核融合(フュージョン)による発電の実証を目指すスタートアップに、国が開発費を配ります。この公募は、その配り役である「執行団体」を選ぶものでした。受付は2026年2月16日の12時必着で終わっています。選ばれたのは一般社団法人低炭素投資促進機構で、スタートアップ向けの二次公募は2026年4月30日〜6月11日に行われました。
スタートアップ自身は、この公募に申請できません。開発費を受け取る側は、選ばれた執行団体が開く二次公募(間接補助事業)に応募します。
フュージョンエネルギー発電実証推進事業補助金の要点まとめ
正式名:令和7年度フュージョンエネルギー発電実証推進事業補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(執行団体になる民間団体等)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 研究開発・実証
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 従業員数の制約なし
いくら
- 補助上限額
- 上限600.2億円(令和8〜10年度の合計)
- 補助率
- 執行団体への補助率は定額(10/10)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年1月26日〜2026年2月16日(12時必着)で終了
どんな団体なら応募できたか
次の条件をすべて満たす民間団体等が対象でした。
- 日本に拠点を置いている
- 事業を進める組織と人員がある
- 経営基盤と資金管理の力がある
- 採択結果の公表に同意する
- 経済産業省のEBPMに協力する
- ✕ 補助金交付等停止措置の対象である
- ✕ 指名停止措置の対象である
- ✕ 開発費を直接受けたいスタートアップ
EBPMとは、データなどの根拠にもとづいて政策を立てる取り組みのことです。停止措置と指名停止措置は、経済産業省が不正などを理由に、補助金の交付や契約から外す処分です。
開発を行う事業者は、この公募に直接出せません。選ばれた執行団体の二次公募が出発点になります。
いくらの補助だったのか
執行団体への補助上限額は、令和8年度が200.2億円、令和9年度が200億円、令和10年度が200億円です。令和7年度は0円です。
- 200.2億円 + 200億円 + 200億円 = 600.2億円
この額は執行団体が受け取り、スタートアップへ配る原資と事務の経費になります。スタートアップ個社が受け取る額ではありません。
二次公募でスタートアップが受ける補助率は、間接補助の対象経費の2/3以内です。仮に対象経費が3億円なら、次の計算になります。
- 3億円 × 2/3 = 2億円(3億円は計算のための仮の数字です)
上限に当たるかどうかは、二次公募の要領で決まります。この公募の資料に、個社の上限額は書かれていません。
何に使えるのか
交付要綱(案)は、補助対象経費を3つに分けています。まず、使えないものを見ておきます。
使えないもの
- 事業の企画・立案と、根幹の執行管理を、第三者に請負・委託させる費用
- 補助事業以外の用途に使った経費
使えるもの
- 事業費(スタートアップ等の技術開発費の一部を補助する事業に要する経費)
- 管理費①(労務費、説明会費、会議費、旅費、通信運搬費、物品・図書・消耗品費、事業所維持費、賃借料、印刷費、謝金、広告費、公租公課、一般管理費)
- 管理費②(委託・外注費)
事業費は、間接補助の対象経費の2/3以内です。管理費は定額です。委託・外注は管理費②で認められますが、公平な競争にかける決まりがあります。
公募から二次公募までの流れ
- 執行団体の候補が応募する(民間団体等→経済産業省。2026年2月16日12時必着)
- 第三者の有識者委員会が審査する(応募書類が中心。必要ならヒアリングや現地調査もある)。2026年3月6日に、一般社団法人低炭素投資促進機構が採択されました(応募は2者)
- 採択された団体が交付申請を出す(執行団体→経済産業大臣。標準の審査期間は30日)
- 交付規程を定めて承認を受ける(執行団体→経済産業大臣。間接補助を始める前に)
- 二次公募を開き、スタートアップへ配る(執行団体→スタートアップ等。実際の受付は2026年4月30日〜6月11日)
必要な書類
準備できた 0 / 3
応募時の書類一覧は、公募ページの本文に載っていませんでした。募集要項は公募ページから入手する形でした。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 不正や目的外の使用:補助金を補助事業以外に使うと、交付決定の全部か一部が取り消されます。返す場合は、年利10.95%の加算金がつくことがあります。
- 間接補助の側の違反:スタートアップが法令に違反したり、間接補助金を目的外に使ったりした場合も、取消しの理由になります。
- 暴力団排除の誓約に反する:役員などが暴力団と関わりを持っていると、対象から外れます。
スタートアップが押さえる二次公募との関係
執行団体に選ばれた一般社団法人低炭素投資促進機構の事務局が、「令和7年度補正 フュージョンエネルギー発電実証推進事業補助金」の間接補助事業者を公募しました。受付は2026年4月30日から6月11日の正午必着で、終了しています。
二次公募の内容は、機構の公募概要にこうあります。
- 対象の事業は、次の3つをすべて満たす技術開発です。①フュージョンエネルギー発電に関する技術開発であること ②2030年代の発電実証を目指す計画であること ③商用化発電実証と社会実装に向けた計画が示されていること
- 補助率は2/3以内で、事業期間は交付決定日から最長で令和11年2月28日です
- 申請はjGrantsで行い、GビズIDプライムアカウント(国の電子申請に使う共通ID。取得に2週間程度かかる)が必要です
審査状況は2026年8月31日に公表され、4件が条件付採択とされました。正式な採択と交付決定は、条件への対応を確認したあとに行われます。窓口は機構の事務局です(電話 03-6264-8522、メール fusion@teitanso.or.jp)。
よくある質問
核融合スタートアップはこの公募に直接申請できましたか?
できませんでした。この公募は、補助金の公募・審査・支払いなどを担う執行団体を選ぶものです。スタートアップが開発費を受けるのは、選ばれた執行団体が開く二次公募です。二次公募での補助率は、間接補助の対象経費の2/3以内とされています。二次公募の要領は選ばれた執行団体(低炭素投資促進機構)が作っているため、応募前に必ずその要領を確かめてください。
執行団体とは何ですか?
国から補助金を受け取り、スタートアップなどへ配る実務を担う民間団体等のことです。間接補助事業の公募、審査委員会の運営、進捗の管理、中間検査と確定検査、支払い、成果の確認、問い合わせへの対応までを受け持ちます。国と開発事業者のあいだに入る窓口役です。
応募の受付はいつまででしたか?
2026年2月16日(月)の12時必着で終了しています。公募期間は2026年1月26日からでした。jGrantsの公開データでは2月27日となっていますが、資源エネルギー庁の公募ページの本文は2月16日12時必着です。同じ制度の公募でも、期限の表記が資料でずれることがあります。
補助上限額の600.2億円は、誰がもらう額ですか?
執行団体が受け取る額です。令和8年度に200.2億円、令和9年度と令和10年度に200億円ずつで、合計600.2億円になります。この中から、スタートアップへの間接補助と、団体の管理費などがまかなわれます。スタートアップ1社が受け取れる額ではないので、個社の上限は二次公募の要領で確かめてください。
補助率の定額(10/10)とは何ですか?
国から執行団体への補助率が、対象経費の全額(10/10)であることを指します。ここでの「定額」は、実際に対象となった経費を国が負担するという意味です。スタートアップに配る段階では、補助率が間接補助の対象経費の2/3以内に変わります。二つの補助率は別物なので、混同しないでください。
個人や大学は執行団体になれましたか?
応募資格は「民間団体等」とされ、日本に拠点があることが条件でした。個人や大学が対象かどうかは、公募ページの本文に書かれていません。判断がつかない場合は、資源エネルギー庁の担当(電力・ガス事業部 政策課 フュージョンエネルギー室)に問い合わせるのが確実です。メールアドレスは公募ページに載っています。
補助事業者が事業の中心部分を外注してもよいですか?
だめです。交付要綱(案)の第11条は、事業全体の企画・立案と、根幹にかかわる執行管理の部分を、第三者に請負わせたり委託したりすることを禁じています。一方で、事業の一部を委託すること自体は認められています。その場合は契約を結んだあと、すみやかに届出書を大臣へ出します。
委託や外注の費用は補助の対象になりますか?
管理費②として、委託・外注費が対象経費の区分に入っています。ただし、契約は原則として一般の競争にかけます。競争にかけるのが難しい場合に限り、指名競争や随意契約が認められます。契約金額が100万円未満の場合を除き、補助金交付等停止措置や指名停止措置を受けている事業者とは契約できません(運営上その事業者でなければ困難な場合は、大臣の承認を受けて契約できます)。
採択されたあと、まず何をする必要がありますか?
交付申請書を経済産業大臣に出し、交付決定を受けます。申請書が届いてから決定までの標準期間は30日です。さらに、間接補助を始める前に、交付規程を定めて大臣の承認を受ける必要があります。交付規程には、国の要綱と同じ趣旨の条件をつけなければなりません。
取得した財産の扱いには決まりがありますか?
あります。補助対象経費で取得した財産は、事業の完了後も善良な管理者の注意をもって管理します。単価50万円以上の機械、器具などは処分が制限され、処分するときは事前に承認を受けます。処分した場合は、残存簿価相当額などを国に納付させられることがあります。
研究で生まれた特許や収益はどうなりますか?
補助事業に基づく発明などで特許権や著作権を出願・取得した場合、遅滞なく届出書を出します。補助事業の完了した年度の終了後5年以内に、事業化や知的財産の譲渡で収益が出たときは、状況報告が必要です。相当の収益と認められると、交付した補助金の全部か一部の納付を命じられることがあります。
この制度は今後また公募されますか?
この公募の資料にも、低炭素投資促進機構のページにも、次の公募の予定は書かれていません。二次公募は2026年6月11日に受付を終えました。補助上限額は令和8年度から令和10年度の3年度にわたって示されています。新しい公募の有無は、機構のページ(https://www.teitanso.or.jp/fusion/)と資源エネルギー庁の公募ページで確かめてください。
