宿泊施設を三重県に建てたいと思ったとき、多くの人はまず公募要領を探します。この補助金では、その探し方が空振りになります。公募制ではなく、県の誘致によって立地する案件だけが対象だからです。
補助額は建物・機械設備・土地造成にかけた費用の10%(南部の10市町は15%)で、上限は5億円です。入口は観光振興課への相談で、申請書を出すところから始まる制度ではありません。
上質な「みえ旅」宿泊施設立地補助金の要点まとめ
正式名:上質な「みえ旅」宿泊施設立地補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(宿泊施設の立地にかかる事業を営む者)
- 対象業種
- 宿泊業(客室5室以上の新しい宿泊施設)
- 利用目的
- 宿泊施設の新規立地(建物・設備・土地造成)
- 対象地域
- 三重県内(南部の10市町は補助率が高い)
- 従業員数
- 常用雇用者の増加5人以上(10室以上は10人以上)
いくら
- 補助上限額
- 5億円(常用雇用者5〜9人の増加は2.5億円)
- 補助率
- 10%(南部10市町は15%。DMO連携で各+10%)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 公募なし(県の誘致が前提。観光振興課へ相談)
自分の計画は対象になる?
次のすべてに当てはまる計画が、認定の対象になります。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次に当たると対象外です。
- ✕ 県の誘致によらない立地
- ✕ 操業開始後3年で要件を満たさなくなる
「誘致により」の中身は、県の案内に出てくる流れで見ると分かりやすくなります。立地計画の認定申請のあと、県の誘致により立地が決定し(市町の同意が必須)、立地協定を結びます。県と話を始めないまま計画だけ固めても、この入口を通れません。
客室数によって、さらに条件が変わります。
| 条件 | 客室5〜9室 | 客室10室以上 |
|---|---|---|
| 投資額(投下償却資産額と土地造成費の合計) | 3億円以上 | 5億円以上 |
| 増える常用雇用者 | 5人以上 | 10人以上 |
| 50㎡以上の客室 | 2室以上 | 5室以上 |
投下償却資産額は、建物や機械設備のように、年々価値が減っていく資産に投じた額のことです。いずれも操業開始の時点で満たす必要があります。このほか、県は立地地域で高付加価値旅行者層の新しい需要を呼べる「上質な宿泊施設」であることを求めています。何をもって上質とするかの基準は、公式ページと案内PDFに記載がありません。
いくら戻ってくる?
補助額は、建物・機械設備などの投下償却資産額と土地造成費用の合計に、補助率をかけて決まります。
- 通常:10%
- 県が指定するDMO(観光地域づくり法人)と連携して事業を行う場合:20%
- 南部10市町:15%(DMO連携で25%)
南部10市町は、伊勢市・鳥羽市・志摩市を除く次の地域です。大台町、玉城町、度会町、南伊勢町、大紀町、紀北町、尾鷲市、熊野市、御浜町、紀宝町。
上限は5億円で、増える常用雇用者が5人以上10人未満なら2.5億円です。県は分割して交付することがあるとしています。以下は公式の率に仮の投資額を当てはめた計算です。
- 客室10室以上の施設を県内(南部以外)で建てる:投資5億円 × 10% = 5,000万円
- 同じ規模を南部10市町で建てる:5億円 × 15% = 7,500万円
- 南部でDMOと連携する:5億円 × 25% = 1億2,500万円
- 南部で大型の施設を建てる:40億円 × 25% = 10億円 → 上限の5億円
増える常用雇用者が5〜9人の施設は、上限が2.5億円になります。雇用の人数が、上限額そのものを分けます。
補助の対象になるのは、事前着手日か立地計画の認定日から操業開始日までに取得した投下償却資産と土地造成費用です。
何に使える?
対象にならないもの
- 立地計画の認定申請より前に取得した資産
- 操業開始日より後に取得した資産
対象になるもの
- 建物、機械設備などの投下償却資産
- 土地造成の費用
細かい対象経費の線引き(家具・備品や食器が含まれるかなど)は、公式ページと案内PDFに記載がありません。観光振興課への確認が要ります。
申請の流れ(相談から交付まで)
県の案内に出ている流れは次のとおりです。
- 県に相談する(事業者→観光振興課。059-224-2342)
- 立地計画の認定を申請する(事業者→県。事業計画が認定要件に当たるかを見る)
- 立地が決まり、立地協定を結ぶ(県の誘致により決定。市町の同意が必須)
- 着手の届け出を出す(事業者→県。事前着手届は必要があるときだけ。出していない場合は、対象事業を発注する前までに事業着手届)
- 操業を開始し、操業開始届と交付申請・実績報告書を出す(事業者→県。補助金検査のあと、請求書を出して支払い)
- 操業開始後1〜3年、状況を報告する(事業者→県。事業実施状況報告書と検査。分割交付があれば同じ流れ)
必要な書類
準備できた 0 / 6
様式の入手先や添付書類は、公式ページと案内PDFに記載がありません。相談の段階で観光振興課に聞くことになります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 誘致によらない立地:県の誘致により立地するものが対象です。公募に出す形の制度ではありません。
- 認定要件を保てない:操業開始後3年間、認定要件を全部維持することが交付要件です。
- 認定前の取得:補助対象は、事前着手日か認定日から操業開始日までに取得したものです。それより前の取得分は含まれません。
- 要件の数字に届かない:投資額と常用雇用者の増加人数、50㎡以上の客室数は、操業開始時点で満たす必要があります。
今年度の変更点
令和8年度に、より小規模な宿泊施設でも使えるよう、客室数の要件が緩和されました。県の案内では、令和5年度の創設、令和6年度の南部地域の補助率拡充、令和8年度の部屋数要件の緩和という順で変わっています。以前の要件で調べた情報は、客室数の条件を見直してください。
よくある質問
この補助金は公募していますか?
公募していません。県の案内に「当制度は公募制ではありません」と書かれています。三重県内で新しい投資を考えている企業は、観光振興課(059-224-2342)に連絡するよう求められています。締切や募集期間という考え方がなく、計画が固まる前から県と話し始める制度だと考えると整理しやすくなります。
個人でも申請できますか?
公式ページと案内PDFには、法人か個人かの区別が書かれていません。対象者は「県の誘致により立地するもの」で「宿泊施設の立地にかかる事業を営むものであること」とされています。ただし投資額が3億円以上、または5億円以上で、常用雇用者も5人以上増やす計画が前提なので、事業規模はかなり大きくなります。個人事業主として使えるかは、観光振興課に確かめてください。
客室が5室未満の小さな宿でも対象になりますか?
対象になりません。認定要件に「客室数5室以上を有する新たな宿泊施設を開業するものであること」とあります。5室以上10室未満なら、投資額3億円以上、常用雇用者の増加5人以上、50㎡以上の客室2室以上が条件です。令和8年度に部屋数の要件が緩和されて小規模な施設も使いやすくなりましたが、下限が5室であることは変わっていません。
既存の旅館を買い取って営業する場合は使えますか?
使える可能性があります。認定要件は、土地、または旅館業法施行規則にもとづいて営業の全部を停止もしくは廃止した旨を届け出ている宿泊施設を取得し、客室5室以上の新しい宿泊施設を開業することです。営業中の旅館をそのまま引き継ぐ形が当たるかどうかは、公式ページと案内PDFに記載がありません。観光振興課に事前に確認してください。
補助率の15%が使える「南部地域」はどこですか?
伊勢市、鳥羽市、志摩市を除く10市町です。大台町、玉城町、度会町、南伊勢町、大紀町、紀北町、尾鷲市、熊野市、御浜町、紀宝町が当たります。ここでは建物・設備・土地造成費の15%(DMO連携なら25%)が補助されます。伊勢市、鳥羽市、志摩市に建てる場合は、補助率は通常の10%(DMO連携で20%)です。
DMOと連携すると何が変わりますか?
補助率が10ポイント上がります。通常の10%が20%に、南部10市町の15%が25%になります。県が指定するDMOと連携して事業を行うことが条件です。DMOは観光地域づくりを担う法人のことです。連携の中身(協定の有無、どの範囲の連携か)は、公式ページと案内PDFに記載がないので、観光振興課に聞いてください。
補助金は一度に全額もらえますか?
一度とは限りません。県の案内に「分割して交付することがあります」とあります。流れの図では、操業開始のとき、続いて操業開始後1年、2年、3年に、交付申請・実績報告書の提出と補助金検査があり、請求書を出すと支払われます。何回に分けるかは公式ページに記載がありません。資金計画を立てる前に、県に確認してください。
認定要件はいつまで守る必要がありますか?
操業開始後3年間です。交付要件に「操業開始後3年間認定要件を全て維持すること」とあります。立地計画の期間も、認定の日から操業開始後3年を経過する日までです。英語で対応できるスタッフの常駐、無料Wi-Fi、地域ならではの食体験の提供体制は、開業時だけでなく3年間保つ前提で計画に入れておくと安心です。
認定を受ける前に工事を始めてもいいですか?
発注の前までに届け出が要ります。県の案内の流れでは、事前着手届は必要があるときだけで、出していなければ対象事業の発注前までに事業着手届を出すことになっています。補助の対象になるのは、事前着手日か立地計画の認定日から操業開始日までに取得した資産と土地造成費用です。届け出の前に発注したものがどう扱われるかは、県に確認してください。
他の補助金と併用できますか?
併用の可否は、公式ページと案内PDFに記載がありません。ほかの制度を使う予定があるなら、立地計画の相談の段階で観光振興課に伝えてください。国や市町の制度との組み合わせは、制度ごとに決まりが違うことがあります。補助対象の経費が重なっていないかを、それぞれの制度の窓口で確かめる必要があります。
問い合わせ先はどこですか?
三重県の観光部 観光振興課 受入環境促進班です。電話は059-224-2342、メールはkankoshi@pref.mie.lg.jpです。住所は津市広明町13番地(本庁2階)です。公募ではない制度なので、新しい投資を考えている企業は、計画の細部が決まる前に連絡するよう案内されています。
