個人の農家が農機具を買うときに使える補助は、主に2つです。数万〜数十万円の草刈機や防除機は市町村が独自に出す補助、数百万円のコンバインやトラクターは融資を組んで使う国の農地利用効率化等支援事業(助成額の上限は300万円)が候補になります。小規模事業者持続化補助金は、農作物の生産自体にかかる経費が対象外と公募要領に書かれているため、畦畔の草刈機やコンバインの購入には向きません。
草刈機を買う個人事業主の農家は、まず自分の市町村の農業機械の補助を確かめるのが近道です。この記事は、農林水産省や市町村の公式資料で確かめた内容をまとめています。機械の値段ごとに使える制度、金額の計算例、受け取ったあとの確定申告、リースと中古の扱い、見積もりの前に販売店へ確認する点を載せました。農機具と農業機械は同じものを指します。
農機具の補助金は機械の値段で使える制度が変わる
「農機具 補助金」で探して迷うのは、制度ごとに想定している機械の大きさが違うからです。国の大きな事業の要件を草刈機に当てはめて「対象外だった」となったり、逆に高額な機械を買うのに小さな市町村の補助だけを探して足りなかったりします。先に、機械の種類と値段の目安から、見る制度を絞ります。表の値段は機械の規模を分けるための編集部の目安で、公式資料の数字ではありません。
| 買いたい機械 | 値段の目安 | 最初に見る制度 | 個人で申請できるか |
|---|---|---|---|
| 草刈機(乗用・自走式)、刈払機、防除機の小型のもの | 数万〜数十万円 | 市町村の農業機械の購入補助 | できる。市内で営農する個人が対象のものが多い |
| 防除機、乾燥機、田植機 | 数十万〜数百万円 | 市町村の補助、融資を使う場合は国の農地利用効率化等支援事業 | できる。国の事業は融資と地域計画への位置づけが条件 |
| コンバイン、大型トラクター | 数百万円〜 | 農地利用効率化等支援事業(融資とセット) | できる。法人・個人を問わず上限300万円 |
| 就農して間もない人の機械一式 | 数百万円 | 経営発展支援事業(新規就農者育成総合対策) | 49歳以下の認定新規就農者が対象 |
| 加工・直売に使う機械 | 制度による | 小規模事業者持続化補助金 | 農作物の生産自体の経費は対象外 |
金額の下限にも注意が要ります。農地利用効率化等支援事業は、事業費が整備内容ごとに50万円以上であることが要件です。草刈機の多くはこの金額に届かないので、国の事業ではなく市町村の補助を探すことになります。
草刈機・小型機械は市町村の補助が現実的
「草刈機 補助金 個人 事業主」で探している人の多くは、畦畔や果樹園の草刈りに使う機械を、数万〜数十万円で買おうとしています。この規模の機械に合うのは、市町村が独自に設けている農業機械の購入補助です。国の事業のような融資の条件を付けない市町村が多く、個人でも申請しやすい制度です。
島根県出雲市の例:除草機械の購入に購入費の1/2、上限50万円
出雲市は、令和8年度に農業用除草機械導入支援事業を行いました。申請の手引きに書かれている内容は次のとおりです。
- 対象の機械は、農地等(隣接する官地を含む)の除草に必要な機械の購入費です。自走式、無線式、乗用草刈機、トラクター取付用アタッチメントに限られます
- 補助率は対象経費の1/2以内、1事業者あたりの上限は50万円、下限は5万円です。複数台の導入もできますが、1台あたりの補助額が下限以上になる機械が対象です
- リース費、修理費、保守料は補助対象になりません
- 申請できるのは、出雲市内に住所または事務所があり、市内で営農または除草管理をする農業者等です。法人や営農組織も含まれます
- 上の条件に加えて、農業収入が主たる収入の人、令和7年中の農業販売額が50万円以上の人、市内の耕作面積が30アール以上の人などのいずれかに当てはまる必要があります
- 前年度の同じ事業の補助を受けた人は申請できません
- 申請期間の途中でも、予算の上限に達すると募集が締め切られることがあります
補助額の下限が5万円で補助率が1/2なので、実質的には購入費10万円以上の機械が対象です。数万円の刈払機のような機械は対象になりません。このように、下限の金額で対象になる機械の最低ラインが決まる点は、草刈機の補助でよくある条件です。
山梨市の例:果樹農家向けに乗用草刈機を含む機械の購入費の1/2
山梨市は、物価上昇に伴う農業経営の負担を軽くするため、農業用機械の購入費の一部を補助しています。公式ページの内容は次のとおりです。
- 申請できるのは、個人事業主で市内在住かつ市内の農地で営農し、主に果樹を生産して出荷・販売している人です(農業収入のうち果樹の収入が過半であること)
- 国・県・市・各団体が行う同様の補助金や交付金を受けていないことも条件です
- 新品で2万円以上の機械が対象で、SS(スピードスプレーヤー)、乗用草刈機、昇降機、運搬機、トラクター、動力噴霧器などが挙げられています。補助額は消費税を除く購入費の1/2以内です
- 上限は、購入費が2万円以上50万円未満なら10万円、50万円以上100万円未満なら15万円、100万円以上なら20万円です
- 中古品は50万円以上のものに限られ、対象の機械も絞られています
- 市内に事業所または販売店を置く事業所から購入することが条件で、同一世帯または同一経営体で年度内1回限りです
出雲市は稲作などを含む広い農業者向けで、山梨市は果樹農家に絞った制度です。同じ「農機具の購入補助」でも、対象者・対象の機械・補助率・上限が違います。この2例だけでも分かります。山梨市の制度は山梨市の農業用機械等購入及び施設整備支援補助金の記事に詳しく書いています。
他の市町村の制度を探すときの手がかり
自分の市町村の制度は、次の順で探すと見つけやすくなります。
- 市町村の公式サイトで「農業機械 補助」「草刈機 補助」「農業 物価高騰 支援」を検索する
- 農政課、農林課、産業振興課など、農業を担当する課に電話で「個人が農機具を買うときの補助はありますか」と聞く
- JAの営農指導員や農業委員会に聞く。市町村の窓口で出てこない制度が、JA経由で案内されることもあります
当サイトでも、市町村の農業機械の補助を個別に記事にしています。たとえば行方市の農業用機械等導入補助金があります。ラジコン草刈機に絞って知りたい人はラジコン草刈機の補助金の記事を先にご覧ください。
市町村の補助でよくあるつまずきは、次の3つです。
- 購入や契約を、交付決定の前に済ませてしまう
- 見積書の日付や宛名が、募集の決まりに合っていない(山梨市は、見積書の日付が令和8年4月1日以降のものと決めています)
- 1台、年度内1回、3か年で1回など、回数の制限を知らずに別の機械で申請しようとする
コンバインなど高額な機械は農地利用効率化等支援事業が候補
コンバインや大型のトラクター、乾燥機のような数百万円の機械は、国の農地利用効率化等支援事業の融資主体支援タイプが候補です。農林水産省はこの事業を「地域計画の早期実現に向けて、地域の中核となる担い手が経営改善に取り組む場合に必要な農業用機械・施設の導入を支援する事業」と説明しています。
金額の決まり方:事業費の3/10、上限300万円
助成金額は、個々の事業内容ごとに、次の3つの計算の結果のうち一番低い額になります。
- 事業費 × 3/10
- 融資額
- 事業費 - 融資額 - 地方公共団体等による助成額
上限は、法人・個人を問わず300万円です。目標地図に位置づけられた人は、目標年度の経営面積が基準以上なら600万円になります。基準は水田作等で20ヘクタール、露地作で5ヘクタール、果樹作で3ヘクタール、施設園芸作で1ヘクタールです。
計算例を2つ挙げます。どちらも地方公共団体の助成はないものとします。
コンバイン900万円を、融資600万円と自己資金300万円で買う場合です。①は270万円、②は600万円、③は300万円で、一番低い①の270万円が助成額になります。上限の300万円には届きません。
田植機と乾燥機の合計600万円を、融資450万円と自己資金150万円で買う場合です。①は180万円、②は450万円、③は150万円で、一番低い③の150万円になります。融資が大きいほど③は小さくなります。「3/10がもらえる」と思い込まず、3つの式で計算してください。これは事業ごとの計算例です。実際の助成額は、国の審査と市町村の手続きで決まります。
対象者と要件
農林水産省のパンフレット(令和8年度)の要件は次のとおりです。
- 助成対象者は、地域計画のうち目標地図に位置づけられた者です。認定農業者、認定就農者、集落営農組織、市町村基本構想に示す目標所得水準を達成している農業者、市町村が認める者などを指します。新規に就農した人は、認定農業者または認定就農者に限られます
- 事業実施地区は、地域計画が策定されている地区です。該当するかどうかは、市町村の農政担当部局に確認します
- 融資を受けて機械等を導入すること。対象の融資は、農協、日本政策金融公庫、銀行、信用金庫、信用組合などの貸付です
- 事業費が整備内容ごとに50万円以上であること
- 対象の機械は、耐用年数がおおむね5年以上20年以下のもので、中古は使用可能と認められる年数が2年以上であること
- 運搬用トラックやパソコンなど、農業以外にも使いやすい汎用性の高いものは対象外であること
- 成果目標を立て、目標年度(令和8年度事業の場合は令和10年度)までに付加価値額の拡大などを達成すること
- 園芸施設共済、農機具共済の加入など、自然災害に備えた措置がされること
また、「既存の機械等の単なる更新を行うものではないこと」も要件です。古いコンバインを同じ性能のものに買い替えるだけだと、対象にならない可能性があります。規模拡大や省力化など成果目標につながる導入だと、事業計画で説明する必要があります。
申し込みの窓口は市町村
この事業の要望調査は、事業実施主体の市町村等から国に要望を提出する形で行われます。農家が国へ直接申し込むのではなく、まず市町村に相談します。令和8年度は、2月25日から3月25日までの第1回と、4月3日から5月8日までの第2回の締切がありました。年度ごとの時期は農林水産省のページと市町村の案内で確かめます。市町村によっては、国の助成に独自の助成を上乗せします。札幌市は国の助成(上限300万円)に最大200万円を上乗せし、最大500万円としていました。
採択は、経営改善の実績や目標、地域の農地集積の実績などを地区ごとにポイント化し、上位の地区から行われます。申請すれば必ず採択される事業ではありません。購入の時期は、市町村の担当者に採択の見込みを聞いてから決めてください。
トラクターの補助金は、トラクターの補助金の記事で詳しく書いています。
担い手確保・経営強化支援事業と地域農業構造転換支援事業
農林水産省の「経営体育成支援」のページには、農地利用効率化等支援事業のほかに、次の事業も載っています。
- 地域農業構造転換支援事業は、地域の中核となって農地を引き受ける担い手が、経営改善に取り組む場合に必要な農業用機械・施設の導入を支援します
- 担い手確保・経営強化支援事業は、意欲ある農業者の経営発展を促進する農業用機械・施設の導入を支援します
どちらも対象者や補助率は年度ごと、地域ごとに公表されます。農家は市町村を通して申し込むので、公募の時期や上限額は、市町村の農政担当課で確かめてください。
新規就農者は経営発展支援事業と経営開始資金を確かめる
これから農業を始める人、始めて間もない人には、新規就農者育成総合対策があります。機械の購入に使えるのは経営発展支援事業、生活費にあたる給付が経営開始資金です。
経営発展支援事業(機械・施設の導入)
農林水産省のPR版資料(令和8年度予算)に書かれている通常枠の内容は次のとおりです。
- 対象者は、49歳以下の認定新規就農者です
- 支援内容は、機械・施設の導入のほか、家畜導入、果樹・茶の新植・改植、機械リースなどです
- 支援額は、国費で上限500万円です。経営開始資金の交付対象者は上限250万円になります
- 補助率は「国の補助上限1/2」で、都道府県が支援する額の2倍を国が支援する仕組みです
- 主な要件は、独立・自営就農する認定新規就農者であること、経営開始5年目までに農業で生計が成り立つ実現可能な計画であること、機械・施設の取得費用(本人負担分)について金融機関から融資を受けていることなどです
地域計画の早期実現を支援する特別枠もあり、対象者に認定農業者が加わります。特別枠は経営開始資金と併用できません。申請は市町村への相談から始まります。都道府県の支援分が前提なので、同じ国の制度でも、都道府県によって使える金額が変わる点に注意してください。
経営開始資金(月13.75万円)
経営開始資金は、新規就農する人に、経営開始から最大3年間、月13.75万円(年間165万円)を交付する制度です。農林水産省のページには、経営発展支援事業と併せて助成を受ける場合は、経営発展支援事業の補助対象事業費の上限が500万円になるとも書かれています。
青年等就農資金(無利子の融資)
認定新規就農者が、青年等就農計画の目標達成に必要な資金を長期・無利子で借りられる制度です。農林水産省のページは、申請様式をつくる前に都道府県(普及指導センター)、市町村、日本政策金融公庫へ相談するよう求めています。借入限度額や償還期間は相談先で確かめてください。
小規模事業者持続化補助金は農機具の購入には向きにくい
「農機具を買うなら持続化補助金」という案内をネットで見かけますが、公式の公募要領を読むと、農機具の購入には使いにくいことが分かります。
第20回の公募要領(一般型・通常枠)は、補助率を2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4)、補助上限を50万円としています。インボイス特例の要件を満たせば50万円、賃金引上げ特例なら150万円、両方なら200万円が上乗せされます。
ただし、補助対象者の説明の注には、個人農業者について次のように書かれています。
- 農作物の加工や、農作物を用いた料理の提供などを行う事業については、その加工や料理の提供等に必要な経費は補助対象になる
- 農作物の生産自体に必要な経費は、補助対象外
- 系統出荷による収入のみである個人農業者は、補助対象者に含まれない
つまり、コンバインや草刈機のように「作物をつくる」ための機械は、そのままでは対象になりません。農産物を加工して売る設備や、直売所の販路開拓のための機械なら、対象になる可能性があります。自分の計画が対象になるかは、商工会・商工会議所の窓口に計画の内容を伝えて確かめてください。詳しい制度の内容は小規模事業者持続化補助金の記事と第20回の記事にあります。
農機具の補助金を横断して比べる
ここまでの制度を、1つの表にまとめます。
| 制度 | 誰が使えるか | 補助の額 | 融資 | 向く機械 |
|---|---|---|---|---|
| 市町村の農業機械購入補助(出雲市の例) | 市内で営農する農業者(法人・個人) | 購入費の1/2以内、上限50万円 | 不要 | 草刈機、トラクター取付アタッチメント |
| 市町村の農業機械購入補助(山梨市の例) | 市内の果樹農家(個人事業主) | 購入費(税抜)の1/2以内、上限10〜20万円 | 不要 | 乗用草刈機、スピードスプレーヤー、トラクター |
| 農地利用効率化等支援事業 | 目標地図に位置づけられた担い手(法人・個人) | 事業費の3/10など、上限300万円(条件を満たせば600万円) | 必要 | コンバイン、トラクター、田植機、乾燥機 |
| 経営発展支援事業 | 49歳以下の認定新規就農者 | 国費の上限500万円(経営開始資金の対象者は250万円) | 必要 | 機械一式、施設、機械リース |
| 経営開始資金 | 新規就農者 | 月13.75万円を最長3年間 | 不要 | 機械の購入費ではなく経営の給付 |
| 青年等就農資金 | 認定新規就農者 | 無利子で貸付 | 融資そのもの | 機械・施設を含む |
| 小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者(個人農業者は加工・直売など) | 補助率2/3、上限50万円 | 不要 | 加工・直売用の設備。生産用の機械は対象外 |
個人の農家は、市町村の補助、農地利用効率化等支援事業、経営発展支援事業の順に確かめます。農地利用効率化等支援事業は融資を使える人、経営発展支援事業は新規就農者の制度です。併用では、同じ機械と経費に国・県・市の補助を重ねて受けられない制度が多くあります。山梨市も、同様の補助を受給していないことを条件にしています。重ねたいときは、先に窓口へ聞いてください。
農機具のリース・中古・レンタルの扱い
新品を一括で買うだけが選択肢ではありません。補助金の面から、3つの買い方を見ておきます。
リースは、制度によって扱いが分かれます。経営発展支援事業のPR版は、支援内容に「機械リース」を挙げています。一方、出雲市の除草機械の補助は、リース費を対象外にしています。リースで導入したい人は、使う制度の要綱で「リース」の扱いを確かめてください。
中古は、農地利用効率化等支援事業では、耐用年数の要件に加えて使用可能と認められる年数が2年以上であれば対象になります。山梨市は、中古品を50万円以上で、トラクターやスピードスプレーヤーなど一部の機械に限って認めています。中古を補助の対象にするかどうかは、制度によってはっきり分かれます。中古のコンバインを探す前に、使う制度の要綱で中古の扱いを読んでください。
レンタルや作業委託は、制度ごとの要綱によります。借りる費用が対象になるのか、機械を買わないと対象にならないのかは、窓口で聞くのが確実です。
補助金を受け取ったあとの農機具の確定申告
農機具の補助金で見落としやすいのが、税金の扱いです。農業所得のある個人は、補助金を受け取った年の所得税の確定申告で扱いを決めます。
国税庁のタックスアンサー No.2202(国庫補助金等を受け取ったとき)には、次のように書かれています。
- 固定資産の取得や改良に充てるために、国または地方公共団体の補助金や給付金(国庫補助金等)の交付を受け、その目的に合った固定資産の取得や改良をしたときは、確定申告書に一定の事項を記載することを条件に、その固定資産の取得や改良に充てた部分の金額を総収入金額に算入しない
- この取扱いを受けた固定資産の取得費は、実際に要した金額から、総収入金額に算入されなかった国庫補助金等の額を引いた残額になる
- 減価償却費は、その取得費を基礎に計算する
- 手続きは、「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付した確定申告書を、所轄の税務署に提出する
たとえば500万円のコンバインを買い、国の事業から150万円の助成を受けたとします。この取扱いを使うと、取得費は350万円として減価償却を計算します。補助金の150万円がその年の収入に入る状態は避けられます。ただし、確定申告書にこの扱いを選ぶ旨を書いていないと、適用されません。
2025年に補助金を受け取った人は令和7年分、2026年に受け取った人は令和8年分の確定申告が対象です。補助金を受け取る年と機械を買う年がずれる場合や、青色申告か白色申告かで、書類は変わります。市町村の補助金が「地方公共団体の補助金」に当たるかどうかも、個別の事情で結論が変わります。税務署か税理士に確認してください。
2025年度の農機具の補助金と令和8年度の違い
「農機具 補助金 2025」で検索すると、2025年度(令和7年度)の古い記事が混ざります。農機具の補助金は年度ごとに公募され、金額や名称が変わります。
農林水産省の資料でも、制度名や金額の書き方は年度で変わっています。国の機械導入の事業は、令和8年度は「農地利用効率化等支援事業」として公表されました。新規就農者向けの経営発展支援事業の上限は、令和8年度の資料では国費で500万円(経営開始資金の対象者は250万円)です。古い案内に出てくる「補助対象事業費の上限1,000万円」は、令和8年度の資料の数字ではありません。「経営体育成支援事業」も、農林水産省のページでは平成30年度までの事業として載っています。
令和9年度以降の内容は、公表された時点で変わる可能性があります。申請の前に、農林水産省のページと市町村の案内で、その年度の要領を確かめてください。
補助金は後払いなので、先に支払うお金を用意しておく
補助金は、先に機械の代金を払い、完了の報告をしたあとに支払われるのが基本です。出雲市の手引きでは、申請から支払いまでの流れが次の順序で示されています。
- 交付申請
- 交付決定
- 補助事業の実施と経費の支払い
- 実績報告
- 補助金額の確定
- 補助金の支払い
この順序から、交付決定の前に発注・契約・購入をしてはいけないことと、機械の代金はいったん自分で払うことが分かります。数百万円のコンバインでは、融資の実行時期と販売店への支払い日、補助金が入る日がずれます。資金繰りの計画が必要です。市町村の補助には購入と納品を終えてから申請する形のものもあり、順序は制度ごとに違います。必ず募集要項で確かめてください。
見積もり・契約の前に販売店へ確認する点
農機具は販売店の見積書が申請の書類になる制度が多く、販売店との段取りが採択と受給を左右します。業者の選び方や紹介は書きませんが、見積もりを取る前に確認しておく点を挙げます。
- 見積書の日付と宛名が、制度の決まりに合っているか(山梨市は、見積書の日付が令和8年4月1日以降のもの)
- 本体価格、付属品、運搬費、据え付け費、保証料が分けて書かれているか。補助の対象になるのは本体だけ、という制度もあります
- 型式と仕様が書かれているか。山梨市は、仕様が分かる書類やパンフレットの添付を求めています
- 納期が、補助事業の完了期限に間に合うか。出雲市は、令和8年度の補助事業完了期限を年末としていました
- 市内の販売店から買うことが条件かどうか。山梨市は、市内に事業所または販売店を置く事業所からの購入を条件にしています
- 交付決定前に契約や支払いをしないこと、キャンセルや型式変更の連絡方法
返還や不採択になりやすいケース
補助金の申請でつまずきやすいのは、次の点です。
- 交付決定の前に購入した(補助の対象外になる)
- 事業費が下限に届かない(農地利用効率化等支援事業は50万円以上、出雲市は補助額5万円以上)
- 同じ経費で国や県、市の別の補助を受けた
- 対象外の用途の機械を申請した(運搬用トラックやパソコンなどの汎用性の高いもの)
- 補助を受けた機械を、決められた期間内に売ったり貸したりした
- 成果目標を達成できなかった(農地利用効率化等支援事業は、目標年度までに目標を達成する義務があります)
制度の要綱に、処分の制限や、成果目標が未達のときの扱いが書かれています。契約の前に読んでおくと安心です。
まとめ:機械の値段、融資の有無、就農年数の順で絞る
農機具の補助金は、次の順番で考えると迷いにくくなります。
- 買いたい機械の値段を決める(数十万円までは市町村の補助、数百万円は国の事業)
- 融資を使うかどうかを決める(国の事業は融資が条件)
- 49歳以下の認定新規就農者かどうかを確かめる(該当すれば経営発展支援事業)
- 受け取ったあとの確定申告まで見て、購入の時期を決める
草刈機を買うなら、まず自分の市町村の農政担当課に電話してください。コンバインのような高額な機械なら、融資の相談と同時に、地域計画に自分の名前が載っているかを確かめるのが先です。持続化補助金は、農作物の生産自体の経費が対象外なので、加工や直売の計画があるときに限って検討してください。
よくある質問
農機具の補助金は個人の農家でも使えますか?
使えます。農地利用効率化等支援事業は、法人・個人を問わず上限300万円と決められています。市町村の補助も、市内で営農する個人を対象にするものが多くあります。ただし国の事業は、地域計画の目標地図に位置づけられた人で、融資を受けることが条件です。個人事業主として申請するときは、市町村の農政担当課に、自分が対象かどうかを先に確かめてください。
草刈機の補助金は個人事業主でももらえますか?
制度のある市町村なら、個人事業主でも申請できるものが多くあります。出雲市は、農業収入が主たる収入、農業販売額が50万円以上、耕作面積が30アール以上などのいずれかを要件にしています。山梨市は、果樹の収入が過半の個人事業主が対象です。市町村ごとに農業収入や面積の条件が違うので、前年の確定申告書を手元に置いて窓口に相談すると話が早くなります。
コンバインの補助金はいくらまでもらえますか?
農地利用効率化等支援事業の融資主体支援タイプなら、事業費の3/10、融資額、事業費から融資額と地方公共団体の助成額を引いた額のうち一番低い額が助成され、上限は300万円です。経営面積が基準を超える場合は600万円になります。たとえば900万円のコンバインを融資600万円で買う場合は270万円です。実際の額は審査と市町村の手続きで決まります。
農業機械の補助金と農機具の補助金は同じものですか?
同じものとして探して構いません。国の事業は「農業用機械」、検索や市町村の案内では「農機具」「農業機械」と呼ばれます。市町村の制度名には「農業用機械等購入」「農業機械導入」「機械導入支援」などが使われているので、公式サイトで探すときは複数の言い方で検索します。草刈機は「農業用除草機械」と書く市町村もあります。
農機具の補助金は確定申告が必要ですか?
補助金を受け取った年の確定申告で扱いを決めます。国税庁のタックスアンサーNo.2202によると、国や地方公共団体の補助金で固定資産を取得したときは、「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を付けた確定申告書を出すと、補助金の分を収入に入れず、機械の取得費から差し引く形にできます。明細書を付けないと、この扱いは受けられません。自分の場合の申告の方法は、税務署か税理士に確認してください。
農機具の補助金は、買ったあとに申請しても間に合いますか?
多くの制度では間に合いません。出雲市は、交付申請と交付決定のあとに購入・支払いをする順序で、交付決定より前の発注・契約は対象外です。山梨市も、交付決定通知の日付以前の領収書は対象外としています。ただし市町村の補助には購入・納品を終えてから申請する形のものもあり、順序は制度ごとに違います。国の事業の時期は市町村が案内します。購入の前に募集要項で「いつ申請するか」「いつ購入してよいか」を確かめ、不明なときは窓口に聞いてください。
中古の農機具でも補助金は使えますか?
制度によって違います。農地利用効率化等支援事業は、中古なら使用可能と認められる年数が2年以上であることが条件です。山梨市は、購入費50万円以上の中古品で、トラクターなど一部の機械に限って対象にしています。中古を対象にしない制度もあるので、購入する前に、使う制度の要綱で中古の扱いを確かめてください。
農機具のリースやレンタルにも補助金は使えますか?
制度によって違います。経営発展支援事業は、支援内容に機械リースを含めています。出雲市の除草機械の補助は、リース費を対象外としています。レンタルや作業委託に補助を出す制度もありますが、機械を買う場合とは条件が違います。リースで導入する予定なら、使う制度の要綱で、リース料が対象経費に入るかを確かめてください。
新規就農者が農機具の補助金を使うには何を確かめればいいですか?
49歳以下で認定新規就農者になれるかを、市町村に確かめるのが最初です。該当すれば経営発展支援事業で、国費の上限500万円(経営開始資金の対象者は250万円)の機械・施設の導入支援を受けられる可能性があります。機械の取得費用の本人負担分について、金融機関から融資を受けることが要件です。都道府県の支援分が前提なので、都道府県の相談窓口にも聞いてください。
小規模事業者持続化補助金で農機具は買えますか?
コンバインや草刈機のように、農作物の生産自体に使う機械は買えません。公募要領は、個人農業者でも農作物の加工や料理の提供などに必要な経費は対象とし、農作物の生産自体に必要な経費は対象外としています。加工品の製造設備や直売所の販路開拓のための機械なら、対象になる可能性があります。商工会・商工会議所の窓口に計画を見せて確かめてください。
農機具の補助金は、他の補助金と重ねて受けられますか?
同じ機械・同じ経費に、複数の補助を重ねて受けられない制度が多くあります。山梨市は、国・県・市・各団体の同様の補助金や交付金を受給していないことを条件にしています。別の経費に別の制度を使う、国の事業に市町村が上乗せする、といった形はあります。重ねる前に、双方の窓口に、同じ経費に当たらないかを確かめてください。
補助金は、機械を買う前に入りますか、買ったあとに入りますか?
買ったあとが基本です。出雲市の手引きでは、交付決定のあとに事業を実施して経費を支払い、実績報告、補助金額の確定を経て、補助金が支払われる順序です。機械の代金を先に自分で払うため、融資の実行時期や自己資金の準備が要ります。入金の時期は制度と市町村で違うので、募集要項の「補助金の支払い」の項目を確かめてください。
農機具の補助金について、まず誰に相談すればいいですか?
市町村の農政担当課が最初の窓口です。国の事業の要望調査は市町村を通して行われ、市町村の独自補助も同じ課が担当することが多くあります。新規就農の制度は、都道府県の新規就農相談窓口や普及指導センターも案内してくれます。融資を使う場合は、JAや日本政策金融公庫にも、補助金の計画とあわせて相談してください。
