この補助金でいちばん痛いのは、金額より受付の終わり方です。令和8年度は9月30日までの予定でしたが、申請額が予算の上限に達し、7月10日で受付が終わりました。
対象は、県内の旅館・ホテル・簡易宿所・民泊の経営者です。客室の高付加価値化、ユニバーサル化、防災設備にかかる費用の1/2以内を、1施設250万円まで補助します。県は長野県宿泊税活用計画にもとづき次年度以降も公募する予定で、事業の相談は随時受け付けています。次の募集に備えて、何を準備できるかを順に見ていきます。
長野県 宿泊施設の滞在環境向上事業補助金の要点まとめ
正式名:宿泊施設における滞在環境向上事業補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 宿泊業(旅館・ホテル・簡易宿所・住宅宿泊事業)
- 利用目的
- 客室の高付加価値化・ユニバーサル化・防災設備の整備
- 対象地域
- 長野県内
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(山岳高原観光課へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- 上限250万円(1施設あたり)
- 補助率
- 対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 令和8年度は2026年6月8日〜7月10日(予算上限で終了)
- 事業の完了
- 令和8年度分は2026年12月31日まで
次回の募集期間や内容は、公式ページに載っていません。この記事の条件は令和8年度の申請要領にもとづくので、次の募集で変わることがあります。
うちの施設は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
旅館業の許可は旅館業法第3条第1項のもの、民泊の届出は住宅宿泊事業法第3条第1項のものです。本社が県外でも、宿泊施設が県内にあれば申請できます。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 許可を引き継ぐ前の承継予定者
- ✕ 暴力団・反社会的勢力に当たる
- ✕ 県税に未納がある
事業承継では、旅館業の許可を引き継いで現に許可を受けていれば、開業準備中でも対象です。
いくら戻ってくる?
税抜の対象経費の半分です。上限の250万円に届くのは、対象経費が500万円以上のときです。
- スロープ設置と客室の引き戸化:400万円 × 1/2 = 200万円
- 非常用発電機と蓄電池の導入:500万円 × 1/2 = 250万円
- サウナと貸切風呂の増設:700万円 × 1/2 = 350万円 → 上限の250万円
国などの補助金を同じ事業で受けるときは、その額を引いた残りが対象経費です。公式Q&Aの例では、事業費1,000万円のうち他の補助金が600万円なら、対象経費は400万円で補助額は200万円です。
申請は1施設につき1回までで、上限に届かなくても追加の申請はできません。複数の施設を持つ事業者は、まとめて出します。申請書(様式第1号)は事業者で1枚、実施計画書などは施設ごとに作ります。補助額は千円未満を切り捨てます。
何に使える?
対象にならないもの(先に確認しておくと外れにくくなります)
- 同等品への更新や修繕だけの工事(老朽化した家具、クロス・床材の張替え、空調の同等品更新など)
- 蛍光灯のLED化
- 従業員用の設備(休憩室、制服)と、予約システムなど事務用の設備
- 防犯カメラや消防設備など、法令で義務の工事
- 広告費、ホームページの作成・改修費、消耗品、中古品、消費税
- 自社の従業員による施工、リース、クラウドの利用料
対象になるもの
- 高付加価値化・DX:スマートロック、ペット同伴の客室改修、サウナ・貸切風呂の増設、ラウンジの整備
- ユニバーサル化:段差の解消、バリアフリールーム、点字案内、多言語の館内サイン、AI翻訳機
- 公益的機能の強化:非常用発電機、蓄電池、断水時に使える給水設備、災害時の避難スペースの改修
空調は、今までなかった場所への新設に限って認められます。スマートロックなどのDX投資は、県の別のDX支援事業補助金のほうが合う場合があります。この点は、公式Q&Aに書かれています。
申請の流れ
次の公募でも同じ順番になるとは限りませんが、令和8年度は次の流れでした。
- 見積もりを2者以上から取る(事業者→施工業者。単価50万円以上の経費は原則2者以上)
- ながの電子申請か郵送で申請する(事業者→山岳高原観光課。募集期間内に)
- 交付決定通知書を待つ(県→事業者。通知の前に発注・契約・支払いをしない)
- 工事をして、期日までに終える(令和8年度は12月31日まで)
- 実績報告書を出す(事業者→県。完了後30日か、令和9年1月29日の早いほうまで)
- 精算払の請求書を出す(事業者→県。金額の確定後)
必要な書類
準備できた 0 / 6
納税証明書は、交付申請の3か月以内に発行されたものです。「県税に未納がないことの証明書」を出します。民泊は、届出番号の通知か標識の写しを出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定通知書の前の発注・契約・支払いは対象外です。
- 実績報告の期日に遅れた:期日までに報告がないと、交付決定を受けても補助金は受け取れません。
- 財産を無断で処分した:単価50万円以上の機械装置などは、耐用年数の期間、県の承認なしに目的外使用や譲渡ができません。取得した財産には、宿泊税活用事業のロゴマーク等も表示します。
- 対象外の経費が混ざった:実績報告の確認で対象外とわかった分は、交付決定の額から引かれます。
よくある質問
令和8年度分は、今から申請できますか?
申請できません。令和8年度は申請額が予算の上限に達し、7月10日で受付が終了しました。郵送の申請も、7月10日までに発送したもの(消印有効)だけでした。次年度以降の公募は予定されているものの、時期や内容は公式ページに載っていません。事業内容の相談は随時受け付けているので、計画の段階で山岳高原観光課に聞く手があります。
民泊でも対象になりますか?
対象になります。住宅宿泊事業法第3条第1項の届出をした民泊の経営者も、旅館業の許可を受けた施設と同じように申請できます。申請のときは、届出番号の通知か標識の写しを出します。外資系の法人でも、許可か届出があれば申請できます。本社が県外でも、宿泊施設が県内にあれば問題ありません。
複数の施設を持っています。施設ごとに申請できますか?
施設単位の申請はできますが、県はできるだけまとめての申請を求めています。上限の250万円は1施設ごとです。敷地内のコテージ5棟をまとめて1件の旅館業許可で受けているなら、5棟で1施設とみなされ、上限は250万円です。申請は1施設につき1回だけで、あとから追加はできません。
空調やLED照明の入れ替えは対象になりますか?
どちらも、更新だけでは対象になりません。空調は今までなかった場所への新設なら認められる場合がありますが、改修や更新は対象外です。蛍光灯のLED化も、本事業をやらなくても切り替えが必要になるため対象外とされています。県のエネルギーコスト削減助成金が使える場合があるので、先にそちらを確かめる手があります。
Wi-Fiやタブレットは対象になりますか?
Wi-Fiは、今までなかった場所への新設に限って認められる場合があります。レストランなど一般客も使う場所は、宿泊客専用と想定できなければ対象外です。PCとプリンターは汎用性が高いため対象外で、タブレットは単体の申請が対象外です。ほかの高付加価値化の取組とあわせて導入するなら認められる余地があります。
他の補助金と併用できますか?
併用先の規則に制限がなければ可能です。ただし同じ事業で国などの補助金を受けるときは、その額を引いた残りが対象経費になります。併用したいときは、申請時に相手の補助金の交付申請書と要綱など、制度がわかる書類を付けます。エネルギーコスト削減助成金などが使える内容は、そちらを優先して使うよう求められています。
見積書は1社分でもいいですか?
単価50万円以上(税抜)の経費は、原則として2者以上の見積書が必要です。契約の相手が特定される場合など、1者にする相当の理由があれば、一者選定理由書を付けて1者のみでも認められます。見積書やカタログには、発行日、発行者、商品名、単価や内訳が必要です。「一式」だけの見積書は、詳しい資料を求められることがあります。
支払いは現金でもいいですか?
原則として銀行振込にします。現金払いは認められません。小切手・手形での支払いも対象外です。代金引換しかできない取引など、やむを得ない場合は納品書、請求書、領収書をそろえて適切に経理処理をします。ポイント、クーポン、商品券、プリペイドカードでの支払いも対象外です(プリペイドカードはチャージ履歴を示せる場合を除きます)。振込手数料は発注先が負担する場合に限り対象です。
補助金はいつ振り込まれますか?
原則は精算払です。事業が終わって実績報告書を出し、県が金額を確定してから、請求書を出して支払われます。事業の途中で必要なときは概算払も使えますが、1事業者につき1回までで、請求日の前日までに支払った分が上限です。実績報告の期日に遅れると、概算払を受けていた場合は全額の返還になります。
補助金でつけた設備は、あとで売ってもいいですか?
自由には売れません。単価50万円以上の機械装置などは、耐用年数の期間、目的外の使用、譲渡、廃棄に県の承認が要ります。承認なしで処分すると、交付の取消しと返還命令(加算金付き)になり得ます。事業承継の場合も返還になることがあるため、将来の譲渡を考えるなら申請前に県へ相談しておくと安心です。
書類はいつまで保管しますか?
事業の完了した年度の終了後5年間です。帳簿と証拠書類を、県から求められたらいつでも見せられるようにしておきます。この期間に県が実地検査をすることもあります。補助事業は区分して経理し、見積から検収、支払いまでの書類を整理しておくと、検査にも対応しやすくなります。
