男性社員から「育休を取りたい」と申し出があったとき、会社が悩むのは、休む人の穴を同僚への手当で埋めるか、代替要員を入れるかです。北九州市のパパ育休・育短第一号サポート奨励金は、社内で初めて男性が育児休業(通算14日以上)か育児短時間勤務(28日以上継続)を取った会社に、10万円ずつ、最大20万円を交付します。お金が入るのは会社で、取った本人ではありません。
先に確かめたいのは時期です。交付申請は、育休や育短が始まる前までに出す決まりです。取得が決まった時点で動き出すことが、この奨励金の前提になります。
北九州市パパ育休・育短第一号サポート奨励金の要点まとめ
正式名:北九州市パパ育休・育短第一号サポート奨励金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)。市内に本社か主たる事業所がある中小企業等
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 男性の育児休業・育児短時間勤務の取得促進
- 対象地域
- 福岡県北九州市(市内に本社または主たる事業所)
- 従業員数
- 業種で異なる(製造業は300人以下、小売業は50人以下など)
いくら
- 補助上限額
- 最大20万円(育休10万円+育短10万円)
- 補助率
- 定額(育休・育短とも各10万円)
そのほか
- 実績報告
- 復帰日(育短は28日経過日)から20日以内。遅くとも2027年3月31日
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月1日から。育短は2027年3月3日、育休は2027年3月17日まで
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。交付申請の日と実績報告の日の両方で満たしている必要があります。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 取得が始まってから申請する
- ✕ 男性の取得実績が過去にある
- ✕ 育休が通算14日に届かない
「社内で初めて」は、本社、支社、支店、営業所、工場など同じ法人のすべての事業所を合わせて数えます。初めてかどうかは、支店や工場も含めた法人全体で見ます。別の事業所で先に男性が取っていれば、初めてには当たりません。女性社員の取得実績は、条件に出てきません。
中小企業等とは
中小企業等経営強化法で決まる中小企業者のことです。業種ごとに資本金と従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば当てはまります。
| 区分 | 資本金か常時使用の従業員数 |
|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下、または300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下、または100人以下 |
| サービス業(下の2つを除く) | 5,000万円以下、または100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下、または50人以下 |
| ソフトウェア業、情報処理サービス業 | 3億円以下、または300人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下、または200人以下 |
| ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ等を除く) | 3億円以下、または900人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下、または300人以下 |
医療法人、学校法人、社会福祉法人はサービス業に準じます。組合、社団法人、財団法人、特定非営利活動法人にも別の基準があり、詳しくは申請要項の2ページ目以降で確かめられます。
事業者の所在地は、中小企業なら登記された本店(または主たる事務所)が市内であること、個人事業主なら市の住民基本台帳に記録されているか、市内に事業所を持って事業をしていることです。あわせて、次の事業者は対象外になります。
- 育児・介護休業法や労働基準法などの労働関係法令で、重大な違反に問われている事業者
- 接待飲食等営業(料亭を除く)、性風俗関連特殊営業、またはその受託を行う事業者
- 暴力団、暴力団員、または密接な関係を持つ事業者
- 国や地方公共団体が設立した法人、資本金の全部か大部分を国や地方公共団体が出している法人など(申請書の誓約欄にあります)
- 市税の滞納など、市への債務不履行がある事業者
取る男性の条件
奨励金の対象になるのは、次のすべてに当てはまる男性労働者です。
- 雇用保険の被保険者で、事実上期間の定めなく雇われている(非正規も含みます)
- 3歳未満の子について、2026年4月1日以降に通算14日以上の育児休業を取る。または小学校就学前の子について、同じ日以降に28日以上続けて育児短時間勤務を取る
- 市内の事業所に勤めている
- 復帰後(育短は開始から28日が過ぎたあと)から実績報告の日まで、従前と同じように勤務している
実子のほか、養子や特別養子縁組のための試験的養育期間の子、養子縁組里親に委託された子なども、育児・介護休業法で認められた子として数えます。双子など多胎児の場合、育休は合わせて1回とみなされます。
「従前と同じように勤務」とは、事業所、部署、役職、労働時間、給与、雇用形態が取得前から変わっていないことです。育短による時間の短縮や、利用時間に応じた減額は含めません。同じ職務で別の部署に移るような通常の人事異動や、本人の希望で自宅近くの事業所に移る場合は、例外として扱われます。
テレワーク、派遣、出向で実際の勤務地が市外でも、在籍する事業所が市内なら基本的に対象です。この男性が前の会社で育休を取ったことがあっても、対象に変わりありません。
いくら入る?
交付額は1事業者あたり10万円の定額で、育休分と育短分がそれぞれ1回限りです。育休が14日でも3か月でも、金額は変わりません。
- 男性社員が育休を通算14日取った:10万円 × 1 = 10万円
- 育休分と育短分の両方で交付を受けた:10万円 × 2 = 20万円
- 育休が通算13日で終わった:10万円 × 0 = 0円(14日に届かず対象外)
市は活用のイメージとして、育休や育短を取る人の業務を代わる周囲の労働者への手当や、代替要員の新規雇用(派遣の受け入れを含む)を挙げています。実績報告の書類に、使い道を示す書類は入っていません。
申請から入金までの流れ
- 取得の開始前に、交付申請を出す(事業者→北九州市政策局WomanWill推進室。育休は2027年3月17日、育短は2027年3月3日まで)
- 交付決定通知を受け取る(市→事業者。再発行はできません)
- 育休または育短を取る(対象の男性社員。育休は通算14日以上、育短は28日以上続ける)
- 実績報告を出す(事業者→市。復帰日、または育短の開始から28日が過ぎた日から20日以内。遅くとも2027年3月31日)
- 交付確定通知を受け取り、請求書を出す(市→事業者。通知を受け取ったらすぐ)
- 指定口座に10万円が一括で振り込まれる(請求から1か月程度)
交付申請の期限は、取得の開始日が土日祝日か12月29日から1月3日に当たるとき、その前の開庁日になります。育休の開始日が2027年3月18日以降、育短の開始日が2027年3月4日以降だと、復帰や28日経過が2027年4月1日以降になり、申請できません。
実績報告は、育休なら復帰した日、育短なら開始から28日が過ぎた日(開始日の翌日を1日目と数えて28日目)を起算日にします。起算日から20日以内か、起算日の属する年度の3月31日のどちらか早い日が期限です。期限は育休が復帰日から、育短が28日経過日から20日以内と短く、最終日が土日祝日や年末年始なら翌開庁日になります。報告書には20日以内の日付を書きます。実績報告の受付は2026年4月15日からです。
提出は郵送、Eメール、市役所8階の政策局WomanWill推進室への持ち込みの3通りです。郵送は簡易書留など追跡できる方法で送り、封筒に「パパ育休・育短奨励金申請書在中」と書きます。書類の日付は発送日を書きます。書類がすべてそろい、不備がないと確認された時点で、正式な受理になります。
必要な書類
交付申請のときに出す書類です。
準備できた 0 / 5
実績報告のときに出す書類です。
| 書類 | どこで手に入るか |
|---|---|
| 実績報告書(様式第3号) | 市のページ |
| 制度取得状況等報告書 | 市のページ |
| 出勤簿等の写し | 社内の資料 |
| 賃金台帳の写し | 社内の資料 |
| 市税の滞納がない証明書 | 区役所・出張所 |
| 預金通帳の写し | 手元の通帳 |
交付確定のあとに、請求書兼領収書(市のページの様式)を出します。
子の出生と親子関係を示す書類は、続柄が載った住民票の写し(本籍とマイナンバーは不要)か、母子(親子)健康手帳の出生届済証明のページの写しです。子が被扶養者なら、健康保険被扶養者異動届の決定通知書の写しも加わります。申出書や取扱通知書は、取得期間を変更したときに変更の通知書の写しも要ります。
就業規則は、取得方法や取得中の給与の扱いまで定めている必要があります。「育児・介護休業法に準ずる」とだけ書いた規定は、要件を満たしません。従業員が10人未満の会社は、労働基準監督署への就業規則の提出までは要件にしていません。
出勤簿等は、育休なら取得期間、育短なら取得期間と出退勤の時間が分かるものです。賃金台帳は、取得開始日の直前1か月と取得期間中の分を出し、基本給や手当、賞与の水準が取得前と同等以上かを見られます。育休中に一時的に就労した場合は、就労日が分かる書類(育休中の就業日等の同意書など)が加わります。
市税の滞納がない証明書は、実績報告の日の前30日以内に交付を受けたものに限り、1通300円かかります。
交付されなくなるのはどんなとき?
- 取得が始まってから申請した:交付申請は取得の開始前までと決まっています。始まったあとの扱いは要項に書かれていません。
- 予算がなくなった:予算に達し次第、受付が終わります。受付期間の終わりより前に閉まることがあります。
- 社内に先に男性の取得者がいた:初めての男性の取得者であることが条件です。支店や工場の分も数えます。
- 日数が足りなかった:育休の通算14日や育短の28日に届かないと、要件を満たさないとして交付決定が取り消されます。
- 復帰後に従前どおり勤務しなかった:部署、役職、給与などが変わると対象外になります。
- 追加書類や問い合わせに答えなかった:追加書類の提出期限を過ぎたときや、確認に答えないときは、申請を辞退したものとみなされます。
- 不正や要件違反が分かった:交付後でも決定が取り消され、返還を求められます。
ほかの制度との関係と、受け取ったあと
ほかの補助金や助成金との併用の可否は、市のページにも申請要項にも書かれていませんでした。市のページには、福岡県の「よかパパ育休助成金」が参考として載っています。こちらは一般事業主行動計画の策定を支援する別の制度で、この奨励金とは目的が違います。両方使いたいときは、市と県の窓口に先に確かめるのが確実です。
受け取ったあとにも、決まりがあります。奨励金の関係書類と帳簿は、受給した年度の翌年度から5年間保存します。制度取得状況等報告書の一部は、奨励金の活用事例として市のホームページなどで紹介されます。この公表に同意することが、交付の条件です。申請書の誓約欄では、市のアンケート調査への協力にも同意します。
よくある質問
育休を取った本人にお金は入りますか?
入りません。奨励金を受け取るのは中小企業等の会社や個人事業主で、取得した社員への直接の支給ではありません。市は使い道の例として、休む人の業務を代わる同僚への手当や、代替要員の新規雇用(派遣の受け入れを含む)を挙げています。本人向けの給付は、この奨励金とは別の制度になるため、勤め先や関係窓口に確かめることになります。
いつまでに交付申請すればいいですか?
対象の社員が育休または育短を始める前までです。開始日が土日祝日か12月29日から1月3日に当たるときは、その前の開庁日が期限になります。受付期間の終わりは、育休が2027年3月17日、育短が2027年3月3日です。開始日がそれより遅いと、復帰や28日経過が2027年4月1日以降になり、申請できません。
育休がもう始まっています。申請できますか?
申請要項は、取得を開始する前までに交付申請するよう定めています。始まったあとの申請について、要項と交付要綱には書かれていませんでした。すでに取得中の社員がいるときは、市の政策局WomanWill推進室(電話093-582-2209)に、申請できるかを先に確かめてください。確認せずに書類を出しても、受理されるとは限りません。
過去に女性社員が育休を取った会社でも対象ですか?
条件は、社内で初めての男性の取得者かどうかです。女性社員の取得実績を条件にした記載は、要項にありません。一方で男性は、本社や支店、工場など同じ法人のすべての事業所を合わせて数えます。別の事業所を含めて先に男性の取得者がいると、初めてには当たりません。申請書にも、自社で初めてであることの誓約欄があります。
市内に支店があるだけでも申請できますか?
支店だけが市内にある会社は、条件を満たさないと読めます。対象の事業者は、市内に本社または主たる事業所がある中小企業等です。中小企業は登記された本店(または主たる事務所)が市内であること、個人事業主は市の住民基本台帳に記録されているか、市内に事業所を持って事業をしていることが求められます。迷うときは、申請前に市へ確認してください。
育休分と育短分の両方を受け取れますか?
育休にかかる奨励金と育短にかかる奨励金は、それぞれ1回を限度に交付を受けられ、合計で最大20万円です。ただし、同じ社員が育休と育短の両方を取った場合に両方出るのか、育短分も初めての男性取得者として扱われるのかは、要項に書かれていません。そのケースに当たるときは、申請の前に市へ確認してください。
有給休暇や配偶者出産休暇も、14日に数えますか?
数えません。対象は、育児・介護休業法に定められた3歳未満の子の育児休業だけです。会社独自の育児目的休暇(配偶者出産休暇など)、年次有給休暇、特別休暇は含まれません。労使協定にもとづく個別合意で一時的に就労した日も、育休の期間に入れられません。一時就労があるときは、就労日が分かる書類も実績報告で必要です。
パートや契約社員でも対象ですか?
雇用保険の被保険者であれば、非正規も含まれます。条件は、期間の定めなく雇われているか、事実上そう扱える状態であることです。契約を繰り返し更新して過去1年以上続けて雇われている人や、雇い入れの時から1年以上雇われる見込みの人も当たります。男性の労働者であることも条件です。
育短の「28日以上継続」とはどういう意味ですか?
育児短時間勤務(1週間あたりの所定労働時間を短くする措置)を、4週間(28日)続けて行うことです。月給制を時給制に変えるなど雇用形態や給与の形を変えていないことが条件で、裁量労働制、事業場外みなし労働時間制、変形労働時間制のまま短時間勤務をしている場合は対象外です。対象の子は小学校就学前の子です。
実績報告はいつまでに出しますか?
育休は復帰した日、育短は開始から28日が過ぎた日が起算日で、そこから20日以内に出します。ただし起算日の属する年度の3月31日のほうが早ければ、その日が期限で、令和8年度分は2027年3月31日です。最終日が土日祝日や12月29日から1月3日なら、翌開庁日になります。起算日が2027年4月1日以降になる場合は、申請できません。
お金はいつ振り込まれますか?
実績報告のあと、市が内容を調べて交付確定通知を送ります。通知を受け取ったらすぐ請求書兼領収書を出すと、請求から1か月程度で、指定した口座に10万円が一括で振り込まれます。交付決定通知と交付確定通知は、理由を問わず再発行されません。なくさないように保管してください。請求書の様式は、市のページにあります。
市税の滞納がない証明書は、どこで取れますか?
最寄りの区役所か区出張所で、1通300円で交付されます。市税の課税の有無にかかわらず取り、実績報告の日の前30日以内に交付を受けたものに限ります。市税を10日以内に納めたときは、納付状況を確認できないことがあります。領収書や通帳など、納めた事実が分かる書類を持って行きます。法人市民税と事業所税では、申告書の控えも持参します。
提出は郵送でもできますか?
できます。郵送、Eメール、市役所8階の政策局WomanWill推進室への持ち込みの3通りです。郵送は追跡できる簡易書留などで送り、封筒に「パパ育休・育短奨励金申請書在中」と書きます。控えは返送されないので、自分で保管します。Eメールは件名に「【事業者名】パパ育休・育短奨励金申請書」と書きます。持ち込みは平日の9時から17時(12時から13時を除く)です。
社名や取得の内容は公表されますか?
制度取得状況等報告書(様式第3号別紙)に書いた内容の一部が、奨励金の活用事例として市のホームページなどで紹介されます。公表に同意することが交付の条件で、報告書には社内の効果を書く事業主の欄と、取得した社員の感想を書く欄があります。公表の範囲が気になるときは、申請の前に市へ確認してください。
予算がなくなったらどうなりますか?
交付額の欄に、予算に達し次第、受付を終了すると書かれています。受付期間の終わりより前に閉まることがあるため、取得が決まったら早めに交付申請を出すほうが安全です。予算の残りが分かる記載は、市のページにも要項にも見つかりませんでした。受付が続いているかは、市の政策局WomanWill推進室に確かめます。
