太陽光や風力が増えると、電気が余って発電を止める時間帯が出ます。逆に夏冬の需給ひっ迫時には、使う電気を減らす必要があります。この事業は、どちらの場面でも事業所の設備を外から動かせるようにする機器の費用を補助します。
申請の前提は、登録済みのDRアグリゲーターとDR契約を結ぶことです。DRアグリゲーターとは、IoT化した設備を遠隔で監視・制御して、電力の需要を増減させる事業者のことです。補助率は1/2以内、上限は2,000万円です。
DR拡大に向けたIoT化推進事業の要点まとめ
正式名:令和7年度補正 ディマンドリスポンスの拡大に向けたIoT化推進事業
だれが
- 申請者
- 高圧以上の需要家の法人(アグリゲーターと共同)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 既存設備をDR対応にするIoT化機器の導入
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 公式ページに記載なし
いくら
- 補助上限額
- 2,000万円
- 補助率
- 1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年3月24日〜2026年11月27日
- 事業の完了
- 2027年2月1日まで
上限は受電点ごとの1申請あたりの額です。受電点とは、電力会社から電気を受け取る場所のことです。
うちの会社は対象になる?
事務局はSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)です。次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 低圧で受電している施設
- ✕ 交付決定の前に発注した設備
- ✕ 他の国の補助金と同じ設備で併用する
高圧以上とは、公募要領で契約電力50〜2,000kW以上の需要家と書かれている区分です。需要家とは、電力会社と契約して電気を使う側のことです。
JC-STAR★1は、IoT機器のセキュリティ水準を示す国の制度のラベルです。外部のアグリゲーターと通信する機器だけに求められます。
個人事業主の扱いは、公募要領の中で書き方が分かれています。需要家の定義には個人事業主を含むとありますが、補助事業者の要件は法人です。該当する場合は、申請前にSIIの窓口へ聞いてください。
DR契約には、上げDRと下げDRの両方を入れる決まりです。上げDRは余った電気の時間帯に使う量を増やすこと、下げDRはひっ迫時に減らすことです。減らす側だけの契約は認められません。
いくら戻ってくる?
対象経費の1/2以内が補助され、上限は2,000万円です。上限に届くのは、対象経費が4,000万円以上のときです。以下は金額を仮定した計算例です。
- 工場の空調設備を遠隔制御にする:600万円 × 1/2 = 300万円
- ホテルの蓄電池とEMSをまとめてIoT化する:1,500万円 × 1/2 = 750万円
- 複数棟の生産設備を一括でIoT化する:5,000万円 × 1/2 = 2,500万円 → 上限の2,000万円
対象経費は消費税を除いて考えます。公募要領では、消費税及び地方消費税の仕入控除税額(事業者が税務上あとで差し引ける消費税分)を減らして申請する決まりです。
交付決定通知に書かれた額は、実際に払われる額ではありません。事業が終わったあとの確定検査で、補助金の額が決まります。
三者見積で最安値以外の業者に発注すると、対象経費の上限は最安値の見積額になります。高い業者を選ぶと、差額は自己負担です。
何に使える?
対象にならないもの
- 基本設計費(実施設計だけが対象)
- 銀行の振込手数料
- 完成時に使う予定のない設備や予備品
- DRに対応できない構成へ変えた分の費用
- 自社製品を使うときの利益相当分
対象になるもの
- 設計費(実施設計に必要な最低限の費用)
- 設備費(通信機器、センサー、EMSなど)
- 工事費(機器の設置に必要な最低限の工事・据付費)
EMSはエネルギー管理システムのことで、設備の稼働状況を見て制御する装置です。
補助の対象は、申請時にすでに設置されている設備をIoT化する機器です。蓄電池や空調そのものの購入費は入りません。設備の入れ替えに合わせてDR対応にする場合は対象です。例外は、業務産業用蓄電システム導入支援事業と同時に申請する場合で、設置予定のその蓄電システムのIoT化機器も対象です。
申請の流れ
- アグリゲーターを選ぶ(事業者→SIIの公表一覧。アグリゲーターの新規登録は2026年10月30日で締め切られたため、公表済みの一覧から選ぶ)
- GビズIDプライムを取る(事業者→GビズID。新規は書類を郵送してから2〜3週間かかる)
- 見積を取る(事業者→施工業者。交付決定の前でも取れる)
- Jグランツで交付申請する(事業者→SII。2026年11月27日まで)
- 交付決定を受ける(SII→事業者。審査は公募要領でおおむね2〜4週間)
- 三者見積検査を受けて発注する(事業者→SII・施工業者。検査が終わるまで発注しない)
- 設置・試験・支払いを終える(事業者→施工業者。2027年2月1日まで)
- 実績報告を出す(事業者→SII。完了後30日以内か2月1日の早いほう)
交付決定とは、SIIが「この事業に補助を出す」と通知することです。ここより前の発注・契約は全額が対象外になります。見積の取得までは、交付決定の前にしてかまいません。
申請者は、機器の所有者によって変わります。需要家が機器を持つなら需要家が申請し、アグリゲーターが共同申請者になります。アグリゲーターが持つなら、アグリゲーターが申請します。
三者見積とは、同じ条件で3社以上から見積を取り、価格を比べる手続きです。SIIの検査が終わるまで、原則として発注できません。
審査に公募要領で2〜4週間(概要資料では3〜6週間)かかるため、11月下旬に申請すると、交付決定から完了期限までの工期は短くなります。GビズIDを新しく取るなら、その2〜3週間も見込みます。完了期限の2027年2月1日までに、設置・通信試験・検収・支払いまで終える必要があります。
必要な書類
準備できた 0 / 12
役員名簿は法人のみで、共同申請者の分も出します。アグリゲーターが登録時に出した制御の流れ図と内容が違うときは、DRシステム制御フロー図も足します。決算報告書は、需要家が申請者のときは需要家の分だけです。設備の所有者と建物の所有者が違うときは、設備設置承諾書も要ります。リースやESCOの場合は、契約書の雛形などを足します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定より前の契約・発注は、全額が対象外になります。
- 検査の前に発注した:三者見積の検査が終わる前の発注は、原則認められません。
- 承認なしに内容を変えた:事業内容や配分額の変更は、軽微なものを除いて事前の承認が要ります。承認がないと、補助金が払われないことがあります。
- 支払い方法が認められない:クレジット、割賦、手形、相殺は認められません。ATMの振込明細も証憑になりません。
- 耐用年数の間に処分した:補助で入れた機器を目的外に使う、売る、貸すときは、事前にSIIの承認が要ります。
- 虚偽の申請や重複受給があった:交付決定の取消しと返還に加え、年10.95%の加算金がかかります。
併用・事業規模・税金
他の国庫補助金とは、同じ設備で併用できません。自治体の補助金との併用は、その自治体に聞いてください。税制優遇との併用は、それぞれの税制の窓口で確かめます。
事業規模は、家庭用・業務産業用の蓄電システム事業とあわせた59.6億円のうち、3.4億円程度と公募要領に書かれています。事業間で予算を流用する場合もあります。予算に達しても公募期間が自動で縮まるとは書かれていません。それでも、申請の受付状況はSIIに問い合わせられないため、締切を待たずに出すほうが安全です。
よくある質問
蓄電池を新しく買う場合も対象ですか?
対象は、申請時にすでに置いてある設備をIoT化する機器です。蓄電池本体の購入費は入りません。例外は、業務産業用蓄電システム導入支援事業に同時に申請する場合で、そのときは設置予定の蓄電システムのIoT化機器も対象になります。同時申請を考えているなら、先にSIIの窓口へ相談してください。
どんな設備をIoT化できますか?
公募要領には、蓄電池、空調設備、自家発電設備、生産設備のほか、蓄熱槽、燃料電池、照明、EV充放電設備、業務用冷凍冷蔵設備が例に挙がっています。場所は官公庁、オフィスビル、ホテル、病院、工場、学校、小売店などです。例にない設備は、アグリゲーターかSIIに聞いてください。
個人事業主でも申請できますか?
公募要領では書き方が分かれています。需要家の定義には「法人(個人事業主含む)」とありますが、補助事業者の要件には「日本国内において事業活動を営んでいる法人であること」とあります。個人事業主の方は、申請の準備に入る前にSIIの窓口へ電話かメールで聞いておくと、手戻りを防げます。
審査にはどれくらいかかりますか?
公募要領では、交付申請を受け付けてからおおむね2〜4週間の審査期間を予定しています。概要資料には3〜6週間とあり、幅があります。交付決定は随時出ます。ただし申請の受付状況についての問い合わせはできません。事業の完了期限は2027年2月1日なので、申請が遅いほど設置や支払いに使える期間が短くなります。書類は早めにそろえてください。
JC-STAR★1とは何ですか?
IPA(情報処理推進機構)が運営する、IoT製品のセキュリティ要件適合評価とラベリングの制度です。★1はそのレベル1にあたります。外部のアグリゲーターと通信する機器は、この取得が確認できるものにする必要があります。取得済みかどうかは、IPAの製品一覧で調べられます。見積の前にメーカーへ確かめてください。
DR契約はいつまで続ける必要がありますか?
契約期間は、事業完了後から少なくとも2028年3月31日までです。この間、アグリゲーターは需給ひっ迫注意報・警報の発令時と国からの節電要請時に、DR要請か遠隔制御を行います。節電要請の期間中のDRは任意です。契約が続けられなくなりそうなときは、早めにSIIへ相談してください。
リースで機器を入れても対象ですか?
対象になります。ただし、リース事業者と設備の使用者が共同で申請する決まりです。リース料から補助金相当分が減っていることを示す書類も必要で、リース期間は処分制限期間(機器の法定耐用年数)以上にします。転リースなど通常と違う体制は、申請の前にSIIと協議して許可を得てください。
三者見積は必ず必要ですか?
原則として必要です。同じ見積条件で3社以上から取るか、競争入札にします。交付申請の時点では出さなくてもかまいませんが、発注の前にSIIの検査を受けます。設備の特性で三者見積ができない場合は、合理的な理由があるときだけ随意契約が認められることがあります。その場合も、事前にSIIへ相談して指示を受けます。
補助金はいつ払われますか?
事業が完了して実績報告を出し、SIIの確定検査で額が決まったあとに、精算払の請求をして受け取ります。つまり、機器代と工事費はいったん全額を自社で払う必要があります。工事業者への支払いは、原則として検収の翌月までに銀行振込で行います。口座情報の誤りがあると払われないことがあります。
他の補助金と一緒に使えますか?
同じ設備に対して、他の国庫補助金とは併用できません。他の補助金でも申請していて、交付決定の前に先にそちらが交付されたときは、すぐSIIに連絡します。市区町村など自治体の補助金は、その自治体の決まりによるため、窓口で確かめてください。税制優遇の併用も、税制の窓口で聞きます。
補助金を受けた機器は自由に売れますか?
売れません。補助で入れた機器は、法定耐用年数の間(処分制限期間)、善良な管理者の注意で管理します。目的に反する使用、譲渡、交換、貸付、廃棄、担保に入れることは、事前にSIIの承認が必要です。承認を得ても、補助金の返還が必要になることがあります。関係書類は事業完了の年度の終了後5年間、保存してください。
問い合わせ先はどこですか?
SIIの「令和7年度補正 ディマンドリスポンスの拡大に向けたIoT化推進事業」窓口です。電話は03-6281-5085で、受付は平日の10:00〜12:00と13:00〜17:00です。メールは件名に【質問】を付けてdr_iot_shinsa@sii.or.jpへ送ります。返信までに1週間ほどかかるため、急ぐときは電話が早いです。
