赤字のバス路線を支える補助金なのに、申請書を出すのはバス会社で、何を補助の対象にするかを決めるのは市町村の会議です。この食い違いを知らないまま動くと、順番を間違えます。
令和2年度分の交付申請は、2020年10月1日から11月30日までで終わっています。補助率は対象経費の1/2以内で、金額の上限は市区町村ごとに国が決めます。計画に運送予定者として載っていないバス会社は、赤字でも申請できません。
地域内フィーダー系統確保維持費国庫補助金の要点まとめ
正式名:令和2年度地域内フィーダー系統確保維持費国庫補助金ほか2制度(同時募集)
だれが
- 申請者
- 乗合バス事業者か自家用有償旅客運送者(計画に運送予定者として記載された者)
- 対象業種
- 運輸業(乗合バス・自家用有償旅客運送)
- 利用目的
- 赤字バス・デマンド交通の運行維持、バス車両の更新
- 対象地域
- 埼玉県内(埼玉運輸支局の案件として募集)
- 従業員数
- 規定なし(運送事業者が申請)
いくら
- 補助上限額
- 市区町村ごとに国が算定する額(公式ページに金額の記載なし)
- 補助率
- 対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2020年10月1日〜2020年11月30日(終了)
- 事業の完了
- 補助対象期間の末日は2020年9月30日
うちの路線は申請の対象か?
フィーダー系統とは、地域間を結ぶ幹線バスや鉄道駅へ乗客をつなぐ、地域内の支線のことです。次の項目にすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
経常費用は運行にかかった費用、経常収益は運賃などの収入です。「計画」は、市町村や協議会が地域の交通について決める生活交通確保維持改善計画を指します。バス会社が単独で作る書類ではありません。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 過去2年度続けて黒字だった系統
- ✕ 9月30日に運行していない系統
- ✕ 路線定期運行で1回の輸送量が2人未満
対象になる系統は2通りです。1つは、補助を受けている地域間幹線バスにつながる系統です。政令指定都市・中核市・特別区が専ら支える系統や、運行区域がすべてその中に収まる系統は、こちらでは対象になりません。もう1つは交通不便地域の系統で、幹線バス・鉄道・船・飛行機などにつながっていることが前提です。過疎地域・離島・半島・振興山村などを沿線に含む場合か、半径1km以内にバス停・駅などがない地域の住民のための系統が当たります。
いくら戻ってくる?
交付額は、対象経費の1/2と、その市区町村に国が算定した上限額の、少ないほうの額以内です。対象経費は、経常費用から経常収益を引いた赤字の額です。上限額は人口などをもとに国が算定し、記事の公式ページに金額は載っていません。
以下は計算のしかたを見るための仮の数字です。
- 経常費用1,200万円、運賃収入300万円の系統:900万円 × 1/2 = 450万円(上限額が450万円以上の市の場合)
- 同じ系統で、その市の上限額が400万円の場合:450万円 → 上限の400万円
経常費用は、事業者の実車走行キロ当たりの費用に系統の走行キロをかけて出します。この単価が地域の標準経常費用を上回ると、標準のほうで計算されます。実際の費用が多くても、そのまま対象経費にはなりません。
経常収益は見込みでなく、補助対象期間の実績額を使います。
申請の流れ:計画から請求まで
動く順番は、市区町村の計画づくりが先で、バス会社の申請は最後です。
- 計画を国に認定申請する(市区町村の協議会など→国。補助を受ける会計年度の前年度の6月30日まで)
- 国が計画を認定する(国→協議会など。補助対象期間の開始前)
- 計画どおりに運行する(バス会社。補助対象期間は、会計年度の9月30日を末日とする1年間)
- 補助金の交付申請を出す(バス会社→国。会計年度の11月30日まで。令和2年度分は2020年10月1日から)
- 交付決定と額の確定の通知を受ける(国→バス会社)
- 支払請求書を出す(バス会社→国)
運行が先で、お金の申請は1年分の運行が終わったあとです。市区町村の計画づくりは、運行が始まるさらに前の前年6月末に締切があります。ここで計画に載らなかった系統は、翌年度まで待つことになります。
必要な書類
交付申請(手順4)で出す書類です。
準備できた 0 / 5
事業報告書は、旅客自動車運送事業等報告規則で定める報告書です。輸送実績算定表は、運行系統別の輸送実績と平均乗車密度を書く表で、補助対象の系統の分だけ出します。取組実績は、運行の生産性を上げるために行った取り組みの記録です。支払請求書は、交付が決まったあとの手順6で出します。
様式は年度ごとに改正されることがあります。電子申請でも出せます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 計画に載っていない:計画に運送予定者として記載された者でなければ、補助対象事業者になれません。
- 黒字の系統だった:補助対象期間の経常収益が経常費用に届いていることが条件です。過去2年度続けて黒字だった系統は除かれます。
- 9月30日までに廃止・休止した:補助対象期間の末日までに廃止か休止された系統は、補助金の額の全部が減額されます。災害などやむを得ない事情があれば別です。
- 計画どおりに運行しなかった:認定された計画の事業を実施しなかった割合に応じて、額が減らされます。
次の年度に向けて確認しておくこと
令和2年度分は終了しています。補助対象の基準や要綱は改正されることがあるため、令和2年度の条件がそのまま次の年度に当てはまるとは限りません。次回の募集内容は、関東運輸局 交通政策部 交通企画課か、市町村の交通担当課で確かめられます。
バス車両の更新には、車両減価償却費等国庫補助金があります。補助率は補助対象経費の1/2以内で、計画に記載された補助対象系統を運行するための車両の取得が対象です。令和2年度分は、フィーダー系統の補助金と同じ案件として募集されました。
よくある質問
令和2年度分は今から申請できますか?
申請できません。令和2年度分は2020年10月1日から11月30日までの受付で終わっています。補助金そのものは年度ごとに募集される仕組みなので、次回の募集があるかどうかは、関東運輸局 交通企画課か、市町村の交通担当課に問い合わせると確かめられます。令和2年度の要件が次の年度にそのまま当てはまるとは限りません。
申請するのはバス会社ですか、市町村ですか?
補助金の交付申請を出すのは、補助対象事業者であるバス会社(乗合バス事業者か自家用有償旅客運送者)です。一方、補助の前提になる計画を作って国に認定申請するのは、市区町村の協議会などです。バス会社が計画を単独で作るのではなく、計画に運送予定者として載せてもらうところから始まります。地域公共交通活性化再生法の法定協議会が計画を議論する場合は、バス会社に代えてその協議会を補助対象事業者にできると要綱にあります。まず市町村の交通担当課に相談する形になります。
路線が赤字なら必ず対象になりますか?
なりません。赤字であることに加えて、計画に載っていること、幹線につながる系統か交通不便地域の系統であること、補助対象期間の末日(9月30日)まで運行を続けていることなどを、すべて満たす必要があります。過去2年度続けて黒字だった系統は除かれます。路線定期運行では、1回当たりの輸送量が2人以上であることも条件です。
補助率と上限額はいくらですか?
補助率は対象経費の1/2以内です。対象経費は、経常費用と経常収益の差額です。市区町村ごとに、人口などを基準に国が算定した上限額があり、1/2の額と上限額の少ないほうの額以内で交付されます。上限額の具体的な金額は、公式ページに載っていません。自分の市町村の額は、関東運輸局の交通企画課に問い合わせると分かります。
黒字の年があった路線は対象外ですか?
過去2年度続けて経常収益が経常費用を超えた系統は、対象から除かれます。1年だけ黒字だった系統は、この条件では除かれません。そのうえで、補助対象期間にその系統の経常収益が経常費用に届いていないことが必要です。実績をそろえて確かめることになるので、運行系統別の収支は年度ごとに整理しておくと判断しやすくなります。
計画の認定申請と補助金の交付申請は何が違いますか?
認定申請は、市区町村の協議会などが、運行を続ける計画を国に認定してもらう手続きです。補助を受ける会計年度の前年度の6月30日までに出します。交付申請は、計画に載ったバス会社などが、運行が終わった1年分の実績をもとに補助金を請求する手続きで、会計年度の11月30日までに出します。出す人も時期も違います。
自家用有償旅客運送の運行者も対象ですか?
対象になりえます。補助対象事業者には、乗合バス事業者のほかに、道路運送法第78条第2号の自家用有償旅客運送を行う者が含まれます。市町村運営有償運送や交通空白地有償運送で乗合旅客を運ぶ場合は、運行の形としても認められています。ただし、計画に運送予定者として記載されていることが前提です。
デマンド交通や区域運行も対象になりますか?
運行の形が、路線定期運行、路線不定期運行、区域運行のいずれかであれば、対象になりえます。決まった路線を走らない区域運行やデマンド型でも、ほかの条件を満たせば補助の対象です。路線定期運行にだけ、1回当たりの輸送量が2人以上という条件がかかります。ほかの要件は共通なので、計画への記載や収支の条件を先に確かめます。
補助対象期間はいつからいつまでですか?
会計年度の9月30日を末日とする1年間です。令和2年度分なら、令和元年10月1日から令和2年9月30日までにあたります。交付申請はその期間が終わったあとの2020年10月1日から11月30日で、運行の実績にもとづいて額が決まります。運行が9月30日まで続いていない系統は、対象になりません。
バス車両の購入費も補助されますか?
車両減価償却費等国庫補助金という別の補助金があり、補助対象経費の1/2以内が交付されます。計画に記載された補助対象系統を運行するために必要な車両の取得が対象です。令和2年度分は、フィーダー系統の補助金と同じ案件でまとめて募集されました。車両ごとの要件と経費の出し方は、別表で別に決められています。
申請は電子でもできますか?
できます。補助対象事業者は、交付申請を電子情報処理組織を使う方法で行えると、要綱に書かれています。令和2年度分は、Jグランツに案件が掲載されていました。申請の前に、様式と提出方法を国土交通省の案内で確かめておくと、書類の出し直しを防げます。紙で出す場合と電子で出す場合で、添付のしかたが違うことがあります。提出の期限は、電子でも紙でも会計年度の11月30日です。令和2年度分は、2020年10月1日から11月30日までの受付でした。
問い合わせ先はどこですか?
Jグランツには、関東運輸局 交通政策部 交通企画課が問い合わせ先として載っています。補助金の様式、提出方法、要綱の読み方などで迷ったときは、この窓口に聞くのが確実です。市町村の計画への記載や、地域の協議会の動きについては、運行する市町村の交通担当課に聞くのが近道です。窓口の担当は年度で変わる場合があるので、問い合わせる前に公式ページで最新の案内を確かめておくと、行き違いを防げます。
