東京都で住宅に太陽光を載せるとき、令和8年度の助成額は既存住宅なら1kWあたり15万円(3.75kW以下・上限45万円)、新築住宅なら1kWあたり12万円(3.6kW以下・上限36万円)です。 一般的な4kWで比べると、既存45万円・新築36万円で9万円の差が出ます。窓口は東京都環境公社が運営するクール・ネット東京で、事前申込は2026年5月29日に始まりました。
東京都の太陽光の助成を調べていると、金額の書き方が2種類あることに気づくと思います。12万円/kWと書いてあるページと、15万円/kWと書いてあるページ。どちらも正しいのですが、指しているものが違います。
東京都の助成は、新築住宅と既存住宅で単価が別に設定されていて、既存住宅のほうが高くなっています。 4kWの太陽光を載せる場合、新築なら36万円(上限)、既存なら45万円(上限)で、9万円の差が出ます。
もう1つ、東京都には他の道府県に無い事情があります。2025年4月から、都内の新築建築物に太陽光発電設備の設置基準が始まりました。 「新築なら自動で付いてくるのか」「補助金は自分で申請するのか」という疑問が生まれるところで、ここも整理します。
蓄電池の助成は東京都の蓄電池補助金にまとめています。
自分がどの区分に当たるか
東京都の太陽光の助成は、住宅の種類と屋根の形で受け取れる額が変わります。最初にどこに当てはまるかを確認してください。
| あなたの状況 | 使う区分 | 1kWあたりの額 | 上限 | 先に確認すること |
|---|---|---|---|---|
| これから家を建てる(新築) | 新築住宅 | 3.6kW以下 12万円/3.6kW超 10万円 | 3.6kW以下は36万円 | 誰が事前申込をするか(ハウスメーカーか自分か) |
| すでに住んでいる家の屋根に載せる | 既存住宅 | 3.75kW以下 15万円/3.75kW超 12万円 | 3.75kW以下は45万円 | 事前申込の前に契約していないか |
| 陸屋根(屋根が平ら)の戸建て | 既存住宅+上乗せ | 上記+防水18万円・架台10万円 | 区分ごと | 防水工事の見積を分けてもらえるか |
| 分譲マンション・集合住宅 | 集合住宅+上乗せ | 上記+防水18万円・架台20万円 | 区分ごと | 管理組合の決議が取れているか |
| すでに太陽光がある(10年以上前に設置) | パワコン更新 | 助成率1/2 | 10万円/台 | パネル本体の助成は使えない |
上の表で「新築」と「既存」のどちらかが決まれば、あとは容量を掛けるだけで金額が出ます。同じ4kWでも新築36万円・既存45万円と9万円違うので、区分を取り違えると資金計画がずれます。
新築と既存で単価が違う(既存のほうが高い)
まず金額から見ます。令和8年度の助成額は次のとおりです。
| 区分 | 出力 | 助成額 |
|---|---|---|
| 新築住宅 | 3.6kW以下 | 12万円/kW(上限36万円) |
| 新築住宅 | 3.6kW超 | 10万円/kW(50kW未満) |
| 既存住宅 | 3.75kW以下 | 15万円/kW(上限45万円) |
| 既存住宅 | 3.75kW超 | 12万円/kW(50kW未満) |
既存住宅のほうが、小容量の区分で1kWあたり3万円、大容量の区分で1kWあたり2万円高く設定されています。
新築の場合、ハウスメーカーが設計段階から太陽光を組み込めるので工事の負担が小さく、既存住宅は後から屋根に載せるため足場や配線の手間がかかります。設置コストの違いが単価に反映されている、という理解でおおむね合っています。
容量ごとに計算するとこうなります。
| 設置容量 | 新築住宅 | 既存住宅 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 3.0kW | 36万円 | 45万円 | 9万円 |
| 3.6kW | 36万円(上限) | 45万円(上限) | 9万円 |
| 4.5kW | 45万円(10万円×4.5) | 54万円(12万円×4.5) | 9万円 |
| 6.0kW | 60万円 | 72万円 | 12万円 |
| 10.0kW | 100万円 | 120万円 | 20万円 |
※3.6kW超・3.75kW超の区分では上限額の記載がないため、単価×出力で計算しています。実際の助成額は助成対象経費が上限になる場合があります。
上限額の設定にも注意が必要です。 新築の3.6kW以下は上限36万円なので、3.6kWちょうどで12万円×3.6=43.2万円ではなく、36万円が上限として効きます。既存も同様に、3.75kW以下は上限45万円です。小容量の区分では、上限額が単価の計算より先に効きます。
陸屋根には上乗せがあります
屋根が平らな住宅(陸屋根)に太陽光を載せる場合、通常の勾配屋根より工事が増えます。東京都はここに上乗せを設けています。
| 上乗せの種類 | 対象 | 助成額 |
|---|---|---|
| 防水工事経費 | 既存集合住宅および既存戸建住宅 | 18万円/kW |
| 架台設置経費 | 集合住宅 | 20万円/kW |
| 架台設置経費 | 既存戸建住宅 | 10万円/kW |
防水工事の18万円/kWは、本体の助成額(既存15万円/kW)より大きい金額です。 陸屋根の住宅にお住まいの方にとっては、この上乗せの有無が判断を左右します。
陸屋根は防水層の上に架台を置くため、防水をやり直す必要が出てきます。この費用が導入をためらわせる要因になっていたところに、都が上乗せを付けた形です。
機能性PVへの上乗せ(令和8年度の拡充点)
令和8年度の変更点として、都は「機能性PVの区分拡充」を挙げています。
機能性の区分に応じて、10万円/8万円/5万円/2万円/1万円 のいずれかが1kWあたり上乗せされます。
機能性PVとは、通常の太陽光パネルにない性能を持つ製品のことです。区分ごとの具体的な要件と対象製品は、クール・ネット東京の公式ページで確認してください。区分によって10倍の差がある(1万円と10万円)ので、製品選定の段階で施工業者に確認する価値があります。
パワーコンディショナの更新も対象です
すでに太陽光を設置している方向けの助成もあります。
| 助成対象 | 助成率・額 |
|---|---|
| パワーコンディショナ更新 | 1/2(上限10万円/台) |
パワーコンディショナ(パワコン)は、太陽光パネルが作った直流の電気を、家庭で使える交流に変換する装置です。寿命は10〜15年程度とされることが多く、パネルより先に交換時期が来ます。
FIT(固定価格買取制度)の初期に太陽光を設置した方は、そろそろパワコンの交換時期に入っています。この助成は「新しく太陽光を入れる人」ではなく「すでに持っている人」向けの制度なので、該当する方は確認してください。
なお、パワーコンディショナの更新については、事前申込の受付開始が他のメニューと同じ令和8年5月末頃と公表されています。
新築の太陽光義務化とは何なのか(誤解が多いところ)
2025年4月から、東京都では新築建築物への太陽光発電設備の設置を求める制度が始まりました。「建築物環境報告書制度」といいます。
ここで最も多い誤解を先に解きます。
義務を負うのは、家を建てる施主ではなく、住宅を供給するハウスメーカー等の事業者です。
制度の骨格は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始 | 2025年4月 |
| 対象建築物 | 延床面積2,000㎡未満の新築建物 |
| 義務を負う者 | 特定供給事業者(都内で一定量以上を供給する大手ハウスメーカー等、約50社程度) |
| 仕組み | 事業者が供給する建物全体で、都が定める基準を満たすよう設置量を配分 |
| 罰則 | 直接的な罰則はなし。実施状況が都に報告され公表される |
「2,000㎡未満の新築なら全部に太陽光が載る」という制度ではありません。 事業者が供給する棟数全体で基準を満たせばよいので、日射条件の悪い立地では載せず、条件のよい立地で多めに載せる、といった配分が認められています。
したがって新築を検討している方にとっての実務は、次の2つです。
- ハウスメーカーや工務店から、太陽光の性能や設置に関する説明を受ける
- 設置する場合、助成金の申請を誰が行うのかを確認する
新築でも助成の対象になります(3.6kW以下で12万円/kW、上限36万円)。義務化されているから助成が出ない、ということはありません。 ただし新築の場合、事前申込のタイミングが工事のスケジュールと絡むため、ハウスメーカーと申請の段取りを早い段階で詰めておく必要があります。
対象になる条件
助成を受けるための主な要件です。
- 未使用品であること
- 都内の住宅に新規設置すること
- 居住部分で使用すること
- モジュールがJET認証またはIEC認証を取得していること
- 発電出力が50kW未満であること
太陽光パネルの認証は、施工業者が扱っている製品であれば通常は満たしています。念のため型番で確認してもらうと確実です。
また、太陽光発電設備の設置にあたっては、環境省の「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」への準拠が申請時の誓約事項になっています。あわせて「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」で定める日常生活の騒音・振動の基準の遵守も誓約事項です。パワーコンディショナは稼働音があるため、設置場所は隣家との距離を踏まえて決めることになります。
申請の順序と期間
① 事前申込(2026年5月29日〜)
② 契約
③ 工事・設置
④ 交付申請兼実績報告(2026年6月30日〜2031年3月30日)
⑤ 交付決定・振込
事前申込が契約より先です。 電子申請で、電灯契約ごとに必要になります。
交付申請兼実績報告の受付は2031年3月30日までと長く設定されていますが、これは工事が完了してから報告するまでの猶予であって、事前申込がいつまでできるかとは別の話です。 事前申込は年度ごとに受付停止があり、令和7年度事業の事前申込は令和8年3月31日17時に停止しました。
どの年度の助成内容が適用されるかは、クール・ネット東京が事前申込を受け付けた日の年度で決まります。
令和8年度から支払い方法に条件が付きました
太陽光を含む「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」全体の変更点です。
令和8年度に事前申込を受け付けた申請から、実績報告の提出時に「金融機関発行の証明書等」の提出が必須になりました。
現金の受け渡しによる取引は、助成の対象外になります。
認められる例として、ローン契約明細書、ATM口座振込明細、金融機関窓口での振込明細、ネットバンキングの振込履歴の印刷、クレジットカードの利用明細、電子マネー・デビットカード等の支払明細が挙げられています。
太陽光の工事は100万円を超えることも多く、支払い方法は契約時に決まります。契約の段階で振込かカードにしておいてください。
蓄電池・V2H・エコキュートと組み合わせる
東京都の助成事業は、太陽光だけで完結していません。令和8年度は6つの事業が並んでいます。
| 事業 | 令和8年度の主な助成内容 |
|---|---|
| 家庭における太陽光発電導入促進事業 | 既存3.75kW以下 15万円/kW(上限45万円)ほか |
| 家庭における蓄電池導入促進事業 | 新設10万円/kWh(上限120万円/戸) |
| 戸建住宅におけるV2H普及促進事業 | 1/2(上限50万円)。太陽光・EV/PHV・V2Hが揃う場合は10/10(上限100万円) |
| 既存住宅における省エネ改修促進事業 | 高断熱窓・ドア(サイズ×性能の単価制)、断熱材1/3(上限100万円/戸)、高断熱浴槽9.5万円/戸 |
| 熱と電気の有効利用促進事業 | エコキュート等 太陽光パネル連携14万円/台ほか、太陽熱利用システム1/2(上限55万円/戸) |
| 分譲マンション省エネ型給湯機器導入促進事業 | エコジョーズ・エコフィールへの交換 追い焚きあり7万円/台ほか |
太陽光が他の助成の「条件」になっている場面が2つあります。
1つは蓄電池です。蓄電池の新設は、太陽光パネルが設置済または同時設置であることが原則の要件です(太陽光がない場合は再エネ電力メニューの契約が代替になります)。
もう1つはV2Hです。太陽光発電設備・EV/PHV・V2Hの3つが揃う場合、補助率が1/2(上限50万円)から10/10(上限100万円)に上がります。全額補助(上限額未満に限る)という強い条件です。
そしてエコキュートにも、太陽光パネル連携(日中に沸き上げる機能を持つもの)で14万円/台という区分があります。再エネ電力契約の場合は5万円/台なので、太陽光を持っているかどうかで9万円の差です。
太陽光を先に入れると、後続の設備で受け取れる額が増える設計になっています。順序を考えるうえでの重要な視点です。
対象外になりやすいケース
| 状況 | どうなるか |
|---|---|
| 事前申込より前に契約した | 原則として対象外 |
| 現金で工事代金を支払った | 対象外(令和8年度から) |
| 中古の太陽光パネルを設置した | 対象外(未使用品が要件) |
| JET認証・IEC認証のないモジュールを使った | 対象外 |
| 発電出力が50kW以上 | この事業の対象外 |
| 居住部分以外での使用 | 対象外 |
| 都外の住宅に設置した | 対象外 |
| 都・公社の同種助成金を既に受けている | 重複受給は不可 |
区市町村の助成をどう探すか
東京都内では、都の助成に加えて区市町村が独自の助成を持っている場合があります。ただし区市町村の制度は年度ごとに募集の有無・金額が変わり、太陽光への助成を取りやめている自治体もあります。
ここで一覧を並べても鮮度で誤りが生じるため、確認手順だけ書きます。
- お住まいの区市町村名+「太陽光 助成」「省エネ設備 補助」で公式サイト(
.lg.jp)を検索する - 令和8年度の案内があるかを確認する。 前年度の案内しか無いなら、募集していない可能性があります
- 受付期間と予算の残りを確認する
- 都の助成と併用できるかを窓口に確認する
なお都の助成事業どうしの重複受給は禁止されています。
よくある質問
東京都の太陽光補助金はいくらもらえますか?
既存住宅なら3.75kW以下で15万円/kW(上限45万円)、3.75kW超で12万円/kW(50kW未満)です。新築住宅は3.6kW以下で12万円/kW(上限36万円)、3.6kW超で10万円/kW(50kW未満)になります。陸屋根の場合は防水工事経費18万円/kW、架台設置経費(既存戸建10万円/kW、集合住宅20万円/kW)の上乗せがあり、機能性PVには区分に応じて1万円〜10万円/kWが上乗せされます。
なぜ既存住宅のほうが単価が高いのですか?
新築は設計段階から太陽光を組み込めるのに対し、既存住宅は後から屋根に載せるため足場や配線の工事が余分にかかります。設置コストの違いが単価に反映されています。実利としては、同じ4kWでも新築36万円・既存45万円と9万円の差になるので、すでに住んでいる家に載せる方のほうが手厚い、という結果になります。
新築は太陽光が義務化されたので、補助金は出ないのですか?
いいえ、新築も助成の対象です(3.6kW以下で12万円/kW、上限36万円)。2025年4月に始まった建築物環境報告書制度は、延床面積2,000㎡未満の新築建物を対象に、都内で一定量以上を供給する大手ハウスメーカー等(特定供給事業者、約50社程度)に基準への適合を求める制度です。義務を負うのは施主ではなく事業者で、事業者が供給する建物全体で基準を満たす仕組みのため、すべての新築に太陽光が載るわけではありません。
太陽光を載せずに蓄電池だけ入れることはできますか?
東京都の蓄電池助成については、新設であれば太陽光パネルがない場合に再生可能エネルギー電力メニューへの契約が代替の要件として示されています。ただし既設蓄電池への蓄電ユニット増設は「太陽光パネル設置済であること」が要件で、代替経路はありません。詳しくは東京都の蓄電池補助金をご覧ください。
陸屋根のマンションでも使えますか?
集合住宅も対象です。陸屋根の集合住宅には架台設置経費20万円/kWの上乗せがあり、既存集合住宅には防水工事経費18万円/kWの上乗せもあります。ただし管理組合の合意形成など、戸建てとは別の手続きが必要になります。所有形態によって申請者が変わるため、クール・ネット東京の太陽光発電設備担当(03-5990-5217)にご相談ください。
10年前に設置した太陽光でも使える助成はありますか?
パワーコンディショナの更新が対象になります。助成率1/2、上限10万円/台です。パワーコンディショナはパネルより先に寿命が来ることが多く、FIT初期に設置した方はちょうど交換時期に入っています。パネル本体の助成は「新規設置」が要件なので、既に設置済みの設備には使えません。
工事代金を現金で払っても大丈夫ですか?
いいえ、令和8年度に事前申込を受け付けた申請からは対象外になります。実績報告の提出時に「金融機関発行の証明書等」の提出が必須になったためです。振込明細、ネットバンキングの履歴、クレジットカードの利用明細、ローン契約明細書などが認められる例として挙げられています。契約の段階で支払い方法を決めておいてください。
