浜松市の「新事業挑戦事業費補助金」は、市内の中小企業者が新分野の一次試作品を開発する費用の2分の1・上限100万円を補助する制度です。令和8年度は三次募集が7月7日〜8月7日午後3時まで受付中で、次世代輸送用機器や健康・医療、デジタルなど7分野の新事業展開が対象になります。

どんな補助金か:試作開発を後押しする浜松市独自の制度

この補助金は、既存事業とは異なる新分野へのチャレンジとして、一次試作の開発にかかる経費を支援するものです。国が実施する「新事業進出補助金」とは別の、浜松市独自の制度である点にまず注意してください。名前が似ているため混同されがちですが、運営主体・予算・審査基準はまったく異なります。

問い合わせ・申請窓口は市役所ではなく、公益財団法人浜松地域イノベーション推進機構が担っています。

対象になる事業者・7分野を具体例で見る

補助対象者は、次のいずれかに該当し、市税を滞納しておらず、市内に研究開発・事業化拠点を持つ者です。

  • 浜松市内に事務所を有する中小企業者
  • 新たに浜松市内に事務所を置き、事業を開始しようとする中小企業者
  • 上記のいずれかを1者以上含む、2者以上で組織する共同体

重要なのは、直近2年連続で本補助金の採択を受けた事業者は申請できないという制限です。毎年連続で使える制度ではなく、新規のチャレンジ事業者に機会を回す設計になっています。

対象事業は次の7分野に限られ、いずれかに該当することに加え、6つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 次世代輸送用機器関連事業
  • 健康・医療関連事業
  • 新農業関連事業
  • 環境・エネルギー関連事業
  • 光・電子関連事業
  • デジタル関連事業
  • ロボティクス関連事業

6つの条件は、①補助対象7分野に該当する新事業展開であること、②補助対象期間内に一次試作の開発ができること、③将来的に事業化(成果品の販売)を見込むこと、④地域経済への波及効果が大きく社会貢献度が高いこと、⑤募集案内の要件をすべて満たすこと、⑥試作・実証を繰り返す研究開発要素が高いこと、です。

具体的なイメージとして、次のような事業者が対象になり得ます。

  • 自動車部品メーカーが、次世代輸送用機器分野で軽量化した新部品の一次試作品を開発する
  • 医療機器メーカーが、健康・医療分野でウェアラブル型センサーの試作機を開発する
  • IT企業が、デジタル分野で製造現場向けAI検査システムのプロトタイプを開発する

補助額のシミュレーション:総事業費によって補助額はここまで変わる

補助対象経費は、原材料・部品等購入費、開発設計費、外注委託費、技術指導導入費、借損料、消耗品費(1件10万円未満のもの)です。開発設計費・外注委託費は、それぞれ総事業費の2分の1を超えない範囲に上限が設定されています。

補助率・上限額は次のとおりです。

項目内容
補助率対象経費の2分の1以内
補助上限額1件あたり100万円
補助対象期間交付決定日〜令和9年2月28日
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総事業費のパターン別に補助額を試算すると、次のようになります。

  • 総事業費180万円のケース(試作部品の材料費+外注加工費): 2分の1補助で90万円の交付が見込めます
  • 総事業費250万円のケース(センサー試作機の部品購入+技術指導委託費): 2分の1なら125万円になりますが、上限100万円で頭打ちになるため、交付額は100万円です
  • 総事業費150万円のケース(開発設計費を含むプロトタイプ開発。人件費相当の開発設計費は総事業費の50%以内という上限があるため、内訳の組み方に注意が必要): 2分の1補助で75万円が目安です

採択審査はある?:プレゼンテーション審査が必須

この補助金は、申請すれば必ずもらえる制度ではありません。有識者等による審査会が開催され、申請者自身が製品や事業計画についてプレゼンテーションを行う必要があります。書類だけで完結する先着順の補助金とは異なり、事業内容・実現可能性・波及効果を審査員に説明できる準備が求められます。

さらに、事業実施後にも開発製品の仕様・性能や収支決算に関するプレゼンテーションが予定されています。交付決定額は申請希望額と一致しないことがあるため、満額での交付を前提に資金計画を組むのは避けたほうが安全です。

申請から交付までの重要なタイミングと必要書類

申請は「交付申請」→「審査会(プレゼンテーション)」→「交付決定」→「事業実施」→「実績報告(プレゼンテーション含む)」の流れで進みます。三次募集の場合、交付決定は令和8年9月初旬ごろの予定です。

タイミング別に必要な書類は次のとおりです。

  1. 交付申請時: 交付申請書、見積書の写し(1件50万円以上の経費、開発設計費を除く)、会社定款および申請者概要の分かる資料、直近2期分の決算関係書類、市民税・県民税・森林環境税特別徴収義務者指定通知書の写し、履歴事項全部証明書の写し
  2. 審査会: 製品・事業計画に関するプレゼンテーション資料
  3. 交付決定後〜事業実施: 補助対象期間内(交付決定日〜令和9年2月28日)に発注・実施・支払いを完了
  4. 実績報告時: 開発製品の仕様・性能や収支決算に関するプレゼンテーション、実績報告書一式

書類は紙提出に加えてデータ化したものをDVD等の電子媒体で提出する必要がある点も忘れずに準備してください。

三次募集の受付期間:一次・二次との違い

令和8年度は年に複数回募集が行われており、三次募集の受付期間は次のとおりです。

募集回受付期間
一次募集令和8年3月24日〜4月30日 午後3時まで
二次募集令和8年5月11日〜6月30日 午後3時まで
三次募集令和8年7月7日〜8月7日 午後3時まで
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さらに重要なのは、三次募集の締切は令和8年8月7日午後3時までで、それ以降の追加募集の有無は公式ページに記載がないという点です。今年度の申請を検討している場合は、この三次募集が最後のチャンスになる可能性を踏まえて早めに準備を進めることをおすすめします。

新分野への進出には国の補助金もあります。あわせてこちらの記事で解説しています。

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プレゼンテーション審査への備え方や、対象経費の組み方など、実務の進め方に迷う場合は専門家に相談するのも一つの手です。

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よくある質問

個人事業主でも申請できますか?

公式ページの対象者は「中小企業者」と表記されており、個人事業主が含まれるかどうかの明言はありません。申請前に窓口へ確認するのが確実です。

審査で不採択になることはありますか?

あります。この補助金は先着順ではなく、有識者等による審査会でのプレゼンテーション審査を経て交付の可否・金額が決まります。事業の新規性・実現可能性・地域経済への波及効果などが見られるため、申請書類だけでなくプレゼン内容の準備も重要です。

三次募集に落選した場合、次のチャンスはありますか?

三次募集以降の追加募集が行われるかどうかは、本記事執筆時点(2026年7月)で公式ページに記載がありません。また、一度採択されると直近2年連続では再申請できないため、次年度以降の募集情報は浜松市・同機構の公式サイトで確認してください。


免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・補助率・対象経費・申請要件・受付期間は変更される場合があるため、申請前に必ず浜松市の公式ページおよび最新の募集案内で内容をご確認ください。

出典: