保育所や特別養護老人ホームが台風や地震で壊れたとき、復旧費には国の補助が出ます。ただし九州厚生局に施設が直接申し込む制度ではなく、窓口は施設のある県か市です。
被害を受けた箇所の写真が残っていないと、その部分は補助の対象から外れます。復旧工事は国の査定を待たずに始めて構いませんが、直す前の撮影が前提です。
社会福祉施設等災害復旧費補助金の要点まとめ
正式名:社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金
だれが
- 申請者
- 施設の設置者(社会福祉法人・自治体など)。窓口は県・市
- 対象業種
- 福祉・医療(社会福祉施設等。保育所・認定こども園を含む)
- 利用目的
- 被災した施設の建物と、建物と一体の設備の復旧
- 対象地域
- 福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄の8県
- 従業員数
- 規定なし(施設単位で協議)
いくら
- 補助上限額
- 公式資料に上限額の記載なし(承認された額が基準)
- 補助率
- 県などの補助率は3/4が中心(国はその2/3)。施設で異なる
いつ・どこへ
- 申請受付
- 公募期間なし。災害発生から30日以内に県・市が協議
自分の施設は対象になるか
次の4つに当てはまれば、対象になる見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
調査額とは、国の査定を受けたあとの復旧費のことです。見積額そのものではありません。下限額は施設の種類で変わります。
- 保育所・幼保連携型認定こども園・幼稚園型認定こども園:30万円以上
- 感染症指定医療機関・市町村の火葬場・と畜場:40万円以上
- 上記以外の社会福祉施設等(特別養護老人ホーム、障害者支援施設など):80万円以上
同じ敷地で複数の施設を運営する複合施設は、施設全体で80万円以上が条件です。80万円に届かなくても、その中の保育所や認定こども園は30万円以上なら対象になります。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 調査額が下限額に届かない
- ✕ 設計や工事の不備で生じた被害
- ✕ 借りている土地・建物の復旧
- ✕ 職員宿舎の復旧
借用地・借用建物は、設置者に維持管理の責任があると証明できる場合に限り、その責任の範囲内で対象になります。対象施設の種類は要綱の表に並んでおり、障害福祉サービス事業所や地域包括支援センターなども入ります。
いくら補助されるのか
上限額の定めは、公式資料にありません。厚生労働大臣への協議で承認された額(査定額)が基準になります。
民間法人の施設は、県などが行う補助に国が上乗せする形です。要綱の表では、特別養護老人ホームや保育所などで県などの補助率が3/4、国はその2/3と書かれています。老人福祉センターは2/3、訪問看護事業所は1/3と、施設の種類で率が違います。実際に県がいくら補助するかは県の要綱で決まるため、県・市の担当課への確認が確実です。
- 社会福祉法人の特別養護老人ホーム(査定額400万円):400万円 × 3/4 = 300万円(国の負担は 300万円 × 2/3 = 200万円)
- 民間の保育所(査定額100万円):100万円 × 3/4 = 75万円
- 老人ホーム(査定額70万円):下限の80万円に届かず対象外
上の計算はあくまで例で、実際の額は査定で決まります。火災保険金や寄付金を受け取ると、補助の基になる額が減ることがあります。社会福祉法人の場合は、寄付金は差し引きの対象から除かれます。
激甚災害(国が特別の財政援助を決める大規模災害)に指定されると、国の補助率が通常と別に定められます。
何に使えるのか
基本は建物の復旧です。備品は対象になりません。
対象にならないもの
- 家具・什器・送迎バスなど、建物と一体でない備品
- 建物の買収費
- 耐震などを強める工事の上乗せ分(元の形に戻す工事が基本)
- 同じ種類の設備に余裕があり、急いで直す必要が認めにくいもの
対象になるもの
- 建物の復旧工事費・工事請負費
- 建物と一体の設備(給排水設備・空調設備・冷暖房設備・エレベーターなど)
- 工事事務費(旅費・消耗品費・設計監督料など。工事費の2.6%が限度)
- 応急仮設施設の賃借料・工事費
幼保連携型認定こども園と幼稚園型認定こども園は、教材・教具・校具が例外的に対象です。老人福祉センター、老人介護支援センター、へき地保健福祉館は、建物と一体の設備も対象外です。
耐震補強を足したい場合は、補助が認められた額に自己負担を上乗せして行う形になります。
申請の流れ
- 被災箇所をすべて撮影する(施設の設置者。直す前に、割れたガラスなら全枚数分)
- 県・市の担当課に被害を報告する(施設→県・市。市町村は県を通す)
- 協議書類を九州厚生局へ出す(県・市→九州厚生局。災害発生から30日以内)
- 災害査定を受ける(九州厚生局と財務局。原則は現地調査で、協議額が200万円未満なら机上でもできる。原則12月までに完了)
- 予算が確保されたら交付申請を出す(施設→県・市→九州厚生局。工事が終わっていれば実績報告とあわせて出す)
復旧工事は、査定を待たずに始めても差し支えありません。
必要な書類
準備できた 0 / 6
協議書類は県・市が九州厚生局へ出します。施設は、見積書・図面・写真を県・市に渡す側です。写真を協議書に添えるときは、番号を付けて被災箇所と対比させる決まりです。保育所と認定こども園は、児童福祉施設等の様式(様式第1-1号など)になります。様式は九州厚生局のページにExcel版があります。
取り違えやすい点
| よくある思い込み | 実際 |
|---|---|
| 九州厚生局に直接申し込む | 施設は県・市に報告し、県・市が九州厚生局へ協議します |
| 下限額は一律80万円 | 保育所・認定こども園は30万円、火葬場などは40万円です |
| 備品も直してもらえる | 家具・什器・送迎バスは対象外です |
| 毎年の公募に応募する | 公募期間はなく、災害のたびに協議が始まります |
| 工事は査定の後にする | 査定前に始めてよい。ただし被災の写真が必要です |
もらえなくなるのはどんなとき?
- 被災の写真がない:写真などで被災の事実を確認できない部分は、適用除外になります。豪雨は被害が残りにくいので、念入りに撮影します。
- 設計や工事の不備が原因:明らかな設計の不備や工事の粗漏で生じた災害は対象外です。
- ほかの補助金と経費が重なる:同じ経費で別の補助金を受けることはできません。
- 維持管理を著しく怠った・別工事中の災害:維持管理の義務を著しく怠ったことが原因の災害と、災害復旧以外の工事の施工中に起きた災害は対象外です。
- 急ぐ必要が認められない:当年度に整備計画がある工事や、補修の緊急性が低い工事は、協議の対象外とされます。
よくある質問
保育所が被災した場合、いくらの被害から対象になりますか?
保育所、幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園は、復旧費の調査額が1件30万円以上で対象になります。ほかの社会福祉施設は80万円以上です。調査額は国の査定を受けたあとの額で、施設の見積額ではありません。見積りが下限ぎりぎりのときは、査定で減って届かなくなることもあります。見積りを取ったら、早めに県・市の担当課へ見せて相談してください。
申請は九州厚生局に直接出しますか?
直接は出しません。施設はまず県(政令市・中核市は市)に被害を報告します。県・市が協議書類を九州厚生局へ出し、九州厚生局が財務局と一緒に災害査定を行います。県以外の市町村は、県を通して報告する決まりです。自分の施設がどこに報告するのか迷ったら、施設のある県の福祉担当課に電話で確かめるのが早道です。
復旧工事は査定の前に始めてもいいですか?
始めても差し支えありません。ただし条件があります。被災の写真などで事実を確認できない部分は、適用除外になります。ガラスが100枚割れたなら100枚分を撮ります。床のそりは物差しを当てて撮り、そった床材の一部を残します。ひび割れにはスケールを当てます。エレベーターなどの設備は、メーカーの故障証明書で故障を示します。
備品や家具は補助されますか?
対象外です。この補助金は建物の復旧が基本で、家具・什器・送迎バスのような建物と一体でないものは出ません。給排水設備・空調設備・エレベーターなど、建物と一体の設備は対象です。例外として、幼保連携型認定こども園と幼稚園型認定こども園の教材・教具・校具は対象になります。備品の復旧に使える別の制度は、九州厚生局の資料に書かれていないため、県・市で確認してください。
耐震補強をあわせて行う場合も補助されますか?
補強にあたる部分は対象になりません。災害復旧は、被災前と同じ位置に、同じ形・寸法・材質で戻す原形復旧が基本です。耐震などを強める対策は、災害査定では認められません。認められた額に自己負担を足して、補強した復旧をすること自体は妨げられていません。補強込みで直したいときは、先に県・市の担当課へ相談してください。
火災保険金や寄付金を受け取ると補助はどうなりますか?
補助の基になる額が減る場合があります。九州厚生局の資料では、総事業費から寄付金等を調整した額と査定額のうち、低い方を国庫補助の基本額とする計算式が示されています。保険金額が交付決定までに決まらないときは、査定額で交付決定を受け、額の確定時に精算します。社会福祉法人は、寄付金を差し引きの対象から除く扱いです。
社会福祉法人の施設の補助率はどのくらいですか?
要綱の表では、社会福祉法人などが設置する特別養護老人ホームや保育所の場合、県などの補助率は3/4、国はその2/3と書かれています。老人福祉センターは2/3、訪問看護事業所は1/3など、施設の種類で率は違います。ただし、実際に県がいくら補助するかは県の要綱によります。補助率は、施設のある県・市の担当課で確かめてください。
同じ敷地に複数の施設がある場合、下限額はどうなりますか?
社会福祉施設等を同じ敷地(機能的に同じ敷地とみなされる位置を含む)で複数運営する複合施設は、複合施設全体の調査額が80万円以上であることが条件です。全体が80万円に届かなくても、その中の保育所・幼保連携型認定こども園・幼稚園型認定こども園は、30万円以上なら対象になります。どの施設がどちらに当たるかは、県・市の担当課に確かめてください。
借りている建物の復旧も対象になりますか?
原則として対象外です。借用地や借用施設の災害復旧は、設置者が維持管理の責任を持つと証明できる場合に限り、その責任の範囲内で対象になります。何をもって責任を証明するかは公式資料に書かれていないため、県・市の担当課に相談してください。
査定はいつ、どのように行われますか?
災害は1月から12月までの年災として扱われ、原則12月までに査定を終えるよう日程が組まれます。調査は原則として現地で行われ、申請額が200万円未満の箇所ややむを得ない場合は机上でもできます。日程の目安は、机上が午前1件・午後2件、実地が1日1件です。調査には財務局の担当者が立ち会います。実地調査では、被害の概況説明、被災場所の確認、査定方針の通告が行われます。実地調査額が1億円以上のときは、さらに本省との協議があります。
激甚災害に指定されると何が変わりますか?
国の補助率が変わります。激甚災害(国が特別の財政援助を決める大規模災害)に指定されると、通常の交付要綱とは別に、その災害用の交付要綱が作られます。どの率になるかは災害ごとに決まり、九州厚生局の公式ページには個々の災害の率が載っていません。指定されたかどうかと率は、県・市からの案内で確かめてください。
沖縄の施設は補助率が違いますか?
要綱に、沖縄振興計画に基づく事業として行う場合の特例があります。県などが設置者の直接補助では、救護施設や障害者支援施設などで国庫補助率2/3、特別養護老人ホームなどで7.5/10です。民間法人の施設は県などを通す補助で、県などの補助率5/6に対して国庫補助率4/5(特別養護老人ホームなどは8.75/10に対して7.5/8.75)と書かれています。ただし、災害復旧がこの特例に当たるかどうかは、公式資料からは判断できません。沖縄県の担当課に確認してください。
問い合わせ先はどこですか?
九州厚生局健康福祉部健康福祉課(福岡市博多区博多駅東2-10-7 福岡第二合同庁舎2階、電話 092-432-6781)です。住友生命博多ビルではない点に注意してください。ただし、最初の窓口は施設のある県・市の福祉担当課です。被災したら、まず県・市に被害を報告します。
