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職業訓練の給付金は2種類|どちらに乗るかで額が違う

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「職業訓練を受けると給付金がもらえる」とよく言われますが、その給付金は2種類あり、どちらに乗るかで金額も条件もまったく違います。

分かれ目は雇用保険の基本手当(失業手当)を受けられるかどうかです。

  • 受けられる人: 基本手当をそのまま受け取りながら訓練に通います。加えて受講手当(日額500円)と通所手当が付きます。ただし、月10万円の職業訓練受講給付金は受け取れません
  • 受けられない人: 職業訓練受講給付金(月10万円)が対象になります。ただし本人収入・世帯収入・金融資産まで審査され、要件は8項目あります

「月10万円もらえる」という説明を見て自分もそうだと思い込んだ結果、実際には雇用保険の受給資格があるので月10万円は対象外だったというすれ違いがよく起きます。ちなみに、雇用保険を受けている人のほうが手取りは多くなるのが普通です。基本手当は賃金に応じた額なので、月10万円を超えることが多いためです。

もう一つ、退職を控えている方に重要な話があります。令和7年4月1日以降、教育訓練等を受けると自己都合退職の給付制限が解除されるようになりました。訓練の受け方次第で、1〜3か月待つはずだった基本手当がすぐに出ます。ただし申し出には期限があり、逃すとその分は受け取れません。

この記事では、この2ルートの違いと、それぞれの金額・要件・期限を整理します。

まず自分がどちらか確認する

雇用保険を受給できる人雇用保険を受給できない人
主な対象離職前に雇用保険に加入しており、受給資格がある人自営業を廃業した人、加入期間が足りない人、給付が終わった人、収入が一定額以下の在職者など
訓練の種類公共職業訓練(ハロートレーニング)求職者支援訓練
受講料無料(テキスト代等は自己負担)無料(テキスト代等は自己負担)
訓練中の主な収入基本手当(賃金日額の45〜80%)職業訓練受講給付金 月10万円
上乗せの手当受講手当 日額500円(上限40日分=2万円)/通所手当通所手当(月上限42,500円)/寄宿手当(月10,700円)
収入・資産の審査なしあり(本人収入・世帯収入・金融資産)
訓練期間最長2年2か月から6か月
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基本手当を受けられる人は、月10万円の給付金を受け取れません。 制度が重複しないよう設計されているためです。逆に言えば、基本手当のほうが金額が大きいのが通常なので、損をしているわけではありません。

自分の基本手当がいくらになるかは 失業保険はいくらもらえる?金額の目安 で計算方法を示しています。

なお、給付金の支給要件を満たさない場合でも、無料の職業訓練を受講すること自体はできます。 親や配偶者と同居していて世帯収入がある方(学卒未就職の方など)は、このパターンになります。

雇用保険を受給できる人がもらえるもの

ハローワークから「受講指示」を受けて公共職業訓練に通う場合、次の3つが出ます。

  1. 基本手当。通常どおり支給されます
  2. 受講手当。訓練を受けた日について日額500円、上限40日分(合計2万円)
  3. 通所手当。訓練施設への通所にかかる交通費

受講手当が上限2万円なので、そこまで大きな額ではありません。 訓練期間が長くても40日分で頭打ちです。実質的な収入の柱は基本手当です。

所定給付日数が尽きても訓練終了まで出る(訓練延長給付)

ここが最大のメリットです。ハローワークの職業相談で、再就職のために公共職業訓練等を受講することが必要と認められた場合、所長がその訓練の受講を「指示」することがあります。

この受講指示を受けて訓練を始めると、訓練期間中に所定給付日数が終了しても、訓練が終了する日まで引き続き基本手当が支給されます。 これを訓練延長給付といいます。

たとえば所定給付日数が90日の人が6か月の訓練に入った場合、90日で切れるはずの基本手当が、訓練が終わるまで続くことになります。短い給付日数の人ほど、訓練を受ける金銭的メリットが大きいという構造です。

ただし条件があります。訓練の受講指示は、原則として所定給付日数内の支給残日数が一定以上ある時点で行うこととされています。給付日数が残りわずかになってから訓練を申し込んでも、受講指示が出ない可能性があります。訓練を考えているなら、受給が始まった早い段階でハローワークに相談してください。

自己都合退職の給付制限が解除されます(令和7年4月から)

正当な理由なく自己都合で退職した場合、受給資格決定日から7日間の待期期間が満了した後、1〜3か月間は基本手当が支給されません。これを給付制限といいます。

令和7年4月1日以降、リ・スキリングのために一定の教育訓練等を受けた(受けている)場合、この給付制限が解除されるようになりました。

対象になるのは、次のいずれかを離職日前1年以内に受けた方(途中退校は該当しません)、または離職日以後に受けている方です。いずれも令和7年4月1日以降に受講を開始したものに限られます。

  1. 教育訓練給付金の対象となる教育訓練
  2. 公共職業訓練等
  3. 短期訓練受講費の対象となる教育訓練
  4. 上記に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練

離職前1年以内に受けていた場合は待期満了後から給付制限が解除され、離職日以後に受ける場合は受講開始日以降、給付制限を受けません。

申し出の期限を逃すと、その分は戻りません

ここが実務上いちばん重要です。給付制限の解除は自動ではなく、ハローワークへの申し出が必要で、しかも期限があります。

原則は、受給資格決定日、または受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合はその受講開始日の直後の認定日)までに申し出ることです。

給付制限期間が2か月以上で、初回認定日以降かつ給付制限期間中に受講を開始する場合は、さらに細かい規定があります。

  • 受講開始日が「初回認定日」以降かつ「認定日の相当日」より前である場合 → 受講開始日直後の「失業認定日に相当する日」までに申し出る
  • 受講開始日が「認定日の相当日」以降かつ「給付制限期間満了後の失業認定日」より前である場合 → 「給付制限期間満了後の失業認定日」までに申し出る

厚生労働省の資料には具体例が載っています。受給資格決定日3月19日、初回認定日4月16日、認定日の相当日5月14日、給付制限満了後の認定日6月11日、訓練受講開始4月20日というケースです。

  • 5月14日までに申し出て認定を受けた場合 → 4月20日から基本手当が支給されます
  • 5月14日までに申し出をしなかった場合 → 6月11日までに申し出をしても、4月20日〜5月14日の基本手当は受給できません

つまり、申し出が遅れた分だけ基本手当が消えるということです。訓練を受け始めたら、すぐにハローワークへ申し出てください。

申し出の際は、受給資格決定以降に受講を開始する場合や受給資格決定時に受講中の場合は訓練開始日が記載された領収書か、訓練実施施設による訓練開始日の証明書が必要です。受給資格決定日前に訓練を修了している場合は、訓練修了日が記載された修了証明書か、訓練実施施設による訓練修了日の証明書が必要になります。教育訓練給付金の申請時にこれらを提出済みなら、その旨を伝えれば足ります。

なお、給付制限期間中は本来認定日がありませんが、この場合は認定を受けることになり、通常の失業認定と同様に、認定日数に応じた求職活動実績が必要です。

雇用保険を受給できない人の月10万円(職業訓練受講給付金)

こちらは求職者支援制度の給付金です。支給されるのは次の3つです。

手当金額内容
職業訓練受講手当月10万円訓練を受講している期間について、要件を満たせば1か月ごとに支給
通所手当定期乗車券などの額(月上限42,500円訓練施設へ通所する場合
寄宿手当月10,700円同居の配偶者・子・父母と別居して寄宿する場合で、住居の変更が必要とハローワークが認めるとき
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支給要件は8項目すべてを満たす必要があります

1つでも欠けると支給されません。

  1. 本人収入が月8万円以下であること
  2. 世帯全体の収入が月30万円以下であること
  3. 世帯全体の金融資産が300万円以下であること
  4. 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していないこと
  5. すべての訓練実施日に出席すること(やむを得ない理由により欠席し証明できる場合であっても、8割以上の出席が必要。育児・介護を行う方や求職者支援訓練の基礎コースを受講する方については、証明ができない場合を含めて8割以上)
  6. 世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいないこと
  7. 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により特定の給付金の支給を受けていないこと
  8. 過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていないこと

世帯単位で見られるのが最大のハードルです。本人の収入が少なくても、同居する配偶者や親の収入が月30万円を超えていれば対象外になります。「世帯」の範囲は住民票が基準なので、世帯分離をしているかどうかで結果が変わることがあります。

8番目の「過去6年以内」も見落とされます。一度受けた方は、6年空けないと再び受けられません。

給付金は無理でも「通所手当だけ」は出ることがあります

あまり知られていない特例です。

収入要件を満たさない場合であっても、本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下で、他の要件を満たす場合は、通所手当のみ支給を受けることができます。

月10万円は諦めていた人でも、交通費(月上限42,500円)は出る可能性があるということです。訓練施設が遠い場合、交通費だけでも月に数万円になります。窓口で「給付金は無理でしたか」で終わらせず、通所手当だけの支給が可能か確認してください。

月に一度、ハローワークへ行く義務があります

職業訓練受講給付金は「訓練に通っていれば自動で振り込まれる」ものではありません。

月に一度、あらかじめ指定された「指定来所日」にハローワークへ来所し、職業相談を受ける必要があります。日付は交付される「就職支援計画書」に記載されており、当日はその計画書を持参します。給付金の受給手続きは、職業相談を終えてから行います。

求職者支援訓練では原則としてカリキュラム上訓練のない日に設定されますが、公共職業訓練を受講する方は指定来所日が訓練日にあたることがあり、この場合はハローワークへの来所が優先されます。

なお、雇用保険受給者の方は、雇用保険の失業認定日を変更して指定来所日と同じ日にできる場合があります。2回行かずに済むので、窓口で相談してみてください。

また、訓練修了後3か月間(訓練修了後3回目の指定来所日まで)は、求職者支援制度による就職支援が続きます。 訓練が終わったら関係が切れる、というわけではありません。

1回の欠席で、その月が不支給になります

出席率8割という数字だけを覚えていると危険です。実際の運用は次のようになっています。

状況その支給単位期間の給付次回以降の給付
やむを得ない理由により欠席(遅刻・欠課・早退)出席率8割以上なら支給/8割未満は不支給支給
やむを得ない理由なく欠席(理由があっても証明できない場合を含む)不支給支給
正当な理由なく指定来所日に来所しなかった不支給
正当な理由なく就職支援計画書の「必須事項」を行わなかった不支給
正当な理由なく、その他の就職支援を拒否した不支給
上記を繰り返した場合不支給不支給
訓練実施施設から退校処分を受けた不支給
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やむを得ない理由なく1日でも欠席すると、その月の10万円は出ません。 8割ルールが適用されるのは「やむを得ない理由があり、それを証明できる」場合だけです。

さらに、これを繰り返すと支援指示が取り消されて訓練の受講が続けられなくなるほか、訓練期間の初日に遡って給付金の返還命令等が行われることがあります。

全訓練期間を通じた出席率が8割に満たない場合は、修了考査を受けられず、訓練実施施設から退校処分を受けることもあります。

給付金でも足りないときの融資

職業訓練受講手当を受給しても訓練期間中の生活費が不足する場合、求職者支援資金融資という貸付制度があります。

  • 貸付額: 単身者は月額5万円、扶養家族を有する者は月額10万円 × 給付金の受講予定訓練月数
  • 利率: 2%(うち信用保証料0.5%)
  • 担保・保証人: 不要

給付ではなく融資なので返済が必要ですが、担保も保証人も要らず、利率も低く抑えられています。訓練期間が長く、貯蓄が心もとない方は選択肢に入ります。

訓練コースと期間

訓練の中身も2ルートで違います。

  • 求職者支援訓練: 訓練期間は2か月から6か月
  • 公共職業訓練: 訓練期間がより長く、最長2年のコースもあります

託児サービスを利用できる訓練コースもあり、デジタル分野のコースについては定員増に向けた取り組みが進められています。

全国の訓練コースは、ハローワークインターネットサービスで都道府県・分野・募集期間・訓練期間ごとに検索できます。受けたいコースが見つかってから窓口へ行くほうが、相談がスムーズです。開講予定のコース情報もそこで確認できます。

なお、職業訓練受講給付金という制度そのものの詳細は 職業訓練受講給付金とは?月額10万円 にまとめています。

よくある質問

職業訓練の給付金はいくらもらえますか?

どちらのルートかで変わります。雇用保険を受給できる人は、基本手当(賃金日額の45〜80%)に加えて受講手当日額500円(上限40日分=2万円)と通所手当です。受給できない人は、職業訓練受講給付金として月10万円と通所手当(月上限42,500円)、条件を満たせば寄宿手当(月10,700円)です。

月10万円は誰でももらえますか?

もらえません。8項目すべてを満たす必要があり、本人収入月8万円以下・世帯収入月30万円以下・世帯の金融資産300万円以下という審査があります。また、雇用保険の基本手当を受給できる人は対象外です。過去6年以内にこの給付金を受けた方も対象外になります。

職業訓練を受けると失業保険は延長されますか?

されます。ハローワークから受講指示を受けて公共職業訓練等に通う場合、訓練期間中に所定給付日数が終了しても、訓練が終了する日まで基本手当が支給されます(訓練延長給付)。ただし、受講指示は原則として支給残日数が一定以上ある時点で行われるため、給付が残り少なくなってから申し込んでも受けられない可能性があります。

自己都合で辞めても、すぐに失業保険をもらえますか?

令和7年4月1日以降、教育訓練等を受けた(受けている)場合は給付制限が解除されます。 対象は、教育訓練給付金の対象となる教育訓練、公共職業訓練等、短期訓練受講費の対象となる教育訓練などで、離職日前1年以内に受けたもの(途中退校は不可)か、離職日以後に受けるものです。ハローワークへの申し出が必要で、期限を過ぎるとその期間の基本手当は受け取れません。

訓練を休んだらどうなりますか?

職業訓練受講給付金は、すべての訓練実施日に出席することが原則です。やむを得ない理由で欠席し、それを証明できる場合でも8割以上の出席が必要になります。8割を割ると、その月の給付金は支給されません。育児・介護を行う方や求職者支援訓練の基礎コースを受講する方は、証明ができない場合も含めて8割以上という扱いです。

給付金の要件に少し足りない場合、何も出ませんか?

通所手当だけ出ることがあります。収入要件を満たさない場合でも、本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下で他の要件を満たすなら、通所手当のみの支給を受けられます。また、給付金の要件を満たさなくても無料の職業訓練を受講すること自体は可能です。

この補助金について、専門家に相談する

対象になるか、いくら出るか、いつまでに何を用意するか。 申請の可否で迷ったら、補助金を扱う専門家に確認するのが確実です。相談は無料です。

この補助金の専門家に相談する

免責事項: 本記事の内容は2026年9月時点で確認できた情報にもとづきます。給付額・支給要件は法改正により変更される場合があります。個別の受給資格の判定、受講指示の可否、給付制限解除の申し出期限は、お住まいを管轄するハローワークが判断します。申請前に必ずハローワークにご確認ください。

出典(一次情報)

この記事を書いた人
まっさん。|元経営者
補助金で会社を立て直した元経営者

補助金で会社を立て直した元経営者。資金繰りに悩んだ末に補助金を活用して事業を再建した経験から、中小企業・個人事業主が“本当に使える補助金”とその活かし方を発信しています。掲載内容は公募要領などの一次情報をもとに整理しています。

本記事は情報提供を目的としており、補助金の採択・交付を保証するものではありません。 補助上限額・補助率・締切等の内容は変更される場合があります。申請にあたっては、必ず 公式サイト・最新の公募要領をご確認ください。