家の屋根に太陽光パネルを後から載せる費用に、国の補助はありません。国の住宅用太陽光の補助は平成25年度(2013年度)分が最後で、補助を出しているのは都道府県と市区町村です。額は1kWあたりの単価で決める制度が多く、東京都の家庭向けの制度では既存の住宅に3kW載せると1kWあたり15万円で45万円になります。
家を新しく建てる場合は少し事情が違います。国の住宅の補助(みらいエコ住宅2026事業のGX志向型住宅や環境省のZEH補助)は、太陽光などでつくる電気を含めた省エネ性能が要件に入っています。補助はパネルを含めた家1戸に定額で出るもので、パネルの代金そのものに出る補助はありません。
この記事では補助の仕組みと費用・売電との関係を先に整理しています。そのあとに代表的な補助金の金額と締切の暦、多くの制度に共通する注意点、都道府県ごとの一覧を載せました。自分の県の制度は一覧から各制度の記事へ進めます。
太陽光発電の補助金の概要
太陽光発電の補助金は、お金を出す側で国・都道府県・市区町村の3つに分かれます。住宅の屋根に載せるパネルに直接出るのは都道府県と市区町村の制度です。国の制度は新築の住宅全体への補助と、会社などの事業者向けの補助が中心です。
国・都道府県・市区町村の3層と、国の補助が無い理由
資源エネルギー庁が2024年12月にまとめた資料「太陽光発電について」には、国が1994年から住宅用太陽光の設置に補助を出していたと書かれています。太陽光発電協会の太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)が受け付けた平成25年度(2013年度)分が最後で、受付は2014年3月末までです。その後は住宅のパネルの設置費に国が補助を出す制度は設けられていません。
国が住宅の省エネを後押ししている「住宅省エネ2026キャンペーン」は、国土交通省・経済産業省・環境省の事業です。新築とリフォームを対象にした4つの事業(みらいエコ住宅2026事業・先進的窓リノベ2026事業・給湯省エネ2026事業・賃貸集合給湯省エネ2026事業)でできています。
このうちリフォームで使うみらいエコ住宅2026事業は、補助の対象にならない工事として「太陽光発電設備の設置工事」をはっきり挙げています。同じ事業でも蓄電池はエコ住宅設備として補助の対象に入っていて、太陽光と蓄電池で扱いが分かれます。リフォームで国の補助を使うなら窓・断熱・給湯器の工事で申請し、パネルは自治体の制度で探す組み立てになります。
インターネット上には「みらいエコ住宅2026事業で太陽光に定額◯万円」と説明しているページもあります。公式のリフォームの要件ページでは太陽光の設置工事は対象外なので、国の制度の名前を挙げて補助が出ると言われたら、その事業の公式サイトの要件で確かめます。
新築では扱いが変わります。みらいエコ住宅2026事業のGX志向型住宅は、再生可能エネルギーを含めた一次エネルギー消費量の削減率(一般の地域で100%以上)が要件です。環境省のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、太陽光発電などでエネルギーをつくって1年間に使うエネルギーを差し引きでおおむねゼロ以下にする住宅と定められています。どちらも家1戸に定額で補助する仕組みで、パネルの設備ごとの額はありません。額と受付の期間は年度ごとに決まるので、みらいエコ住宅2026事業の記事と公式サイトで確かめます。
蓄電池への国の補助も、太陽光と一緒に調べる人が多い制度です。令和7年度補正の「DR家庭用蓄電池事業」は1申請60万円が上限でしたが、2026年5月29日に申請額の合計が予算に達して公募を終えています。詳しくはDR家庭用蓄電池補助金の記事にまとめています。
会社や個人事業主の太陽光には、国の事業者向けの補助があります。環境省のストレージパリティ事業(民間企業等が入れる太陽光と蓄電池が対象)がその例で、資源エネルギー庁の需要家主導型の太陽光の事業も、令和3年度から6年度の予算で実施されました。住宅向けとは窓口も要件も別なので、事業者の方はストレージパリティ補助金の記事など事業者向けの制度記事から確かめます。
都道府県と市区町村の制度は重ねて使えることが多いものの、決まりは制度ごとに違います。住宅省エネ2026キャンペーンの公式サイトには「国費が充当されている制度は、本キャンペーンの各事業と併用できません」とあります。自治体の補助の財源に国のお金が入っていると、国の住宅の補助とは重ねられません。
自分の自治体の制度は、都道府県と市区町村の公式サイトで「太陽光」と検索すると見つかります。担当は環境や住宅の部署であることが多く、課の名前は自治体ごとに違います。住宅省エネ2026キャンペーンの公式サイトからは、住宅リフォーム推進協議会の「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」に進めます。市区町村の制度は都道府県の制度とは別に募集されるので、県と市の両方を調べます。この記事の下の全国一覧でも、県ごとに制度を並べています。
額の決まり方と、対象になる人・設備
自治体の補助の額は、大きく3つの決まり方があります。パネルの容量(kW)に単価をかける「単価」と、1件いくらと決まっている「定額」、かかった費用に割合をかける「補助率」です。どの決まり方でも、上限の額とかかった費用のどちらか低いほうで止まります。
| 決まり方 | 計算のしかた | 一次情報で確かめた例 |
|---|---|---|
| 単価 | 1kWあたりの額 × 容量(kW) | 東京都の家庭向け:既存住宅は3.75kW以下で1kWあたり15万円(上限45万円)、3.75kWを超えると1kWあたり12万円 |
| 単価(設備ごと) | 太陽光は1kWあたり、蓄電池は1台あたり | 神奈川県:太陽光1kWあたり7万円+蓄電システム1台15万円(太陽光と蓄電池の同時導入が条件) |
| 定額・補助率 | 1件いくら、または費用の何分の1 | 川崎市:FITを使う設備は1件4万円、FITを使わない設備は1kWあたり7万円(設置費用の2分の1、上限28万円) |
同じ自治体でも、新築と既存の住宅で単価が分かれることがあります。東京都では新築住宅が3.6kW以下で1kWあたり12万円(上限36万円)、既存住宅が3.75kW以下で1kWあたり15万円(上限45万円)で、既存のほうが高く設定されています。東京都の「新築」は住宅の建築と同時に設置する場合のことで、法律上の新築住宅とは別の区分です。東京都は陸屋根に載せるときの架台や防水工事と、機能性の高いパネルにも上乗せを設けています。東京都の仕組みは東京都の太陽光補助金の記事で詳しく見られます。
単価に区分がある制度では、容量で額がどう変わるかを計算してから容量を決めます。東京都の既存住宅の単価で計算すると次のとおりです(どれも実際の費用が上限になります)。
| 容量 | 計算 | 補助の額 |
|---|---|---|
| 3kW | 15万円 × 3kW | 45万円 |
| 3.5kW | 15万円 × 3.5kW = 52.5万円 → 上限45万円 | 45万円 |
| 4kW | 3.75kWを超えるので12万円 × 4kW | 48万円 |
| 5kW | 12万円 × 5kW | 60万円 |
3kWを超えて3.75kWまでは上限で止まり、3.75kWを超えると単価は下がっても額は増えます。容量を少し変えるだけで額が変わることがあるので、見積もりの容量が区分の境目の近くなら業者と相談します。
蓄電池と組み合わせると額が変わる制度も多くあります。神奈川県のように蓄電池の同時導入を条件にする県もあれば、太陽光だけでも申請できる市もあります。太陽光と蓄電池をあわせて入れるときの考え方は、太陽光と蓄電池セットの補助金の記事にまとめています。
補助の対象になる経費は、多くの制度で設備費と設置工事費です。神奈川県は太陽光と蓄電システムのそれぞれの設備費・設置工事費を対象にしていて、見積もりや内訳にはパネル・パワーコンディショナ・蓄電システムの型番と数量を書くよう求めています。東京都は陸屋根の架台や防水工事を別の上乗せとして数えます。見積書がこの区分で分かれていないと、申請のときに内訳を出し直すことになります。
申請できる人も制度ごとに決まっています。住宅向けの制度は、住宅の持ち主の個人が中心です。マンションでは神奈川県・川崎市・東京都のように管理組合が申請できる制度があります。神奈川県は、設置が管理組合の集会で決まったことを示す議事録の提出を求めています。
リース(設備を借りる)やPPA(業者が載せた設備の電気を買う)で初期費用を抑える方法は、制度によって扱いが正反対です。川崎市は申請者が買った設備でないものを対象外としています。東京都は設備を貸す事業者や電気を売る事業者も申請できる形にしています。この場合に補助を受け取るのは事業者で、利用者との契約金額から助成金の額を差し引くことが交付の要件です。
事業者向けの自治体の制度は、つくった電気を自分の事業所で使う「自家消費」を条件にするものが目立ちます。横浜市の中小企業向けの制度にも自家消費の量の要件があり、神奈川県も事業者向けは「自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金」として住宅用と分けています。売電で回収する事業用の地上設置の太陽光は、2027年度以降はFIT・FIPの支援の対象外になると経済産業省が決めています。
設置費用・売電(FIT)と補助の関係
補助は設置の費用の一部です。資源エネルギー庁が集計した2024年に設置された新築住宅の太陽光は、平均で1kWあたり28.6万円でした。内訳はパネルが約47%、工事費が約29%です。既存の住宅に後から載せた案件は、同じ資料の図(38ページ)に2024年設置の平均が1kWあたり32.6万円と出ていて、新築より高い水準です。
この平均で4kWを新築に載せると、費用は約114.4万円です。東京都の新築住宅の単価(3.6kWを超える場合は1kWあたり10万円)なら補助は40万円で、費用の約35%にあたります。既存の住宅に3kW載せる場合は約97.8万円で、東京都の補助45万円を引くと自己負担は約52.8万円です。実際の見積もりは屋根の形や機器で変わるので、見積書の1kWあたりの額をこの平均と並べて見ておくと判断がしやすくなります。
導入後の収支を左右するのは売電と自家消費です。10kW未満の住宅用の太陽光は、FIT(固定価格買取制度)で使わずに余った電気を10年間決まった価格で電力会社に売れます。2025年度の下半期(10月〜)からは「初期投資支援スキーム」として最初の4年が1kWhあたり24円、5〜10年目が8.3円になりました。経済産業省は2026年度の認定分も同じ仕組みとしています。
補助でどれだけ負担が変わるかを、国が買取価格を決めるときに使った想定値で計算してみます。設備利用率13.7%で4kWの年間の発電量は約4,800kWh、そのうち70%を売り30%を家で使うとします。最初の4年は売電が年約8.1万円(3,360kWh×24円)、家で使った分の電気代の節約が年約3.9万円(1,440kWh×27.31円)で、合わせて年約12万円です。5〜10年目は売電の単価が8.3円に下がり、年約6.7万円になります。
この前提では10年間の合計は約88万円です。補助が無いと費用114.4万円に届きませんが、東京都の補助40万円を引いた74.4万円なら10年のうちに上回る計算になります。実際の発電量は屋根の向きや地域で変わり、電気代の単価も同じではありません。点検やパワーコンディショナの交換の費用も入っていないので、業者の試算を見るときはこの前提と比べます。
10年の買取期間が終わったあと(卒FIT)は、小売電気事業者が出している買取メニューに売ることになります。資源エネルギー庁が2024年12月に確かめた買取メニューの価格は、平均で1kWhあたり10.1円でした。売る電気より家で使う電気の割合を増やすと、そのぶん電気代を払わずに済みます。蓄電池を組み合わせる理由の多くはここにあります。
維持の費用も見込んでおきます。資源エネルギー庁が太陽光発電協会に聞き取った結果では、5kWの設備の定期点検は3〜5年に1回で1回あたり約4.1万円でした。パワーコンディショナ(発電した電気を家で使える形に変える機器)は20年のうちに1度は交換し、費用は42.3万円程度が一般的とされています。点検の費用に補助が出る制度は見当たりませんでした。パワーコンディショナの交換には別の枠で補助を設ける自治体もあるので、交換の時期が来たら改めて調べます。
申請は工事の前、お金は工事のあと
多くの制度は工事を始める前に申請し、自治体から交付の決定を受けてから工事を始めます。お金が入るのは工事が終わって実績の報告を出し、自治体が中身を確かめたあとです。工事代はいったん全額を自分で払う前提で予定を立てます。
大まかな順番は次のとおりです。制度ごとの細かい順番と書類は、各制度の記事で確かめてください。
- 自分の住所の都道府県と市区町村の制度を調べ、対象の設備・容量・申請者の条件を確かめる
- 業者から見積もりを取り、見積書の機器と容量が制度の条件に合うか照らす
- 工事を始める前に交付申請を出す(契約をいつしてよいかは制度の手引きで確かめる)
- 交付の決定の通知を受け取ってから工事を始める
- 工事が終わったら、期限までに実績報告を出す
- 自治体が報告を確かめたあと、補助金が口座に振り込まれる
東京都の家庭向けの制度のように、先に「事前申込」を出して設置のあとに交付申請と実績報告をまとめて出す形の制度もあります。東京都は、事前申込の受付日より前に契約したものを助成の対象外としています。事前申込の期限や契約をしてよい時期は、その制度の手引きで確かめます。
書類は申請のときと報告のときで分かれます。神奈川県の住宅用の補助(戸建住宅)を例にすると、次のとおりです。
| 出すとき | 書類の例 |
|---|---|
| 交付申請 | 交付申請書と事業計画書、契約書の写し(経費の額が無いときは経費の内訳)、設備の仕様が分かるカタログ、住民票の写し(マイナンバーの記載が無く発行から3か月以内)、既存住宅は登記事項証明書の写し、新築の注文住宅は建築確認済証の写し |
| 交付申請(古い住宅) | 昭和56年6月1日より前に建築確認を受けて着工した住宅は、耐震基準に適合させる改修をしたことを示す書類の写し |
| 実績報告 | 実績報告書と事業結果報告書、本人名義の通帳の写し、設置後の完成写真(建物の全体・設置の状況・型番)、宛名が本人の領収証の写し |
交付の決定の通知が届いても、お金が入るわけではありません。神奈川県は、交付決定通知は補助金の入金を知らせるものではないと案内しています。
申請を誰がするかも制度で違います。神奈川県の住宅用の補助は申請者本人の手続きが必要で、施工業者の代行申請は受け付けていません。みらいエコ住宅2026事業は逆に登録した住宅事業者が申請して、受け取った補助を施主に還元する仕組みです。施主が直接は申請できません。
太陽光発電の代表的な補助金の金額
国の制度と、上限の大きい都道府県の制度を上限額で比べた表です(制度名を押すと下の全国一覧のその制度へ移ります)。
