この助成金で最初に確かめるのは、金額より「どの枠か」です。枠は3つあり、DX強化枠は2026年5月29日で募集を終えています。
残る一般枠と中東情勢枠は、どちらも上限100万円で、助成率は対象経費の1/2以内です。受付は2026年12月4日までで、予算に達した時点で終わります。売上の条件は枠ごとに違い、一般枠は粗利(売上総利益)が10%以上減っていることが入口になります。中東情勢枠は、減っていれば割合の定めはありません。
生産性向上支援助成金の要点まとめ
正式名:物価高騰に立ち向かう中小企業等に対する生産性向上支援助成金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 省エネ投資・効率化・新商品開発・販路開拓・人材確保
- 対象地域
- 福岡県北九州市(市内に事業所があること)
- 従業員数
- 中小企業基本法の中小企業者(上限は業種ごと)
いくら
- 補助上限額
- 100万円(一般枠・中東情勢枠)
- 補助率
- いずれの枠も対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年12月4日まで(予算に達し次第終了)
- 事業の完了
- 2027年1月7日までに支払いまで終える
うちの会社は対象になる?
枠にかかわらず、次の5つが入口です。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 北九州市外にしか事業所がない
- ✕ 市税などを滞納している
- ✕ 暴力団と関係がある
- ✕ 開業1年未満(一般枠)
事業所は本社に限らず、支店、営業所、工場も数えます。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の第2条に当たる店舗は、事業所に含まれません。
中小企業基本法の中小企業者とは、業種ごとに資本金と従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば該当する会社のことです。製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下です。ソフトウェア業、旅館業、ゴム製品製造業には別の基準があります。個人事業主も含みます。中東情勢枠の公募要領には、医療法人や社会福祉法人、NPO法人などを含む表も載っています。
株の条件は、発行済みの株式の2分の1を超えて、中小企業者等以外の会社に持たれていないことです。大企業の子会社に近い形だと外れます。
一般枠が開業1年未満を外すのは、前の年の同じ時期と比べる売上がないためです。1年がたっていても前年同期の3か月分が取れない場合は、公募要領の創業特例で計算できます。
枠ごとの売上の条件
| 一般枠 | 中東情勢枠 | DX強化枠 | |
|---|---|---|---|
| 受付 | 2026年4月30日〜12月4日 | 2026年7月1日〜12月4日 | 2026年4月30日〜5月29日(終了) |
| 上限 | 100万円 | 100万円 | 200万円 |
| 下限 | 30万円 | なし | 30万円 |
| 粗利の条件 | 令和6年4月以降の連続3か月が、令和4年4月以降の同じ時期より10%以上減 | 令和8年3月以降の任意の1か月が、令和7年3月以降の同じ月より減 | 定めなし |
| 使い道 | 省エネ、効率化、新商品開発、売上拡大、人材確保・育成 | 原油由来製品の代替、代替品の調査や専門家への依頼 | デジタル技術の活用 |
粗利は売上高から売上原価を引いた額です。たとえば同じ3か月で粗利が350万円から300万円に下がると、50万円減で約14%の減少になり、10%以上の条件を満たします。減少率は小数点以下を切り捨てて計算するので、9.9%は9%です。
比べる3か月は、一般枠なら申請月の前月までのものを選べます。基準期間は、令和4年4月以降で、対象期間と同じ3か月です。2年前に限らず、どの年の同じ月でも構いません。
公募要領には、売上総利益のほかに「広義の粗利」の計算方法も載っています。荷造運賃費、水道光熱費、燃油関連経費(ガソリン代などを個別に管理している場合)のうち、物価高騰の影響が認められるものを原価に含めて計算します。実施計画書の「比較方法」の欄で、①売上総利益か②広義の粗利のどちらかを選んで、減少額と減少率を出します。広義の粗利でも10%減の判定ができる形です。
いくら戻ってくる?
助成額は対象経費の1/2以内です。消費税と振込手数料は経費に入れません。
- 店舗と事務所のエアコンを更新する(省エネ投資):120万円 × 1/2 = 60万円
- 予約や受発注のシステムを入れる(効率化):80万円 × 1/2 = 40万円
- 大きな設備更新(上限に当たる例):300万円 × 1/2 = 150万円 → 上限の100万円
- 小さな取組(下限に届かない例):50万円 × 1/2 = 25万円 → 一般枠では下限の30万円に届かない
- 代替品の調査を専門家に頼む(中東情勢枠):20万円 × 1/2 = 10万円
上限に届くのは、対象経費が200万円以上のときです。一般枠は助成額の下限が30万円なので、対象経費は60万円以上にします。中東情勢枠には下限がなく、少額の専門家依頼だけでも組み立てられます。
交付決定の通知に書かれる額は、あくまで上限です。実績報告の内容によっては減ることがあります。助成金が入るのは実績報告のあとで、前払いはありません。資金繰りは、いったん全額を自分で払う前提で組みます。
何に使える?
対象にならないもの
次の一覧は、一般枠のQ&Aにもとづく例です。中東情勢枠の公募要領にも載るのは、個人間の売買とオークション品、同じ成分に由来する類似品などです。
- 人件費、役員報酬
- 飲食に関する経費
- 商品券、図書券などの金券、クーポン券のように金銭で集客する取組
- タイヤの購入費
- 土地の取得費
- 店舗を借りるときの敷金、礼金、保証金(賃料だけが対象)
- 既存の取組にかかる費用の付け替え
- 売電を目的にした太陽光発電
- EV、PHV、PHEV、FCV以外の一般的な社用車
- 車両本体価格以外の費用(車両は本体価格だけが対象)
- 個人間の売買、オークションで買った物
- 国や自治体に払う営業許可の申請手数料
- 貸し出して使う商品(賃貸物件、貸倉庫、工具備品など)
緑ナンバーや黒ナンバー、8ナンバーの車両は、車種を問わず対象です。小型貨物自動車は、4・6ナンバーで排気量2,000cc以下のものが対象で、ジーゼル機関のものは排気量に関わらず外れます。パソコンやカメラなどの汎用品は、事業に不可欠なものだけを認められます。自宅兼事務所で私用と分けられないときは、使う割合で案分した事業用の部分だけが対象です。
対象になるもの(一般枠)
- 省エネ投資:エアコン、照明、冷凍冷蔵ショーケース、温水機器などの更新、断熱などの施設改修、省エネ診断の外部委託、古い設備の撤去費
- 効率化・高収益化:業務のデジタル化に使う機器、システム、輸送の効率化システム
- 新商品・新サービスの開発:研究開発の原材料費(販売用を除く)、委託費、広告宣伝費、特許の出願料
- 売上拡大・経営改善:ECサイトの構築、Web広告、展示会の出展、外部専門家へのコンサルティング
- 人材確保・人材育成:求人広告、人材紹介の成功報酬、就業規則の改正に伴う社会保険労務士への報酬、外部研修の受講料
省エネと効率化は、事業実施計画に導入前後の比較を数字で書きます。「年間◯万円の電気代が減る」「燃費が◯L/kmから◯L/kmに上がる」といった形です。省エネ効果が認められないと、対象から外れることがあります。
対象になるもの(中東情勢枠)
- 原油由来の製品を、そうでない製品に替える費用(油性塗料から水性塗料、プラスチックの容器や袋から紙製へ、など)
- 代替品の調査、選定を専門家に頼む費用
- 調達網の見直しに伴う通関士への依頼費
- 原油高に伴う価格転嫁の交渉を弁護士に頼む費用
ナイロンの袋をポリエステルの袋に替えるように、同じ成分に由来する製品どうしの代替は、類似品として対象外です。
申請の流れ:つまずくのは発注の順番
つまずきやすいのは金額ではなく、発注のタイミングです。流れは次の8段です。
- 事業者が、粗利の減り方を計算する(一般枠は連続3か月、中東情勢枠は1か月分)
- 事業者が、見積書を取る(省エネ投資なら導入前後のコスト削減額も数字にする)
- 事業者が、交付申請書と事業実施計画書などを事務局に出す(WEB、メール、郵送。2026年12月4日の必着)
- 財団が、審査して交付を決める(不備がなければ3週間が目安。書類がそろってから1か月ほどかかる場合もある)
- 事業者が、交付決定のあとで発注し、事業に着手する
- 事業者が、2027年1月7日までに事業を終え、経費の支払いも済ませる(銀行振込、領収書)
- 事業者が、完了から20日以内か1月7日のいずれか早い日までに、実績報告を出す
- 財団が、助成額を確定し、請求を受けて支払う
交付決定の前に発注や契約をした経費は対象外です。見積を取るのはかまいません。契約や注文書の発行は、通知が届いてからにします。
見積書の日付は、申請日以前のものにします。有効期限は、実施計画書に書く事業開始の予定日の時点で切れていないものです。実施後に確かめられる程度に詳しく書き、値引きがあるなら見積書にも書きます。交付決定のあとで値引きが出たときは、変更申請が要ります。
申請は1事業者につき1件までです。実施計画書の記入例には、事業の開始日を申請日から1か月ほどあけるよう書かれています。12月4日に出すと、開始日は1月上旬になり、1月7日までの実施期間は数日しか残りません。工事や納品に日数がかかる計画は、早めに出す手があります。
必要な書類
準備できた 0 / 14
法人は履歴事項全部証明書と役員等名簿を、個人事業主は運転免許証などの写しを出します。法人税の申告書と概況説明書は法人、確定申告書と青色申告決算書は青色申告の個人、確定申告書と収支内訳書は白色申告の個人が対象です。履歴事項全部証明書は、発行から3か月以内のものを使います。
事業所の確認書類は、履歴事項全部証明書、開業届出書の写し、営業許可書の写しなどです。粗利を示す書類は、税務署の受付が確認できるものか、電子申告が済んだことがわかるものにします。月別の売上がわからないときは、売上台帳や月次損益計算書も添えます。決算月をまたぐ3か月を選んだ場合は、2期分の資料が要ります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:決まる前の発注や契約は、あとから報告しても対象になりません。
- 既存の取組の費用を付け替えた:対象は新しい取組に必要な経費だけです。もともとの事業の消耗品や賃料は外れます。
- 支払いが期限に間に合わなかった:2027年1月7日までに支払いが済んだ経費だけが対象です。割賦やリボ払いで、期限のあとも払い続けるものも外れます。
- 現金で払った、レシートで済ませた:支払いは銀行振込に限ります。証拠書類も領収書です。
- 認定と違う内容に変えた:財団が認めた内容と異なる事業や経費は、あとから報告しても対象になりません。変更は先に承認を受けます。
- 買った設備を売った:取得価格が1件50万円以上の財産は、耐用年数が終わる前に処分するとき、事前の承認と一部の納付が要ります。
- 予算がなくなった:12月4日より前でも、申請額が予算に達すると受付は終わります。
ほかの補助金と一緒に使える?
同じ性質の助成金を、ほかの機関から受ける場合や受けた場合は併給できません。公募要領の「同様」の線引きは書かれていませんが、実施計画書の誓約欄は広めです。国、県、市、関係団体、民間団体の「他の助成金等を受けている、又は受ける予定がない」ことに、○を付けて提出します。国や県の補助金を同じ設備に重ねるときは、事務局に先に聞きます。
一般枠と中東情勢枠を両方使えるかも、公式ページに明記がありません。公募要領には、どちらの枠も「申請は1事業者あたり1件まで」とあります。両方を使う前提の計画は、誓約欄の文言もあるので、事務局に先に確かめます。
公式ページには、追加情報とQ&Aが随時更新されると書かれています。申請の前に、最新のQ&Aを読みます。
よくある質問
DX強化枠はまだ申請できますか?
できません。DX強化枠の募集は2026年4月30日から5月29日までで、上限は200万円でした。同じ助成金の一般枠と中東情勢枠は、どちらも上限100万円です。デジタル化の機器やシステムは、一般枠の「効率化・高収益化」でも対象経費の例に挙がっています。ただし一般枠は、DX強化枠になかった「粗利が10%以上減っていること」という条件があります。
個人事業主でも申請できますか?
できます。中小企業基本法の中小企業者には個人事業主が含まれ、公募要領にも個人事業主を含むと書かれています。提出する書類は、法人と少し違います。本人確認は運転免許証などの写しで、粗利を示す書類は青色申告なら確定申告書の第一表と青色申告決算書、白色申告なら第一表と収支内訳書です。市内に事業所があることを示す書類も要ります。
一般枠と中東情勢枠は、どちらを選べばよいですか?
売上の条件で分かれます。一般枠は、申請月の前月までの連続3か月の粗利が、令和4年4月以降の同じ時期より10%以上減っている会社です。中東情勢枠は、中東情勢の影響を受けていて、令和8年3月以降の任意の1か月の粗利が前の年の同じ月より減っている会社です。使い道も違い、一般枠は省エネや販路開拓など、中東情勢枠は原油由来の製品の代替や専門家への依頼です。
開業して間もない会社は申請できますか?
一般枠は、申請の時点で開業から1年がたっていないと対象外です。比べる前の年の売上がないためです。開業から1年がたち、前年同期の3か月分が取れない場合は、創業特例で計算できます。基準期間は創業の翌月から前年の前月までの粗利の平均月額の3倍、対象期間は申請の3か月前から前月までの粗利です。中東情勢枠にも創業特例があります。
対象経費が少ないと申請できませんか?
一般枠には助成額の下限が30万円あります。助成率が1/2なので、対象経費が60万円に届かないと下限を下回ります。中東情勢枠には下限がなく、20万円ほどの専門家への依頼だけでも組み立てられます。少額の取組を複数まとめて60万円以上にする手もありますが、すべて新しい取組として必要な経費である必要があります。
交付決定の前に見積を取ってもよいですか?
見積を取ることは問題ありません。申請書類にも見積書の写しが要ります。対象外になるのは、交付決定の前に発注や契約、着手をした経費です。注文書を出す、契約書に署名するといった行為は、通知が届いてからにします。交付決定は、不備がなければ3週間が目安で、書類がそろってから1か月ほどかかる場合もあります。
助成金はいつ入金されますか?
事業が終わってからです。事業を完了して経費を支払い、完了から20日以内か2027年1月7日のいずれか早い日までに実績報告を出します。財団が内容を確かめて助成額を確定し、請求を受けて支払います。前払いはありません。実績の内容によっては、交付決定の額から減ることがあります。入金の日までは、全額を自己資金で払う前提で資金を組みます。
市外の業者に発注してもよいですか?
原則として、市内の事業者への発注や調達に限られます。特殊な技術や経験が要るなど、市内の業者では対応できないやむを得ない理由があるときは、申請のときに理由書を財団へ出します。書式は自由です。市外の事業所に置く設備も、原則として対象になりません。市内の経済への波及や雇用を理由に、市内の事業所だけを対象にしています。
太陽光発電や社用車は対象になりますか?
工場などに置いて自家消費で電気代を減らす太陽光発電は、省エネ投資として対象です。売電が目的のものは対象外です。社用車は、営業車などの一般的なものは、EV、PHV、PHEV、FCVに限ります。緑ナンバー、黒ナンバー、8ナンバーの事業専用車は、車種を問いません。4・6ナンバーの小型貨物自動車は、排気量2,000cc以下でジーゼル機関でないものが対象です。車は本体価格だけが対象で、タイヤの購入費は対象外です。
中古品やリースは対象になりますか?
どちらも対象になります。中古品は、見積書の写しなど、金額がわかる根拠書類が要ります。個人間の売買やオークションで買った物は、価格が適正かどうか判断できないため対象外です。リース料は、助成の対象期間内の分だけです。割賦販売で、支払いの完了が期限を超えて所有権も移らない場合は、期間内の購入と認められません。
中東情勢の影響を受けていることは、どう示しますか?
公募要領には、影響の判定基準や、決まった証明書類の指定は書かれていません。要件は「中東情勢の影響を受けていること」とだけです。事業実施計画書には、影響の欄があります。「原材料・部品の調達難」「燃料費・光熱費の上昇」「取引先からの受注減」「物流コストの上昇」「その他」から、当てはまるものすべてにチェックを入れます。そのうえで、影響で生じている課題と、取組でどう対応するかを書きます。書き方に迷うときは、申請の前に事務局へ聞くと確実です。
申請先と問い合わせ先はどこですか?
申請先は、助成金事業事務局のKanoプランニング株式会社「物価高騰生産性向上助成金事務局」です。電話は093-967-0772で、WEB、メール、郵送で申請できます。コールセンターは平日の9時から17時で、祝日などは休みです。助成金そのものの窓口は北九州市中小企業支援センターで、電話は093-873-1430です。
