国の家庭用蓄電池の補助金(令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業)は、2026年5月29日に予算上限へ達し受付を終了しました。 いま新たに使えるのは都道府県・市区町村の制度で、東京都なら新設で上限120万円/戸です。
「2026年の蓄電池の補助金はいくらか」を調べていると、書いてある内容が記事ごとにまるで違うことに気づくと思います。60万円と書いてあるページもあれば、「終了しました」と書いてあるページもある。どちらも間違いではありません。
理由は2つあります。1つは、国の補助金が2026年5月29日に予算上限に達して閉じたこと。もう1つは、「2026年」という言葉が3つの違う期間を指してしまうことです。
この記事では、まず時間軸の混乱をほどきます。そのうえで、いま蓄電池を検討している方が実際に何を見ればよいか、次の年度に備えるなら何月から動けばよいかを整理します。
東京都にお住まいの方は、都の助成だけで上限120万円という別枠があるので、東京都の蓄電池補助金を先に読んでいただくほうが早いです。
「2026年」が3つある(ここが混乱の正体)
補助金の記事を読み比べると数字が合わない最大の原因は、暦年・年度・予算年度という3つの期間が同時に走っていることです。
| 呼び方 | 期間 | 蓄電池の文脈での使われ方 |
|---|---|---|
| 暦年(2026年) | 2026年1月1日〜12月31日 | 「2026年の補助金」と書かれたページの多く |
| 年度(令和8年度) | 2026年4月1日〜2027年3月31日 | 東京都など自治体の助成事業の期間 |
| 予算年度(令和7年度補正) | 2025年度の補正予算 | 国のDR家庭用蓄電池事業の財源 |
国の家庭用蓄電池の補助金は「令和7年度補正予算」で動いています。 2025年度の補正予算で組まれた事業が、2026年の3月から執行されている、という関係です。だから事業の名前には「令和7年度補正」と付いているのに、申請の受付は2026年、という一見おかしな組み合わせになります。
一方で東京都の助成は「令和8年度事業」で、2026年4月から2027年3月までの年度で動いています。同じ2026年でも、根拠になる予算の年度が国と自治体で1年ずれているわけです。
「令和7年度補正」と書いてあっても、2026年に使う制度です。 古い制度だと思って読み飛ばすと、必要な情報を落とします。
国の制度は2026年5月29日に閉じました
事実関係を日付で押さえます。
令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業(正式には家庭用蓄電システムを対象とした分散型エネルギーリソースの導入支援事業。実施団体は一般社団法人環境共創イニシアチブ=SII)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限 | 1申請あたり60万円 |
| 対象 | 日本国内でDRに活用可能なリソースとして家庭用蓄電システムを新規導入する個人・法人・個人事業主 |
| 対象経費 | 蓄電システムの機器費のほか、工事費・据付費を含む |
| 交付申請の受付開始 | 2026年3月24日(火) |
| 当初の受付終了予定 | 2026年12月10日(木) |
| 実際の終了 | 2026年5月29日(金)(交付申請額の合計が予算に達したことを確認したため公募終了) |
| 予算規模 | 54億円程度(3事業合計59.6億円の内数) |
12月10日まで9か月弱を予定していた受付が、約2か月で閉じています。
この事業は「DR(デマンドレスポンス)」が名前に入っているとおり、単に蓄電池を買えばよいという制度ではありませんでした。「アグリゲーター型」と「小売型」のどちらかを選び、DR契約の締結(アグリゲーター型)またはDRメニューへの加入(小売型)が必要で、しかもその継続を2028年3月31日まで求められる設計です。
つまり申請のハードルは決して低くないのに、それでも2か月で予算が尽きました。 ここから読み取るべきなのは、「次に同種の制度が出たときも、開始直後に動かないと間に合わない」という一点です。
いま使えるのは自治体の制度です
国が閉じている以上、2026年後半に蓄電池を導入する方が使えるのは、都道府県と市区町村の制度になります。
ここで都道府県別の一覧を並べることはしません。 自治体の制度は年度ごとに募集の有無・金額・予算枠が変わり、年度途中で締め切られることも多いので、一覧はすぐに古くなります。実際にあった数字を書いて、それが既に終わっていたら害のほうが大きくなります。
代わりに、金額の桁感が分かる代表例を1つだけ挙げます。
東京都「家庭における蓄電池導入促進事業」(令和8年度)
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 新設の単価 | 10万円/kWh |
| 新設の上限 | 120万円/戸(DR実証に参加しない場合) |
| 増設の単価 | 6万円/kWh |
| 増設の上限 | 72万円/戸(DR実証に参加しない場合) |
| DR実証参加の上乗せ | +10万円/件 |
| IoT機器 | 5万円/台 |
| 事前申込 | 令和8年5月29日開始 |
| 交付申請兼実績報告 | 令和8年6月30日開始 |
国の上限60万円に対し、東京都だけで最大120万円。 自治体の制度は「国の補助金の上乗せ」という位置づけで語られがちですが、東京都に関しては金額の主役は都の側です。
東京都の予算規模は令和8年度で約1,012億円(蓄電池を含む「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」全体)と公表されています。国のDR家庭用蓄電池事業の54億円程度と比べると、桁が違います。
詳しい要件と試算は東京都の蓄電池補助金にまとめています。
自分の自治体の制度をどう探すか
東京都以外にお住まいの方は、次の手順で確認してください。一覧サイトを見るより、この手順のほうが確実です。
手順1: 都道府県の環境部局を見る
「◯◯県 蓄電池 補助金」で検索し、.lg.jp で終わるドメインのページを開きます。都道府県によっては、県が直接助成するのではなく市町村を通じて配る形にしているところもあります。
手順2: 今年度の案内があるかを確認する
前年度の案内しか見つからない場合、次のどれかです。
- 今年度は募集していない
- まだ募集が始まっていない(年度初めの4〜6月に始まることが多い)
- 予算に達して既に終了した
「令和7年度」としか書かれていないページを見て「使える」と判断しないでください。
手順3: 市区町村を見る
都道府県と市区町村の両方に制度がある地域では、両方から受け取れることがあります。市区町村のほうが金額は小さいものの、太陽光とセットで加算があるなど条件が違うことも多いです。
手順4: 併給の可否を窓口で確認する
同じ設備に複数の助成を重ねられるかは制度ごとに違います。東京都の場合は「都および公社の同種助成金との重複受給禁止」が明記されています。市区町村の制度には「他の公的助成を受けている場合は対象外」と書かれているものもあります。電話1本で確認できることなので、金額の計算をする前に確かめてください。
手順5: 施工業者に「自治体の制度を使った実績があるか」を聞く
蓄電池を扱う施工業者は、地域の補助金制度に詳しいことが多いです。自分で1件ずつ自治体のサイトを調べるより、施工業者に「このエリアで使える補助金はありますか」と聞くほうが早いことがあります。 ただし施工業者の情報が最新とは限らないため、最終的には自治体の公式サイトで裏を取ることをおすすめします。過去にその自治体の制度で申請実績がある業者であれば、必要書類の準備もスムーズに進みやすくなります。
次の年度に備えるなら、何月から動くか
いま国の制度が閉じていて、自治体の制度も予算が残り少ないという地域にお住まいの場合、次年度を待つという選択があります。その場合のスケジュール感を書きます。
ただし、次年度に同じ制度が実施される保証はありません。 国の補助金は毎年の予算編成で決まるもので、金額も要件も変わりますし、そもそも実施されない年もあります。以下は「例年こう動く」という目安として読んでください。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 11月〜12月 | 国の補正予算が編成される。ここで翌年に執行される事業の枠が決まる |
| 1月〜2月 | 自治体の予算案が公表され始める。東京都は令和8年度分を2月18日に公表しました |
| 3月 | 国の事業の公募が始まることが多い(DR家庭用蓄電池事業は2026年3月24日開始) |
| 4月〜5月 | 自治体の要綱が公開される。東京都は実施要綱4月中旬、交付要綱5月中旬の予定と公表 |
| 5月末〜6月 | 自治体の事前申込・交付申請の受付が始まる(東京都は事前申込5月29日、交付申請6月30日) |
| 以降 | 予算に達し次第、随時終了 |
動くべきタイミングは「受付開始の直後」です。 国のDR補助金が2か月で閉じたことからも分かるとおり、年度末まで待っていると枠がありません。
現実的な準備としては、次の3つを受付開始前に済ませておくことになります。
- 施工業者を決め、見積もりを取っておく。 事前申込には機器の型番や見積もりが必要になります
- 対象機器かどうかを確認しておく。 東京都の場合、SII登録機器であることが要件で、令和8年10月1日以降の事前申込からは対象機器の範囲がさらに絞られます
- 支払い方法を振込かカードにしておく。 東京都は令和8年度から現金取引を助成対象外にしました
制度を比べるときに見るべき5項目
複数の制度を比較するとき、上限額だけを見比べても判断はつきません。実際に受け取れる額と、申請できるかどうかを分けるのは次の5項目です。
| 見る項目 | なぜ見るのか | 国のDR事業(2026年) | 東京都(令和8年度) |
|---|---|---|---|
| 上限額 | 受け取れる最大値 | 1申請あたり60万円 | 新設120万円/戸 |
| 単価の決まり方 | 自分の容量でいくらになるか | 機器の容量・区分に応じた算定 | 10万円/kWh(新設) |
| 太陽光の要否 | 蓄電池だけで申請できるか | 太陽光は必須要件ではない | 設置済・同時設置、または再エネ電力メニュー契約 |
| 申請の順序 | いつ契約してよいか | 交付決定前の着手は不可 | 事前申込の後に契約 |
| 受付終了の条件 | いつまでに動くか | 予算到達で終了(実際に5月29日終了) | 予算到達で終了 |
上限額が大きくても、単価が小さければ実際の受取額は伸びません。 逆に単価が大きくても上限が低ければ、大容量を入れる意味は薄れます。自分が入れようとしている容量を先に決めて、その容量で計算した額を制度ごとに比べるのが正しい順序です。
たとえば9.8kWhの蓄電池なら、東京都では10万円/kWh×9.8=98万円で上限120万円に達しないので、単価がそのまま効きます。16kWhなら164万円の計算になりますが上限に当たって120万円です。容量が上限に届くかどうかで、比較の結論が変わります。
蓄電池の補助金でつまずきやすい5つのこと
制度が変わっても、落とし穴の場所はあまり変わりません。
①契約してから申請しようとする
多くの制度で、申請(または事前申込)が契約より先です。「工事が終わってから領収書を出せばよい」という制度ではありません。 契約書の日付が申請日より前だと、それだけで対象外になります。
②型番が対象機器一覧に載っていない
蓄電池は同じメーカー・同じ容量でも、型番が違うと登録の有無が変わります。施工業者に「この補助金の対象機器か」を型番で確認してもらってください。
③太陽光の有無で要件が変わることを知らない
東京都のように「太陽光が無い場合は再エネ電力メニューの契約が必要」といった代替要件を持つ制度もあれば、太陽光との同時設置を必須にしている制度もあります。
④DR(デマンドレスポンス)の継続義務を見落とす
国のDR家庭用蓄電池事業では、DR契約またはDRメニューの継続が2028年3月31日まで求められていました。補助金を受け取った後にも義務が残る制度があるという点は、契約前に確認すべきところです。
⑤自治体の予算枠が年度末より早く尽きる
「令和9年3月31日まで」と書かれていても、それは予算が残っていればの話です。国の事業も、当初は2026年12月10日までの予定でありながら5月29日に閉じました。受付期間の終了日は「最長でここまで」という意味であって、「その日まで確実に申請できる」という意味ではありません。「予算がなくなり次第終了」と書かれている制度は、期限より先に閉まると考えてください。
蓄電池の補助金は今後どうなるか
見通しについて断定はできませんが、公表されている事実から言えることが2つあります。
1つは、国の制度がDR(需給調整への活用)を条件にする方向にあること。 2026年に実施された国の事業は「DR家庭用蓄電池事業」という名前のとおり、蓄電池を単に家庭の非常用電源として使うのではなく、電力系統の需給調整に使えることを条件にしていました。単に蓄電池を買うだけで補助が出る制度ではなくなってきています。
もう1つは、東京都がDR実証への参加を上乗せの形で誘導していること。 令和8年度に単価を12万円/kWhから10万円/kWhへ見直す一方、DR実証参加に+10万円/件、IoT機器に5万円/台という上乗せを新設しました。都は令和8年度の変更点として「DR実証参加促進のため支援を拡充」と明記しています。
つまり国も都も、蓄電池を「系統に貢献する資産」として扱う方向で制度を設計しています。 これから導入する方は、DRへの参加を前提に機器と契約を選ぶほうが、受け取れる額は大きくなる可能性が高いと言えます。
よくある質問
2026年に国の蓄電池補助金は使えますか?
いいえ、これから新たに申請することはできません。国の「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」は2026年3月24日に交付申請の受付を開始し、当初は2026年12月10日までの予定でしたが、2026年5月29日に交付申請額の合計が予算に達したことが確認され、公募が終了しました。 予算規模は54億円程度でした。2026年後半に蓄電池を導入する場合は、お住まいの都道府県・市区町村の制度を確認することになります。
「令和7年度補正」と書いてあるのに2026年の制度なのはなぜですか?
国の補助金は予算の年度で名前が付くためです。令和7年度(2025年度)の補正予算で組まれた事業が、2026年になってから執行されます。名前の年度と、実際に申請する年は1年ずれることがよくあります。「令和7年度補正」とあっても2026年に使う制度なので、古い情報として読み飛ばさないでください。
国の補助金が終わったら、蓄電池の設置は待ったほうがよいですか?
一概には言えません。お住まいの地域によっては、自治体の制度のほうが国より金額が大きいためです。たとえば東京都の令和8年度の助成は新設で上限120万円/戸と、国の60万円の2倍です。まずお住まいの都道府県・市区町村の制度を確認し、そこで十分な額が出るなら待つ理由はありません。逆に自治体の制度が無い、または既に予算が尽きている地域では、次年度の受付開始(例年3〜6月頃)を待つ判断もあります。ただし次年度に同じ制度が実施される保証はありません。
補助金の受付はいつ始まりますか?
制度によって違います。国の事業は3月頃に始まることが多く、2026年のDR家庭用蓄電池事業は3月24日開始でした。自治体は年度が始まってからで、東京都の令和8年度事業は事前申込が5月29日、交付申請兼実績報告が6月30日開始です。いずれも「予算に達し次第終了」なので、受付開始の直後に動けるよう、見積もりと機器の選定を先に済ませておくことをおすすめします。
太陽光と蓄電池、どちらの補助金を先に使うべきですか?
制度によっては同時に設置することが要件になっているため、「どちらが先か」ではなく「どう組み合わせるか」で考えることになります。東京都の場合、蓄電池の助成は太陽光の設置済または同時設置が原則の要件で、太陽光にも別枠の助成(既存住宅3.75kW以下で15万円/kW、上限45万円)があります。両方を同時に検討したほうが、要件を満たしやすく、受け取れる額も大きくなります。
DR(デマンドレスポンス)に参加すると、何か制約はありますか?
制度によって内容は異なります。国の令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業では、アグリゲーター型ならDR契約の締結、小売型ならDRメニューへの加入が必要で、2028年3月31日までの継続が求められていました。東京都の令和8年度事業ではDR実証への参加が上乗せ(+10万円/件)の条件になっています。参加すると受け取れる額は増えますが、契約や機器(IoT機器の設置など)の条件が付きます。具体的な制約は、参加する事業者の契約内容を申し込み前に確認してください。
