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工場の補助金|新設は企業立地補助金、設備は国の補助金で考える

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工場の補助金を探すときは、まず「新しく建てたいのか」「今ある工場の設備を効率化したいのか」を分けて考える必要があります。この2つは使える制度がまったく異なります。

私は経営していた会社で、生産ラインの増設を検討したとき、「工場を建てる話」と「機械を入れる話」を別々に整理しないと、どの補助金にも当てはまらないことに気づきました。建物の話と設備の話を分けるだけで、探すべき制度がぐっと絞り込めます。

倉庫の建物・設備についての考え方は倉庫の補助金でも解説しています。倉庫と工場は「建物本体は対象外になりやすい」という原則が共通しますが、工場には新事業進出枠や企業立地促進補助金という例外があります。

工場の補助金でまず知っておきたい前提

工場で使える制度は、目的別に4つに整理できます。

  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金〈新事業進出枠〉:新しい事業への進出を伴う工場の新設・大規模改修(建物費が対象になり得る)
  • 自治体の企業立地促進補助金:工場・研究開発施設の新設・増設(固定資産投資額・雇用者数に応じた補助)
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金〈革新的新製品・サービス枠〉/中小企業省力化投資補助金:既存工場内の設備更新・生産ラインの効率化
  • 省エネ・非化石転換補助金〈設備単位型〉:老朽化した空調・ボイラー・コンプレッサー等の省エネ設備への更新

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金〈新事業進出枠〉

今の事業とは異なる新しい市場・高付加価値な事業への進出であれば、建物費または機械装置費のいずれかが必須経費になる新事業進出枠が使えます。工場の新設・大規模改修を伴う投資に対応した、数少ない国の制度です。

補助上限額は従業員規模で最大7,000万円(賃上げ特例時9,000万円)、補助率1/2〜2/3です。単純な工場の建て替え・老朽化対応では対象になりにくく、新しい製品ライン・新事業への進出という位置づけが必要です。制度全体の内容はものづくり補助金の内容と申請のコツにまとめています。

自治体の企業立地促進補助金

工場・研究開発施設の新設・増設を対象に、都道府県・市区町村が独自に補助する制度です。多くの自治体が実施しており、投下固定資産額(土地・建物・設備の取得額)に応じた割合を交付する仕組みが一般的です。

  • 固定資産投資額の5〜10%程度を交付する自治体
  • 新規雇用者数に応じて1人あたり一定額を加算する自治体
  • 上限額が数千万円〜数億円まで、自治体の規模で大きく異なる

着工前までに申請することが条件になっている自治体がほとんどです。土地取得や設計が固まった段階ではなく、計画の初期段階で自治体の窓口に相談してください。補助率・上限額は自治体ごとに制度設計が大きく異なるため、この記事では金額を一般化しません。工場を新設・増設する自治体の公式ページで、最新の要綱を必ず確認してください。

既存工場内の設備更新

工場を建て替えず、中の設備だけを更新・増強する場合は、次の制度が候補になります。

  • 中小企業省力化投資補助金〈カタログ注文型〉:事務局のカタログに登録された汎用製品(自動搬送ロボット・検査システム等)が対象。従業員規模で最大1,000万円(賃上げ時1,500万円)、補助率1/2以内
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金〈革新的新製品・サービス枠〉:オーダーメイドの生産設備が対象。従業員規模で最大2,500万円(賃上げ時3,500万円)、補助率1/2〜2/3

カタログに載っている汎用品で足りるならカタログ注文型、専用設計が必要ならものづくり補助金、という使い分けになります。

省エネ・非化石転換補助金〈設備単位型〉

工場の空調・ボイラー・コンプレッサー・産業ヒートポンプなど、汎用的な15区分の設備を高効率なものに更新する場合に使える制度です。補助率は事業タイプにより1/5〜1/2、下限額は30万円から申請できます。上限額は事業タイプにより1億〜3億円と、中小企業には規模が大きい面もありますが、電気代の削減効果が大きい老朽設備を多く抱える工場ほど検討する価値があります。

工場の目的別に見る補助金の狙い方

工場に関する投資は、目的によって使う制度がまったく変わります。まず自社の投資が次のどれに近いかを整理してください。

投資の目的使いやすい制度
生産能力を増やすため新工場を建てる自治体の企業立地促進補助金+新事業進出枠
老朽化した工場を同規模で建て替える対象になる制度は限られる(建て替えだけでは対象になりにくい)
生産ラインを自動化・省人化する中小企業省力化投資補助金・ものづくり補助金
電気代・燃料費を削減したい省エネ・非化石転換補助金〈設備単位型〉
新製品の生産のため工場内を改修する新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
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「老朽化した工場を、同じ規模・同じ用途で建て替えたいだけ」の投資は、多くの補助金の対象になりにくい点は正直にお伝えします。建て替えを機に、生産能力の増強や新事業への展開を計画に含められるかを検討してください。

補助金がおりるまでの資金繰りも考えておく

工場の新設・設備更新は投資額が大きく、補助金が実際に振り込まれるまでの資金繰りが特に重要になります。補助金は経費を立て替えて支払った後に交付される精算払いが基本で、着金までに半年〜1年以上かかることもあります。

  • 工場の新設・増設では、日本政策金融公庫や取引金融機関との協調融資を組む事業者が一般的です
  • 自治体の企業立地促進補助金は、投下固定資産額が確定してから交付される制度が多く、着金がさらに後ろ倒しになる傾向があります
  • 建物の建設と設備の導入を段階的に進める場合、それぞれの資金需要のタイミングを分けて金融機関に相談しておくとスムーズです

投資額が大きい工場案件ほど、補助金だけに依存しない資金計画を組んでおくことが重要です。 早い段階で金融機関・自治体の両方に相談することをおすすめします。

制度は年度ごとに変わる。申請前に必ず最新情報を確認する

補助金は年度ごと、公募回ごとに内容が見直されます。この記事に書かれている補助上限額・補助率も、公募回・年度が変われば変わる可能性があります。 特に次のような変化が起きやすい点に注意してください。

  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の枠構成・補助上限額
  • 中小企業省力化投資補助金の補助上限額・賃上げ特例の基準
  • 自治体の企業立地促進補助金の補助率・要件(予算状況によって年度途中で変更されることもあります)
  • 省エネ・非化石転換補助金の対象設備区分・省エネ要件

「以前調べたときと制度名が変わっていた」というケースも珍しくありません。 旧「ものづくり補助金」が「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合されたように、名称変更後は旧名称で検索して出てくる要件が使えなくなることがあります。申請前に必ず各事務局・自治体の公式サイトで最新情報を確認してください。

相談先に迷ったらどこに聞けばよいか

工場の補助金は制度が複数にまたがるため、どこに相談すればよいか迷う事業者も多くいます。目的別に相談先を整理しておきます。

  • 新設・増設の企業立地促進補助金:立地を検討している自治体の企業立地担当窓口(産業振興課等)に、計画の初期段階で相談する
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金:認定経営革新等支援機関(商工会議所・金融機関・税理士等)に事業計画の相談をする
  • 既存設備の省力化投資:中小企業省力化投資補助金の事務局、またはカタログ掲載メーカーに相談する
  • 資金繰り全般の相談:日本政策金融公庫や取引金融機関に、補助金・融資を組み合わせた資金計画を相談する

工場の新設・増設は関わる制度が多いため、1か所だけに相談して終わらせず、自治体・支援機関・金融機関を並行して回ることをおすすめします。 特に自治体の企業立地担当窓口は、着工前の早い段階で相談しておくことが重要です。

工場の投資判断をどう見極めるか

補助金の有無にかかわらず、工場への投資タイミングは経営判断として重要です。次のような兆候が出てきたら、投資を検討する時期といえます。

  • 受注が増えているのに生産能力が追いつかず、納期遅延が発生し始めている
  • 既存設備の老朽化で、稼働率・不良率が悪化してきている
  • 人手不足で、増員による対応が難しくなってきている
  • 電気代・燃料費の上昇が利益を圧迫している

「今のままでも回っているから」で投資判断を先延ばしにすると、機会損失や突然の設備故障で経営に大きな影響が出ることがあります。 兆候が出た段階で、補助金の公募スケジュール・自治体の企業立地促進補助金の予算状況と照らし合わせながら計画的に投資時期を決めることをおすすめします。

審査で評価されやすい書き方

工場の新設・設備投資の事業計画では、次のような要素を数字で示すと審査での説明力が増します。

  • 生産能力の増加見込み(現状の生産量に対し、どれだけ増えるか)
  • 新規雇用者数の見込み(企業立地促進補助金では加算要素になる自治体が多くあります)
  • 新製品・新事業による売上増加の見込み
  • 省エネ効果(電気代・燃料費の削減見込み)

「工場が手狭になったから」ではなく「これだけ生産能力が増え、これだけ雇用が生まれる見込み」という説明に組み立て直すことで、審査担当者・自治体担当者にとって判断しやすい事業計画になります。

工場の補助金でよくある勘違い

工場の補助金を調べる過程で、次のような勘違いが起きやすいので整理しておきます。

  • 「工場を建てれば何かしらの補助金が出る」という勘違い:建物本体は多くの制度で対象外です。新事業進出や企業立地促進補助金など、条件に合う制度でなければ建物費は対象になりません
  • 「企業立地促進補助金はどの自治体でも同じ内容」という勘違い:補助率・上限額・雇用要件は自治体ごとにまったく異なります。他の自治体の事例をそのまま自社に当てはめないでください
  • 「着工後でも間に合う」という勘違い:企業立地促進補助金の多くは着工前の申請が条件です。着工後に気づいて申請しても対象外になります
  • 「新事業進出枠は誰でも使える」という勘違い:創業1年未満の事業者は新事業進出枠の対象外です。今の事業と異なる市場・業態への進出という要件も満たす必要があります

工場立地で考慮すべき地域指定・区域指定

自治体の企業立地促進補助金の多くは、特定の区域(工業団地・産業立地促進区域等)への立地を条件にしています。

  • 区域外への立地は対象外、または補助率が下がる自治体が多くあります
  • 用途地域(都市計画法上の工業専用地域・工業地域など)によって、そもそも工場を建てられるかどうかが決まります
  • 一部の自治体では、既存の工業団地に空き区画がある場合、その区画への立地を優遇する制度を設けています

土地を取得する前に、自治体の企業立地担当窓口・都市計画担当窓口の両方に相談しておくと、後から「区域外だった」という事態を防げます。

工場の環境アセスメント・近隣対応も計画に含める

工場の新設・増設では、補助金の申請とは別に、環境面・近隣対応の手続きが必要になる場合があります。

  • 一定規模以上の工場は、環境影響評価(環境アセスメント)の対象になることがあります
  • 騒音・振動・排水に関する規制(工場立地法・各種公害防止条例)への対応が必要です
  • 近隣住民への説明会の開催を、自治体が立地補助金の条件にしている場合もあります

これらの手続きは補助金の交付決定とは別のスケジュールで進むため、全体の計画期間を見積もる際に織り込んでおく必要があります。

業種別のシミュレーション

金属加工業(従業員21〜50人・新工場建設)

既存工場が手狭になり、隣接する工業団地に新工場を建設して生産能力を増強するケース。土地・建物・設備の投資額は5億円です。自治体の企業立地促進補助金(固定資産投資額の5%・上限1,500万円の場合)で1,500万円が補助され、加えて新事業進出・ものづくり商業サービス補助金〈新事業進出枠〉(補助率1/2・基本上限4,000万円)を機械設備費に充てれば、さらに最大4,000万円が補助されます(対象経費を明確に分けた場合。同一経費への重複受給はできません)。

食品製造業(従業員15名・生産ライン増設)

既存工場内に自動計量・包装システムを増設するケース。設備投資額900万円のうち、中小企業省力化投資補助金〈カタログ注文型〉(従業員6〜20人区分・上限500万円)で、1/2補助の450万円が補助されます。自己負担は450万円まで下がります。

印刷業(従業員8名・省エネ設備更新)

老朽化したボイラー・空調設備を高効率機種に更新するケース。設備費600万円のうち、省エネ・非化石転換補助金〈設備単位型〉トップ性能枠(更新・補助率1/2)で300万円が補助されます。電気・ガス代の削減効果も見込めます。

樹脂加工業(従業員45名・検査工程の自動化)

不良品検出を目視に頼っていた検査工程を、AI外観検査システムに置き換えるケース。設備投資額2,800万円のうち、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金〈革新的新製品・サービス枠〉(従業員21〜50人・補助率1/2)で、基本上限1,500万円まで1,500万円が補助されます。賃上げ特例を使えば上限は2,500万円に広がり、検査工程だけでなく後工程の梱包ラインの自動化まで同じ計画に含められます。

工場の補助金で対象外にしないための注意点

  • 企業立地促進補助金は「着工前の申請」が条件の自治体が多い。土地取得前に相談を始める
  • 新事業進出枠を使うには「新しい事業」であることを事業計画で明確に示す
  • 建物費と設備費は見積もりを分けてもらう(対象になる制度が違うため)
  • 交付決定前に発注・契約・着工しない

申請の流れとタイミング

  1. 「新設・増設」か「既存工場内の設備更新」かを整理する
  2. 新設・増設なら、計画初期の段階で自治体の企業立地担当窓口に相談する
  3. GビズIDプライムを取得する(国の制度を使う場合)
  4. 各制度の申請システムから申請し、審査結果を待つ
  5. 採択・交付決定の通知を受け取ってから、契約・着工する
  6. 事業実施後、実績報告を提出する
  7. 実績報告の確認後、補助金が振り込まれる

交付決定前の着工・発注は、どの制度でも補助対象外になります。 特に企業立地促進補助金は着工前の申請が前提のため、土地取得や設計と並行して早めに動く必要があります。

よくある質問

工場の建物本体は補助金の対象になりますか?

原則として対象外です。例外は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金〈新事業進出枠〉や、自治体の企業立地促進補助金です。単純な建て替え・老朽化対応では対象になりにくく、新しい事業への進出や地域への立地であることが条件になります。

企業立地促進補助金はどの自治体でも同じ内容ですか?

いいえ。補助率・上限額・雇用要件は自治体ごとにまったく異なります。工場を新設・増設する予定の自治体の公式ページで、必ず最新の要綱を確認してください。

老朽化した工場設備の単純な更新は補助金の対象になりますか?

省エネ性能の向上を伴う更新であれば、省エネ・非化石転換補助金〈設備単位型〉の対象になり得ます。単に同じ設備に交換するだけでは、他の補助金では対象になりにくい傾向があります。

個人事業主でも工場の補助金は使えますか?

制度によります。中小企業省力化投資補助金・新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は個人事業主も対象に含みます。企業立地促進補助金は自治体によって対象者の範囲が異なります。

複数の建設業者から見積もりを取るべきですか?

おすすめします。工場の新設・増設は投資額が大きいため、複数の建設業者・設備業者から見積もりを取ることで、価格の妥当性を審査で説明しやすくなります。 建物費と設備費を分けた内訳も、業者ごとに比較しておくと申請書類の作成がスムーズになります。

工場を賃貸で借りる場合も企業立地促進補助金は使えますか?

自治体によります。多くの企業立地促進補助金は自社所有の土地・建物への投資を前提としていますが、一部の自治体では賃貸工場への設備投資や、一定期間以上の賃貸借契約を条件に対象としている場合があります。立地予定の自治体に個別に確認してください。賃貸工場の場合、建物の改修工事についてはオーナーの許可が必要になることも多いため、契約内容とあわせて確認しておくとよいでしょう。賃貸借契約の残存期間が短いと、対象外と判断される自治体もあるため注意が必要です。契約更新のタイミングと投資計画をあわせて検討しておくと安心です。長期の設備投資を予定している場合は、賃貸借契約自体の更新交渉もあわせて進めておくことを強くおすすめします。

工場の新設と同時に、従業員の採用計画も補助金の審査に関係しますか?

関係します。企業立地促進補助金の多くは新規雇用者数に応じた加算があり、新事業進出枠でも賃上げ特例による上限額アップがあります。採用計画・賃金計画を具体的に示すことで、審査での評価が高まる可能性があります。 地元での採用を計画に盛り込むと、自治体からの評価がさらに高まる場合もあります。地元の商工会議所や自治体の雇用相談窓口を通じて、採用計画の相談をすることもできます。

工場の新設と、中の生産設備の導入を同時に計画する場合はどうすればよいですか?

建物費と設備費を分けて見積もりを取り、それぞれに適した制度(建物は企業立地促進補助金・新事業進出枠、設備は省力化投資補助金・ものづくり補助金)に振り分けて申請するのが基本です。同一の経費を複数の制度に重複して申請することはできません。建設業者・設備業者の双方に、補助金の申請を予定していることを事前に伝えておくと、見積もりの分け方で協力を得やすくなります。

この補助金について、専門家に相談する

対象になるか、いくら出るか、いつまでに何を用意するか。 申請の可否で迷ったら、補助金を扱う専門家に確認するのが確実です。相談は無料です。

この補助金の専門家に相談する

免責事項: 本記事の内容は2026年9月時点で確認できた情報にもとづきます。補助上限額・補助率・対象要件・受付状況は変更される場合があるため、申請前に必ず各制度の公式ページ・お住まいの自治体でご確認ください。

出典(一次情報)

この記事を書いた人
まっさん。|元経営者
補助金で会社を立て直した元経営者

補助金で会社を立て直した元経営者。資金繰りに悩んだ末に補助金を活用して事業を再建した経験から、中小企業・個人事業主が“本当に使える補助金”とその活かし方を発信しています。掲載内容は公募要領などの一次情報をもとに整理しています。

本記事は情報提供を目的としており、補助金の採択・交付を保証するものではありません。 補助上限額・補助率・締切等の内容は変更される場合があります。申請にあたっては、必ず 公式サイト・最新の公募要領をご確認ください。