Airレジは無料。だから補助金でお得になる、と思っていないでしょうか。ここを取り違える人が多いんです。あなたの店でレジ環境を整えたいなら、まず知っておくべき線引きがあります。
結論から言うと、Airレジ本体は初期費用も月額費用も0円。そのままでは補助対象経費にできません。支払いが発生していない費用は、補助のしようがないからです。一方、Airレジオーダーなどの有料オプションや、レジ・タブレット・券売機といった周辺ハードは対象になりえます。軸になるのは3制度。「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」「小規模事業者持続化補助金」「中小企業省力化投資補助金」です。
Airレジは補助金の対象になる?【結論と3つの制度】
補助金が補助するのは「実際に支払いが発生した費用」です。Airレジ本体は初期費用0円・月額費用0円。計上できる費用がそもそもありません。
一方、レジ環境を整えるときに検討する次のようなものは、制度によって対象になりえます。
| 検討している投資 | 対象になりうる制度 | 位置づけ |
|---|---|---|
| Airレジオーダー・Airシフトなど有料オプション、その他の会計・受発注ソフト | デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 登録済みITツールであることが前提 |
| POSレジ+周辺什器を含めた「販路開拓の取組」全体 | 小規模事業者持続化補助金 | 業務効率化ツールの一つとして計上 |
| セルフレジ・自動券売機・自動精算機などハード中心の投資 | 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) | 事務局カタログ登録製品であることが前提 |
それぞれの制度で、何が対象になりうるか、いくらもらえるかを詳しく見ていきましょう。
制度①デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
「IT導入補助金」は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」になりました。旧名称で検索して出てくる要件や締切は、そのまま使えません。対象の中心はソフトウェア・クラウドサービス=「ITツール」です。登録済みのIT導入支援事業者を通じて、登録済みのITツールを選ぶ仕組み。好きなツールを自由に選べるわけではありません。
Airレジまわりで対象になりうるもの
- Airレジオーダー(テーブルオーダー・モバイルオーダー)やAirシフト(シフト管理)など、月額利用料が発生する有料オプションサービス
- 会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つ、その他のPOSレジ・会計ソフト
- インボイス枠で対象ソフトとセット導入する場合の、PC・タブレット、レジ・券売機等のハードウェア(上限あり)
無料ツール単体は計上できませんが、有料オプションやハードとの組み合わせなら検討の余地があります。ただし「登録済みITツール」一覧の中身は年度・時期で変わります。中小機構の公式ポータル「ITツール検索」で必ず事前に確認してください。
| 枠 | 補助額の目安 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠(1プロセス以上) | 5万円〜150万円未満 | 1/2以内 |
| インボイス枠(インボイス対応類型・50万円以下部分) | 〜50万円 | 3/4以内(小規模事業者は4/5以内) |
| インボイス枠(インボイス対応類型・50万円超〜350万円以下部分) | 50万円超〜350万円 | 2/3以内 |
| インボイス枠(ハードウェア加算・PC/タブレット等) | 上限10万円 | 1/2以内 |
| インボイス枠(ハードウェア加算・レジ/券売機等) | 上限20万円 | 1/2以内 |
申請受付は2026年3月30日から。直近の1次締切は2026年8月25日(火)17:00です。年に複数回締切がある「ローリング公募」なので、今回に間に合わなくても次回に回せます。
制度②小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、POSレジ単体ではなく「レジを含めた販路開拓・業務効率化の取組」の一部として位置づけると対象になりえます。第20回は補助上限250万円(基本額+特例加算)、補助率2/3。申請受付は2026年11月5日、締切は12月15日17:00です。
- 業務効率化ツール: POSレジ・予約管理システムの導入
- 店舗改装・設備: レジ周りの動線改善、テイクアウト用什器の設置など
- 販促・集客: 新しいメニュー表や看板と合わせたレジ環境の刷新
レジや什器の入れ替えが対象になるかは、はっきり白黒つくものばかりではありません。同じ入れ替えでも、販路開拓との結びつきを事業計画で具体的に示せるかどうかで結論が変わります(実際に販路開拓につながる取組であることが前提です)。
制度③中小企業省力化投資補助金
セルフレジ・自動券売機・自動精算機などハード中心の投資なら、中小企業省力化投資補助金の「カタログ注文型」です。対象は事務局の製品カタログに登録済みの汎用製品。店舗・施設向けの「セルフ対応型機器」カテゴリに券売機や自動精算機が含まれます。申請から交付決定まで概ね1〜2か月と速いのも特徴です(交付決定とは、採択の後に届く「補助金を出します」という正式な通知のことです。この通知より前に発注・契約した費用は対象外になります)。
| 従業員数 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(賃上げ時) | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 5人以下 | 200万円 | 300万円 | 1/2以下 |
| 6〜20人 | 500万円 | 750万円 | 1/2以下 |
| 21人以上 | 1,000万円 | 1,500万円 | 1/2以下 |
カタログ注文型の上限額は2026年3月19日の制度改定で引き下げられました。 5人以下は500万円→200万円、6〜20人は750万円→500万円です。改定前の金額を載せている記事が多いので注意してください。
カタログ注文型は随時受付(締切なし)のため、思い立ったタイミングで検討を始められます。カタログに載っていないオーダーメイドの設備が必要な場合は「一般型」も選択肢です。ただし一般型は第7回(2026年7月31日締切)がすでに終了し、第8回は2026年9月中旬受付開始・10月中旬締切の予定です。詳しくは省力化投資補助金の第7回締切は終了。今から動くなら第8回で解説しています。
いくらになる?業態別・店舗規模別のモデルケース
同じ「レジを整えたい」でも、業態と規模で使う制度も金額もまったく変わります。4つのモデルケースで見てみましょう(各制度の原則の補助率で計算した例です。実際の可否・金額は申請時点の登録状況と審査で変わります)。
① 個人経営のカフェ(従業員2人・デジタル化・AI導入補助金インボイス枠) Airレジ本体は無料のまま使い続けつつ、有料のAirレジオーダー(モバイルオーダー)とキャッシュレス決済連携ソフトを導入したい。見積もりは40万円(インボイス枠・50万円以下部分、ソフトウェア部分のみ)。 → 従業員2人=小規模事業者にあたるため補助率4/5(小規模事業者とは、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者のことです)。40万円 × 4/5 = 32万円の補助。自己負担8万円で、注文と会計の効率化を同時に進められます(Airレジオーダー等が申請時点で登録済みITツールであることが前提)。
② 雑貨小売店(従業員4人・持続化補助金) 古くなったレジ台とテイクアウト用の陳列什器を入れ替え、あわせてPOSレジと連動する在庫管理システムも導入したい。見積もりは75万円。 → 75万円 × 2/3 = 50万円の補助(基本枠の上限に到達)。自己負担25万円で、レジ環境と什器を一新できます。
③ 複数店舗展開の定食チェーンの一店舗(従業員18人・省力化投資補助金カタログ注文型) ランチタイムの行列を解消するため、カタログ掲載のセルフレジ2台と自動券売機1台をまとめて導入したい。見積もりは750万円(従業員18人は「6〜20人」区分)。 → 750万円 × 1/2 = 375万円の補助(上限750万円の範囲内)。 賃上げ要件(事業場内最低賃金3.0%以上増加)を満たせば、上限は1,000万円へ。店で一番時給の低い人が1,050円なら、1,082円以上にするということです。増えた枠で、需要予測にもとづく仕入れ管理システムまで追加導入できます。
④ 個人経営の美容室(従業員1人・スタッフ含め3人・デジタル化・AI導入補助金インボイス枠) Airレジ本体はそのまま使い、有料のAir予約連携ツールと、会計時に使うレジ用タブレット2台を新規導入したい。見積もりは35万円(ソフト25万円+タブレット2台10万円)。 → 従業員3人=小規模事業者にあたり補助率4/5。ソフト部分25万円 × 4/5 = 20万円、ハードウェア加算(PC・タブレット等、上限10万円)は実費10万円が上限内で全額対象。合計で30万円の補助。自己負担5万円で、予約とレジの両方をデジタル化できます。
「何を導入したいか」で合う制度が変わります。ソフト中心ならデジタル化・AI導入補助金。店全体の取組ならば持続化補助金。ハード中心なら省力化投資補助金です。
都道府県・市区町村の上乗せ補助も確認する
国の3制度に加えて、都道府県・市区町村が独自にレジ・POS導入やキャッシュレス化を支援している場合があります。 商店街のキャッシュレス化を後押しする補助金や、小規模事業者のDX投資に上乗せする制度など、内容は自治体によってさまざまです。国の補助金と自治体の制度は、対象経費が重複しなければ併用できることもあります。導入を検討する店舗の所在地の商工会議所・商工会、または自治体の産業振興担当課に、Airレジ関連の投資が対象になる制度がないか確認しておくと、実質負担がさらに下がる可能性があります。
承認までの重要なタイミングと必要書類
「何が必要か」より「いつ何が必要か」。この順で押さえるとスケジュールが組めます。3制度に共通する主なタイミングは次のとおりです。
| タイミング | やること | 必要になるもの |
|---|---|---|
| 導入を決めたらすぐ | GビズIDプライムアカウントを取得する(電子申請にはどの制度もこのIDが必須。発行までおおむね2週間) | マイナンバーカードや印鑑証明書等の本人確認書類 |
| 申請前(デジタル化・AI導入補助金) | IT導入支援事業者に相談し、登録済みのITツール(有料オプション等)を選定する。SECURITY ACTION宣言も必要 | 導入したい業務内容の整理、見積もり |
| 申請前(持続化補助金) | 商工会議所・商工会に相談し「事業支援計画書(様式4)」を発行してもらう(申請締切より前の隠れ期限) | 経営計画書・補助事業計画書の下書き |
| 申請前(省力化投資補助金カタログ注文型) | 製品カタログから対象製品を選び、販売事業者と共同で事業計画を策定する | 共同事業計画、製品・販売事業者の選定資料 |
| 各制度の締切まで | 電子申請システムで申請 | 事業計画書、見積書、その他制度ごとの必要書類 |
| 交付決定後 | 事業実施(契約・導入・支払い) | 契約書・見積書・請求書・領収書などを保管 |
| 事業終了後 | 実績報告 → 補助金の入金 | 実績報告書、支払いを証明する証憑 |
特に注意したいのが、交付決定より前の発注・契約はどの制度でも対象外になること(いわゆる「フライング発注」)。レジを急ぎたくても、交付決定を待ってから発注する。この順番だけは崩せません。
申請前チェックリスト
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
POSレジを補助金前提で選ぶときのチェックポイント
Airレジに限らず、これから複数のPOSレジを比較検討する場合、補助金の使いやすさで見るべきポイントがあります。
- デジタル化・AI導入補助金の「登録済みITツール」に含まれているか: 対象外のツールを選ぶと、いくら優れた機能でも補助金は使えません。中小機構の「ITツール検索」で事前に確認します
- 有料オプションの月額料金体系: 補助対象になるのは実際に支払いが発生する部分だけです。無料プランのままでは対象経費がありません
- 周辺ハードとのセット導入が可能か: レジ本体・タブレット・券売機まで含めてまとめて導入すると、インボイス枠のハードウェア加算が使いやすくなります
- 販売代理店・IT導入支援事業者がサポートしているか: 申請書類の作成には手間がかかります。導入支援事業者が申請サポートまで対応しているかを確認しておくと、事務負担が減ります
補助金の対象になるかどうかは、レジそのものの機能ではなく「登録状況」と「支払いの有無」で決まります。多機能なレジを選ぶよりも、まず自分が使いたい有料オプションが登録済みツールに入っているかを確認するほうが、補助金活用の近道です。
「うちの店でも対象?」対象事業者の考え方
3制度とも、対象になるのは資本金または常時使用する従業員数のいずれかが、業種ごとの基準以下の中小企業・小規模事業者等です。
| 業種 | 資本金の基準 | 従業員数の基準 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| 製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業(ソフトウェア業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
さらに、常時使用する従業員が商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)で5人以下、それ以外の業種で20人以下なら「小規模事業者」です。デジタル化・AI導入補助金のインボイス枠(4/5)や持続化補助金の特例で有利になります。
例: フルタイム1人+短時間パート2人の個人経営カフェ(店主は個人事業主) → 小売業の基準は「資本金5,000万円以下または従業員50人以下」。店主本人と短時間パートは「常時使用する従業員」に数えないケースが多く、基準を大きく下回ります。中小企業者・小規模事業者として対象になる可能性が高い例です。最終判断は各制度の窓口(IT導入支援事業者・商工会議所・商工会・認定経営革新等支援機関)で確認してください。
よくある質問
Airレジは補助金で無料になりますか?
いいえ。Airレジ本体は初期費用・月額費用ともに0円で、計上する費用がありません。補助金が効くのは、有料オプション、レジ・タブレットなど周辺ハード、店全体の販路開拓の取組を対象にする持続化補助金などです。
どの制度を使えばいいか、一番簡単な見分け方はありますか?
目安はこうです。ソフト・クラウド中心ならデジタル化・AI導入補助金。レジ・什器を含めた店全体の取組なら小規模事業者持続化補助金。セルフレジ・券売機などハード中心なら中小企業省力化投資補助金。実際に使えるかは、対象ツールの登録状況と事業計画の内容で変わります。
個人経営の小さな店でも対象になりますか?
はい。小売業・サービス業の基準(資本金5,000万円以下または従業員50人以下、小規模事業者は5人以下)に収まる個人経営店・小規模店は、3制度いずれも対象になりえます。詳しい判定は各制度の窓口で確認してください。
Airペイなど他のレジ・決済サービスも同じ考え方ですか?
はい。「本体・アプリが無料で、有料オプションやハードだけ支払いが発生する」という料金体系のサービスは、Airレジと同じ考え方が当てはまります。本体が無料である限り、そこには対象経費が発生しません。有料オプションや周辺ハードの部分だけを、登録済みITツールかどうか、どの制度の対象になるかで検討することになります。導入を検討しているサービスの料金体系を、まず確認しておきましょう。
すでにAirレジ本体を導入済みですが、あとから補助金を申請できますか?
本体自体は無料のため、あとから申請する対象経費はありません。ただし、これから有料オプション(Airレジオーダー・Airシフト等)を追加導入する場合、その追加分は新たに補助金の対象として検討できます。すでに導入済みの本体とは切り離して、追加投資分だけを申請する形になります。
有料オプションを複数まとめて導入した方が補助金は使いやすいですか?
一概には言えません。デジタル化・AI導入補助金は下限額が設定されている枠があるため、複数のオプションをまとめることで下限を超えやすくなる面はあります。一方で、まとめて導入すると初期費用も増えるため、まず必要な機能を絞り込み、そのうえで補助対象になる組み合わせを検討するほうが無駄がありません。
