ソーシャルボンドで資金調達を検討している企業が、この補助金の名前を見て「自社が申請できるのでは」と考えるのは自然なことです。しかし申請できるのは、資金調達を行う企業ではなく、その企業のフレームワークを評価する「評価機関」だけです。
DBの補助上限額を「300万円」とだけ見ると見落としますが、公募要領を読むと個人投資家向けに発行される場合は上限400万円まで上乗せされる仕組みになっています。ここでは申請者の線引きと、金額の内訳を整理します。
SDGsファイナンス促進支援事業補助金(ソーシャルファイナンス)の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者ではなく評価機関(金融庁公表の行動規範への受け入れを表明し、外部レビューの実績がある機関) |
| 制度名 | 令和8年度SDGsファイナンス促進支援事業補助金(ソーシャルファイナンス) |
| 対象業種 | 指定なし(評価機関が申請。資金調達者は都内に事務所・事業所を持つ企業等) |
| 利用目的 | ソーシャルボンド・ソーシャルローンのフレームワーク策定にかかる外部レビュー費用の補助 |
| 対象地域 | 全国(東京都が実施する制度。資金調達者は都内に事務所・事業所が必要) |
| 従業員数 | 規定なし(評価機関が申請) |
| 補助上限額 | 300万円(個人投資家向けに発行される場合は400万円) |
| 補助率 | 10分の6(個人投資家向けは10分の10=自己負担なし) |
| 申請受付 | 要綱公表日〜2027年3月19日 |
| 公式サイト | 東京都「SDGsファイナンス促進支援事業補助金」 |

申請者は「評価機関」。資金調達をする企業ではない
募集案内には「補助金の交付を申請できる者は、次の要件を全て満たす評価機関に限ります」と明記されています。要件は次の2つです。
- 金融庁公表の「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」への受け入れを表明していること
- ソーシャルファイナンスについての外部レビューの付与実績があること
つまり、ソーシャルボンドやソーシャルローンで資金調達をしたい企業自身は、この補助金を直接申請できません。 申請するのは、その企業のフレームワークを審査する外部評価機関です。
それでも「資金調達者」の要件は事業者にとって重要
補助金の申請者は評価機関ですが、補助の対象となるフレームワークを作るのは「資金調達者」=実際にソーシャルボンド・ソーシャルローンを発行する企業です。この資金調達者にも要件があります。
対象になる
- 都内に事務所または事業所を有する企業等
- 2026年度に新規に申請する補助事業(前年度以前に交付決定を受けた案件は対象外)
対象にならない
- 独立行政法人、地方公共団体等
- すでに令和7年度以前に交付決定を受けた案件(継続扱いにはならず、新規申請のみが対象)
「都内に事業所や事務所の有無」は登記事項証明書等から判断されると、東京都の公表しているQ&Aに明記されています。
補助率が2段階になっている理由
補助率は基本10分の6(上限300万円)ですが、発行するソーシャルボンドが個人投資家向けの場合は、補助率が10分の10に引き上げられ、自己負担なしになります(上限400万円)。 これは個人が直接投資できる社会貢献型の金融商品を増やしたいという東京都の政策目的によるもので、機関投資家向けの発行では対象になりません。
DBの登録額が「上限300万円」となっているのはこの基本パターンのことで、個人投資家向けの場合の400万円は別枠として押さえておく必要があります。
フレームワーク策定からファイナンス実施までの期限に注意
補助を受けた年度の年度末から3年以内にソーシャルファイナンスが実施されなければ、補助金の返還が必要になります。フレームワークだけ作って実際の資金調達を先延ばしにし続けると、補助金を返さなければならなくなる点は見落とされがちです。
よくある質問
ソーシャルボンドを発行したい企業は、この補助金を直接使えますか?
直接は使えません。申請できるのは評価機関に限られます。ただし、自社のフレームワーク策定を評価機関に依頼する際、その評価機関がこの補助金を活用していれば、間接的に評価費用の負担が軽くなる可能性があります。
継続案件でも申請できますか?
できません。2026年度に新規で交付決定を受ける案件のみが対象です。令和7年度以前に交付決定を受けた案件は対象外です。
補助事業者として新たな審査や登録は必要ですか?
不要です。金融庁公表の「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」への受け入れを表明している評価機関が対象になります。
