車を買うだけで、市内のスーパーになれるわけではありません。田川市のこの制度は、公募で選ばれたただ1社だけが対象です。
なぜ1社限定なのか。理由は、令和8年度から令和10年度にかけて、買物困難地域を段階的に市内全域へ広げる計画だからです。事業者を分散させると、巡回ルートが重なり合い、共倒れになりかねません。だから田川市は、審査で最も優れた1社に絞り、5年以上任せる設計にしています。
この補助金の概要(早見表)
| 検索項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 田川市移動スーパー参入促進補助事業 |
| 対象業種 | 小売業(移動販売による食料品・日用品の販売事業者) |
| 利用目的 | 移動スーパー事業の車両導入・運営(買物困難地域への巡回販売) |
| 対象地域 | 福岡県田川市(買物困難地域:大字伊加利・猪国・弓削田・位登等から段階的に拡大) |
| 従業員数 | 規定なし(市内に本店・主たる事業所を置く法人、または市内に住所を有する個人事業主) |
| 補助上限額 | 車両購入費等補助金300万円(令和8年度のみ)+事業運営費補助金100万円(1年度あたり) |
| 補助率 | いずれも3分の2以内 |
| 申請受付 | 令和8年8月3日締切(交付申請)。公募により1事業者を選定し、事業計画書は8月10日締切 |
| 公式サイト | https://www.joho.tagawa.fukuoka.jp/kiji00311847/index.html |
※この表の項目(対象業種・利用目的・対象地域・従業員数)は、GRANTOSの補助金診断の検索軸に対応しています。
対象になるのはどんな事業者か
参加資格は、公告日時点で次の要件をすべて満たす事業者です。
- 市内に本店・主たる事業所を置く法人、または市内に住所を有する個人事業主であること
- 自ら市場等から商品を調達し、移動スーパー事業を行う体制を持つこと
- 取り扱う商品に生鮮三品(青果・精肉・鮮魚)を必ず含むこと
- 5年以上継続して事業を実施できる経営基盤があると認められること
- 自動車損害賠償責任保険に加え、任意保険・生産物賠償責任保険等に加入すること
- 市税を完納していること
自ら仕入れ先を確保し、5年以上続けられる体制。ここが単なる「車で売り歩く」計画との違いです。市場等から自分で仕入れて売る、という運営責任の重さが要件に表れています。
補助額は2本立て、対象経費が違う
補助金は「車両購入費等補助金」と「事業運営費補助金」に分かれます。
| 種類 | 補助対象経費 | 補助率 | 補助上限額 | 交付年度 |
|---|---|---|---|---|
| 車両購入費等補助金 | 車両購入費、車両改造費、借料・損料、備品費 | 3分の2以内 | 300万円 | 令和8年度のみ |
| 事業運営費補助金 | 人件費、車両運行費・維持費、通信運搬費、保険料、広告宣伝費、備品購入費 | 3分の2以内 | 1年度あたり100万円 | 令和8〜10年度 |
車両購入費450万円の保冷車を導入した場合、3分の2で300万円。ちょうど上限に届きます。運営費は年度ごとに150万円かかっても、補助は上限の100万円までです。事業運営費補助金は、車両購入費等補助金の交付を受けた事業に限り対象になる点にも注意してください。単独では申請できません。
3年間通しで見ると、初年度は最大400万円(300万円+100万円)、2年目・3年目はそれぞれ最大100万円。3年間の補助総額は最大600万円です。
公募のスケジュールと、選定の仕組み
この補助金は「申請すれば通る」制度ではありません。提出書類・プレゼンテーション・ヒアリングによる審査で、最も評価点の高い1者だけが選ばれます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年7月27日〜31日 | 公募要領の公告 |
| 令和8年7月30日 | 質問書の提出期限 |
| 令和8年8月3日 | 交付申請書(参加申込)の提出期限 |
| 令和8年8月4日 | 参加資格の審査結果通知 |
| 令和8年8月10日 | 事業計画書の提出期限 |
| 令和8年8月18日 | 公募審査(プレゼンテーション20分・質疑応答10分) |
| 令和8年8月中旬 | 選定結果通知・補助金交付決定 |
審査は100点満点で、巡回ルート・運行体制(10点)、経営実施能力(10点)、商品調達能力(10点)、巡回ルート・頻度の適切性(15点)、安全管理・法令順守(15点)など7項目に配点されています。事業者が1者のみでも、合計点が満点の7割に届かなければ選定されません。応募すれば必ず選ばれる、という制度ではない点は押さえておく必要があります。
なぜ、これほど手間のかかる選び方をするのか。それは、この補助金が5年以上の継続を前提にした、事実上の地域インフラの委託に近い性格を持つからです。単発の設備投資補助金であれば「対象要件を満たすか」だけを見れば済みますが、この制度は「その事業者に、地域の買い物を長期間任せられるか」まで判断します。だから審査項目に、経営基盤や事故対応マニュアルの整備状況まで入っています。
選ばれたあとの縛りと、返還のルール
交付決定を受けたあとも、いくつかの継続的な義務があります。
- 交付決定を受けた日から90日以内に事業を開始すること
- 巡回ルートは、令和8年度は優先地域を含み、令和9年度に拡大、令和10年度に市内全域へ広げる計画であること
- 各年度終了後30日以内(または当該年度の3月31日のいずれか早い日まで)に実績報告書・収支決算書・利用者満足度調査結果を提出すること
- 取得した財産(車両等)は、耐用年数に相当する期間内、市の承認なく処分・譲渡できないこと
途中で取り消しになった場合の返還額は、年度によって変わります。
| 取消しの時期 | 返還額 |
|---|---|
| 令和8年度中 | 全額 |
| 令和9年度中 | 3分の2相当額 |
| 令和10年度中 | 3分の1相当額 |
5年以上続ける前提の制度なので、途中でやめると返還が発生する仕組みになっています。応募段階で、5年先まで事業を続けられる体制かどうかを見込んでおく必要があります。
自治体の設備投資系の補助金でも、交付決定より前に発注・契約してしまい対象外になる失敗が多く見られます。この制度でも「交付決定を受けた日から90日以内に事業を開始する」という期限管理が求められます。期限管理や事業計画書の作り込み方について、GRANTOS公式LINEの登録者限定ページで他の自治体の実例とあわせて紹介しています。
よくある質問
すでに移動販売をしている事業者でないと応募できませんか?
公式要領に「すでに実績がある事業者に限る」という記載はありません。ただし審査基準に「経営実施能力・経営基盤の健全性」(過去の事業実績や財務状況から5年以上継続できるか)が含まれており、実績や体制の説明が求められます。実績がない場合は、調達先の確保や経営基盤をどう示すかが審査のポイントになります。
車両購入費補助金だけを単独で申請できますか?
車両購入費等補助金と事業運営費補助金は別枠ですが、事業運営費補助金は車両購入費等補助金の交付を受けた事業に限り対象とされています。運営費補助金だけを単独で申請することはできません。
田川市外の事業者でも応募できますか?
要件は「市内に本店・主たる事業所を置く法人、または市内に住所を有する個人事業主」です。市外に本店を置く事業者は、要件を満たさない可能性が高いため、応募前に田川市産業振興課へ確認することをおすすめします。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・選定方法・受付状況は変更される場合があるため、応募を検討する際は必ず田川市の公式ページおよび最新の公募要領・交付要綱で内容をご確認ください。
出典:
- 田川市公式サイト「田川市移動スーパー参入促進補助事業の実施について」
- 田川市「移動スーパー参入促進補助金事業者公募要領」(PDF)
- 田川市「移動スーパー参入促進補助金交付要綱」(PDF)
- J-Net21「田川市移動スーパー参入促進補助事業の実施について」
