この助成金は、オフィスの改修から始められません。先に東京都の「ABW導入支援」に採択されるのが入口です。
ABW(Activity Based Working)は、仕事の内容に合わせて働く場所と時間を従業員が選ぶ働き方です。フリーアドレス席や集中ブースやWEB会議ブースを備えたオフィスへの改修費の3分の2を、最大2,000万円まで助成します。ただし助成金を申請できるのは、導入支援の採択を受けて「ABW導入提案書」をもらった事業者だけです。令和8年度の導入支援の申込は、令和8年7月31日に終わっています。
ABWオフィス促進助成金の要点まとめ
正式名:ABWオフィス促進助成金(ABWオフィス促進事業)
だれが
- 申請者
- 都内の中小企業等(ABW導入支援の採択事業者)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- ABWオフィスの整備・改修(工事・什器・ツール)
- 対象地域
- 東京都内
- 従業員数
- 常時雇用する労働者が2人以上300人以下
いくら
- 補助上限額
- 2,000万円(子連れ出勤の整備は加算5万円)
- 補助率
- 3分の2(子連れ出勤の加算分は10分の10)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年6月1日〜2027年12月31日(採択事業者のみ)
- 事業の完了
- 支給決定日から最長2027年12月31日まで
自社は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 7
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 導入支援に採択されていない
- ✕ 複数の法人が入るオフィスに導入する
- ✕ レンタル・シェアオフィス業の取組
常時雇用する労働者とは、期間の定めがない人のほか1年を超えて引き続き雇用されている(見込みの)人も含みます。登録型派遣の人は除きます。都内に勤務する常時雇用の2人のうち、1人は6か月以上雇用していて雇用保険に入っている必要があります。
過去5年間に、刑事罰や営業停止処分などの重大な法令違反があった場合も申請できません。ショールーム型オフィスの設置が目的の取組も対象外です。
いくら助成される?
助成額は、経費(税抜)の3分の2です。千円未満は切り捨てます。上限は2,000万円です。上限に届くのは、対象経費が3,000万円(税抜)に達したときです。
- 間仕切り工事とフリーアドレス用の机・椅子で900万円:900万円 × 2/3 = 600万円
- 個室ブースや予約システムまで含めて2,400万円:2,400万円 × 2/3 = 1,600万円
- 全フロアの改修で4,500万円:4,500万円 × 2/3 = 3,000万円 → 上限の2,000万円
子連れ出勤を可能にする整備には、別枠で5万円の加算があります。この分の助成率は10分の10です。ベビーチェアやクッションマットなどの整備費が、5万円までなら全額助成されます。
支給決定額は、あくまで上限です。実績報告のあとに審査があり、助成額が確定します。実際の支出が決定額より少なければ、確定額も下がります。
何に使える?
対象にならないもの
- 解体・撤去・処分・原状回復の工事
- パソコン、複合機などのOA機器
- 中古の什器・機器(アウトレット品を含む)
- 特定の個人が使う固定席の物品
- 給茶機・冷蔵庫・装飾用の植栽など福利厚生色の強いもの
- 受付・サーバールーム・トイレの改修
- 防犯カメラや顔認証などのセキュリティ工事
- システムの保守費・利用料・アカウント追加料金
- 支給決定より前に発注・契約した工事や什器
対象になるもの
- 間仕切りの設置や什器の据付など、ABWエリアの整備工事
- フリーアドレス用の机・椅子・個室ブース・WEB会議ボックスなどの什器
- 持ち運べるモバイルバッテリー・専用充電台・エリア区分用の音響設備
- 在席確認や座席・会議室予約やWEB会議などのシステムの初期導入費
- 子連れ出勤用のテーブル・ベビーチェア・ベビーサークルなど
賃借オフィスの工事は、貸主の了承があるものだけが対象です。経費が1件で原則100万円以上なら複数の業者から見積を取り、安い方の金額が対象になります。ABWエリアとそれ以外が分けられない工事は、面積で按分されることがあります。
一覧に載っている例でも、審査で対象外になる場合があります。迷う経費は、申請前に財団へ聞いてください。
申請の流れは?
- 説明会に参加する(事業者→事業専用サイト。アンケートの提出で参加扱い。令和8年度は7月31日18時まで)
- ABW導入支援に申し込む(事業者→事業専用サイトの申込フォーム。令和8年度は6月1日〜7月31日)
- 審査を受ける(東京しごと財団→事業者。書面審査と面接審査。採択は5者の予定)
- 専門家の支援を受け、導入提案書をもらう(採択事業者。規定整備とレイアウト設計を含む)
- 助成金を申請する(事業者→東京しごと財団。データか郵送。持参は不可)
- 支給決定を受けてから発注・工事をする(事業者。決定日より前の契約は対象外)
- 実績報告を出す(事業者→財団。助成対象期間の終わりから3か月以内)
- 助成額の確定後に請求する(事業者→財団。実印を押した請求書と印鑑証明書を郵送)
導入支援は無料です。専門家が社内プロジェクトチームの運営・規定整備・レイアウト設計・効果検証を支えます。事務局は、令和8年度の採択を5者の予定としていました。
必要な書類
準備できた 0 / 14
雇用保険の確認通知書は2名分です。確定申告書は直近2期分、登記簿は発行から3か月以内のものを出します。納税証明書は法人都民税と法人事業税の2税目分で、国の税務署ではなく都税事務所が出します。
代表者が自署でなく記名押印にした場合は、印鑑証明書も要ります。本社と事業所の所在地が違うときは、水道光熱費の請求書などを足します。
助成されなくなるのはどんなとき?
- 支給決定の前に発注した:決定日より前に申込・発注・契約・購入した経費は対象外です。
- 規定の届出が間に合わなかった:テレワークとフレックスタイム制等の規定を、実績報告の期限までに労働基準監督署へ届け出る必要があります。従業員が10人未満でも同じです。
- テレワーク東京ルールの宣言がない:実績報告の期限までに「テレワーク東京ルール実践企業宣言」へ登録し、推進リーダー設置済みの宣言書が出ている必要があります。
- 取得した財産を勝手に処分した:取得価格が50万円以上の物を耐用年数の間に転用・譲渡・担保にする場合は先に承認が要ります。
- 不正や要件違反が見つかった:支給決定が取り消され、受け取った助成金の返還を求められます。
令和7年度と8年度の違い、次の募集
募集要項は年度ごとに分かれています。令和7年度に導入支援の決定を受けた事業者の支給申請期限は、令和8年12月31日です。令和8年度に決定を受けた事業者は、令和9年12月31日までです。
令和7年度の募集要項は、受付が終わっています。令和7年度の決定事業者は、令和8年度の決定事業者より1年早く、令和8年12月31日で申請期限を迎えます。
令和9年度以降の募集について、公式ページに記載はありません。募集が出たら、まず説明会の日程から確認してください。令和8年度は、説明会への参加が申込の前提でした。
同じ事由で国・都・区市町村の助成を受けている場合は、対象外です。経費が明確に分けられるときだけ、例外になります。
よくある質問
令和8年度のABW導入支援には、まだ申し込めますか?
令和8年度の申込は、令和8年7月31日18時で締め切られました。期間外の申込はいかなる場合も受け付けないと、募集要項に書かれています。次の募集があるかどうかは、公式ページに記載がありません。ABWオフィス促進事業運営事務局(03-6736-0974)に聞くか、公式ページの更新を確かめてください。説明会への参加も、申込の前提になっています。
導入支援を受けずに、助成金だけ申請できますか?
できません。助成金は、導入支援に申し込んで支援対象と決定した事業者だけが申請できます。採択されていない事業者からの申請は受け付けないと、募集要項に明記されています。導入支援を受けると、助成金の申請に必要な「ABW導入提案書」が発行されます。この提案書が申請書類の一つです。オフィス改修の見積だけを先に取っても、申請の土俵には上がれません。
従業員が1人だけの会社は対象ですか?
対象外です。都内に勤務実態のある常時雇用の労働者が2人以上必要です。そのうち1人は、申請日の時点で6か月以上継続して雇用していて、雇用保険の被保険者である必要があります。常時雇用する労働者の上限は300人以下です。人数の数え方は、期間の定めの有無や登録型派遣かどうかで変わるので、申込前に自社の雇用形態を一人ずつ確かめてください。
本社が都外にある会社は申請できますか?
都内で事業を営み、都内に支店や営業所などの事業所があれば、申請できる可能性があります。ABWオフィスの予定地も、都内に概ね確定している必要があります。本社が都外のときは、都内で事業を営んでいる証明として、都内事業所の水道光熱費の請求書などを出します。雇用保険の手続きを本社で一括している場合は、都内勤務を示す雇用契約書も要ります。
助成額が上限の2,000万円に届くのは、いくらのときですか?
対象経費が税抜で3,000万円に達したときです。助成額は経費の3分の2なので、3,000万円の3分の2がちょうど2,000万円になります。3,000万円を超えた分は助成額が増えず、自己負担です。子連れ出勤の加算は別枠で、5万円までです。実際の助成額は、実績報告のあとに審査を経て確定します。支出が少なければ確定額も下がります。
導入支援の費用はかかりますか?
専門家による導入支援そのものは無料です。社内プロジェクトチームの運営、規定整備、レイアウト設計、効果検証の支援が含まれます。ただし、導入に伴う事業者側の取組にかかる費用は、事業者の負担になるものがあります。募集要項には、専門家への連絡にかかる通信料が例に挙がっています。オフィス改修の工事費や什器代は、助成金の対象経費として別に申請します。
規定整備では何を整えればよいですか?
テレワーク勤務の規定が必須です。あわせて、原則としてフレックスタイム制のように、働く時間を選べる規定を整えます。「働く場所」と「働く時間」の両方に自由度がある内容にします。この規定は、助成金の実績報告書の提出期限までに労働基準監督署へ届け出ます。従業員が10人未満の事業所も同じです。導入支援では、社会保険労務士等が6回程度、規定整備を支援します。
社労士や行政書士に申請を任せられますか?
提出と、財団からの確認への対応は、申請事業者自身が行う決まりです。社会保険労務士や行政書士など事業者以外の第三者に委任することはできないと、募集要項に書かれています。財団からの通知も事業者宛てに届きます。書類づくりを専門家に相談できるかどうかは、公式ページに記載がありません。東京しごと財団(03-5211-0393)へ確かめてください。
賃借しているオフィスでも使えますか?
使えますが、条件があります。ABWオフィスにする事業所を借りている場合は、工事について貸主の了承があるものだけが対象です。貸主の了承が取れていない工事は助成されません。計画の段階で、貸主に工事内容を伝えて了承を得ておく必要があります。なお、事業所や什器の賃借料そのものは対象外経費です。原状回復の工事も対象になりません。
パソコンやモニターは対象になりますか?
パソコン、複合機、スマートフォンなどの機器は対象外です。システムを使うための端末も同じです。一方、モニターは、集中ワークスペースやチームセッションスペースの什器の例として、募集要項に挙げられています。ただし、一覧にある例でも、審査で対象外になることがあります。申請前に、経費明細書の案を財団へ見せて確認すると安心です。
中古の什器や造作家具は対象になりますか?
中古の什器・機器は、アウトレット品も含めて対象外です。造作の什器も原則として対象外で、例外は、既製品では対応できないゾーニング用の棚だけです。自社製品や関連会社の製品、特定の個人が使う固定席の物品も対象になりません。購入の前に、新品の既製品で、席を自由に選べる用途の物かどうかを確かめてください。
助成金はいつ振り込まれますか?
助成金は、実績報告のあとに額が確定し、そのあとで請求します。流れは、実績報告書を出し、審査を経て助成額確定通知書を受け取り、請求書兼口座振替依頼書と印鑑証明書の原本を郵送する順です。請求書類を財団が正式に受け付けてから、振込まで1か月程度かかります。工事代金は先に自社で支払う必要があるため、資金繰りには余裕をもたせてください。
問い合わせ先はどこですか?
窓口は2つあります。説明会、見学ツアー、導入支援の申込、助成金の概要は、ABWオフィス促進事業運営事務局(03-6736-0974、平日9時〜18時)です。助成金の申請は、東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 ABWオフィス促進係(03-5211-0393、平日9時〜17時、12時〜13時を除く)です。内容に合わせて、かけ分けてください。
