工場を建てて固定資産税が増えたら、その分が戻ってくるのか。加西市の産業振興促進奨励金は、まさにその税額に相当するお金を、5年間にわたって奨励金として交付する制度です。ただし新設は1億円以上、拡張は5千万円以上の投資(課税標準額)がなければ対象になりません。数百万円の設備更新では使えません。
産業振興促進奨励金の要点まとめ
正式名:加西市産業振興促進奨励金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 製造業、道路貨物運送業、宿泊業、大規模農業施設の農業者、小売業
- 利用目的
- 市内での事業所の新設・拡張(大規模な投資)
- 対象地域
- 兵庫県加西市
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(産業課へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- 固定資産税相当額(5年間)/水道料金相当額の1/2(10年間)
- 補助率
- 投資額にかかる固定資産税相当額/水道料金の1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 1月(事前相談が必要)
- 事業の完了
- 投資は操業年の12月末まで
- 公式サイト
- 加西市「令和8年度の補助金一覧」
課税標準額は、固定資産税を計算するときの土台になる評価額です。購入した金額そのものではありません。
自分の投資は対象になるか
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 卸売業(小売業のみが対象)
- ✕ 投資が基準額に届かない
- ✕ 指定の回数がすでに上限
基準額に届くかどうかは、「課税標準額」で見ます。土地、家屋、償却資産(機械や設備など)を合わせた額が、新設なら1億円以上、拡張なら5千万円以上です。市内の事業者が新しい事業所を建てる場合も「新設」で、1億円以上の側に入ると、市議会だよりに説明があります。
業種は、日本標準産業分類の区分で判断します。対象は、製造業の全業種、運輸・郵便業のうち道路貨物運送業、宿泊業、大規模農業施設を営む農業者、卸売業・小売業のうち小売業の全業種です。
「大規模農業施設」の大きさの基準は、公開されている案内資料からは分かりません。農業での申請を考えているときは、産業課に確かめてください。
いくら交付される?
交付されるのは、次の2つです。
| 内容 | 期間 |
|---|---|
| 特定した投資額にかかる固定資産税(土地・家屋・償却資産)相当額 | 5年間 |
| 水道料金相当額の1/2 | 10年間 |
「特定した投資額」は、操業年の12月末までの投資額(課税標準額)です。この投資にかかる税額が、奨励金の計算のもとになります。
目安として、課税標準額1億円の投資に、案内資料の税率表で「現行」とされている1.4%を掛けます。
- 1億円 × 1.4% = 140万円(年)
- 140万円 × 5年 = 700万円
これは評価額が毎年変わらない前提の目安で、実際の交付額は市の賦課額で決まります。水道料金の分は、使った料金の半分が10年間です。
一覧の注記には、応募が多い場合は選考や減額になることがある、と書かれています。満額が出る保証は、制度の側にありません。
指定の回数は、1事業所につき2回までです。市内に住所のある事業所が産業団地内に新設する場合は、新たな指定とみなされ、3回まで受けられます(2018年の条例改正議案による)。
何に使える?
この奨励金は経費を補助する制度ではなく、投資のあとに増える税と水道料金を軽くする形です。そのため「何に使うか」の制限はありません。代わりに、どの投資が基準額に数えられるかが論点になります。
数えられるもの
- 土地、家屋、償却資産のうち、固定資産税の課税標準になるもの
- 操業年の12月末までに行った投資
数えられないもの
- 操業年の翌年以降に行う投資
- 課税標準にならない費用(固定資産税の対象外のもの)
後者の細かい区分は、公開されている資料では確かめられませんでした。基準額ぎりぎりの計画のときは、事前相談で投資の内訳を見せて、数えられるかを確認してください。
申請の流れ
- 産業課へ事前相談に行く(事業者→加西市 産業課)
- 操業年の12月末までに投資を終える(事業者)
- 1月の応募期間に申請する(事業者→産業課)
申請の様式、添付書類、指定から交付までの手順は、市のホームページに載っていません。事前相談のときに、書類の一覧と日程を聞いておきます。
必要な書類
準備できた 0 / 1
もらえなくなるのはどんなとき?
- 基準額に届かなかった:新設1億円、拡張5千万円を下回ると対象外です。
- 12月末を過ぎた投資:基準額には、操業年の12月末までの投資額だけが数えられます。
- 対象外の業種だった:卸売業は、小売業と分けて対象外です。
- 応募が多かった:選考や減額になることがあると、一覧に書かれています。
- 指定の回数が上限に達した:1事業所2回まで(産業団地内の新設は3回)です。
似ている別の制度との違い
加西市の産業課は、同じ「企業立地」の名前で、別の制度も用意しています。取り違えると、必要な手続きが変わります。
| 制度 | 内容 | 基準 |
|---|---|---|
| 産業振興促進奨励金(この記事) | 固定資産税相当額の交付(5年)と水道料金の1/2(10年) | 新設1億円・拡張5千万円以上の投資 |
| 固定資産税の課税免除 | 土地・家屋・構築物の固定資産税の課税免除(3年度間) | 地域未来投資促進法の承認を受けた事業で、取得額の合計が1億円超 |
| 固定資産税の不均一課税 | 本社機能の整備に、軽くした税率を適用(3年度間) | 地方活力向上地域で本社機能を整備する事業者 |
| オフィス賃料補助 | 賃借料の1/4(月額750円/㎡、年100万円が限度)を3年間 | オフィスビル等に賃貸借で入居する事業者 |
奨励金と課税免除は、一緒に使えると案内資料に書かれています。免除は税そのものをかけない仕組み、奨励金は税額に相当するお金を市が交付する仕組みです。免除を受けた分まで奨励金で重ねて受け取れるのかは、案内資料から読み取れません。併用を考えているときは、順番も含めて産業課に確かめてください。
令和7年4月の制度拡充
企業立地の案内資料に、「令和7年4月に制度拡充しました」とあります。条例改正の議案には、次の2点が書かれています。
- 家屋を賃借する場合も、その家屋の固定資産税相当額を奨励金の算定に含める
- 水道料金の奨励金にあった、年間2,000立方メートルを超えた分だけという使用量の下限をなくす
この改正は、令和7年4月1日以降に指定を受けた事業所の分から適用されます。それより前に指定を受けた事業所は、従前の例のままです。令和7年3月以前に指定を受けたかどうかで、水道料金の計算が変わります。古い記事に書かれた2,000立方メートルの条件は、今から指定を受ける事業所には当てはまりません。
よくある質問
数百万円の設備投資でも使えますか?
使えません。対象になるのは、新設の事業所で投資額(課税標準額)が1億円以上、拡張の事業所で5千万円以上の場合です。基準額に届かない投資は対象外です。数百万円規模の設備更新は、同じ加西市の別の補助金(市の一覧に載っている中小事業者向けの制度など)を探すほうが現実的です。
卸売業でも申請できますか?
卸売業は申請できません。対象業種は、製造業の全業種、道路貨物運送業、宿泊業、大規模農業施設を営む農業者、小売業の全業種です。卸売業・小売業のうち、対象になるのは小売業だけと一覧に書かれています。業種は日本標準産業分類で判断されるので、分類が分からないときは産業課に聞いてください。
土地を買わずに、借りて工場を建てても対象ですか?
借りた土地や建物でも、算定に含まれる仕組みがあります。2018年の条例改正議案に、事業所用地を賃借または割賦購入する場合は、その土地の固定資産税相当額を奨励金の算定に含めるとあります。令和7年4月以降の指定分からは、家屋を賃借する場合も、その家屋の固定資産税相当額が含まれます。ただし条例の本文全体は公開資料で確かめられていないので、借りて建てる計画は産業課への事前相談で確認してください。
事前相談はいつまでに行えばよいですか?
相談の期限は示されていません。一覧には「1月(事前相談要)」とあり、申請の前に相談が必要です。投資の基準額は操業年の12月末までの投資で数えるため、工事の契約や発注の前に相談しておくと安心です。相談では、投資の内訳と業種、新設か拡張かを伝えると、基準額に届くかどうかを確かめやすくなります。連絡先は産業課の0790-42-8740です。
固定資産税の課税免除とは別の制度ですか?
別の制度です。課税免除は、地域未来投資促進法の承認を受けた事業で、取得額の合計が1億円を超える場合に、土地・家屋・構築物の固定資産税を3年度間免除します。奨励金は、投資額にかかる固定資産税相当額を5年間交付します。案内資料には「奨励金と課税免除の併用可能」と書かれています。
水道料金の奨励金はいくらですか?
水道料金相当額の1/2を、10年間交付します。かつては年間2,000立方メートルを超えた分だけが対象でしたが、条例改正で使用量の下限がなくなりました。この改正は、令和7年4月1日以降に指定を受けた事業所の分から適用されます。それより前に指定を受けた事業所は、従来のままです。
1つの事業所で何回まで受けられますか?
1事業所につき2回までです。案内資料に「指定の回数」として「要件によっては3回限り」とあります。2018年の条例改正議案を見ると、3回になるのは、市内に住所のある事業所が産業団地内に新設する場合です。この条件は、その後の改正で変わっている可能性があります。拡張を繰り返す計画があるときは、指定を受ける順番と回数を、事前相談で産業課に確かめておくと、投資の計画を立てやすくなります。
申請は毎年1月だけですか?
一覧の応募期間欄は「1月(事前相談要)」だけです。ほかの月の受付があるかどうかは示されていません。操業年の12月末までの投資が基準になるので、1月は投資の翌月にあたります。どの年の1月になるのかは、資料から判断できないため、産業課に確かめてください。
交付額は必ず満額ですか?
必ずとは言えません。補助金一覧の注記に、「応募多数の場合は、選考・減額等になることがあります」とあります。税額に相当する額を計算の基準とするものの、市の予算や応募の状況によって、減額になる場合があるということです。選考や減額の基準は公開されていません。
市外の会社が加西市に進出するときも使えますか?
使えます。市議会だよりに、市外からの進出事業所は、操業年の12月末までの投資額が1億円以上の場合が対象になると書かれています。市内の事業者が新しい事業所を建てる場合も同じ1億円以上、市内の事業所を拡張する場合は5千万円以上です。進出の場合も、事前相談が必要です。
問い合わせ先はどこですか?
加西市役所の産業課です。電話は0790-42-8740、一覧に載っている番号です(市外局番は0790)。補助金の一覧そのものは財政課のページですが、この奨励金の問い合わせ先は産業課と書かれています。開庁時間は月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分です。
