「窓リノベ」という名前で呼ばれている制度は、実は1つではありません。2023年から毎年、名前を少しずつ変えながら4つの事業が続いてきました。2026年9月現在に申し込めるのは、そのうちの「先進的窓リノベ2026事業」だけです。
このことを知らずに困る人が、毎年一定数います。よくあるのは「3年前に内窓を入れて補助金をもらったので、今回は残りの部屋の窓もやろう」というケース。これ自体は問題ないのですが、一度補助を受けた窓に、もう一度別の年の窓リノベを使うことはできません。同じ窓を2回申請すると、審査で弾かれます。
もう一つ、多くの人が見落とすのが「窓リノベの隣にもう1つ制度がある」ことです。2026年は国が4つの住宅省エネ補助を同時に走らせていて、そのうちみらいエコ住宅2026事業でも窓の断熱改修に補助が出ます。同じ窓には片方しか使えないので、どちらを選ぶかで受け取る金額が変わります。
この記事では、「窓リノベ」という言葉が指す4つの事業の関係と、2026年のいま自分の窓にどれが使えるのか を先に整理します。単価表そのものや申請スケジュールは 先進的窓リノベ2026事業の補助額と申請時期 にまとめてあるので、金額を計算したい方はそちらへどうぞ。
「窓リノベ」は制度名ではなく、4つの事業の総称です
正式な事業名は毎年変わっています。「窓リノベ」は、その共通部分をとった呼び名です。
| 通称 | 正式な事業名 | 財源 | 2026年9月現在の状態 |
|---|---|---|---|
| 窓リノベ(初代) | 先進的窓リノベ事業 | 令和4年度補正予算第2号 | 終了 |
| 窓リノベ2024 | 先進的窓リノベ2024事業 | 令和5年度補正予算 | 終了 |
| 窓リノベ2025 | 先進的窓リノベ2025事業 | 令和6年度補正予算 | 終了 |
| 窓リノベ2026 | 断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業(先進的窓リノベ2026事業) | 令和7年度補正予算(1,125億円) | 受付中 |
いずれも環境省の事業で、窓の断熱性能を上げる工事にお金を出すという考え方は共通しています。違うのは予算の出どころで、年度ごとに別の予算で動く別の事業という扱いです。
ここが実務上いちばん効いてきます。先進的窓リノベ2026事業の交付申請の要件には、初代・2024・2025の各事業で補助金の交付を受けた窓(ガラス)・ドアは補助対象にならないと明記されています。補助金を返還した場合も同じ扱いです。
つまり、「前にやった部屋」は使えないが「まだやっていない部屋」は使える、というのが正しい理解になります。リビングの掃き出し窓で2024年に補助を受けていても、寝室と子供部屋の窓が手つかずなら、2026年の事業でその2部屋分を申請できます。
2026年の「窓リノベ」でいくら出るのか
先進的窓リノベ2026事業の骨格は次のとおりです。
- 補助上限: 住宅は1戸あたり100万円
- 補助の下限: 1回の交付申請で合計5万円以上にならないと申請できない
- 補助額の決まり方: 定額制。窓の性能グレード・大きさ・住宅の建て方の3つで、1か所あたりの単価が決まる
- 予算: 1,125億円(令和7年度補正予算)
- 工事着手の期限: 2025年11月28日(金)以降に着手した工事が対象
- 交付申請の締切: 遅くとも2026年12月31日(木)まで。予算上限に達したらその時点で終了
補助率ではなく定額の積み上げである点が、この制度の特徴です。工事費の何割という計算ではないので、同じ窓に同じ製品を入れれば、施工費が高い会社でも安い会社でも補助額は同じになります。逆に言えば、見積もりを比べるときは「補助額を引いた後の自己負担額」で比べないと意味がありません。
金額の目安として、戸建住宅で内窓(Sグレード)を入れる場合、小さい窓で1か所22,000円、大きい窓で52,000円です。外窓ごと交換(カバー工法)にすると、同じSグレードで60,000〜124,000円まで上がります。グレード別・サイズ別の全数値は 先進的窓リノベ2026事業の補助額と申請時期 に表で載せています。
窓リノベと「みらいエコ住宅2026」は、同じ窓には両方使えません
ここが2026年でいちばん判断を間違えやすいところです。
2026年、国は「住宅省エネ2026キャンペーン」として4つの事業を同時に走らせています。
| 事業名 | 所管 | 主な対象 | 窓の工事に使えるか |
|---|---|---|---|
| 先進的窓リノベ2026事業 | 環境省 | 開口部(窓・ガラス・ドア)の断熱改修だけ | 使える。窓に特化した制度 |
| みらいエコ住宅2026事業 | 国土交通省・環境省 | 新築、および躯体断熱を含む幅広いリフォーム | 使える。ただし開口部改修は「必須工事」の1つという位置づけ |
| 給湯省エネ2026事業 | 経済産業省 | 高効率給湯器の設置 | 使えない |
| 賃貸集合給湯省エネ2026事業 | 経済産業省 | 賃貸集合住宅の省エネ給湯器交換 | 使えない |
窓の工事に使えるのは上の2つです。そして、同じ窓に対して両方の補助を受けることはできません。
先進的窓リノベ2026事業の交付規程には、みらいエコ住宅2026事業と重複して申請していた場合、窓リノベ側の交付申請を無効とし、返金等の措置をとる場合があると書かれています。「バレなければ」という話ではなく、両事業は同じ住宅省エネ2026キャンペーンの枠組みで名寄せされます。
さらに細かい注意点として、1つの窓を複数のサッシに分けて、一部を窓リノベ、一部をみらいエコ住宅へ振り分ける申請もできません。両事業を通じて、既存サッシと同数までが補助対象になる、というのが公式の説明です。
どちらを選ぶと得か
判断の軸は「窓だけをやるのか、家全体をやるのか」です。
| 状況 | 向いている制度 | 理由 |
|---|---|---|
| 窓・ガラス・玄関ドアだけを替える | 先進的窓リノベ2026事業 | みらいエコ住宅は開口部だけの工事では要件を満たせない。窓リノベは単価も高い |
| 壁・床・天井の断熱もまとめてやる | みらいエコ住宅2026事業(+窓は窓リノベ) | 躯体の断熱はみらいエコ住宅でしか対象にならない |
| 窓と給湯器を同時に替える | 窓リノベ+給湯省エネ2026 | 対象が重ならないので両方申請できる |
| 玄関ドアだけを替えたい | どちらも使いにくい | 窓リノベはドア単体では対象外。窓の工事と同一契約であることが条件 |
実務的には、窓だけの工事なら窓リノベを選ぶのが基本です。みらいエコ住宅2026事業のリフォームは「外皮に面する開口部を持つ1つの居室」で、開口部の断熱改修に加えて躯体の断熱改修(義務基準対応ならさらにエコ住宅設備)まで揃えないと必須要件を満たせない設計になっているためです。窓だけ替えたい人が入り口を間違えると、工事範囲を広げないと1円も出ないという結論になります。
一方で、壁や床の断熱までやるつもりなら話が変わります。みらいエコ住宅2026事業のリフォームの上限額は、住宅の建築時期と工事内容で決まります。
| 住宅の新築時期 | 義務基準相当まで断熱した場合 | 次世代省エネ基準相当まで断熱した場合 |
|---|---|---|
| 平成3年以前 | 100万円/戸 | 50万円/戸 |
| 平成4年〜平成28年 | 80万円/戸 | 40万円/戸 |
古い家ほど上限が大きくなる設計です。築35年以上の家で断熱を一気にやるなら、みらいエコ住宅側の枠が大きいということになります。この場合でも、窓そのものは窓リノベで申請し、壁・床をみらいエコ住宅で申請する、という分け方ができます(対象箇所が重ならないため)。
自治体の助成は、国の制度と重ねられることが多い
国どうしは重複不可ですが、自治体の制度は別です。
先進的窓リノベ2026事業の公式説明では、地方自治体が実施する補助制度については国費が充当されていない部分に限り、併用が可能とされています。自治体の予算だけで組まれている助成なら、窓リノベと一緒に受け取れるということです。
金額の規模でいちばん目立つのは東京都です。東京都は独自に断熱窓への改修助成を行っており、国の窓リノベと重ねられます。都内にお住まいの方は、国と都で二重に受け取れる可能性があるので必ず確認してください。制度の中身と上限額は 断熱窓の補助金|4つの制度から自分の窓に合う1つを選ぶ で比較しています。
自治体制度を使うときの注意は2つです。
- 申請の順序が国と違うことが多い。 国の窓リノベは工事完了後に事業者が申請しますが、自治体は「工事の契約前に申請して交付決定をもらう」型が大半です。順番を間違えると自治体側だけ受け取れません
- 「国の補助金を受けているか」を申告させる自治体がある。 併用可でも、申請書に国の補助額を書かせて自治体分を調整する設計になっていることがあります
賃貸・マンションでも使えるか
「持ち家の一戸建てだけの制度」と思われがちですが、対象は広く取られています。
先進的窓リノベ2026事業で申請できるのは、購入・工事タイプの場合、次のとおりです。
- 住宅の所有者およびその家族
- 賃貸住宅の所有者(個人・法人どちらも)
- 賃借人(借りて住んでいる人)
- 集合住宅の管理組合
- 買取再販事業者(別の施工業者に発注する場合のみ)
賃借人が入っているのが意外に知られていません。ただし現実には、賃貸物件の窓を勝手に改造することはできないので、大家さんの承諾を取った上で借主が発注するという形になります。
マンションの場合、専有部分の窓であっても管理規約上は共用部分の扱いになっていることが多く、管理組合の承認が要ります。ここで時間を取られるケースが多いので、工事の相談と同時に管理組合の手続きを始めるのが現実的です。
対象になる住宅は「建築から1年が経過した住宅、または過去に人が居住した住宅」とされています。検査済証の発出日を建築日として判定します。新築同然の建売を買ってすぐの場合は対象外になる可能性があるので、築年数がぎりぎりの方は事務局に確認してください。
自分では申請できません。事業者選びが実質の第一歩です
窓リノベは、消費者が直接申請する制度ではありません。事務局に登録された「窓リノベ事業者」だけが交付申請を行い、受け取った補助金を施主に還元する仕組みです。
つまり、登録していない工務店に頼んでしまうと、その工事はどれだけ性能が高くても補助対象になりません。 見積もりを取る段階で「先進的窓リノベ2026事業の登録事業者ですか」と聞くのが、実質的な最初のチェックポイントになります。
補助金の還元方法は2つのどちらかで、契約時に決めておきます。
- 工事代金に充当する(差し引いた金額を支払う)
- 現金で受け取る(この場合、事業者は補助金の交付から2か月以内に還元を完了させる必要があります)
どちらにするかは「共同事業実施規約」という書面で合意します。事務手数料を取るかどうかもこの規約に書かれるので、契約前に必ず読んでください。
「対象にならない工事」で相談段階から外れるもの
窓リノベは、工事の内容そのもので対象外になるパターンがはっきり決まっています。事務局が2026年2月26日付で出した注意喚起に、前身の2025事業で交付に至らなかった実例が挙げられています。契約してからでは直せないものばかりなので、見積もりの相談時に確認してください。
- 増築部に設置する外窓・ドア。建築確認申請が必要になる10㎡を超える増築が対象で、増築に伴って外壁を撤去し、同じ規模・同じ数の開口部を新しい外壁に設けた場合も対象外です
- 開口部の位置を変える工事。既存の窓を塞いで別の場所に窓を作る、という工事は補助されません
- サッシの数を増やす工事。交換前より多いサッシを設置した場合、既存と同数までしか対象になりません。ただし製品の強度の制約でやむを得ず最低限に分割した場合は、設置した分が対象になります(メーカーのカタログ等の提出を求められることがあります)
- ドア交換だけの申請。同じ住戸の窓の工事と同一契約で、同時に申請する場合に限られます
ただし例外があります。BELS評価書または既存住宅の建設住宅性能評価書を提出し、リフォーム後に断熱等性能等級5を満たすことが確認できる住宅は、上の増築・位置変更・サッシ増設に該当しても補助対象になります。 大がかりな断熱改修を予定している方は、評価書の取得を検討する価値があります。
予算はまだ残っているのか
窓リノベは予算上限に達した時点で受付が終了します。過去の事業では年内に締め切られた年もあり、「来年やろう」が通用しない制度です。
2026年9月10日0時時点の予算に対する補助金申請額の割合は22%と公表されています(交付申請および予約の提出総額の概算値。審査中を含み、却下・取り下げ分は除く)。予算1,125億円に対して2割強という進み方なので、2026年内に枠が尽きる可能性はそれほど高くありません。ただし秋以降は工事の繁忙期に入るため、進捗は速まります。
数字は公式サイトで日次更新されているので、着工を迷っている方は直前に確認してください。詳しいスケジュールと締切間際のリスクは 先進的窓リノベ2026事業の補助額と申請時期 に書いています。
過去に窓リノベを使った人が、次にできること
すでに一度使った方からよく出る質問をまとめます。
同じ窓の性能をさらに上げたい場合は使えません。2024年にAグレードの内窓を入れた窓に、2026年でSSグレードの内窓を重ねる、といった申請は対象外です。過去事業で交付を受けた窓は、性能を問わず対象外になります。
別の部屋の窓なら使えます。 前回の申請に含まれていない窓であれば、通常どおり申請できます。前回の申請書類がどの窓を対象にしていたかは、施工した事業者が控えを持っているはずなので、確認してから見積もりを取ると安全です。
上限100万円は事業ごとにリセットされます。 2025年事業で100万円を使い切っていても、2026年事業では別枠で100万円まで申請できます(対象の窓が重ならない限り)。
ドア交換だけをしたい場合は難しいです。窓リノベのドア交換は、同じ住戸の窓の工事と同一契約で行い、同時に申請する場合に限って対象になります。「玄関ドアだけ替えたい」は、この制度では通りません。
よくある質問
「窓リノベ」と「窓リノベ2026」は違う制度ですか?
「窓リノベ」は2023年から続く4つの事業の総称で、そのうち2026年に申し込めるのが「先進的窓リノベ2026事業」です。2026年に工事をするなら実質的に同じものを指しますが、過去の窓リノベで補助を受けた窓は2026事業の対象外になる点だけ、はっきり区別しておく必要があります。
一度使ったら、もう使えないのですか?
窓単位で判定されます。過去に補助を受けた窓は二度と対象になりませんが、まだ工事していない窓は使えます。 上限額も事業ごとに別枠なので、対象の窓さえ重ならなければ2026年に改めて100万円まで申請できます。
みらいエコ住宅2026事業と両方申請したらどうなりますか?
同じ窓について両方に申請していた場合、窓リノベ側の交付申請が無効になり、返金などの措置が取られる場合があると公式に明記されています。対象箇所が重ならなければ併用は可能なので、窓は窓リノベ、壁・床はみらいエコ住宅、という分け方をしてください。
自分で申請することはできますか?
できません。事務局に登録された窓リノベ事業者が申請し、補助金を受け取って施主に還元します。施主がやることは、書類への署名など事業者の手続きに協力することです。登録事業者かどうかは契約前に必ず確認してください。
賃貸に住んでいますが使えますか?
賃借人も申請の対象者に含まれています。ただし建物の所有者は大家さんなので、現実には所有者の承諾を得たうえで進めることになります。大家さん自身が申請することもできるので、まず相談してみるのが早道です。
窓が1か所だけでも申請できますか?
金額次第です。1回の交付申請で補助額の合計が5万円以上にならないと申請できません。戸建で内窓のSグレードを入れる場合、小さい窓(0.2㎡以上1.6㎡未満)は1か所22,000円なので、1か所だけでは届きません。大きい窓(2.8㎡以上4.0㎡未満)なら52,000円で1か所でも超えます。外窓交換なら小さい窓1か所でも60,000円なので条件を満たします。届かない場合は、同じ契約の中で複数の窓をまとめるのが現実的です。
