AIもロボットも、いきなり本番投入は怖い。効果が読めないまま現場に入れると、痛い目を見ることがあります。
京都市の「AI・ロボティクス導入支援PoC補助金」は、その手前の"試す"段階を支える制度です。対象は京都市内の中小企業等(個人事業主も含む)。AI・IoT・ロボティクスの試作・実証にかかる費用の3分の2、上限200万円を補助します。令和8年度の募集は7月3日から7月31日17時までです。
小さく試して、効果が見えたら本格導入する。そのための橋渡しの補助金です。
京都市AI・ロボティクス導入支援PoC補助金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 京都市AI・ロボティクス導入支援PoC補助金 |
| 対象業種 | 業種指定なし(京都市内に主たる事業所または事業拠点を有する中小企業等) |
| 利用目的 | 研究開発・実証事業(AI・IoT・ロボティクスの試作・実証/PoC) |
| 対象地域 | 京都府京都市 |
| 従業員数 | 中小企業等(規模基準は公式ページでご確認ください) |
| 補助上限額 | 200万円(千円未満切捨て・税抜) |
| 補助率 | 補助対象経費(税抜)の2/3以内 |
| 申請受付 | 令和8年7月3日〜令和8年7月31日17時(採択予定は5社)(受付終了) |
| 公式サイト | https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000355702.html |

そもそも「PoC補助金」とは何をするための補助金か
この補助金の一番のポイントは、対象が「本格導入」ではなく「PoC(概念実証)」だという点です。
- PoCとは"Proof of Concept"の略。試作品などを作って、実現できるかを検証すること
- この補助金が出るのは、「うちの現場に合うのか」「効果はどれくらいか」を小さく試す段階の費用
対象になる取組は次の2つです。
- AI・IoT・ロボティクス等のデジタル技術を活用した概念実証(PoC): 業務の高度化・効率化、生産性向上、または新たな付加価値創出を目的とした実証
- 概念実証に必要な試作モデルの製作・実証的導入検討: PoCに必要な試作モデル(プロトタイプ)の製作や、現場への実証的な導入に向けた技術検証
補助対象になるのは、本格導入したときの効果が具体的に見込める事業です。申請書には「とりあえず試したい」ではなく、「この結果次第で来年度に本格導入する」という見通しを書きます。
採択されると、ASTEM(京都高度技術研究所)の専門コーディネーターによる伴走支援が付きます。導入計画の策定支援や、試作に関する助言が受けられます。
対象事業者と対象経費を具体例で見る
対象になるのは、京都市内に主たる事業所または事業拠点を有する中小企業等(法人または個人)です。個人事業主も対象に含まれる点は明記されています。
補助対象経費は、事業の実施に直接必要なハードウェア・ソフトウェアの購入費、システム構築費などです。ここで重要な注意点があります。
- 対象期間内に発注・契約、納品、支払いのすべてが完了している経費に限られる
- 補助対象期間は交付決定通知日から令和9年2月26日まで
- つまり交付決定が出る前に発注・契約してしまった経費は対象にならない
具体的にどんな取組が想定されるか、3パターンで見てみます。
- 製造業が検査工程にAI画像判定を試す: 目視で行っていた製品の外観検査を、AIカメラによる自動判定に置き換えられるか検証するため、カメラ・センサー等のハードウェアとAI判定ソフトを試作導入。本格導入の前に、実際の生産ラインで判定精度・作業時間の短縮効果を確認する
- 物流・倉庫業が搬送ロボットの実証を行う: 倉庫内のピッキング・搬送作業に協働ロボットを試験的に導入し、実際の動線・作業効率にどれだけ効果があるかを一定期間実証。効果が確認できれば、次年度以降に台数を増やして本格導入する計画
- サービス業が予約・受付業務にAIチャットボットを試作: 電話・窓口対応の負担を減らすため、AIチャットボットのプロトタイプをシステム構築費込みで開発し、実際の顧客対応に一部導入して効果を検証する
対象経費に、人件費や旅費が含まれるか。公式情報に明記はない。PoCの見積もりを組むとき、ここでつまずく事業者は多い。

補助額のシミュレーション:投資規模によって自己負担はここまで変わる
補助率は補助対象経費(税抜)の3分の2以内、補助金額は上限200万円(千円未満切捨、税抜)です。採択予定数は5社と少なめなので、応募を検討している場合は早めの準備が有利になります。
投資額ごとに補助額と自己負担額を試算すると、次のようになります。
| PoCにかける経費(税抜) | 補助額(3分の2) | 自己負担額 |
|---|---|---|
| 100万円 | 約66万円 | 約34万円 |
| 200万円 | 約133万円 | 約67万円 |
| 300万円 | 200万円(上限) | 約100万円 |
| 450万円 | 200万円(上限) | 約250万円 |
経費300万円で補助額は上限の200万円に到達します。それ以上は自己負担が増えるだけ。PoCは300万円以内で設計するのが目安です。
なお、交付は予算の範囲内です。申請額が満額出ず、減額されて採択される場合があります。

申請の流れとスケジュール
申請はWEB申請のみで、次の流れで進みます。
- 募集期間: 令和8年7月3日(金)〜令和8年7月31日(金)17時まで
- 申込みページへのアクセス: 指定URL(https://www.astem.or.jp/r8aipoc)または二次元コードから申込みページにアクセスし、各種様式をダウンロード
- 様式への入力・アップロード: 様式に必要事項を入力し、同サイトに様式ファイルをアップロードすると申込み完了
- 交付決定: 審査を経て交付決定(交付決定通知日が補助対象期間の起算日になる)
- 補助対象期間: 交付決定通知日から令和9年2月26日まで。この間に発注・契約・納品・支払いをすべて完了させる必要がある
注意したいのは、交付決定が出る前に発注・契約をしてはいけない点です。良い機材を見つけて先に契約すると、その経費は対象から外れます。申込みを済ませたら、交付決定の連絡まで発注を待ちます。

他の補助金とあわせて検討したい方へ
このPoC補助金は「まず試す」ための制度なので、試作の結果を踏まえて本格的にITツールを導入する段階になったら、国のIT導入補助金など全国型の補助金もあわせて検討の選択肢に入ってきます。
国のIT・AI関連の補助金もあわせて検討したい方は、こちらの記事で解説しています。
ロボット等による省力化を本格導入する段階では、国の省力化関連の補助金も候補になります。
よくある質問
個人事業主でも申請できますか?
対象は「京都市内に主たる事業所または事業拠点を有する中小企業等(法人または個人)」とされており、個人事業主も明示的に対象に含まれています。
PoCの結果、本格導入する場合の補助金はありますか?
京都市の公式ページ・報道発表資料には、このPoC補助金に続く本格導入向けの後継制度についての記載はありませんでした。本格導入の段階では、国のIT導入補助金や中小企業省力化投資補助金など全国型の制度もあわせて検討するとよいでしょう。
補助対象経費に人件費や旅費は含まれますか?
公式情報で明記されているのは「事業を実施するために直接必要なハードウェア・ソフトウェアの購入費、システム構築費など」です。人件費や旅費が対象に含まれるかどうかの明記はありませんでした。
