山間部や離島の共同アンテナ(共聴施設)を、災害に強い設備へ改める工事に出る国の補助金です。申請できるのは市町村か市町村の連携主体で、共聴組合は実施主体になれません。
令和5年度補正予算を対象にした公募は、2023年12月から2024年7月までに3回ありました。最後の公募の締切は2024年7月19日12時(必着)です。2025年1月の公募もありましたが、対象は令和6年度当初予算だけでした。
辺地共聴施設整備支援事業の要点まとめ
正式名:ケーブルテレビネットワーク光化等による耐災害性強化事業(辺地共聴施設整備支援事業)
だれが
- 申請者
- 市町村または市町村の連携主体(共聴組合は不可)
- 対象業種
- 指定なし(市町村が行う共聴施設の整備)
- 利用目的
- 共聴施設の光化など、耐災害性を高める整備
- 対象地域
- 全国(離島・豪雪地帯・辺地・過疎地域などを含む地域)
- 従業員数
- 規定なし(市町村などが申請するため)
いくら
- 補助上限額
- 上限額の定めなし(交付額の下限は1施設100万円)
- 補助率
- 対象経費の1/2(財政力指数0.5以下)/1/3(0.5超0.8以下)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2023年12月15日〜2024年1月15日(1回目・終了)。以降は本文の表
自分の地域は対象になるか
共聴施設とは、電波が届きにくい地域で住民が共同で使うテレビの受信設備です。次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 共聴組合が自分で申請する
- ✕ 老朽化した設備の単純更新
- ✕ 共聴施設のない地域への新設
- ✕ 引込線の切替工事だけ
- ✕ 登録・届出のない共聴施設
- ✕ 受信障害対策用やNHK共聴の施設
共聴施設は、放送法の登録か有線電気通信法の届出がされている必要があります。NHKと地元視聴者が共同で設置した共聴施設(NHK共聴)と、ビルなどによる受信障害の対策用の施設は対象外です。
地域防災計画は、市町村が防災のために作る計画です。ここに共聴施設が書かれている必要があります。交付申請までに間に合わないときは、改正が確実だと示す書類を付ける扱いが、実施マニュアルにあります。
財政力指数は、市町村の財政の余裕を表す数字です。0.8以下が条件で、数字は市町村の財政担当課が把握しています。原則として、申請する会計年度の前々年度の数字を使います。合併前の旧市町村の数字が0.8以下なら、その旧市町村の区域は旧の数字を使えます。
連携主体で申請するときは、構成団体の一覧を付けます。申請書を出す市町村が代表団体であることも、書類で示します。
共聴組合が所有する施設も、市町村が実施主体になれば対象にできます。 組合が先に動くなら、最初の相談先は市町村です。
いくら補助されるか
補助率は、市町村の財政力指数で決まります。
| 市町村の財政力指数 | 補助率 | 事業費の下限 |
|---|---|---|
| 0.5以下 | 補助対象経費の1/2 | 200万円以上 |
| 0.5超0.8以下 | 補助対象経費の1/3 | 300万円以上 |
補助額の下限が1施設100万円なので、事業費にも下限が生まれます。下限は1施設ごとに見ます。
- 財政力指数0.5以下で、事業費1,000万円の工事:1,000万円 × 1/2 = 500万円
- 財政力指数0.5超で、事業費1,000万円の工事:1,000万円 × 1/3 = 約333万円
- 財政力指数0.5以下で、事業費150万円の工事:150万円 × 1/2 = 75万円 → 下限の100万円に届かず対象外
金額の上限は、交付要綱にも公募要領にも書かれていません。交付額は、総務省が予算の範囲で決めます。
補助率と下限は令和6年度事業の公募要領と交付要綱で確かめました。令和5年度補正予算分だけの公募要領は、公式ページに残っていません。同じ事業ですが、細部の違いまでは確かめられませんでした。
何に使えるか
対象にならない経費を先に確認します。
- 老朽化にともなう単純な更新(耐災害性に直接関係しない設備を含む)
- 共聴施設がなかった地域での新設
- 同軸ケーブルの敷設(原則として認められません)
- 引込線の切替工事だけの事業
- ランニングコスト(電柱の使用料、保守・修繕費、電波利用料など)
- 交付決定の日より前に契約した工事や、着工した工事
対象になるものは次のとおりです。
- 幹線の光ファイバ化(有線共聴を光化して無線共聴に切り替える整備を含む)
- ヘッドエンド(放送を受けて送り出す装置)の改修
- 自営柱の改修・補強
- 電源設備(無停電電源装置、避雷装置)
- 加入者宅のONU・セットトップボックスと引込工事(補助目的に合うもの)
- 調査設計費、施工費、受信点の用地取得費、ソフトウェア購入費
補助目的は、災害時に情報を確実に伝え、耐災害性を高めることです。今の構成より災害に強くなると、書類で示せる整備が前提になります。
申請の流れ
- 共聴組合が、市町村の担当課に相談する(地域防災計画への記載を確かめる)
- 市町村が、見積書と公募申請書をそろえる(公募の締切までに、総合通信局等かJグランツへ出す)
- 総務省が、外部有識者の意見を聞いて採択候補を内示する(市町村は内示後に本申請を出す)
- 総務省が交付を決める(契約と着工は決定のあと)
- 市町村が工事を終え、実績報告を出す(総務省が額を確定し、精算払いで支払う)
見積書は、市町村が自分で作ります。内訳表に「一式」とだけ書くことは認められず、他社の相見積りも添えます。
必要な書類
準備できた 0 / 14
工事を伴わない事業には、工事概要書は要りません。口座設置届出書は交付申請のときだけ、公募申請書は公募のときだけ出します。連携主体なら構成団体の一覧と代表の承認書を、共聴組合の施設で地方財政措置を受けるなら公共的団体の証明書類を足します。
もらえなくなるとき
- 事前に着工した:契約日や仮契約日が交付決定の日より前なら、事前着工として対象外です。緊急だった場合も同じ扱いです。
- 更新が混ざった:耐災害性に直接関係しない設備の単純更新は、同じ事業で行っても補助されません。
- 他事業との費用を分けなかった:単独事業などと一緒に工事するときは、共用部分の費用を案分します。分けないと過大な計上になります。
- 交付決定のあと勝手に内容を変えた:実施内容と事業費は、原則として変更の承認がないと変えられません。
- 年度内に終わらなかった:補助事業は単年度です。翌年度への繰越は、天候不順などやむを得ない事情がないと認められません。
- 整備した設備を処分した:処分制限期間内に処分や転用をするときは、先に総務省へ相談します。
公募の時期と次の機会
公式ページから確認できた公募は4回です。
| 公募を発表した日 | 対象の予算 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 2023年12月15日 | 令和5年度補正予算 | 2024年1月15日 12時 |
| 2024年1月15日 | 令和5年度補正予算と令和6年度当初予算 | 2024年2月2日 12時 |
| 2024年4月19日 | 令和5年度補正予算と令和6年度当初予算 | 2024年5月24日、6月21日、7月19日の各12時(3回に分けた締切) |
| 2025年1月17日 | 令和6年度当初予算 | 2025年2月7日 12時 |
2024年4月の公募には、応募の状況によっては3回目の締切のあとも随時受け付けるとの記載があります。令和5年度補正予算が対象と明記されているのは、最初の3回の公募です。2024年1月15日の公募は、公式ページの一覧では「令和5年1月15日」と書かれていますが、実際は令和6年1月15日の発表です。
2025年1月の公募より後の公募は、公式ページに載っていません。再開されるかどうかも、確認できませんでした。総務省の地域放送推進室(電話03-5253-5809)に聞くのが確実です。
よくある質問
共聴組合は、自分で申請できますか?
できません。実施主体は市町村か市町村の連携主体と決まっています。共聴組合が所有する施設でも、市町村が実施主体になり、組合と連携して進めます。工事業者との契約や役割分担は、市町村の裁量で決めて、整備計画書に書きます。まず組合から市町村の担当課へ、整備したい内容と地域の困りごとを相談してください。
令和5年度補正予算分の公募は、いつまででしたか?
対象にした公募は3回ありました。1回目は2024年1月15日、2回目は2024年2月2日の各12時(必着)です。3回目は2024年4月に発表され、5月24日、6月21日、7月19日の各12時に締め切られました。2回目以降は令和6年度当初予算との合同の公募です。公式ページには、これより後に令和5年度補正予算を対象にした公募が載っていません。次の機会があるかどうかは、総務省の地域放送推進室に確かめてください。
補助率はいくらですか?
財政力指数が0.5以下の市町村は補助対象経費の1/2、0.5を超えて0.8以下の市町村は1/3です。たとえば事業費1,000万円なら、前者は500万円、後者は約333万円になります。0.8を超える市町村は原則として対象外ですが、特に必要と認める地域は例外になりえます。該当するかどうかは、総合通信局等に相談してください。
補助額に上限はありますか?
交付要綱と公募要領に、金額の上限は書かれていません。書かれているのは、補助率と、1施設あたり100万円という交付額の下限です。実際の交付額は、外部有識者の意見と全体の申請状況、予算額を見て総務省が決めます。申請した額がそのまま交付されるとは限らないので、見積書の根拠は丁寧にそろえてください。
老朽化した設備を新しくするだけでも対象になりますか?
なりません。この事業は、共聴施設の耐災害性を高める整備への支援です。老朽化にともなう単純な更新は対象外で、同じ事業の中に混ぜても補助されません。耐災害性の強化とは、たとえば同軸ケーブルの幹線を光ファイバ化する整備です。今の構成より災害に強くなることを、書類で説明できる必要があります。
共聴施設のない地域に、新しく設置できますか?
できません。補助の対象は、すでにある有線共聴施設か無線共聴施設の耐災害性を高める整備です。いま共聴施設が整備されていない地域に、新しく整備する事業は対象になりません。地上デジタル放送の難視聴を解消するための共聴施設が、すでに地域にあることが前提になります。新設を考えるときは、別の支援策を探す必要があります。
加入者宅のONUやセットトップボックスも対象ですか?
補助目的に合えば対象になりえます。加入者宅の端末(ONUやセットトップボックス)と引込線の工事は、交付対象です。ただし所有者が補助事業者か共聴組合のものに限ります。災害時の情報伝達と耐災害性の強化につながらない端末の整備は、対象になりません。引込線の切替工事だけの事業も、補助目的に合わないため対象外です。
地域防災計画に共聴施設の記載がないと申請できませんか?
原則として、交付申請の時点で記載が必要です。間に合わないときは、地域防災計画の改正が確実だと示す書類(市町村の計画書や覚書など)を付けます。実績報告のときに、改正後の計画を出す形でも認められます。記載の内容は、放送を通じて住民に確実に情報を伝えるための施設として、共聴施設が明記されていることが想定されています。
複数の共聴施設を整備するときは、まとめて申請しますか?
1施設ごとに1申請です。複数の共聴施設が受信点を共用していても、施設ごとに申請します。共用する設備の費用は、施設ごとに案分して補助対象事業費を出します。交付額の下限100万円も、1施設あたりで判定されます。同じ市町村が複数の施設を整備するときは、施設ごとの物品単価や工事単価に差がないかも確かめられます。
交付決定の前に工事を始めてもいいですか?
始めてはいけません。交付決定の日より前に契約した工事と、着工した工事の費用は対象外です。契約日や仮契約日が決定の日より前なら、事前着工とみなされます。緊急で先に設置した設備も認められません。在庫品を使う場合も、事前着工と区別がつきにくいため、原則は対象外です。契約と着工は、交付決定の通知を受けてからにしてください。
ケーブルテレビ光化等整備支援事業とは何が違いますか?
同じ「耐災害性強化事業」の中の別メニューです。辺地共聴施設整備支援事業は、住民が使う共聴施設が対象で、実施主体は市町村か連携主体です。ケーブルテレビ光化等整備支援事業は、ケーブルテレビのネットワークが対象で、第三セクター法人や承継事業者も実施主体になれます。対象の施設と、申請できる者が違います。
申請に必要な書類は何ですか?
公募申請書、交付申請書案、補助事業の概要、共聴施設整備計画書、工事概要書、見積書(総括表と内訳表)などです。地域防災計画の該当部分の写しも付けます。連携主体なら構成団体の一覧と代表承認書が加わります。様式は、総務省の公式ページに掲載されています。工事がない事業では工事概要書は要りません。
問い合わせ先はどこですか?
総務省 情報流通行政局 衛星・地域放送課 地域放送推進室です。辺地共聴施設整備支援事業の担当は電話03-5253-5809です。実施マニュアルでは、不明点は市町村が管轄する総合通信局等に相談するよう案内しています。申請を考える市町村は、早い段階で総合通信局等へ連絡してください。整備したい内容を伝えると、要件に合うかを一緒に確かめられます。
