この補助金は、令和8年10月以降に一部が変わる予定です。長野県は10月2日付で、変更の概要をリーフレットで案内しました。改正後の要綱と様式は「近日中に公開する予定」とされています。 申請を考えているなら、公表済みの内容と変更予定の両方を押さえてください。
制度の中身は、最低賃金を引き上げた中小企業が、設備投資や研修に使った費用を補助するものです。国の業務改善助成金の対象にならない事業者を、県が独自に支えます。申請期限は2027年1月20日です。
長野県 賃上げ環境整備促進補助金の要点まとめ
正式名:賃上げ環境整備促進補助金(基本型・人材育成追加型)
だれが
- 申請者
- 事業者(中小企業の法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 賃上げに合わせた設備投資・人材育成
- 対象地域
- 長野県内に事業場がある事業者
- 従業員数
- 業種ごとの上限あり(本文の表のとおり)
いくら
- 補助上限額
- 基本型は最大960万円、人材育成追加型は最大30万円
- 補助率
- 基本型は3/4〜10/10、人材育成追加型は10/10
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年5月22日〜2027年1月20日
- 事業の完了
- 2027年2月20日まで
令和8年10月からの変更予定
リーフレットに書かれた変更予定は、次の5点です。基本型のほか、人材育成追加型と、業務改善助成金への上乗せ補助金も対象です。
- 賃金引上げのコースが「30・45・60・90円」から「50・70・90円」に変わる
- 引上げの対象労働者が、雇用保険の被保険者だけになる
- 2026年9月1日以降に賃上げした場合、賃上げ後の申請もできる(賃金を引き上げる期間は2027年2月20日まで)
- 交付申請の後であれば、県の承認を得て交付決定前に着手できる(交付の確約ではない)
- 特種用途自動車以外の自動車は、対象外になる
この記事の金額・コース・条件は、公表済みの交付要綱と申請マニュアル(Ver.1.4)にもとづきます。改正後の要綱が出ると、コースの引上げ額(現行は30円以上)や上限額の表が変わる可能性があります。申請の前に、県の案内ページか、審査事務局のBizサポ(050-5805-4878)で最新の要綱を確かめてください。
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
事業場内最低賃金とは、雇入れから6か月たった労働者のうち、事業場でいちばん低い時給のことです。1,112円以上1,500円未満というのは、賃上げする前の額です。引上げ後は、就業規則などで新しい額を下限として定めます。
中小企業の基準は、業種ごとに資本金か労働者数のどちらかで決まります。どちらか一方を満たせば足ります。大企業と密接な関係のある会社(みなし大企業)は除かれます。
| 業種 | 資本金(法人) | 常時使用する労働者数 |
|---|---|---|
| 一般産業(下記以外) | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
2つの宣言は、「社員の子育て応援宣言」(県の制度)と「パートナーシップ構築宣言」(国の制度)です。登録に時間がかかるため、申請時は「宣言を申請したことが分かる確認メール」などで足ります。ただし事業完了期限までに、登録サイトへの掲載が必要です。
次のどちらかに当たると対象外です。
- ✕ 同じ年度に国の業務改善助成金を受給した
- ✕ 引上げ前の最低賃金が1,112円未満
後者でも1,061円以上1,112円未満なら、国の業務改善助成金に県が上乗せする別の補助金(中小企業賃上げ・生産性向上サポート補助金)の対象です。
いくら補助される?
補助額は、実際にかかった費用と「補助対象経費の上限」のうち低い方に、補助率をかけて決まります。上限は、賃上げ額と引き上げる人数で変わります。
補助率は、引上げ前の最低賃金で変わります。宣言をした事業者と、アドバンスカンパニーやくるみんなどの認証を持つ事業者では、後者が高くなります。
| 引上げ前の最低賃金 | 補助率(宣言のみ) | 補助率(認証あり) | 経費の上限 |
|---|---|---|---|
| 1,112円以上1,170円未満 | 9/10 | 10/10 | 80万〜800万円 |
| 1,170円以上1,500円未満 | 3/4 | 4/5 | 80万〜800万円 |
引上げ前が1,169円以下で、引上げ後に1,170円以上になると、経費の上限が2割増え、96万〜960万円になります。引上げ前から1,170円以上の会社は、この加算はありません。1事業者が1年度に受け取れる基本型の合計は、960万円までです。対象経費は、税抜で10万円以上が必要です。
- 引上げ前1,150円の会社が、1人を40円上げて1,190円にし(30円コース)、POSレジなどに100万円かけた:上限96万円 × 9/10 = 86万4千円
- 同じ条件で設備が50万円だった:50万円 × 9/10 = 45万円
- 引上げ前1,200円の会社が、10人以上を90円上げ、設備に1,200万円かけた:上限800万円 × 3/4 = 600万円
最後の例のように、費用が上限を超えると、超えた分は自己負担です。
人材育成追加型は、基本型とあわせて申請する研修費の補助です。補助率は10/10で、上限は引上げ前の最低賃金と認証の有無で変わります。
| 引上げ前の最低賃金 | 宣言のみ | 認証あり |
|---|---|---|
| 1,170円以上1,500円未満 | 22万円 | 24万円 |
| 1,061円以上1,170円未満 | 27万円 | 30万円 |
引上げ前1,150円の会社が研修に20万円かけた場合は、20万円 × 10/10 = 20万円です。上限の27万円には届きません。
何に使える?
対象にならないものから確認します。
- 単なる経費削減が目的のもの(LED電球への交換など)
- 快適化が目的の職場環境の改善(エアコン設置、内装工事、机・椅子の増設など)
- 通常の事業活動の経費(事務所の賃料、光熱費、従業員の賃金、消耗品費、広告宣伝費など)
- 法令で整備が義務づけられていたのに怠っていたものの整備費
- 交付決定の前に発生した費用
- 長野県外で行う事業
- 仕入れに使う原材料費
- 新規事業の開始や、新しい事業場の開設のための設備
- 老朽化・破損した設備を、同じ性能のものに入れ替える費用
- 問合せ機能を付けるだけのホームページ改修(広告宣伝費の扱い)
- 振込手数料、自動車のリース・ローン・保守契約
対象になるのは、生産性の向上に役立つ設備投資などです。
- 機械装置などの購入費(POSレジ、リフト付き特殊車両、在庫・帳票管理システムなど)
- 据付などの造作費
- 国家資格者による経営コンサルティング(顧客回転率を上げる業務フローの見直しなど)
- 外部セミナーの受講費などの人材育成・教育訓練費(上限は税抜50万円)
- 外部講師への謝金(1回税抜10万円まで、5回まで)
- システム開発などの委託費(就業規則の作成・改正は除く)
パソコンは新規購入に限ります。自動車は、乗車定員7人以上か、車両本体価格200万円以下などの条件があります。10月以降は、特種用途自動車以外が対象外になる予定です。
申請の流れ
- 宣言2つの登録を申請する(事業者→各登録先。確認メールなどを保存)
- 交付申請書を出す(事業者→審査事務局のBizサポ。2027年1月20日必着)
- 県の審査を待ち、交付決定を受ける(長野県→事業者。審査は約1か月。現行は決定の前に発注しない)
- 設備を導入し、賃金を引き上げる(事業者。納品と支払いを2027年2月20日までに終える)
- 実績報告書を出す(事業者→Bizサポ。事業完了から30日以内、遅くとも2027年2月26日まで。納品書・領収書の写し、引上げ後の賃金台帳、労働基準監督署の受付印がある就業規則の写しなどを添える)
- 額の確定通知を受け、請求書を出す(長野県→事業者→県。後日、支払われる)
賃金の引上げは、事務局から申請書類の収受の連絡を受けたあとから、事業完了期限までに行います。引上げを2回に分けることはできません。引き上げた賃金は、実績報告書を出すまでに実際に支払う必要があります。補助金の支払い後も、解雇や賃下げがないかを「状況報告」で確認されます。
必要な書類
準備できた 0 / 9
「認証の通知書の写し」は、アドバンスカンパニー、えるぼし、くるみん、ユースエールの認証があり、補助率の高い方を使う場合に出します。見積書は、原則2者以上から同じ条件で取ります。税抜10万円未満の契約は、1者でも構いません。証明書類は、申請前おおむね6か月以内に発行されたものを使います。履歴事項全部証明書は法人のみ、確定申告書は個人事業主のみです。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:現行は、決定の前に発生した費用は対象外です。10月以降の変更は要綱を見てください。
- 期限までに納品と支払いが終わらない:2027年2月20日までに、納品と支払いの両方が必要です。
- 賃上げのあとに解雇や賃下げをした:解雇、退職勧奨、賃金を下げる改定などが不交付の理由になります。
- 同じ年度に国の業務改善助成金を受給した:県の補助金は受けられません。
- 県税に未納がある:国税や市町村税ではなく、長野県税の未納が対象です。
- 同じ経費で、ほかの補助を受けた:国や地方公共団体から同じ経費に補助を受けている場合と、同じ年度に趣旨が同じ補助を受けた場合は、交付されません。公益財団法人などの補助も、同じ設備投資に受けているなら併用できません。
- 交付後に取り消された:不正があると交付決定が取り消され、返還に年10.95%の加算金がつきます。
併用・消費税・基本型とそのほかの補助金
国の業務改善助成金は、対象になる引上げ前の最低賃金が1,061円以上1,112円未満です。この範囲の会社は、国の助成金に県が上乗せする補助金へ進みます。それより高い会社は、この基本型です。国の助成金と基本型を同じ年度に両方受けることはできません。
人材育成追加型は、単独では申請できません。基本型か上乗せ補助金を申請していることが前提です。
消費税は、原則として補助対象経費から除いて計算します。免税事業者や簡易課税事業者などは、税込で計算できます。税込で受け取った場合、仕入控除税額が確定した後に報告が必要で、返還になることもあります。
よくある質問
国の業務改善助成金と両方申請できますか?
同じ年度に両方は受けられません。県の基本型には、同じ年度に国の業務改善助成金を受給していると交付の対象外になるという不交付要件があります。引上げ前の最低賃金が1,061円以上1,112円未満の会社は、国の助成金を受けたうえで、県の上乗せ補助金を申請する形になります。どちらに当たるかは、賃上げ前の最低賃金で決まります。
事業場内最低賃金はどう計算しますか?
時給の場合はそのまま、日給は1日の所定労働時間で割り、月給は1か月の平均所定労働時間で割ります。賞与、割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などは含めません。歩合給がある人は、直近1年間の歩合給を総労働時間で割って、固定給の時給に足します。厚生労働省の最低賃金特設サイトに、比較計算のツールがあります。
宣言を2つとも行っていないと申請できませんか?
基本型は、「社員の子育て応援宣言」と「パートナーシップ構築宣言」の両方が必須です。登録には時間がかかるので、申請時は宣言を申請したことが分かる確認メールや登録フォームの写しで足ります。ただし事業完了期限までに、各サイトへ掲載されている必要があります。掲載が間に合わないと、補助金は交付されません。
人材育成だけを単独で申請できますか?
できません。人材育成追加型は、基本型か、上乗せ補助金を申請していることが前提です。同時の申請も、基本型を申請した後の追加申請も認められています。研修費の補助率は10/10で、上限は最大30万円です。基本型が不交付になった場合や、交付決定が取り消された場合は、追加型も交付されません。
補助額が上限の960万円に届くのはどんなときですか?
引上げ前の最低賃金が1,112円以上1,170円未満で、認証を持つ事業者(補助率10/10)が、引上げ後に1,170円以上にし、90円コースで10人以上を引き上げる場合です。上限は960万円で、その額以上の設備投資をしたときに届きます。宣言のみなら補助率は9/10で、864万円です。
設備は交付決定の前に買ってもいいですか?
現行の申請マニュアルでは、いかなる理由でも事前着手は認められません。交付決定の前に発生した費用は、対象外です。10月以降は、交付申請の後であれば県の承認を得て着手できる予定です。ただし承認は交付を約束するものではありません。改正後の要綱が出るまでは、決定を待って発注するのが安全です。
1,170円以上に引き上げると何が変わりますか?
補助対象経費の上限が2割増えます。たとえば30円コースで1人を引き上げる場合、上限は80万円から96万円になります。90円コースで10人以上なら、800万円から960万円です。引上げ前が1,169円以下で、引上げ後に1,170円以上になる場合に使えます。引上げ前から1,170円以上の会社は、30円コースなら80万円、90円コースで10人以上なら800万円が上限です。補助率は引上げ前の額で決まります。
複数の事業場がある場合はどうなりますか?
同じ事業者が、複数の事業場について申請できます。ただし、1事業者が同じ年度に受け取れる基本型の交付額は、合計960万円が上限です。人材育成追加型も、事業者ごとに年度の合計30万円が上限です。長野県外の事業場での取組は、対象外です。複数の事業場で申請する場合の書き方は、申請書記載例か事務局で確かめてください。合計が960万円を超えそうなら、申請の前に事務局へ相談するのが確実です。
申請書はどこに出しますか?
審査事務局の「長野県賃上げ・業務改善支援センター(長野県Bizサポ)」に出します。原則メールで、郵送も認められています。電話は050-5805-4878で、受付は平日9時30分〜17時30分です。受け付けると2営業日以内に確認メールが届きます。届かなければ事務局に電話してください。制度そのものは、県の労働雇用課(026-235-7201)が窓口です。人材育成追加型は、産業人材育成課(026-235-7202)です。
補助金はいつ支払われますか?
実績報告書を出し、県が額を確定した後です。確定通知が届いたら、通知に書かれた日付・文書番号・確定額を書いた請求書を出します。請求書の審査は原則20日以内で、その後に支払われます。つまり、設備や研修の費用は、先に自社で支払う必要があります。資金繰りを事前に確認してください。
賃金を引き上げた後に解雇があるとどうなりますか?
不交付になるおそれがあります。申請の6か月前から、実績報告の前日または賃上げから6か月を経過した日のうち遅い日までに、解雇や退職勧奨、賃金を下げる改定があった場合が対象です。補助金の支払い後も状況報告で確認されます。やむを得ない事由や、労働者本人に起因する事由による解雇は、除かれています。
10月の変更で、すでに申請した分はどうなりますか?
リーフレットには、すでに申請した分の扱いが書かれていません。10月以降の変更は、基本型・人材育成追加型・上乗せ補助金に共通の予定です。申請の期限(2027年1月20日)は変わりません。これから申請する場合は、改正後の要綱を待つか、Bizサポに電話で確かめるのが確実です。
