中小企業省力化投資補助金〈一般型〉第7回の申請受付は、2026年7月31日17:00に終了しました。「締切」で検索してこの記事にたどり着いた方は、残念ながら第7回にはもう間に合いません。ただし、次の第8回がすでに動き出しています。今から準備すれば十分間に合う日程です。
第7回はもう終了。今の公募状況
まず現在の状況を正確に押さえておきましょう(2026年9月9日時点の一次情報にもとづきます)。
- 第7回(一般型): 2026年7月1日10:00〜2026年7月31日17:00で申請受付終了。この記事を読んでいる時点で、新規の申請はできません
- 第8回(一般型): 2026年8月18日に公募要領が公開済み。申請受付は2026年9月中旬開始、締切は2026年10月中旬(いずれも予定)。採択発表は2027年2月上旬の予定です
第8回はまだ受付が始まっていません。今のうちに準備しておけば、受付開始と同時に出せます。
第7回で終わったことに変わりはないか
第7回に応募していた方、応募を検討していて間に合わなかった方向けに補足します。
- 第7回で採択された事業者は、通常どおり交付決定・事業実施・実績報告と進みます。この記事の対象外です
- 第7回に応募できなかった、あるいはそもそも締切を逃した事業者は、次は第8回に照準を合わせます
- カタログから選ぶ「カタログ注文型」は締切がなく随時受付です。一般型の第8回を待たずに、今すぐ動ける選択肢として検討する価値があります
第8回はいくらもらえる?上限額は第7回から変更なし
補助上限額・補助率は、第7回から変更されていません。従業員規模で5段階に分かれます。
| 従業員数 | 補助上限額(通常) | 大幅賃上げ特例時 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 | 1/2(小規模企業者は2/3) |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 | 1/2(小規模企業者は2/3) |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 | 1/2(特例達成で2/3) |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 | 1/2(特例達成で2/3) |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 | 1/2(特例達成で2/3) |
「最大1億円」は、従業員101人以上かつ大幅賃上げ特例を満たした場合の上限です。まずは自社の規模がどの段差に当たるか、ここで確認しておきましょう。
業種別・活用イメージ
一般型は業種を問いません。3つの業種で、投資規模と補助額のイメージを見てみましょう(従業員規模ごとの補助率で計算した例です)。
① 食品製造業(従業員6〜20人、基本上限1,500万円) 手作業中心だった惣菜の盛り付け・パック詰め工程に、自動盛り付けロボットと自動包装機を導入したい。見積もりは3,000万円。 → 3,000万円 × 1/2 = 1,500万円の補助(基本上限に到達)。パート従業員の盛り付け作業が省力化され、繁忙期の欠員リスクも減らせます。
② 運送業(従業員21〜50人、基本上限3,000万円) 手書き伝票と目視での積み込み確認をしていた倉庫に、自動仕分けシステムと在庫管理システムを導入したい。見積もりは6,000万円。 → 6,000万円 × 1/2 = 3,000万円の補助(基本上限に到達)。仕分けミスの削減と、荷役担当者の残業時間の圧縮が見込めます。
③ 小売業(従業員5人以下・小規模企業者、上限750万円・補助率2/3) レジ締めと発注業務を店主が深夜まで手作業でこなしていた店舗に、AIによる自動発注システムとセルフレジを導入したい。見積もりは1,125万円。 → 1,125万円 × 2/3 = 750万円の補助(上限に到達)。店主の発注業務の時間が減り、接客に充てる時間を増やせます。
第8回で変わった点
第7回と全く同じではありません。中小企業庁の公募要領公開告知によると、第8回では次の点が見直されています。
- 労働生産性・給与支給総額の算定に使う「基準年度」が変更されました。自社の伸び率を計算する起点が変わるため、第7回時点の試算をそのまま使い回せません
- 補助事業の完了を待たずに行う「足下の賃上げ」が審査項目として明記されました。事業実施前の賃上げの取組みも評価対象になります
- 補助事業実施期間や最低賃金引き上げに関する加点条件も見直しがあります
補助上限額・補助率という「もらえる額」は変わっていませんが、審査の見られ方は変わっています。 第7回向けに準備していた事業計画をそのまま使い回さず、最新の公募要領で確認してください。
第8回に向けて今からやること
受付開始(9月中旬予定)まで、準備できることがあります。優先度の高い順に並べます。
- GビズIDプライムの取得状況を確認する: 未取得なら最優先。発行に数日〜1週間程度かかることがあります
- 従業員規模を確認し、上限額の段差を把握する: 上の表で自社の区分を確認します
- 基準年度の変更を踏まえて事業計画を練り直す: 労働生産性・給与総額の算定起点が変わったため、第7回向けの試算をそのまま使わないようにします
- 基本要件を満たせるか点検する: 労働生産性+4.0%以上、給与総額+3.5%以上、最低賃金+30円以上が目安です
- 見積書・仕様書を揃える: 導入する設備・システムの見積を早めに取ります
- 電子申請システムへ前倒しで提出する: 受付開始直後・締切直前はアクセスが集中します
4番の基本要件は、自社の数字に置き換えると重さが見えます。最低賃金+30円は、フルタイム1人あたり月160時間として月4,800円、年5.76万円。対象が10人なら年58万円です。給与総額+3.5%は、従業員10人・平均年収300万円(総額3,000万円)の会社で年105万円の増額にあたります。どちらも一度上げたら戻せません。設備でどれだけ手が空くかを、先に数字で見積もってください。
21人以上の会社が見落としがちな要件
従業員21人以上の事業者には、もう一つ要件があります。育成支援関連の行動計画の策定・公表です。
規模が大きい会社ほど、この要件を後回しにしがちです。受付開始が近いほど、先に確認すべき要件です。
承認までの重要なタイミングと必要書類
第8回の受付開始(9月中旬予定)から着金までの主なタイミングは、次のとおりです。
| タイミング | やること | 必要になるもの |
|---|---|---|
| 今すぐ | GビズIDプライムを取得する(未取得の場合。発行に数日〜1週間) | マイナンバーカード等の本人確認書類 |
| 受付開始前 | 事業計画を策定する(基準年度の変更を反映) | 労働生産性・給与総額の算定資料、決算書等 |
| 受付開始(9月中旬予定)〜締切(10月中旬予定) | 電子申請システムで応募 | 事業計画書、見積書、必要な添付書類一式 |
| 2027年2月上旬(予定) | 採択発表 → 交付決定 | ― |
| 交付決定後 | 補助事業実施(発注・契約・支払い) | 契約書・見積書・請求書・領収書等 |
| 事業終了後 | 実績報告 → 精算払 | 実績報告書、支払いを証明する証憑 |
交付決定より前に発注・契約した費用は対象外です。受付開始と同時に申請できるよう、事業計画とGビズIDだけは先に済ませておきましょう。
一般型で対象になる経費
一般型は、現場の課題に合わせたオーダーメイドの設備投資が対象です。次のような経費が計上できます。
- 機械装置・システム構築費(IoT機器・ロボット・専用ソフトウェアの導入費など)
- 運搬費
- 技術導入費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
「省力化」という言葉のとおり、人手で行っていた作業を機械・システムに置き換える投資であることが前提です。単なる旧型設備の入れ替えや、性能を変えない更新は対象になりにくく、「何にどれだけ人手がかかっていて、それがどう減るか」を数字で示す必要があります。
一般型とカタログ注文型、どちらを選ぶべきか
省力化投資補助金には、一般型のほかに「カタログ注文型」があります。どちらを選ぶべきかは、投資の中身で決まります。
| 一般型 | カタログ注文型 | |
|---|---|---|
| 対象設備 | オーダーメイドの設備・システム | 事務局の製品カタログに登録済みの汎用製品 |
| 締切 | 年3〜4回の公募(第8回は10月中旬締切予定) | 随時受付(締切なし) |
| 審査期間の目安 | 数か月(事業計画の内容審査) | 1〜2か月 |
| 上限額 | 最大1億円 | 最大1,500万円 |
| 向いている投資 | 現場専用の設備・システム構築 | 券売機・自動精算機・清掃ロボットなど汎用製品 |
「今すぐ動きたい」「カタログに載っている製品で足りる」なら、締切を待たずカタログ注文型を検討する価値があります。逆に、自社の現場に合わせた専用の設備・システムが必要で、投資規模も大きいなら一般型が向いています。
一般型とカタログ注文型の違いは、中小企業省力化投資補助金とは?一般型とカタログ注文型の違いで詳しく解説しています。
カタログ注文型で今すぐ動く場合のシミュレーション
一般型の第8回を待てない場合、カタログ注文型でどれくらいの投資ができるか見ておきましょう。
清掃業(従業員6〜20人、上限750万円) オフィスビル清掃を手作業で行っていた事業者が、カタログ掲載の自動床洗浄ロボット2台を導入したい。見積もりは1,500万円。 → 1,500万円 × 1/2 = 750万円の補助(上限に到達)。夜間清掃にかかっていた人員を減らし、他の現場への人員配置に回せます。
カタログ注文型は事務局の製品カタログから選ぶ仕組みのため、導入したい設備がカタログに載っているかを先に確認しておく必要があります。載っていなければ、一般型での申請を検討することになります。
焦って中身を薄くしない
締切が近づくと、「出すこと」が目的になりがちです。ここが落とし穴です。
一般型は、カタログから選ぶ「カタログ注文型」と違い、事業計画書の内容そのものが審査の対象です。受付開始まで時間があるうちに、「何のためにこの設備投資をするのか」を丁寧に詰めることが大切です。ここを薄くすると、期限に間に合っても採択には届きません。
労働生産性はどう計算するか
省力化投資補助金の基本要件でカギになるのが「労働生産性」です。計算式は次のとおりです。
労働生産性 = (営業利益 + 人件費 + 減価償却費)÷ 年間総労働時間
この数値を、事業計画期間中に年平均+4.0%以上向上させることが基本要件の一つです。 「省力化」という言葉から設備の性能向上だけをイメージしがちですが、実際に問われるのは「投入した労働時間に対して、どれだけ多くの付加価値を生み出せるようになるか」です。
具体例で見てみましょう。営業利益500万円、人件費2,000万円、減価償却費300万円、年間総労働時間20,000時間の事業者の場合、労働生産性は(500万円+2,000万円+300万円)÷20,000時間=1,400円/時間です。これを+4.0%向上させるには、同じ労働時間でより多くの利益を生むか、同じ利益をより短い労働時間で生む必要があります。省力化投資によって「浮いた時間」を、他の付加価値の高い業務に振り向けられるかどうかが、この数値を左右します。
給与総額の伸び率、どう試算するか
基本要件のもう一つの柱が「給与総額+3.5%以上」です。これは事業場内最低賃金とは別に、従業員全員の給与総額の合計で見られます。
具体例で見てみましょう。従業員10人、1人あたり平均年収300万円(給与総額3,000万円)の会社が、+3.5%の要件を満たすには、給与総額を3,105万円まで引き上げる必要があります。差額は105万円。これを10人で均等に配分すると、1人あたり年10.5万円、月にすると約8,750円の昇給にあたります。
この試算を、省力化投資でどれだけ利益が増えるかと突き合わせておくことが重要です。 設備投資によって浮いた人件費・時間外労働の削減分が、この昇給分をまかなえる見込みかどうかを、事業計画の段階で確認しておきましょう。無理な賃上げ計画を立てると、採択後に実現できず、補助金の返還を求められるリスクがあります。
よくある質問
第7回の締切2026年7月31日17:00に、まだ間に合いますか?
いいえ。第7回の申請受付はすでに終了しています。今から動くなら、2026年9月中旬に受付が始まる第8回が対象です。
第8回はいつ締め切られますか?
2026年10月中旬(予定)です。正式な日時は公募要領の更新にあわせて確定するため、公式サイトで最新情報をご確認ください。
交付決定前に設備を発注しても間に合わせられますか?
原則、交付決定前の発注・契約は補助対象外です。締切に合わせるための前倒し発注は避ける必要があります。相見積もりの取得までは、交付決定前でも進めておけます。
今から準備を始めても第8回に間に合いますか?
受付開始(9月中旬予定)まで数週間あるため、GビズIDの取得と事業計画の準備を今すぐ始めれば十分間に合います。基準年度の変更点だけは、第7回向けの試算をそのまま使わず必ず確認してください。
カタログ注文型のほうが早いなら、一般型を使う意味はありますか?
あります。カタログ注文型は事務局の製品カタログに登録済みの汎用製品しか選べませんが、一般型は現場に合わせたオーダーメイドの設備・システムが対象です。投資規模が大きい、あるいは自社専用の設計が必要な場合は、締切があっても一般型を選ぶ価値があります。逆に、カタログに載っている製品で用が足りるなら、締切のないカタログ注文型のほうが早く動けます。
第7回で不採択になった場合、第8回に再チャレンジできますか?
はい。不採択の理由を踏まえて事業計画を練り直せば、第8回に再度応募できます。基準年度の変更や審査項目の見直しがあった第8回では、第7回で不採択になった計画をそのまま出し直すのではなく、変更点を反映した計画に作り直すことをおすすめします。
育成支援関連の行動計画とは、具体的に何をすればいいですか?
従業員の育成方針や研修計画などを文書としてまとめ、公表することを指します。従業員21人以上の事業者が対象です。策定・公表には一定の準備期間がかかるため、受付開始を待たず、今のうちに社内の育成方針を整理しておくと、申請直前に慌てずに済みます。
小規模企業者と中小企業者、補助率が違うのはなぜですか?
小規模企業者(従業員5人以下、商業・サービス業は5人以下が目安)は、事業規模が小さく自己資金の余力も限られやすいことから、通常の中小企業者より補助率が優遇されています。自社が小規模企業者に該当するかどうかで、同じ投資でも実質負担額が変わるため、申請前に自社の区分を確認しておくことが重要です。
一般型とカタログ注文型、両方に同時に申請できますか?
異なる設備投資であれば、それぞれ別々に申請することは可能です。ただし同一の設備・同一の投資に対して両方から補助を受けることはできません。一般型で申請する設備と、カタログ注文型で申請する設備を明確に分けておく必要があります。
中古設備の購入は対象になりますか?
対象になる場合とならない場合があります。中古設備は新品に比べて省力化効果の算定が難しく、公募要領で追加の条件(複数業者からの見積もり取得など)が定められていることがあります。中古設備の導入を検討している場合は、公募要領の該当箇所を必ず確認してください。
リース契約での設備導入も対象になりますか?
リース契約は、購入とは補助対象の考え方が異なります。ファイナンスリースなど契約形態によって扱いが変わるため、リースでの導入を検討している場合は、事前に事務局または専門家に確認しておくことをおすすめします。
複数事業所を持つ会社は、事業所ごとに申請できますか?
対象になるかどうかの判定は、事業所単位ではなく事業者単位(会社全体)で行われます。従業員規模も会社全体の人数で判定されるため、事業所ごとに別々の区分になることはありません。複数事業所への設備投資をまとめて1つの事業計画として申請することは可能です。
採択後、事業を継続しなければいけない期間はありますか?
はい。補助事業完了後も、一定期間の事業継続や生産性向上の状況報告が求められます。詳細な期間・報告内容は公募要領で定められているため、申請前に確認しておくと安心です。
補助金の交付決定通知が届くまで、どれくらいかかりますか?
締切から採択発表(第8回は2027年2月上旬予定)まで、数か月かかります。交付決定はさらにその後の手続きを経て通知されるため、着金までにはある程度の期間を見込んでおく必要があります。
申請準備にはどれくらいの期間が必要ですか?
GビズIDの取得だけで数日〜1週間、事業計画の策定にはさらに数週間かかることが一般的です。受付開始(9月中旬予定)を待たず、今のうちに準備を進めておくことで、受付開始と同時に申請できる状態を作れます。
見積書は何社分取ればいいですか?
対象経費の内容によっては、相見積もり(複数業者からの見積もり取得)が求められる場合があります。特に高額な設備投資では、1社だけの見積もりでは不十分と判断されることがあるため、早めに複数業者へ声をかけておくと安心です。
似た制度と迷ったら、一般型の基本から見直す方法もあります。
