ホームページの制作費だけを対象にした国の補助金は確認できた範囲では見当たりません。国の制度で費用を出せる中心は小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」です。第20回の公募要領ではこの経費の補助金交付申請額は30万円(税込)が上限で、ウェブサイト関連費だけでは申請できません。チラシや展示会など、ほかの販路開拓の経費と一緒に出します。
個人事業主も使えます。持続化補助金は商工業者の個人事業主が対象に入っていて、自治体のホームページ補助にも個人事業主を対象に含むものがあります。ただし作った後に補助金をもらうことはできません。ほとんどの制度は着手の前に申請する決まりで、交付が決まる前に発注・契約・支払いをした分は対象外です。
ホームページの補助金は国より市区町村のほうが使いやすい場面が多くあります。自治体の制度はホームページ制作だけで申請できるものがあり、上限は数万円から30万円ほどです。この記事ではまず仕組みと費用の線引きを整理しました。そのあとに代表的な補助金の金額と締切の暦、よくある注意点、都道府県ごとの一覧を載せています。自分の地域の制度は一覧から各制度の記事へ進めます。持続化補助金の対象経費や申請の細部は持続化補助金のホームページ制作費の記事で詳しく見られます。
ホームページの補助金の概要
ホームページの補助金はお金を出す側で国・都道府県・市区町村に分かれます。国の補助金は事業全体の計画にホームページの費用を含める形が多く、ホームページ専用の枠はありません。ホームページの制作費そのものに出すのは主に市区町村や商工会議所が運営する制度です。
使える制度の種類と、ホームページの扱い
国の主な制度と自治体の制度を、ホームページの扱いで並べると次のとおりです。
| 制度 | ホームページの扱い | 額と率 | ホームページだけで申請 |
|---|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠) | 「ウェブサイト関連費」として計上できる | 補助上限50万円(特例の上乗せあり)、補助率2/3。ウェブサイト関連費の申請額は30万円(税込)まで | できない |
| デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 登録されたITツール(ソフトウェア)の導入が対象。ホームページ制作の記載は公式ページで見つからなかった | 通常枠は5万円以上150万円未満、または150万円以上450万円以下。補助率1/2以内、2/3以内 | ITツールの導入で申請 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 新しい事業への進出計画が前提。ホームページの費用の扱いは公募要領で確かめる | 公募要領で確かめる | 向かない |
| 市区町村・商工会議所の制度 | ホームページの作成・全面改修の委託費が対象になる例が多い | 中央区は上限30万円、葛飾区は5万〜8万円に加算あり、西宮市は上限5万円など | できる制度が多い |
国の制度は上限が大きい分、事業計画の審査があります。自治体の制度は上限が小さい代わりに、申請書類が少なめです。両方を使えるかどうかは制度ごとの併用の決まりで変わります。自治体の制度は「国や他の自治体から同種の補助を受けていないこと」を条件にするものがあるので、国の制度を先に使う予定があるなら、申請前に要綱を読みます。
小規模事業者持続化補助金(ウェブサイト関連費)の仕組み
持続化補助金は小規模事業者が経営計画を作って販路開拓に取り組む費用を補助する制度です。第20回の公募要領(一般型 通常枠)は補助上限を50万円、補助率を2/3としています。インボイス特例の対象なら50万円、賃金引上げ特例の対象なら150万円、両方の対象なら200万円が上乗せされ、最大では250万円になります。
ホームページの費用が入るのは対象経費の「ウェブサイト関連費」です。公募要領は販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト、システムの開発・構築・更新・改修・運用に要する経費としています。ウェブサイト関連費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)で、ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。
たとえば制作費が60万円のホームページだけを作る計画でも持続化補助金の申請はできません。チラシの印刷費(広報費)や展示会の出展費など、ほかの経費を足して計画を組みます。補助率2/3で計算すると60万円の2/3は40万円ですが、ウェブサイト関連費の上限は30万円なので、この経費で受け取れるのは30万円までです。
第20回の申請受付は公募要領によると2026年11月5日から12月15日の17時までです(予定で、変更されることがあります)。申請には商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が要り、発行依頼の受付締切は12月4日と、申請の締切より早く設けられています。GビズIDプライムのアカウントも要ります。詳しい手順は持続化補助金第20回の記事に書いています。第21回以降の予定は公募要領には第20回の締切以降に案内するとあるだけでした。
デジタル化・AI導入補助金でホームページは対象になるか
「IT導入補助金 ホームページ」と検索する人は多いのですが、名前が変わったデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の公式ページにはホームページ制作を対象にする記載を見つけられませんでした。公式の通常枠のページが対象としているのは事務局に登録されたITツールのソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)です。導入コンサルや導入設定、保守サポートといった役務も補助対象に含まれます。
ITツールの要件は顧客対応・販売支援や会計・財務など、1種類以上の業務プロセスを持つソフトウェアであることです。汎用プロセスだけのツールでは申請できません。補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下、補助率は1/2以内です。賃金について決まった条件を満たすと2/3以内になります。
申請は事務局に登録されたIT導入支援事業者のサポートを受けて進めます。ホームページの制作会社が補助金の対象として登録されたITツールを扱っているとは限りません。予約システムや受発注システムのように、業務の機能をもつ登録済みのツールを入れる場合は対象になり得ます。ただし、登録されているかどうかはITツール検索で調べる必要があります。第7回公募以降は制度変更のお知らせが出ているので、第7回公募からの公募要領を読んでから判断します。個人事業主の条件はIT導入補助金は個人事業主も使えるかの記事、制度全体はIT導入補助金の記事にまとめています。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は向くか
中小企業基盤整備機構の新事業進出補助金のサイトには公募は終了し、新規の受付は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」まで、と書かれています。名前のとおり、新しい事業への進出や革新的な取り組みの計画を前提にした制度です。既存の会社案内サイトを作り直すだけの申請には向きません。
ホームページの費用を計画の一部に含められるかどうか、その上限は何かは公募要領で確かめる必要があります。この記事では公募要領の本文まで確かめていないので、金額は書きません。旧制度との違いは新事業進出補助金の記事にまとめています。
自治体の制度の特徴と、公式ページで確かめた例
自治体の制度はホームページの作成や全面改修にかかる委託費を補助するものが目立ちます。編集部が公式ページで確かめた例を並べます。
| 制度 | 上限・補助率 | 条件の例 |
|---|---|---|
| 中央区 中小企業ホームページ作成費補助金 | 一般枠は費用の1/2、創業枠は2/3。どちらも上限30万円 | 区内に本店か主たる事業所があり、一般枠は区内で1年以上事業を営んでいること。ホームページ制作が主たる業務の業者へ委託すること |
| 葛飾区 ホームページ作成費補助金 | 費用の1/2。日本語のみは上限5万円、外国語対応は8万円。ECサイトの新規構築は10万円、PR動画は2万円を上乗せ | 区内に主たる事業所があり、1年以上事業を営んでいること。仲介業者を通した委託は対象外 |
| 大垣市 ホームページ・動画制作支援事業補助金 | 費用の1/2以内。1事業者で年度内24万円(ホームページは1か国語あたり8万円で2か国語まで、動画は8万円まで) | 西美濃3市9町に本社がある製造業が対象で、ソフトピアジャパンエリア内の企業へ委託すること。委託先との契約日が事業実施日で、実施の前に交付決定を受ける必要がある |
| 四国中央市 マッチングサイト登録ホームページ開設事業費補助金 | 費用の1/2、上限20万円 | 市内に本店があり、紙の総合マッチングサイト「四国は紙國」に登録している事業者が対象。現にホームページを開設していないこと、申請の時点で着手していないこと。支払いが完了しているものは対象外 |
| 西宮市 ホームページ制作経費補助金(西宮商工会議所が運営) | 費用の1/2、上限5万円 | 新規作成が対象。改修・コンテンツ追加・作り直しは対象外 |
東京都内では中央区と葛飾区の制度を公式ページで確かめました。中央区の令和8年度下半期分は、公式ページで申込受付終了と案内されています。東京都そのものが出す制度は今回の調査では見つけていません。東京都の事業者は自分の区市町村の産業振興の窓口を最初に当たるのがいちばん早いと考えています。
同じ「ホームページの補助金」でも改修を認めるか、ドメイン代を対象にするか、外国語対応やECサイトを加算するかは制度ごとに違います。額が大きいからと選ぶ前に、自社の工事内容がその制度の対象経費に入るかを先に確かめるほうが失敗が少なくなります。
補助金と助成金の違い
「ホームページ 助成金」でも検索されていますが、ホームページ制作費の補助は名前が補助金でも助成金でも自治体や商工会議所が決めた要綱の中身で判断します。国の制度では補助金は審査があって採択されないことがあり、助成金は要件を満たせば受けられるものが多い、と整理されることがあります。ただ、自治体の制度は名前の付け方がまちまちです。
この記事で確かめた自治体の制度は名前に「補助金」や「補助事業」と付くものを含め、申請時に事業計画書や見積書を出し、受付順や予算の範囲で決まるものが多くありました。名前よりも申請の条件・審査の有無・予算の上限を要綱で読んで区別します。
対象になる費用・ならない費用
ホームページの費用のうち、何が補助の対象かは制度ごとに違います。第20回の持続化補助金の公募要領と、自治体の制度で確かめた内容を並べます。
| 費用 | 持続化補助金(第20回) | 自治体の例 |
|---|---|---|
| ホームページの新規作成・更新・改修 | 対象(ウェブサイト関連費) | 中央区・葛飾区は新規作成と全面改修の委託費が対象 |
| ECサイト、システム開発 | 対象 | 葛飾区はECサイトの新規構築を上乗せ |
| 効果や作業内容が明確なSEO対策 | 対象の例に挙がっている | 要綱で確かめる |
| ウェブサイトに関するコンサルティング・アドバイス費用 | 対象外の例に挙がっている | 要綱で確かめる |
| 補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ | 対象外 | 中央区は申請年度内に公開と支払いまで終えること |
| ドメイン取得費 | 対象の例にも対象外の例にも載っていない | 中央区は新規作成のときだけ対象。葛飾区はドメイン維持費が対象外 |
| サーバー利用料・保守費 | 対象の例にも対象外の例にも載っていない | 中央区・葛飾区・西宮市は維持管理や保守のランニングコストが対象外 |
| 自主制作(自分で作る)の費用 | 要領で確かめる | 中央区は自主制作に係る費用が対象外 |
持続化補助金のドメイン取得費とサーバー利用料は、公募要領の対象となる経費例にも対象とならない経費例にも載っていません。見積もりに含めてよいかは、申請の前に商工会・商工会議所へ確かめます。写真や動画では、商品・サービスを販売するための画像や動画の作成費用と宣材写真の制作費用が対象の例です。有料配信する動画や有料の講座で使う動画の制作費、ウェブサイトに使う画像の被写体や商品の購入費は対象外の例です。見積もりに入れる前に、公募要領の「③ウェブサイト関連費」の表を読んでください。
ウェブサイトやシステムを50万円(税抜き)以上の費用で作成・更新すると、処分制限財産に当たります。通常は取得日から5年間、補助事業の目的以外に使ったり、譲渡や廃棄をしたりすることが制限されます。承認を受けずに処分すると、交付の取消や返還命令(加算金付き)の対象になります。ただし、補助事業の目的を遂行するために必要なホームページの改良や機能強化はこの処分には当たらないとされています。
個人事業主・フリーランスと、対象外の法人
持続化補助金の補助対象者は小規模事業者のうち会社と個人事業主(商工業者であること)などです。小規模事業者の基準は商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)が常時使用する従業員5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他が20人以下です。従業員の数え方は公募要領の「常時使用する従業員」の項で確かめます。
対象外として挙がっているのは医師・歯科医師・助産師、医療法人、一般社団法人、公益社団法人、一般財団法人、宗教法人、学校法人、社会福祉法人などです。医療機関が持続化補助金を使えないという話はここから来ています。士業法人(弁護士・税理士など)は会社に準ずる営利法人として対象に入っています。
自治体の制度は個人事業主を対象に含む例があります。中央区は中小企業・個人事業主が対象で、個人事業主は区内に主たる事業所があること、個人事業税などの納税証明書を出すことが条件です。創業前の人は創業枠②で、申請の翌日から3か月以内に開業届出書の写しを出す形です。
開業したばかりの個人事業主は制度によって事業を営んだ期間の条件にかかることがあります。中央区の一般枠や葛飾区は区内で1年以上事業を営んでいることが条件です。創業して間もないなら、創業枠がある制度かどうかを最初に確かめるのが近道です。
副業で事業を営んでいる人が使えるかどうかは制度の定義と事業の実態で決まります。公式ページでは副業の扱いを確認できなかったので、窓口で聞いてください。
リニューアル・改修は対象か
持続化補助金はウェブサイトの開発・構築・更新・改修・運用を対象にしています。自治体の制度は改修の扱いが分かれます。中央区は既存のホームページを全面的に改修する場合を対象にしていますが、画像の差し替えやページ・機能の追加は改修にあたらないとしています。葛飾区も既存のホームページの全面改修を対象にします。
西宮市は逆に、改修・コンテンツ追加・作り直しを補助の対象にしていません。大垣市は初めての制作が対象で、既存のホームページの全面リニューアルを含みます。四国中央市は現にホームページを開設していない事業者が対象です。ページを少し直すだけではどの制度でも対象になりにくいと考えておくと、期待と実際の差が少なくなります。
作った後に補助は受けられるか(申請の順番とお金が入る時期)
ホームページを作った後に申請しても補助金は受けられません。持続化補助金の公募要領は交付決定の前に発注・契約・購入・支払い(前払いを含む)をした経費を補助対象外としています。中央区は「ホームページの作成または改修前に」申請するよう求め、西宮市は交付決定前に着手した場合は対象にならないとしています。
大垣市は委託契約後の交付申請を対象外にしています。四国中央市は申請の時点で費用の支払いが済んでいるものを対象外にしています。いずれも先に見積もりを取り、申請して決定を待ってから契約する順番です。
大まかな順番は次のとおりです。制度ごとの細かい手順と書類は各制度の記事で確かめてください。
- 制作会社から複数の見積もりを取る(この段階では契約しない)
- 対象の制度の要綱で、費用の区分と条件を照らす
- 着手の前に交付申請を出す
- 交付の決定を受けてから、制作会社と契約して作る
- 期限までにホームページを公開し、支払いを済ませて実績報告を出す
- 審査のあと、補助金が振り込まれる
補助金は後払いです。持続化補助金の公募要領は補助事業の遂行には自己負担が必要で、補助金は後払いだと明記しています。四国中央市は請求の後、およそ2〜3週間で口座に振り込むと案内しています。制作費はいったん全額を自分で払う前提で、資金の予定を立てます。
自分の地域の制度の探し方(東京・大阪・愛知・札幌・福岡)
ホームページの補助金は東京都・大阪府・愛知県・福岡県・札幌市のどこでも制度の有無や額が違います。この記事の下の全国一覧で都道府県ごとに募集中の制度を並べているので、先に自分の県を探します。一覧に無い市区町村は市区町村の公式サイトで「ホームページ 補助」と検索します。担当は産業振興や商工の部署であることが多く、名前は自治体ごとに違います。
商工会議所や商工会が事務局になっている制度もあります。西宮市の制度は西宮商工会議所が補助金の事務局です。編集部が公式ページで確かめたのは上の表の制度までです。大阪府・愛知県・福岡県・札幌市の制度はこの記事の一覧に出るものを除いて確かめられていません。
見積もり・契約の前に制作会社へ確認すること
補助金を使ってホームページを作るときは契約より前に次のことを制作会社へ確かめます。条件を確かめてから契約する順番にすると、契約後に対象外とわかる失敗を防げます。
- 見積書の項目が制度の対象経費の区分(制作・ドメイン・サーバー・保守など)に分けて書かれているか
- 契約の日や着手の日が交付決定より後になるスケジュールか
- 制作会社の主な業務がホームページ制作か、仲介業者を通さず直接委託できるか(中央区と葛飾区は条件にしている)
- 制作会社が自社の親族や関連会社にあたらないか(持続化補助金は親族や関連会社への発注を対象外としている)
- 補助金が振り込まれるまで、制作費の支払いをどう組むか
- 納品の形と、公開の日が補助事業の期間に収まるか
業者に申請を任せる場合でも申請者本人が内容を確認して書くのが原則です。持続化補助金の公募要領は事業者が自ら検討していない記載が見られると不採択や交付決定の取消になると注意しています。第三者から支援を受けたときはその相手と金額を申請書の確認事項に書く必要もあります。
ホームページの代表的な補助金の金額
国の制度と、上限の大きい都道府県・市区町村の制度を上限額で比べた表です(制度名を押すと下の全国一覧のその制度へ移ります)。
