から概ね2〜3か月)
- 計画どおりに措置を行い、記録を残す(事業主。日誌と出勤簿、賃金台帳が要る)
- 6か月ごとに支給請求を出す(事業主→支部。対象期間の末日の属する月の翌々月末日まで)
- 支給決定を受ける(JEED→事業主。指定した口座に振り込まれる)
提出は、窓口に持参するか郵送するか、e-Gov電子申請サービスで送ります。持参と郵送は、様式が3部、それ以外の書類が2部です。提出期限が土日祝日や12月29日〜1月3日に当たるときは、翌開庁日が期限になります。
職場介助者の認定申請は、対象者を初めて雇った日から10年以内でないと出せません。
支給請求書が期限までに出ないことが2回続くと、以降の助成金は出ません。措置を行わなかった期間は、請求書の代わりに不実施届を出します。ただし、職場介助者の助成金では、不実施届も2回続けると支給は終わります。
必要な書類
準備できた 0 / 10
上の表は職場介助者と手話通訳・要約筆記等担当者の認定申請の基本です。表のほかに、配置では介助者の賃金台帳、委嘱では委嘱契約書の写し、手話通訳等では担当者の資格を示す書類も要ります。表のうち、様式は第540号、第602号、助添付様式の第71号、第72号、第75号-2を指します。手帳がない人は、指定医や産業医の診断書や意見書で障害を確かめます。メニューによって添付書類は違います。最新のチェックリストで過不足を確かめてください。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 付けたあとに申請した:認定申請の期限は、措置を始める日の前日(職場支援員は1か月前、職場復帰は3週間前)です。始めたあとに出す形は、期限の定めに合いません。
- 請求が2回続けて遅れた:支給請求書が期限までに出ないことが2回続くと、以降の助成金は出ません。
- 対象者が早く辞めた:支給期間の開始から6か月以内に対象者が離職して介助者を置かなくなると、支給期間の分がすべて出ません。6か月を過ぎて12か月以内なら、6か月以降の分が出ません。
- 介助者がいない期間が1か月を超えた:事業主の都合で、要件を満たす職場介助者を置かない期間が1か月を超えると、支給が終わります。
- 障害者雇用納付金が未納:納付義務があるのに納めていない事業主は、不支給になります。
- 不正受給とされた:返還に加えて、年3%の延滞金と、返還額の2割が徴収されます。事業主名の公表と、5年間は新しい申請が認められない措置もあります。
他の助成金との重なりと、税金
- 同じ障害者に2種類以上の助成金を併給できない場合があります。組み合わせは、パンフレットの「助成金間の併給調整」の表で確かめます。
- 介助者や担当者が、他の助成金の対象者になっていたり、他の助成金の介助や援助の業務を兼ねていたりすると、助成の対象になりません。委嘱で、業務の日が別々の場合は除かれます。
- 同じ費用に、国や自治体などから補助金が確定している場合は、その額を費用から引いた額が上限になります。
- 助成金を受け取ったあとの税の扱いは、確かめたパンフレットと手続ページには書かれていませんでした。税務署か税理士に確かめてください。
障害者の個人情報を集めて機構に出すときは、利用目的を示して本人の同意を得ます。手帳の提出を強要しないことも、パンフレットは求めています。
よくある質問
介助者を付けたあとに申請しても間に合いますか?
間に合いません。認定申請の期限は、職場介助者や手話通訳担当者を配置または委嘱しようとする日の前日までです。職場支援員は始める日の前日から数えて1か月前、職場復帰支援は復帰予定日の前日から数えて3週間前の同じ日までと、さらに早くなります。付ける日が決まった時点で、先に支部へ相談し、認定申請を出す順番にしてください。
手話通訳担当者になれるのはどんな人ですか?
次の3つのいずれかに当たる人です。1つ目は、公共職業安定所の手話協力員として委嘱されている人や、手話講習を修了して相当の能力と経験がある人です。2つ目は、要約筆記者の養成講習を修了し、地方公共団体などに登録された人です。3つ目は、盲ろう者通訳・介助員の養成研修を修了し、意思疎通支援で能力と経験のある人です。事業主の役員、同居の親族、昼間に授業を受ける学生は、雇用保険の適用がなければなれません。
雇って1年以上たつ社員に介助者を付けたい場合は?
職場介助者と手話通訳等では、雇ってから1年を超えた人は原則として対象外です。ただし、雇ったあとに障害者となった、障害が重くなった、人事異動で業務が変わったといった事情が認められれば対象になります。この場合も、障害者となった日や異動の日から1年を超えていると対象外です。該当しそうな場合は、認定申請の前に、診断書や異動の資料を持って支部に相談してください。
在宅勤務の社員も対象ですか?
職場介助者、手話通訳・要約筆記等担当者の助成は、在宅勤務者も対象になります。遠隔地にいる介助者や通訳者が通信機器で行う業務も、対象に含まれます。職場支援員は、在宅勤務の日ごとに、顔と声と動作が分かる通信機器で状態を確かめるといった条件があり、メールやチャット、音声通話だけでは認められません。出勤する日がある人には、通信機器の面談は認められません。
10年が過ぎたあとも続けられますか?
職場介助者や手話通訳等の助成には、最長10年の支給期間が終わったあとの「継続措置」があります。助成率は2/3に下がり、限度は配置が月13万円、委嘱が1回9千円(年135万円)です。最長5年で、元の支給期間が終わる日の前日までに別に認定申請を出します。出しそびれると、続けて助成を受けられません。35歳以上の人には、加齢による困難が増したときの「中高年齢等措置」もあります。
他の助成金と一緒に受けられますか?
同じ障害者に2種類以上の助成金を併給できない場合があります。どの組み合わせが調整されるかは、パンフレットの併給調整の表に載っています。また、介助者が他の助成金の対象障害者になっている、他の助成金の介助業務を兼ねている場合も、助成されません。国や自治体の補助金を同じ費用に受ける場合は、その額を引いて計算します。事前に支部で組み合わせを確かめてください。
支給請求はいつ出すのですか?
支給請求は、支給期間の開始から6か月ずつ区切った期間ごとに出します。提出期限は、その期間の末日の属する月の翌々月末日です。たとえば配置の場合は、介助者を初めて配置した日の翌月の初日から6か月ずつ数えます。委嘱で、奇数回目の支給額が1年の限度額に達したときは、直後の偶数回目の請求書は要りません。期限が土日祝日なら翌開庁日です。
障害者雇用納付金を払っていないと受けられませんか?
受けられません。支給決定をする日の属する年度の前年度に、障害者雇用納付金の納付義務があって、納めていない事業主は不支給になります。延納をしている場合は、延納分を納めていないときが当てはまります。支給決定が4月1日から5月15日の間のときは、前々年度の分で見ます。常時雇用する労働者が100人を超える事業主は、納付義務の有無を事前に確かめておいてください。
社会保険労務士に手続を頼めますか?
頼めます。社会保険労務士は、提出代行者または事務代理者として手続きができます。弁護士も代理人になれます。事業主の役員や事業所の長、事業主が雇う労働者も、代理人として手続ができます。弁護士や事業主が雇う労働者が代理人になるときは、委任届(様式第550号)が必要です。代理人が手続をする場合も、支給要件確認申立書の代理人欄の内容を、代理人本人が承諾している必要があります。
職場適応援助者(ジョブコーチ)の助成金もこの助成金ですか?
別の助成金です。訪問型や企業在籍型の職場適応援助者に関する助成金は、同じJEEDの助成金のページに別のパンフレットがあります。ただし、職場支援員の助成金の対象者が、企業在籍型職場適応援助者助成金の対象にもなった場合は、重なる期間は職場支援員の助成金が出ません。その場合は、中断届を出します。どちらを使うかは、支部に相談して決めます。
書類はどこに出しますか?紙以外でもよいですか?
支給対象の障害者が勤務する事業所を管轄する、JEEDの都道府県支部に出します。窓口への持参か郵送のほか、デジタル庁のe-Gov電子申請サービスでも出せます。様式とチェックリストは、JEEDのサイトからダウンロードします。パソコンで入力するのが難しければ、手書きでも構いません。提出した書類は返却されません。電子申請も、申し出があってもデータは消去されません。
不正受給とされるのはどんなときですか?
偽りその他の不正な行為で、認定や支給を受けた、または受けようとしたときです。受給後に分かった場合だけでなく、審査の途中で分かった場合や、申請を取り下げた場合も同じ扱いです。返還のほか、年3%の延滞金と返還額の2割の徴収、事業主名の公表、他の助成金も含めた不支給の措置があります。代理人が偽りの届出をした場合は、代理人にも5年間の受理拒否などの措置が及びます。
