事業再構築補助金は、2025年3月26日締切の第13回公募をもって新規の応募申請受付を終了しました。今から申請することはできません。ただし後継の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は現在も公募中です。この記事では、何に使えていくらもらえた制度だったのかと、後継制度への行き方をまとめます。
事業再構築補助金は今も申請できる?【結論:新規受付は終了】
事業再構築補助金の公式サイトには「事業再構築補助金の新規の応募申請受付は第13回公募で終了となります」と明記されています。第13回公募は2025年1月10日に公募開始、応募締切は2025年3月26日(水)18:00、補助金交付候補者の採択発表は2025年6月下旬〜7月上旬頃の予定で実施されました。第14回以降の新規公募は行われていません。
すでに採択されている事業者向けの「交付申請」「補助事業実施」「実績報告」「事業化状況報告」といった手続きページは現在も公式サイト上で稼働していますが、これから新規に応募することはできない制度という点をまず押さえておきましょう。
今から使える後継制度があります。 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は何に使える?名称統合後の上限・対象・締切
そもそも事業再構築補助金は何に使える補助金だった?
既存の事業とは異なる新しい市場・新しい事業への「思い切った事業再構築」に使える制度でした。対象となる「事業再構築」は、次の6類型のいずれかに該当する取り組みです。
- 新市場進出(新分野展開・業態転換): 新たな製品・サービスで新たな市場に進出する
- 事業転換: 主な「事業」を転換する
- 業種転換: 主な「業種」を転換する
- 事業再編: 事業再編を通じて新市場進出・事業転換・業種転換のいずれかを行う
- 国内回帰: 海外生産していた製品を、先進的な製造方法で国内生産に切り替える
- 地域サプライチェーン維持・強靱化: 地域に不可欠な製品の供給拠点を国内に整備する
第13回公募では、3つの枠が用意されていました。
- 成長分野進出枠(通常類型): 成長分野への大胆な事業再構築、または国内市場の縮小など構造的な課題に直面している業種・業態の事業再構築を支援する、もっとも標準的な枠でした
- 成長分野進出枠(GX進出類型): グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決につながる事業再構築を支援する枠でした
- コロナ回復加速化枠(最低賃金類型): コロナ禍が終息した後も最低賃金引き上げの影響を大きく受ける事業者を支援する枠でした
対象経費は、建物費(建設・改修等)、機械装置・システム構築費、クラウドサービス利用費、技術導入費、外注費・専門家経費、広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費(成長分野進出枠・通常類型のみ)でした。一方、従業員の人件費・旅費、パソコンやスマートフォンなどの汎用品購入費、フランチャイズ加盟料、消耗品費・光熱水費・通信費などは対象外でした。
いくらもらえた?枠・従業員規模別の上限額(第13回公募基準)
過去の制度でどのくらいの規模の投資が支援されていたのかを知っておくと、後継制度で自社がどのくらいの支援を受けられそうかの目安にもなります。第13回公募の上限額・補助率は次のとおりでした(カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合の上乗せ後の額)。
| 枠 | 従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 成長分野進出枠(通常類型) | 20人以下 | 1,500万円(2,000万円) | 中小1/2(2/3)・中堅1/3(1/2) |
| 成長分野進出枠(通常類型) | 21〜50人 | 3,000万円(4,000万円) | 同上 |
| 成長分野進出枠(通常類型) | 51〜100人 | 4,000万円(5,000万円) | 同上 |
| 成長分野進出枠(通常類型) | 101人以上 | 6,000万円(7,000万円) | 同上 |
| 成長分野進出枠(GX進出類型・中小) | 20人以下 | 3,000万円(4,000万円) | 中小1/2(2/3)・中堅1/3(1/2) |
| 成長分野進出枠(GX進出類型・中小) | 21〜50人 | 5,000万円(6,000万円) | 同上 |
| 成長分野進出枠(GX進出類型・中小) | 51〜100人 | 7,000万円(8,000万円) | 同上 |
| 成長分野進出枠(GX進出類型・中小) | 101人以上 | 8,000万円(1億円) | 同上 |
| 成長分野進出枠(GX進出類型・中堅) | ― | 1億円(1.5億円) | 同上 |
| コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 5人以下 | 500万円 | 中小3/4(要件未達時2/3)・中堅2/3(1/2) |
| コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 6〜20人 | 1,000万円 | 同上 |
| コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 21人以上 | 1,500万円 | 同上 |
※市場縮小要件を満たす場合、廃業を伴う成長分野進出枠(通常類型)は廃業費を最大2,000万円上乗せできました。
業種別・活用イメージ(第13回公募基準のシミュレーション)
実際にどんな投資規模で、いくらの補助になっていたのか。3つの異なる業種を例に見てみましょう。
① 印刷業(従業員21〜50人・成長分野進出枠/通常類型、基本上限3,000万円) チラシ・冊子中心の印刷から、需要拡大が見込める医療・食品向け特殊包装印刷という新市場へ進出したく、専用印刷機・検査装置一式を導入。見積もりは6,000万円。 → 6,000万円 × 1/2 = 3,000万円の補助(基本上限に到達)。自己負担3,000万円で、新市場向けの生産ラインを立ち上げられる計算でした。短期大規模賃上げの要件を満たせば上限は4,000万円に広がり、追加の検査装置(2,000万円)まで組み合わせて合計8,000万円 × 1/2 = 4,000万円(新しい上限に到達)とすることもできました。
② 旅館業(従業員6〜20人・コロナ回復加速化枠/最低賃金類型、上限1,000万円) 素泊まり中心で稼働率が低迷していた旅館が、ワーケーション需要向けに個室ワークスペース付き客室へ改装する事業転換を計画。改装費の見積もりは1,400万円。 → 1,400万円 × 3/4 = 1,050万円と計算されますが、上限の1,000万円が支給額(上限に到達)。自己負担400万円で、新しい客室タイプへの改装に着手できる計算でした。
③ 自動車部品製造業(従業員51〜100人・成長分野進出枠/GX進出類型、基本上限7,000万円) ガソリン車向け部品加工の設備を、グリーン成長戦略14分野に該当するEV部品・再生可能エネルギー関連部品の生産へ転用する新分野展開を計画。設備投資の見積もりは1億4,000万円。 → 1億4,000万円 × 1/2 = 7,000万円の補助(基本上限に到達)。自己負担7,000万円で、EV関連部品への生産転換を進められる計算でした。短期大規模賃上げの要件を満たせば上限は8,000万円に広がり、追加の検査工程設備(2,000万円)まで組み合わせて合計1億6,000万円 × 1/2 = 8,000万円(新しい上限に到達)とすることもできました。
このように、業種が違っても「投資額の半分〜3分の2程度」という補助の考え方は共通でした。この考え方は、後継の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金にも引き継がれています。
事業計画の策定から交付までの流れ(参考:申請時のタイミング軸)
新規申請はできなくなりましたが、「何をいつまでに準備する必要があったか」を知っておくと、後継制度に申請する際の段取りイメージにも役立ちます。第13回公募では、次のようなタイミングで動く必要がありました。
| タイミング | やること | 必要になるもの |
|---|---|---|
| 投資を決めたらすぐ | GビズIDプライムアカウントを取得する | マイナンバーカード(即日取得可)または郵送申請(審査に時間がかかる場合あり) |
| 申請準備中(隠れ期限) | 事業計画を金融機関等または認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受ける(必須要件) | 事業計画書、決算書等 |
| 〜2025年3月26日(水)18:00 | 電子申請システム(jGrants)で応募 | 事業計画書、必要な添付書類一式 |
| 2025年6月下旬〜7月上旬頃 | 補助金交付候補者の採択発表 → 交付決定 | ― |
| 交付決定日〜(12か月または14か月以内) | 補助事業実施(設備の発注・契約・支払い) | 契約書・見積書・請求書・領収書等 |
| 事業終了後 | 実績報告 → 確定検査 → 精算払 | 実績報告書、支払いを証明する証憑 |
| 事業終了後5年間 | 事業化状況報告(毎年) | 経営状況・事業化状況の報告書 |
特に注意が必要だったのが、「事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること」が全枠共通の必須要件だった点です。自己資金のみで事業を実施する場合は認定経営革新等支援機関の確認で足りましたが、金融機関から資金提供を受ける場合はその金融機関による確認が必要でした。事業計画は策定に一定の時間がかかるため、締切間際ではなく早い段階から動く必要がありました。また、第13回公募では「事前着手届出制度」が廃止され、交付決定日より前に発注・契約した経費はいかなる理由でも全額対象外という運用でした。この「交付決定前の発注はNG」という考え方は、後継制度でも共通する重要な注意点です。
事業再構築補助金で実際に何が変わったか(制度の変遷)
事業再構築補助金は、コロナ禍の経済対策として2021年度に創設された制度です。当初は「ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための事業再構築」を支援する枠組みでしたが、公募回を重ねるごとに枠組みが見直されてきました。
- 初期(第1回〜): 緊急事態宣言特別枠・卒業枠など、コロナ禍対応の色が強い枠構成でした
- 中期: 成長枠・グリーン成長枠など、コロナからの回復だけでなく成長分野への投資を後押しする枠が追加されました
- 最終(第13回): 成長分野進出枠(通常類型・GX進出類型)とコロナ回復加速化枠(最低賃金類型)の3枠に整理されました
公募回によって枠の名称・上限額・補助率が異なるため、古い情報をそのまま使うと現実と食い違います。 この記事で紹介しているのは、最終回である第13回公募の内容です。過去の公募回の情報を見つけた場合は、公募回を確認したうえで参考にしてください。
「うちの業種でも対象外だった?」補助対象外事業の考え方
次のような事業は、業種を問わず補助対象外とされていました。
- 事業再構築の実施の大半を他社に外注・委託し、企画だけを行う事業
- グループ会社や事業承継前の各事業者がすでに実施している、容易に実施可能な事業
- 不動産賃貸・駐車場経営・暗号資産マイニングなど、実質的な労働を伴わない事業
- 会員の募集・入会が公に行われていない会員制ビジネス
- 農業を行う事業者が単に別の作物を作る、飲食店が新しく漁業を始めるなど、新たに取り組む事業が1次産業(農業・林業・漁業)である事業
- 主として従業員の解雇を通じて付加価値額要件を達成させるような事業
- 他の国の制度(補助金・委託費等)や、ものづくり・商業・サービス補助金、小規模事業者持続化補助金等と同一の補助対象を含む事業
事業再構築補助金の後継は?今使える「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」
事業再構築補助金の枠組みを引き継ぐ形で創設された「中小企業新事業進出補助金」は、2026年度に「ものづくり・商業・サービス補助金」と統合され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」という制度になりました。現在申請できるのはこの統合後の制度です。
| 比較項目 | 事業再構築補助金(第13回・終了) | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(現行・公募中) |
|---|---|---|
| 申請の可否 | 不可(新規受付終了) | 可能(公募中) |
| 主な支援対象 | 新市場進出・事業転換・業種転換など「事業再構築」 | 新製品・新サービス開発、新事業進出、海外展開など |
| 補助上限額 | 最大1億円(GX進出類型・中堅企業、賃上げ特例時) | 最大9,000万円(枠・従業員規模・賃上げ特例で変動) |
| 補助率 | 1/2〜3/4(枠・要件で変動) | 1/2〜2/3(枠・要件で変動) |
| 事業計画の確認 | 金融機関等または認定経営革新等支援機関による確認が必須 | 認定経営革新等支援機関の確認は推奨(必須ではない) |
「新しい事業に挑戦したい」「今の設備では新しい需要に対応できない」という思いは同じでも、制度の名前と細かい要件は変わっています。詳しい枠の内容・上限額・締切・対象経費は、新事業進出補助金とは?もう申請できない旧制度と後継の違い、または後継制度の個別記事でまとめて解説しています。
事業再構築補助金の後継制度について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
事業計画の立て方や、審査でどこを見られるかといった考え方は、事業再構築補助金の時代から大きくは変わっていません。過去に事業再構築補助金の申請を検討していた事業者ほど、後継制度への申請では有利に進めやすいともいえます。何から準備すればよいか迷う場合は、専門家に相談することもできます。
事業再構築補助金を検討していた方が、次に確認すべきこと
事業再構築補助金の申請を検討していた、あるいは準備を進めていた事業者にとって、いま確認すべきことは3点です。
- 後継制度の対象要件を確認する: 新事業進出枠は「創業1年未満の事業者は対象外」など、事業再構築補助金には無かった要件が加わっています。自社が対象になるか、改めて確認する必要があります
- 事業計画を作り直す: 制度の名称・枠組みが変わっているため、事業再構築補助金向けに準備していた計画書をそのまま使い回すことはできません。ただし、既存事業の強み・新市場の分析といった中身の多くは引き継げます
- 認定経営革新等支援機関への相談を早めに再開する: 事業再構築補助金では金融機関等または認定経営革新等支援機関の確認が必須要件でした。新事業進出枠では必須ではありませんが、審査を意識するなら相談しておく価値があります
事業再構築補助金の準備で積み上げてきた市場分析・投資計画は無駄になりません。 名称と細部の要件は変わっても、「既存事業の強みを活かして新しい市場に挑む」という骨子は共通しているためです。
よくある質問
事業再構築補助金はいつまで申請できましたか?
第13回公募が最後の募集で、応募締切は2025年3月26日(水)18:00でした。それ以降、新規の応募申請受付は行われていません。
事業再構築補助金の後継制度は何ですか?
「中小企業新事業進出補助金」として引き継がれた後、2026年度に「ものづくり・商業・サービス補助金」と統合され、現在は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」という制度になっています。
過去に事業再構築補助金で採択された場合、今後の手続きはどうなりますか?
すでに採択・交付決定を受けている事業者は、実績報告や事業終了後5年間の事業化状況報告など、既存の手続きを継続する必要があります。手続きの詳細は事業再構築補助金の公式サイトで確認できます。
事業再構築補助金が使えたはずの投資は、後継制度でも使えますか?
内容によります。「既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出」という考え方は新事業進出枠に引き継がれていますが、対象経費の細部・従業員規模ごとの上限額は変わっています。事業再構築補助金向けに準備していた投資計画を、後継制度の公募要領に照らして見直す必要があります。
事業再構築補助金の実績報告・事業化状況報告はどこで手続きしますか?
すでに採択済みの事業者は、事業再構築補助金の公式サイト内にある専用のマイページ・電子申請システムから手続きします。新規受付は終了していますが、既存の採択者向けの手続きページは引き続き稼働しています。手続き方法が分からない場合は、事業再構築補助金の事務局に直接問い合わせるのが確実です。
「事業再構築補助金」で検索して出てくる古い情報は信用できますか?
公募回によって上限額・補助率・枠構成が異なるため、記事や資料に「第何回」の情報かが明記されていない場合は注意が必要です。この記事で紹介しているのは最終回(第13回)の内容です。古い公募回の情報をそのまま参考にすると、実際とは異なる数字で計画を立ててしまうおそれがあります。
事業再構築補助金の申請支援を受けていたコンサルタントは、今後も相談できますか?
はい。すでに採択された事業者の実績報告や事業化状況報告の相談は、引き続き対応してもらえます。新規に後継制度を申請する場合も、事業計画の立て方といったノウハウは共通する部分が多いため、同じ支援者に相談を続けることは可能です。
事業再構築補助金と似た名前の制度が他にもありますか?
はい。「事業再構築」という言葉を含む制度は、国の事業再構築補助金のほかにも、都道府県・市区町村が独自に実施しているものがあります。名称が似ていても対象・上限額・審査基準はまったく別の制度なので、混同しないよう、実施主体(国か自治体か)を必ず確認してください。
事業再構築補助金の採択率はどのくらいでしたか?
公募回ごとに異なり、事業再構築補助金の公式サイトで各回の採択結果が公表されていました。正確な数値は公式サイトの採択結果ページで確認できます。後継制度でも、事業計画の完成度が採択の可否を左右する点は変わりません。
※本記事で紹介した第13回公募の内容は、当時の公募要領に基づく情報です。後継制度の内容は改定される場合があるため、申請を検討する際は必ず最新の公募要領で確認してください。
