サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)という言葉を聞いたことはあっても、実際にどう調達すればいいのか分からない。そんな都内中堅・中小企業を、金融機関と連携してサポートする制度が東京都にあります。令和6年度分の受付は2025年3月14日で終了していますが、令和7年度・令和8年度も継続実施されています。
運営は東京都(スタートアップ・国際金融都市戦略室)。この制度は、企業がSLL(サステナビリティ・リンク・ローン)やPIF(ポジティブ・インパクト・ファイナンス)を調達する際にかかるコンサルティング費用・外部評価費用を補助するものです。補助率1/2、上限100万円が令和6年度の水準でした。
金融機関と連携したサステナビリティ経営促進事業(SLL・PIF)の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人。都内中堅・中小企業、または連携金融機関) |
| 制度名 | 金融機関と連携したサステナビリティ経営促進事業(SLL・PIF) |
| 対象業種 | 業種指定なし |
| 利用目的 | SLL・PIF調達時のコンサルティング業務・外部評価業務にかかる費用の補助(資金繰り・融資、脱炭素・省エネ) |
| 対象地域 | 東京都内 |
| 従業員数 | 中堅・中小企業に該当すること |
| 補助上限額 | 100万円(令和6年度実績) |
| 補助率 | 1/2 |
| 申請受付 | 令和6年度分は終了(2024年5月31日~2025年3月22日)。令和7年度・令和8年度も継続実施 |
| 公式サイト | 東京都産業労働局「金融機関と連携したサステナビリティ経営促進事業」 |

SLL・PIFとは何か
この補助金を理解するには、まず対象になる2つの金融商品を知っておく必要があります。
- SLL(サステナビリティ・リンク・ローン): 企業が設定したサステナビリティ目標の達成状況に応じて、金利などの融資条件が変動するローン。CO2削減率など具体的な目標(KPI)を設定し、達成できれば金利優遇が受けられる仕組み
- PIF(ポジティブ・インパクト・ファイナンス): 企業活動が環境・社会・経済にもたらすポジティブな影響を、金融機関が評価・モニタリングしながら実行する融資
どちらも「借りて終わり」ではなく、目標設定と第三者評価が必須になる融資商品で、この評価にかかる費用がハードルになりがちでした。この補助金は、そのハードルを下げる役割を担っています。
対象になる経費は「調達にかかる周辺費用」
補助対象経費は、SLL・PIFそのものの融資額ではなく、調達する際に必要な周辺サービスの費用です。
- 中堅・中小企業がSLL・PIF調達の際に受けるコンサルティング業務等の費用
- 第三者機関による外部評価業務等の費用
- 連携金融機関がSLL・PIFのフレームワークを策定する際の外部評価業務等の費用
借入金そのものではなく、「借りるための準備」にかかる専門家費用・評価費用が対象という点は、通常の設備投資補助金とは性格が異なります。SLL・PIFを検討する企業だけでなく、それを提供する金融機関側の準備費用も対象に含まれているのが特徴です。
「連携金融機関」が申請の窓口になる仕組み
この制度は、企業が直接都に申請するのではなく、東京都と連携している金融機関を通じて手続きが進む枠組みになっています。つまり、SLL・PIFの調達を検討する企業は、まず連携金融機関に相談することが実務上の出発点になります。
国や他の自治体等から補助金の交付を受けた場合は、その額を控除したうえで都の交付額が算定されるという重複調整のルールもありました。他の支援策と併用する場合は、この点に注意が必要です。
対象商品が広がってきた経緯
東京都はこの事業を令和4年度から実施しており、当初はSLL・PIFが対象でしたが、その後グリーンローン(GL)・ブルーローン(BL)も支援対象に追加されています。環境配慮型の融資商品の広がりに合わせて、対象範囲も拡大してきた制度だといえます。
次に似た制度が出たときの備え方
令和6年度分は終了していますが、この制度は令和7年度・令和8年度も継続実施されています。次回の公募に備えて準備しておけることを整理します。
- 取引のある金融機関にSLL・PIF・グリーンローン等の取り扱いがあるか確認しておく。 連携金融機関を通じた手続きが前提になっています
- 自社のサステナビリティ目標(CO2削減率等のKPI)を整理しておく。 SLL調達には具体的な目標設定が必要です
- コンサルティング会社・第三者評価機関の見積もりを早めに取得しておく
- 他の補助金と併用を検討している場合は、重複調整のルールを金融機関や都の窓口に確認しておく
よくある質問
令和6年度分にはもう申請できませんか?
できません。受付は2025年3月22日で終了しています。 ただし令和7年度・令和8年度も継続実施されており、次年度以降の公募情報は東京都の公式サイトで確認できます。
企業が直接都に申請できますか?
この制度は連携金融機関を通じた手続きが前提になっています。まずは取引金融機関にSLL・PIF等の取り扱いがあるか相談することが実務上の出発点になります。
借入金自体が補助されますか?
されません。補助対象は融資額そのものではなく、調達時のコンサルティング費用・外部評価費用です。
