伊丹市の企業立地支援制度は、投資が終わってから効いてくる制度です。操業を始めたあとに納めた固定資産税と都市計画税の1/2が、奨励金として戻ります。上限は、支援期間を通して1億円です。
いちばん外れやすいのは順番です。家屋は、企業立地計画の認定申請日以後に取得したものだけが対象になります。建物を先に買うと、その分は税の支援から外れます。
企業立地支援制度の要点まとめ
正式名:伊丹市企業立地支援制度
だれが
- 申請者
- 立地や設備投資をする事業者(貸工場の建設者・用地の売り手も)
- 対象業種
- 製造業・情報通信業・学術研究開発機関
- 利用目的
- 事業所の新設・増設・移設・建替え、賃借、設備購入
- 対象地域
- 兵庫県伊丹市(製造業は工業地域・準工業地域のみ)
- 従業員数
- 規定なし(規模別に投資額の下限あり)
いくら
- 補助上限額
- 上限1億円
- 補助率
- 固定資産税・都市計画税の1/2相当額
いつ・どこへ
- 申請受付
- 募集期間の記載なし(操業開始日の60日前までに認定申請)
- 事業の完了
- 認定日から1〜3年以内に操業を開始
- 公式サイト
- 伊丹市「伊丹市企業立地支援制度」
自分は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 倉庫や駐車場だけを置く
- ✕ 工業地域・準工業地域以外の製造業
- ✕ 投資額が下限に届かない
工業地域と準工業地域は、都市計画で決められた土地の使い道の区分です。情報通信業と研究機関は、市内全域が対象です。製造業かどうかは、日本標準産業分類で決まります。
投資額は、立地のために新しく取得した土地、家屋、償却資産(機械設備など)の合計で見ます。下限は会社の規模と投資の形で変わります。
| 規模 | 新設・増設・移設・建替え・設備のみ | 貸工場の賃借 |
|---|---|---|
| 大企業(みなし大企業を含む) | 5億円以上 | 1億円以上 |
| 中小企業 | 5千万円以上 | 3千万円以上 |
| 小規模企業 | 3千万円以上 | 3千万円以上 |
賃借の投資額は、新しく取得した償却資産の額で見ます。
中小企業は、中小企業基本法で決まる会社です。製造業などは資本金3億円以下か従業員300人以下、サービス業は資本金5千万円以下か従業員100人以下が目安です。小規模企業は、従業員20人以下の中小企業です。
みなし大企業は、中小企業でも大企業の持ち株が一定以上ある会社です。同じ大企業が発行済み株式の1/2以上を持つ場合などが当たります。小売業や卸売業の基準は、パンフレットに書かれていません。
いくら戻ってくる?
支援は、投資の形によって種類が分かれます。
| 種類 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 企業立地奨励金 | 固定資産税・都市計画税の1/2相当額(上限1億円) | 3年間か5年間 |
| 雇用奨励金 | 市民を新規雇用して1人20万円(女性は30万円)。上限1,000万円 | 1回限り |
| 転入奨励金 | 市内へ転入した従業員1世帯につき10万円。上限1,000万円 | 1回限り |
| 埋蔵文化財試掘調査補助金 | 試掘調査の経費の1/2相当額。上限50万円 | 1回限り |
| 貸工場等賃料補助金 | 月額賃料の1/2相当額。月額上限10万円 | 36か月か60か月 |
賃借の場合、企業立地奨励金の対象は償却資産の税だけです。賃料補助は貸工場の賃借に限ります。特定成長分野(情報通信関連、新材料、航空機・自動車、環境・エネルギー、生活・福祉の研究開発や製造)なら、期間は5年間と60か月に延びます。
計算の例です。税額の数字は、説明のための仮の金額です。
- 工場の土地、家屋、設備の税が年400万円:400万円 × 1/2 = 年200万円(3年で600万円)
- 特定成長分野で同じ税額:200万円 × 5年 = 1,000万円
- 市民を5人雇う(うち女性2人。女性が4割未満の事業者):20万円 × 3人 + 30万円 × 2人 = 120万円
- 従業員3世帯が市外から転入:10万円 × 3世帯 = 30万円
- 月額賃料30万円の貸工場を借りる:30万円 × 1/2 = 15万円 → 上限の月10万円
- 月額賃料16万円の貸工場を借りる:16万円 × 1/2 = 8万円
賃料30万円の例では、36か月で合計360万円です。
女性の30万円は、全常用従業員に占める女性の割合が4割未満の事業者に限られます。割合が4割以上なら、女性も20万円です。
投資は何が対象か
対象にならないものを先に確認します。
- 倉庫、資材置場、駐車場などの附帯設備だけの設置
- 認定申請日より前に取得した家屋
- 認定申請日の3年より前に取得した土地
- 事業の拡充が目的ではない投資
対象になる立地の形は、次の6つです。
- 事業所の新設:市内の別の場所に新しい工場や研究所を建てる
- 事業所の増設:敷地内や隣地を取得して増築する
- 事業所の移設:手狭になった事業所を売って、市内の別の場所へ移る
- 事業所の建替え:古くなった事業所を同じ敷地で建て替える
- 貸工場等の賃借:貸工場を借りて新しく事業所を設ける
- 設備の購入:ラインの増設、機械の更新、照明や空調の省エネ入れ替え
市外の事業者が、伊丹市に新しく事業所を建てる場合も対象です。取得の時期は、土地が認定申請日の3年前以後、家屋が申請日以後です。償却資産は、申請日から操業開始日の1年後までです。
申請の流れ
- 投資の計画を固めて相談する(事業者→商工労働課。用地や設備の契約より前に)
- 企業立地計画の認定を申請する(事業者→伊丹市。操業開始日の60日前まで)
- 審査会で説明する(事業者→企業立地計画審査会。会社概要と計画の詳細)
- 認定を受けて工事に入り、操業を始める(事業者。着工と開始のときに届出)
- 納税通知を受けたら奨励金を申請する(事業者→伊丹市。毎年度、翌年の3月末まで)
- 同じ年度内に請求する(事業者→伊丹市。振込は原則、1年分が年度末かその翌月)
設備のみを買う場合の認定申請は、設備を取得する日の60日前までです。操業の開始期限は、投資の形で変わります。次は、事業所を新設・増設・移設・建替えする場合です。
- 認定後に土地を買うか借りて着工する:認定日から3年以内
- 先に土地を持っていて、認定後に着工する:認定日から2年以内
- 上のどちらでもない:認定日から1年以内
貸工場の賃借では、貸工場の建設工事が認定申請日以後に始まるなら認定日から2年以内、それ以外は1年以内です。設備のみを買う場合は、認定日から1年以内に最初の設備を取得します。
雇用奨励金と転入奨励金は、操業開始日から1年後の日が属する年度内に申請します。
必要な書類
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国税の納税証明書は、様式その3の3です。個人の場合は、定款の代わりに規約など、登記事項証明書の代わりに3か月以内の住民票の写しを出します。貸工場を借りるときは、賃貸借契約書の写しも要ります。
奨励金の申請では、納税通知書の写しなども加わります。
奨励金がもらえなくなるのはどんなとき?
- 認定より先に家屋を取得した:家屋は認定申請日以後の取得が条件です。先に取得した分は税の支援から外れます。
- 操業開始の期限を過ぎた:期限は認定日から1年、2年、3年のいずれかです。正当な理由がないと、認定が取り消されることがあります。
- 事業をやめた、長く休んだ:廃止や、正当な理由のない長期の休止は、取消しの理由に入ります。条例は、10年以上操業を続けるよう努めることを求めています。
- 要件を満たさなくなった:滞納の発生や、偽りの申請なども取消しの理由です。取り消されると、すでに交付された分の返還を命じられることがあります。
- 税の特例と重なった:その企業立地で、伊丹市地方活力向上地域の固定資産税の特例を使っていると、奨励措置は適用されません。
- 予算がなくなった:市は予算の範囲内で奨励措置を実施すると条例で定めています。
よくある質問
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。個人の場合は、定款の代わりに事業概要が分かる規約など、登記事項証明書の代わりに3か月以内の住民票の写しを出します。業種が製造業、情報通信業、学術研究開発機関のいずれかで、投資額が小規模企業の下限(3千万円)以上であることが条件です。
製造業なら市内のどこでも対象ですか?
対象になりません。製造業は、工業地域か準工業地域に立地する場合に限られます。情報通信業と学術研究開発機関は、市内全域が対象です。土地を決める前に、候補地がどの地域に当たるかを商工労働課で確かめてください。用地の契約のあとでは、やり直しがききません。
伊丹市外の会社でも使えますか?
使えます。パンフレットでは、事業所の新設などを行う市内と市外の事業者が対象です。市外から移る場合は、転入奨励金の対象にもなります。ただし設備のみを買う場合の対象は、市内の事業者に限られます。市外の会社が事業所を新設するときは、同じ認定申請が必要です。
自社ビルを新設する場合と貸工場を借りる場合で、支援は違いますか?
違います。新設では、土地、家屋、償却資産の税の1/2が戻ります。賃借では、企業立地奨励金の対象が償却資産の税だけになり、代わりに月額賃料の1/2(月10万円まで)の補助が付きます。賃料の補助は、貸工場の新設者が建てた物件で、親子会社の関係がないことが条件です。
投資額の下限は、誰がどう数えますか?
土地、家屋、償却資産のうち、立地のために新しく取得した分の合計です。中小企業は5千万円以上、小規模企業は3千万円以上です。賃借は、新しく取得した償却資産の額で数えます。取得の時期の条件があるため、契約書や見積書の日付も合わせて管理してください。
雇用奨励金の対象になる従業員は誰ですか?
伊丹市民を新しく雇い、雇用保険の被保険者で、期間の定めのない契約の常用従業員です。認定申請から操業開始までに雇った人が対象で、操業開始から1年以上続けて雇われていることが求められます。役員は、割合の計算から除かれます。採用の時期を計画に合わせてください。
転入奨励金はどんな条件ですか?
市外から市内へ転入した常用従業員1世帯につき、10万円です。認定申請から操業開始までに転入し、操業開始から1年以上雇用され、1年以上伊丹市に住み続けた人が対象です。上限は1,000万円です。住民票の写しなどで、前の住所と現住所を示します。雇用の継続は、賃金台帳の写しなどで確かめられます。
申請はいつまでにすればよいですか?
募集期間の定めは、公式ページにありません。パンフレットでは、操業開始日の60日前までに認定を申請するとされています。設備のみを買う場合は、設備の取得日の60日前です。審査会の説明もあるため、実際は余裕をもって動いてください。日程は商工労働課で確かめられます。
奨励金はいつ振り込まれますか?
操業開始後、納税通知を受けた日から翌年の3月末までに申請します。請求は同じ年度内で、原則として1年分が年度末かその翌月に振り込まれます。操業した初年度の税は、すぐには戻りません。資金計画では、納税が先、奨励金があとの順になると見込んでください。
認定を受けたあとで計画が変わったらどうなりますか?
変更申請書を出します。軽微な変更は申請が要りません。支援の要件が変わる変更は、申請が必要です。たとえば投資額が下限を下回る変更は、要件を満たさなくなるため、認定が取り消されるおそれがあります。変更が出そうなときは、早めに商工労働課へ伝えてください。
合併や相続で事業を引き継いだ場合は?
承継の承認を受ければ、権利と義務を引き継げます。合併、分割、相続、譲渡などが対象で、承継承認申請書を出します。事業が続いていることが条件です。承継の承認を受けずに引き継ぐと、支援が止まるおそれがあります。貸工場の新設者や、用地を売った人が引き継ぐ場合にも、同じ手続きがあります。
用地を売る側にも支援はありますか?
あります。事業用地提供奨励金です。特定事業者に事業用地として土地を売った人が対象で、土地の固定資産税と都市計画税の相当額が1年間出ます。上限は2,000万円です。不動産の売買を業とする人は対象外で、買う会社との親子関係がないことも条件です。
問い合わせ先はどこですか?
都市活力部産業振興室の商工労働課です。電話は072-784-8047です。窓口と電話の受付は、平日の午前9時から午後5時までです。用地の選定や設備の発注の前に相談すると、順番の失敗を防げます。パンフレットの版が古い可能性があるため、最新の様式もここで確認できます。
パンフレットの内容は今も有効ですか?
公式ページに載るパンフレットは、令和2年度改訂版です。支援メニューの金額と期間は、公式ページの表と同じでした。ただし、投資額の下限や手続きの細部は、ページの表に載っていません。申請の前に、商工労働課で現行の内容かどうかを確かめてください。古い数字で資金計画を立てると、見込みが外れます。
