一次募集に申し込みそびれた宿泊施設は、もう補助金は使えないのか。結論から言うと、まだ使えます。京都市には二次募集があります。「宿泊施設の質の向上(受入環境充実)支援事業補助金」です。市内の旅館・ホテルが行う内外装工事や設備・備品の導入を、最大1,000万円まで補助してくれます。
二次募集の申請期間は2026年7月1日(水)から7月31日(金)まで。あなたの施設が対象になるか、要件を一つずつ確認していきましょう。
なぜ京都市はこの補助金を用意しているのか
京都市は近年、宿泊者に一定額を課す「宿泊税」を財源に、市内の宿泊観光を下支えする施策を進めています。この補助金もその一環で、インバウンドを含む宿泊需要の増加に対して、受け入れ側の設備・体制がどこまで追いついているかという課題に応えるものです。
外国人観光客の増加は、京都の宿泊施設にとって客室稼働率の押し上げという恩恵がある一方、多言語での案内や災害時の対応、老朽化した設備への対応など、現場の負担も増やしています。この補助金は、そうした「増えた宿泊需要にどう応えるか」という宿泊施設側の投資を後押しする性格の制度です。
対象になる宿泊施設を具体例で見る
補助対象になるのは、京都市内で旅館業法上の「旅館・ホテル営業」の許可を受けている事業者で、次の4つをすべて満たす必要があります。
- 営業許可: 京都市内で旅館業法に基づく「旅館・ホテル営業」の許可を受けている
- 京都観光モラル推進宣言事業者の認定: 申請時点で未認定でも、申請済みで実績報告時までに認定されれば対象になり得る
- 地域とのつながり: 施設が所在する地域の自治会・町内会に加入している、または地域活動への参加・協力実績がある
- 開業年数: 令和8年4月1日時点で開業から5年以上経過している
対象経費は、選ぶメニューによって次のように分かれます。
- メニューA(物品・備品購入、活動実施): 地場産品(伝統産業製品・市内産木材)の活用、災害対応の強化、バリアフリー化、観光マナー・京都観光モラルの啓発、地域活動や地域貢献に資する取組
- メニューB(地場産品を活用した内外装工事): 伝統産業製品や市内産木材を使った客室・建物内共用部の内装工事および外装工事
具体的なケースで見ると、次のようなイメージです。
- 京町家を改装したゲストハウス: 客室の建具・床材に西陣織や京指物などの地場産品を使った内装工事を実施(メニューB)
- 創業30年の老舗旅館: 防災備蓄品の整備と、館内の段差解消などバリアフリー化の工事(メニューA)
- 駅前の中規模ビジネスホテル: 地域の祭礼への協賛や清掃活動など地域貢献活動の実施費用(メニューA)
いくらもらえる?メニューA・Bの補助額シミュレーション
補助率は中小企業等が補助対象経費の2分の1以内、大企業が4分の1以内です。メニューAは上限100万円、メニューBは上限1,000万円と、選ぶメニューで補助額の規模が大きく変わります。
| メニュー | 対象経費の中心 | 補助率(中小企業等) | 補助上限額 |
|---|---|---|---|
| メニューA | 物品・備品購入、活動実施 | 1/2以内 | 100万円 |
| メニューB | 地場産品を活用した内外装工事 | 1/2以内 | 1,000万円 |
実際の投資額に当てはめると、次のようになります。
| 施設タイプ・使い道 | 対象経費 | 補助率 | 補助額 |
|---|---|---|---|
| ゲストハウス:客室の内装を市内産木材でリノベーション(メニューB) | 400万円 | 1/2 | 200万円 |
| 老舗旅館:全客室・大浴場のバリアフリー化工事+防災備蓄品の一括整備(メニューA・複数取組) | 180万円 | 1/2 | 90万円 |
| シティホテル:ロビー・共用部を京都らしい内装に大規模改修(メニューB) | 2,200万円 | 1/2 | 500万円→上限には未達 |
メニューBは上限1,000万円と大きいため、対象経費2,000万円までは計算どおり補助が効きます。メニューAは上限100万円と規模が小さい分、備品購入や活動実施など複数の取組を1回の申請でまとめて対象経費に含めることで、上限に近づけやすいのがポイントです。
二次募集の申請の流れ:タイミングで押さえておきたいポイント
二次募集は、一次募集(2026年4月20日〜5月29日)にすでに応募した施設は対象外です。一次募集に申し込んでいない施設が対象になります。
タイミング別に整理すると、次のとおりです。
- 申請期間(2026年7月1日〜7月31日): 京都市観光協会の特設ページからオンライン申請。補助金交付申請書(第1号様式・別紙1)、事業計画(別紙2)、導入物品等一覧表(別紙3)、業者選定理由書(別紙4)、地場産品使用確認書(別紙5)などを提出
- 審査・交付決定: 予算の範囲内で審査。予算を超える申請があった場合は、要件を満たしていても不採択になることがあると明記されている
- 事業実施(交付決定日以降): 物品購入・工事の発注や納品、支払いは交付決定日以降に行う必要がある。交付決定前に見切り発車で発注・契約してしまうと対象外になるおそれがあるため、交付決定の通知を受けてから動くのが安全
- 実績報告: メニューAは2027年1月15日まで、メニューBは2027年2月15日までに、事業完了後30日以内を目安に提出
国の省力化・設備投資の補助金もあわせて検討したい方は、こちらの記事で解説しています。
京都市の制度だけで対象経費をカバーしきれない場合や、他にももらえる補助金がないか気になる場合は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。
対象要件の判定(京都観光モラル推進宣言事業者の認定手続きや地域貢献実績の証明方法など)や、メニューA・Bどちらで申請すべきかの判断に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。
重要なのは、地域とのつながりや開業年数など、宿泊施設ごとに事情が異なる要件を早めに確認しておくことです。
よくある質問
京都市の宿泊施設補助金はいくらもらえますか?
補助率は中小企業等で補助対象経費の2分の1以内です。メニューA(物品・備品購入、活動実施)は上限100万円、メニューB(地場産品を活用した内外装工事)は上限1,000万円と、選ぶメニューによって上限額が異なります。
一次募集に応募していれば、二次募集にも重ねて申請できますか?
できません。一次募集にすでに応募した施設は、二次募集の対象外と明記されています。二次募集は一次募集に申し込んでいない施設向けの追加募集です。
開業したばかりの新しいホテル・旅館は対象になりますか?
対象要件の一つに「令和8年4月1日時点で開業から5年以上経過していること」があります。開業5年未満の施設は、この募集の対象外になります。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・補助率・対象経費・申請要件・スケジュールは変更される場合があるため、申請前に必ず京都市および(公社)京都市観光協会の公式ページ・最新の実施要領で内容をご確認ください。
出典:
