重要鉱物の調達先を切り替えるとき、いちばん費用がかさむのは、切り替えた先の鉱物を使った部品が本当に使えるかを確かめる「性能評価」です。その評価費用の3分の1を国が出す制度が、この補助金でした。
令和8年度の公募は2026年5月15日から6月19日までで、終了しています。対象は日本の法令に基づいて設立された法人で、複数の会社でつくるグループでの申請が基本でした。補助対象経費の総額が300万円以下の事業は対象外で、交付決定より前に発注した経費は原則として補助されません。次の公募があるかどうかは、公式ページには書かれていません。
重要鉱物サプライチェーン強靱化事業の要点まとめ
正式名:令和8年度 情報処理・サービス・製造産業事業費補助金(重要鉱物に係るサプライチェーン強靱化事業)
だれが
- 申請者
- 事業者(日本の法令に基づき設立された法人)
- 対象業種
- 業種の指定なし(対象の部品を扱う法人)
- 利用目的
- 調達先切替に向けた性能評価(研究開発・実証)
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 公式ページに記載なし
いくら
- 補助上限額
- 上限なし(対象経費の総額が300万円以下は対象外)
- 補助率
- 対象経費(税抜)の3分の1
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年5月15日〜2026年6月19日(終了)
- 事業の完了
- 性能評価の完了日から90日以内か2027年1月31日の早い日
うちの取組は対象になる?
当時の公募要領では、次の項目にすべて当てはまることが必要でした。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 8
調達先の切替は、重要鉱物を、供給の安定につながる別の調達先へ替えることを指します。性能評価は、替えた先の鉱物を使った部品や機器が使えるかを試して確かめる作業です。GビズIDプライムは国の電子申請に共通で使うIDで、発行に一定期間がかかります。
成果の報告は、事業の結果を定性的・定量的に示すもので、公募要領ではEBPMと呼んでいます。申請の時点で成果目標を書き、終了時にその達成度を報告します。
次のどれかに当たると対象外でした。
- ✕ 今の調達先がすでに国内
- ✕ 既存事業にない部品の評価
- ✕ 評価でなく通常の仕入れ
- ✕ 経費を申請者が払っていない
調達先を変えず、使う量を減らすだけの取組も対象外です(レアアースを使わない部品への切替は対象)。申請者は、経費を負担し評価のリスクを負う法人に限られます。実態のない申請者が採択されたと分かった場合、交付決定の取消しに加えて、補助金適正化法による罰則の対象になることがあると公募要領は書いています。
どの部品の評価が補助されるの?
分野と部品が一覧で決まっています。切替の対象になる重要鉱物も、部品ごとに指定されています。
| 分野 | 部品の例 | 含まれる重要鉱物 |
|---|---|---|
| 自動車部品類 | 駆動用モーター | ジスプロシウム、テルビウム、サマリウム等 |
| 自動車部品類 | 排ガス触媒(車両用) | ジルコニウム、イットリウム等 |
| 自動車部品類 | 車載駆動用電池 | 黒鉛、リチウム等 |
| 産業機械類 | 超硬工具 | タングステン |
| 産業機械類 | 人工ダイヤモンド工具 | 黒鉛等 |
| その他 | 系統用電池 | 黒鉛、リチウム等 |
ほかに、クランク角センサー、スピードセンサー、電動パワーステアリングなどの自動車部品、サーボモーター、ステッピングモーターも一覧に入っています。ステッピングモーターは、工作機械や産業用ロボットなどに専ら使われるものに限られます。
いくら補助される?
補助率は、補助対象経費(税抜)の3分の1です。1件あたりの上限額は設けられていません。事務局のFAQが「上限額は設定していません」と答えています。ただし募集回ごとに、採択する総額の上限が決められています。
- 対象経費が600万円:600万円 × 1/3 = 200万円
- 対象経費が450万円(サンプル品の購入200万円、試験の外注250万円など):450万円 × 1/3 = 150万円
- 対象経費が300万円:総額が300万円以下のため対象外
下限の300万円は、1申請ごと、1事業者ごとに設けられています。消費税は補助対象外です。免税事業者などの一部の事業者は、消費税分が対象になる場合があると公募要領にあります。
何に使える?
対象にならないものから確認します。
- 交付決定日より前の発注・購入・契約
- 既存の機器や社内設備に関わる費用
- 事業と兼任の社内人件費
- 会議費、飲食費、通信費、振込手数料
- 事務用パソコンなど汎用性のある備品
- 申請書類や報告書の作成費
- 価格の妥当性が分からない中古品
対象になるものは次のとおりです。
- 人件費(本事業の性能評価に当たる分)、旅費、通訳・翻訳費
- 委託・外注費、認証費、試験設備の利用費
- サンプル品の購入費と運搬費、消耗品費、金型費
- 機器のレンタル・リース費
- 試験設備の購入費(本事業のために買うもの)
どの費用も、補助を受ける事業のために申請者自身が支出したものに限られます。費目の名前でなく実態で判断されます。
申請の流れ
- GビズIDプライムを取る(事業者→国。発行に時間がかかる)
- 事業者登録をして申請する(事業者→事務局。電子申請で、公募期間内に)
- 採択の通知を受ける(事務局→事業者。基礎審査40点、加点審査60点の合計100点で採点)
- 交付申請を出して、交付決定を受ける(事業者→事務局。原則、採択発表から1か月以内)
- 性能評価を実施し、支払いを済ませる(事業者。発注は交付決定日以後)
- 実績報告を出す(事業者→事務局。期限は事業完了日まで)
- 確定検査を受けて、補助金を請求する(事務局→事業者。支払期限は2027年3月31日)
交付決定は、採択とは別の通知で、この日より前の発注・契約は対象外になります。やむを得ず先に発注した経費は、申請時に事前着手届出書を出して承認されると、2026年4月7日以降の発注分まで対象になります。申請時に出していない事前着手の費用は認められません。
必要な書類
準備できた 0 / 9
事前着手届出書は該当者のみ、申請合意書は共同申請のときだけ出します。履歴事項全部証明書は法人の登記内容を証明する書類で、発行から6か月以内のものに限ります。決算書は貸借対照表と損益計算書だけです。加点審査の根拠になる資料があれば、あわせて出します。
見積書は交付申請の段階で必要でした。単価50万円(税抜)以上の物件は、原則として3社以上から同じ条件で取ります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:事前着手届出を申請時に出していない経費は、補助対象になりません。
- 期限までに実績報告を出せない:交付申請や実績報告が期限までに出ていない場合、採択や交付決定が取り消されます。
- 精査で減額された:交付決定の前に事務局が経費を精査します。申請した額から減る、または全額が対象外になることがあります。
- 取得した設備を目的外に使った:本事業のために取得した財産を他の用途に使うと、残存簿価などに相当する額を国庫に納める必要があります。
- 同じ経費で他の補助金も受けた:公的な補助金・助成金の二重受給はできません。費目を切り分けます。
採択結果の理由の開示と、異議申し立ては受け付けないと公募要領に明記されています。不採択の理由を問い合わせる手段は想定されていません。
よくある質問
今から申請できますか?
できません。令和8年度の公募は2026年5月15日から6月19日までで、すでに終了しています。事務局サイトのお知らせには、採択が27件で確定したと載っています。次の公募があるかどうかは、公式ページに書かれていません。申請を考えている会社は、事務局サイト(cm-ssc.jp)のお知らせで確かめてください。
補助率と上限額はいくらですか?
補助率は、補助対象経費(税抜)の3分の1です。1件あたりの上限額はありません。事務局のFAQが「上限額は設定していません」と答えています。ただし募集回ごとに採択する総額の上限があり、点数が上位の申請から順に採択され、総額に達すると止まります。補助対象経費の総額が300万円以下の事業は対象外のため、実質的には、300万円を超える規模の評価が前提でした。
中小企業でも申請できましたか?
公募要領に、企業規模や従業員数の要件はありませんでした。申請者は日本の法令に基づいて設立された法人で、経費を負担し、評価のリスクを負う者です。ただし、補助対象経費が300万円を超える必要があり、複数の会社でつくるグループでの申請が基本でした。規模の大小より、評価する部品が対象一覧に入っているかが、先に分かれ目になります。
1社だけで申請できましたか?
原則として、できませんでした。公募要領は申請主体を、性能評価を実施する法人で形成されたグループ(コンソーシアム)としています。事務局のFAQも「原則、2社以上」と答え、例外的に単独申請が認められる場合は事前の相談を求めていました。グループで申請するときは、代表幹事を決めて申請合意書を交わし、申請者を1社にします。メーカーとサプライヤーが組む形が例です。海外法人はグループに入れません。
どんな部品が対象でしたか?
自動車部品類、産業機械類、その他の3分野で、部品が一覧で決まっていました。自動車部品類は駆動用モーター、排ガス触媒、車載駆動用電池など、産業機械類は超硬工具、人工ダイヤモンド工具、サーボモーターなど、その他は系統用電池です。部品ごとに切替の対象になる重要鉱物も指定されています。一覧にない部品の評価は対象外でした。
交付決定の前に発注してもよかったですか?
原則として対象外です。交付決定日以後に発注し、事業完了日までに支払った経費が補助対象でした。やむを得ない事情で先に発注したときは、申請時に事前着手届出書を出し、承認される必要がありました。承認された場合は、2026年4月7日以降に発注した経費が対象になります。申請時に出していない事前着手の費用は認められません。
事業はいつまでに終える必要がありましたか?
事業完了日は、性能評価の実施が終わった日から90日以内か、2027年1月31日の早い方に設定します。期間内に実績報告書を出せない場合は、補助金が支払われません。補助金の支払期限は2027年3月31日です。性能評価が期間内に終わらない見込みのときは、工程を分けて、期間内の経費の支払いを済ませる必要があります。
見積書は何社分いりましたか?
発注先を選ぶとき、価格の妥当性を示す見積書が必要でした。単価50万円(税抜)以上の物件は、原則として3社以上から、同じ条件で見積りを取ります。3社から取るのが難しい場合は、特定の1社に頼む理由を書いた理由書が要るため、事務局への相談が必要です。申請の準備段階で複数社の見積りを集めておくと、採択後に進めやすくなります。
審査はどう行われましたか?
事務局が事業計画書などを採点し、一定の基準を満たしたもののうち、点数が上位の案件から採択していました。基礎審査が40点(必須)、加点審査が60点で、合計100点です。加点では、切替をしない場合の供給リスクの大きさ、下流企業の必要性、地域未来牽引企業の選定や健康経営優良法人の認定なども見られました。点数の根拠になる資料は、確定検査でも確認されます。
事務局はどこですか?
補助金事務局は、アデコ株式会社が担っています。問い合わせ先は、事務局サイトに載っているメールアドレス(jimukyoku@cm-ssc.jp)です。経済産業省の公募ページ(製造産業局と商務情報政策局の担当課)は、補助事業の実施体制を決める公募のもので、事業者向けの受付期間とは別です。次の募集や様式の最新版は、事務局サイトで確かめるのが確実です。
取得した設備は自由に使えますか?
自由には使えません。本事業のために取得した財産は、原則として専ら本事業に使う必要があります。売却、転用、廃棄などの処分には制限があり、処分するときは、補助金の交付額を限度に、残存簿価相当額か時価(譲渡額)を国庫に納めます。汎用性があって目的外に使えるもの(事務用パソコンなど)の購入費は、そもそも対象外です。
子会社に評価を頼むとき、全額が対象ですか?
全額にならないことがあります。100%子会社などから調達する場合は、調達価格に含まれる利益を除いた額が補助対象経費です。取引価格が原価だと証明できれば、その価格が対象になります。証明できないときは、調達先の直近年度の売上総利益率で利益相当額を除きます。競争の結果で選んだ場合は、この除外は不要です。
