主KW: 母子家庭 手当 いくら
「母子家庭の手当」と一言でまとめられがちですが、実際には複数の制度が組み合わさっています。中心になるのは児童扶養手当(子1人で月48,050円・全部支給・令和8年4月〜)ですが、ひとり親でなくても受け取れる児童手当や、自治体ごとのひとり親家庭等医療費助成もあわせて使えます。この記事では、令和8年度の最新額で、児童扶養手当を中心とした「総額」のイメージをシミュレーションします。
児童扶養手当の詳しい所得計算(3ステップ)や年収別の早見表は、より専門的な解説記事をご参照ください。この記事は複数の手当を合わせた総額感をつかむことに絞って解説します。生活保護とは別の制度で、生活保護の支給額のしくみは「生活保護 いくら」の記事で解説しています。
母子家庭が使える主な手当・助成は3つ
| 制度 | 対象 | ひとり親限定か |
|---|---|---|
| 児童扶養手当 | 父または母と生計を同じくしていない児童を養育する家庭 | ひとり親限定 |
| 児童手当 | 中学生(一部拡充で高校生年代まで)以下の児童を養育する家庭全般 | 限定なし(ひとり親以外も対象) |
| ひとり親家庭等医療費助成 | ひとり親家庭の児童・保護者の医療費 | ひとり親限定(自治体ごとに実施) |
児童扶養手当だけが「ひとり親向け」というわけではありません。 児童手当はひとり親・二人親を問わず児童のいる家庭全般が対象ですが、母子家庭でも当然に受け取れます。3つを合わせて考えることで、実際に家計に入ってくる総額が見えてきます。
児童扶養手当:ひとり親家庭の中心的な手当
児童扶養手当は、父母の離婚・死亡等によって父または母と生計を同じくしていない児童について、ひとり親等に支給される手当です。令和8年4月分からの金額(月額)は次のとおりです。
| 対象 | 全部支給 | 一部支給 |
|---|---|---|
| 児童1人目 | 48,050円 | 48,040円〜11,340円 |
| 児童2人目以降(1人につき加算) | 11,350円 | 11,340円〜5,680円 |
支給は年6回(1月・3月・5月・7月・9月・11月)、それぞれ前2か月分がまとめて振り込まれます。 所得が一定額を超えると、全部支給から一部支給、さらに所得制限を超えると支給停止になります。所得制限限度額(2人世帯・収入ベース)は、全部支給が190万円、一部支給が385万円です(扶養親族の数によって上下します)。
子どもが2人いる家庭では、児童扶養手当だけで月59,400円(全部支給時)になります(48,050円+11,350円)。3人目以降も1人につき11,350円が加算されます(令和6年11月の改正で、3人目以降の加算額が2人目と同額まで引き上げられました)。
児童手当:ひとり親以外も対象だが総額に含めて考える
児童手当は、中学生以下(拡充により高校生年代まで)の児童を養育する家庭に支給される手当で、令和6年10月の制度改正で所得制限が撤廃され、高校生年代まで対象が拡大しました。
| 子の年齢 | 月額(第1子・第2子) | 月額(第3子以降) |
|---|---|---|
| 0〜3歳未満 | 15,000円 | 30,000円 |
| 3歳〜高校生年代 | 10,000円 | 30,000円 |
支払いは偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)に、それぞれ前2か月分がまとめて支給されます。児童手当はひとり親家庭に限らず受け取れる手当ですが、母子家庭の家計を考えるときには児童扶養手当と合わせて「総額」で見る必要があります。
ひとり親家庭等医療費助成:自治体ごとに実施
多くの市区町村では、ひとり親家庭の児童・保護者が医療機関を受診したときの医療費の一部を助成する「ひとり親家庭等医療費助成制度」(通称「マル親」等)を実施しています。
この制度は法律で定められた全国一律の制度ではなく、都道府県が市区町村に補助し、市区町村が条例等で実施する制度です。 そのため、助成の対象範囲・自己負担額・所得制限は自治体によって異なります。医療費の実質的な負担が減ることは、金額には表れにくいものの、ひとり親家庭の家計にとって大きな支援になります。お住まいの市区町村の窓口で、対象になるかどうかをご確認ください。
総額シミュレーション:子どもの人数別
児童扶養手当(全部支給)と児童手当を合わせた、月あたりの受取額の目安です(ひとり親家庭等医療費助成は自治体差が大きいため、ここでは含めていません)。
ケース1: 子ども1人(4歳、小学生前)
- 児童扶養手当:48,050円
- 児童手当(3歳〜高校生年代・第1子):10,000円
- 合計:月58,050円
ケース2: 子ども2人(10歳・7歳)
- 児童扶養手当:48,050円+11,350円=59,400円
- 児童手当(第1子・第2子とも10,000円):20,000円
- 合計:月79,400円
ケース3: 子ども3人(12歳・9歳・2歳)
- 児童扶養手当:48,050円+11,350円+11,350円=70,750円
- 児童手当(第1子・第2子10,000円×2+第3子30,000円):50,000円
- 合計:月120,750円
子どもの人数が増えるほど、児童手当の「第3子以降3万円」が総額を大きく押し上げます。 児童扶養手当だけを見ると1人あたりの加算は11,350円ですが、児童手当と合わせると3人目は月41,350円の増額になる計算です。
※上記はいずれも児童扶養手当が全部支給される所得水準を前提にした目安です。所得が上がると児童扶養手当は一部支給・支給停止になり、総額は変わります。正確な金額は、お住まいの市区町村窓口でご確認ください。
所得が上がると手当はどう変わるか
児童扶養手当は、所得が上がるにつれて全部支給から一部支給、そして支給停止へと段階的に変化します。「働いて収入を増やすと手当が減る」という仕組みを正しく理解しておくことが、家計の見通しを立てるうえで重要です。
| 所得の水準 | 手当の状態 |
|---|---|
| 所得制限限度額(全部支給・190万円)未満 | 全部支給(子1人目48,050円) |
| 全部支給の限度額以上、一部支給の限度額(385万円)未満 | 一部支給(所得に応じて48,040円〜11,340円に減少) |
| 一部支給の限度額(385万円)以上 | 支給停止 |
一部支給の金額は、所得が増えるにつれて段階的に減っていく計算式で決まり、「所得が1円増えただけで手当が突然ゼロになる」という設計ではありません。 就労収入が増えても、児童扶養手当と合わせた総収入が急に減ることを避けるよう配慮された計算方法が採用されています。具体的な所得の計算方法(養育費の8割を所得に加算する等のルール)は複雑なため、正確な金額はお住まいの市区町村窓口で確認することをおすすめします。
遺族年金など公的年金を受け取っている場合はどうなるか
「年金をもらっているから児童扶養手当は無理」と思い込んで、申請そのものをしていない家庭があります。これは平成26年12月分以降、当てはまらなくなりました。
- 対象になる公的年金等は、老齢年金・遺族年金・障害年金・労災年金など。受給資格者本人が受け取っている年金だけでなく、児童が受け取っている遺族年金等も含まれます
- 年金額(月額)が児童扶養手当の月額より低い場合、その差額を児童扶養手当として受給できます。 以前は年金を受給できる時点で児童扶養手当が支給停止になっていましたが、この差額分の受給が可能になりました
- 児童扶養手当の月額は所得によって一部支給停止になることがあるため、年金額と比較する対象は「一部支給停止後の額」になります
- 児童自身が遺族年金等を受給できる場合は、差額の計算がさらに複雑になるため、お住まいの市区町村窓口での確認が確実です
例えば、子ども1人の家庭で遺族年金の月額が児童扶養手当の全部支給額(令和8年4月〜48,050円)より低ければ、その差額分を児童扶養手当として受け取れます。 年金を受給しているという理由だけで申請をあきらめず、まずは市区町村窓口に相談することをおすすめします。
ひとり親家庭が使える就労支援もあわせて確認する
手当だけでなく、ひとり親家庭の就労を支援する制度もあります。
- 自立支援教育訓練給付金:ひとり親が対象の教育訓練を受講した場合に、費用の一部が支給される制度
- 高等職業訓練促進給付金:看護師・保育士等の資格取得のために1年以上養成機関で修業する場合に、生活費相当額が支給される制度
- 母子・父子自立支援員による相談:市区町村や都道府県の窓口に配置されている自立支援員が、生活全般の相談や就労支援の案内を行う
これらの制度は児童扶養手当と併用できます。 手当を受け取りながら資格を取得し、収入を増やしていくという流れを想定した制度設計になっています。詳しくはお住まいの市区町村の児童扶養手当・ひとり親家庭支援の担当窓口で相談できます。所得が増えて所得制限限度額に近づいた場合でも、自立が達成されるまで支援を継続できるよう、要件の見直しが行われています。
収入・扶養親族の数と所得制限限度額
児童扶養手当の所得制限限度額は、扶養している親族の数によって変わります。扶養親族が1人増えるごとに、限度額が上乗せされる仕組みです。
| 扶養親族等の数 | 全部支給の限度額(収入ベース) | 一部支給の限度額(収入ベース) |
|---|---|---|
| 0人 | 160万円 | 365万円 |
| 1人 | 190万円 | 385万円 |
| 2人 | 227.5万円 | 425万円 |
(3人目以降は1人につき限度額が加算されます。ここでは代表的な人数のみ示しています。)
「扶養親族等の数」には、児童扶養手当の対象になっている子どもだけでなく、税法上の扶養親族全体が数えられます。 同居している親族が増えるほど限度額も上がるため、実家で親と同居している場合等は、世帯全体の扶養関係を確認しておく必要があります。扶養親族の数え方が実際の同居家族の人数と一致しない場合もあるため、判断に迷うときは早めに市区町村窓口へ確認するとよいでしょう。
モデルケースで見る所得と手当の関係
ケース1: パート収入で年収180万円、子ども1人
年収180万円は、児童扶養手当の所得計算上、給与所得控除等を差し引いた所得が全部支給の限度額(扶養親族1人の場合190万円)に収まる可能性が高い水準です。全部支給が適用されれば、児童扶養手当48,050円+児童手当10,000円で月58,050円を受け取れます。
ケース2: 正社員収入で年収320万円、子ども1人
年収320万円は、所得計算をすると全部支給の限度額を超え、一部支給の範囲に入る可能性が高い水準です。この場合、児童扶養手当は48,040円〜11,340円の間で所得に応じて決まり、児童手当10,000円を合わせた総額は、全部支給のケースよりは少なくなります。
同じ「子ども1人」でも、収入によって受け取れる総額は大きく変わります。 正確な所得判定は、給与収入から所得への換算、養育費の8割加算、そこからの控除など複数のステップを経るため、目安として考え、正式な金額はお住まいの市区町村窓口でシミュレーションしてもらうことをおすすめします。
児童扶養手当を受け取れなくなるケース
いったん受給が始まっても、次のような事情が生じると、児童扶養手当が減額または支給停止になります。
- 受給者が再婚した(事実婚を含む。同居していなくても、生活費の援助等の関係があれば「事実婚」と判定されることがあります)
- 児童が父または母と再び生計を同じくするようになった
- 児童が児童福祉施設等に入所した
- 所得が一部支給・支給停止の限度額を超えた
- 現況届を提出しなかった(毎年8月に提出が必要。提出がないと11月分から差し止められます)
「事実婚」の判定は、婚姻届の有無だけでなく、実際の生活状況(同居の有無、生活費の援助の実態等)を踏まえて行われます。 パートナーができた場合、婚姻届を出していなくても手当に影響することがあるため、状況が変わった際は早めに市区町村窓口へ相談・届出をすることが重要です。届出をせずに受給を続け、あとで発覚すると、遡って手当の返還を求められることがあります。
申請と注意点
児童扶養手当・児童手当は、いずれも申請しなければ受け取れません。児童が生まれた、離婚した等の事由が発生してから、お住まいの市区町村の窓口で申請する必要があります。申請が遅れると、遅れた分の期間はさかのぼって受け取れません。
児童扶養手当は、毎年8月に「現況届」の提出が必要です。提出しないと11月分から手当が差し止められます。また、受給開始から5年(または手当支給の要件に該当してから7年)を経過すると、一定の場合に手当が一部支給停止になる制度があります(就業している、就業が困難な事情があるなど、一定の条件に該当する場合は適用が除外されます)。
この一部支給停止の適用除外に該当するかどうかは、現況届の提出にあわせて別途の届出(就業状況等届)が必要になる場合があります。 就労している、求職活動をしている、疾病等により就労が困難といった事情がある場合は、その状況を証明する書類(雇用証明書、診断書等)を提出することで、支給停止を回避できることがあります。届出を忘れると、就業していても一部支給停止になってしまう可能性があるため、5年・7年の節目が近づいたら市区町村窓口へ確認しておくことをおすすめします。
自治体独自の支援制度も確認する
児童扶養手当・児童手当・ひとり親家庭等医療費助成のほかにも、多くの市区町村ではひとり親家庭向けの独自の支援制度を用意しています。制度の有無・内容は自治体ごとに大きく異なりますが、代表的なものを挙げます。
- ひとり親家庭住宅手当:民間賃貸住宅に居住するひとり親家庭に、月数千円〜1万円程度の家賃補助を行う制度(実施していない自治体も多い)
- ひとり親家庭等日常生活支援事業:ひとり親が病気等で一時的に家事・育児が困難になったときに、家庭生活支援員を派遣する制度
- 就学援助制度:学校教育法にもとづき、経済的に困っている家庭の学用品費・給食費等を補助する制度(ひとり親家庭に限らないが、所得の判定で優先されやすい)
- 保育料の減免:ひとり親家庭を対象に、保育所・認定こども園等の利用料を減額する制度
これらは児童扶養手当のように全国一律の制度ではなく、実施の有無・金額・対象が自治体によって大きく異なります。 お住まいの市区町村の「ひとり親家庭支援」の窓口や、こども家庭庁・自治体の公式ページの一覧で確認することをおすすめします。「うちの市にはどんな制度があるか」を一度まとめて確認しておくと、複数の制度を漏れなく利用できます。
特別児童扶養手当との違い
「児童扶養手当」と名前が似ている制度に「特別児童扶養手当」がありますが、まったく別の制度です。混同しやすいため、違いを整理します。
| 児童扶養手当 | 特別児童扶養手当 | |
|---|---|---|
| 対象 | ひとり親家庭等の児童 | 障害のある児童(ひとり親・二人親を問わない) |
| 目的 | ひとり親家庭の生活の安定 | 障害のある児童の福祉の増進 |
| 併給 | 特別児童扶養手当と併せて受給できる | 児童扶養手当と併せて受給できる |
母子家庭で、かつ児童に障害がある場合は、児童扶養手当と特別児童扶養手当の両方を受け取れる可能性があります。 どちらも申請主義のため、対象に該当する場合は両方の申請を検討することをおすすめします。特別児童扶養手当の金額は障害の等級(1級・2級)によって異なり、児童扶養手当とは別に、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口へ申請する必要があります。両方に該当する可能性がある場合は、児童扶養手当の申請時にあわせて相談しておくと、申請漏れを防ぎやすくなります。
よくある質問
児童扶養手当と児童手当は両方もらえますか?
はい、両方もらえます。児童扶養手当はひとり親家庭向け、児童手当はひとり親家庭かどうかを問わない一般的な手当で、それぞれ別の制度として申請・受給できます。
実家で親と同居していても児童扶養手当はもらえますか?
同居している家族(扶養義務者)に一定以上の所得がある場合、その所得に応じて児童扶養手当の一部支給・支給停止に影響することがあります。世帯の状況によって判定が異なるため、お住まいの市区町村窓口で確認することをおすすめします。
手当だけで生活費のすべてをまかなえますか?
児童扶養手当・児童手当は生活費の一部を補うものであり、それだけで生活費のすべてをまかなえるとは限りません。就労収入や、ひとり親家庭等医療費助成、自治体独自の住宅手当等の支援制度と合わせて、生活の見通しを立てることが大切です。利用できる支援は自治体の窓口やハローワークでまとめて相談できます。
離婚が成立していなくても児童扶養手当を申請できますか?
離婚が成立していない場合でも、配偶者の暴力(DV)等により、事実上父または母と生計を別にしている状態が一定期間続いている場合には、児童扶養手当の対象になることがあります。この場合、通常の離婚のケースとは必要書類が異なり、市区町村や配偶者暴力相談支援センター等への相談が必要になることが多いです。個々の状況によって扱いが異なるため、お住まいの市区町村の児童扶養手当担当窓口、またはひとり親家庭支援の相談窓口へご相談ください。
児童扶養手当の申請にはどんな書類が必要ですか?
主な必要書類は、請求者と対象児童の戸籍謄本、世帯全員の住民票、請求者名義の預金通帳(振込先確認)、請求者と対象児童の年金手帳やマイナンバーが分かるもの等です。離婚・死亡・DV等、手当の対象になる理由によって追加で必要な書類が異なります(例: 離婚の場合は離婚日が分かる戸籍謄本、DVの場合は保護命令決定書の写し等)。事前にお住まいの市区町村窓口へ電話等で確認し、必要な書類を揃えてから来庁すると手続きがスムーズです。
