建設の技能を継ぐための認定職業訓練に、従業員を通わせる中小建設事業主へ、国が経費と賃金の一部を上乗せして支給します。受講した日は1人あたり3,800円です。単独では使えず、都道府県の補助金か人材育成支援コースの支給決定が前提になります。
認定職業訓練とは、職業能力開発促進法の基準に合うとして都道府県知事が認定した訓練のことです。職業訓練の指導員を養成する指導員訓練も、同じ扱いで対象になります。対象になる訓練科は、支給要領の別表3に載っているものに限ります。
人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)の要点まとめ
正式名:人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)
だれが
- 申請者
- 事業者(中小建設事業主)
- 対象業種
- 建設業
- 利用目的
- 建設関連の認定職業訓練にかかる経費と賃金
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 中小企業事業主に当たること
いくら
- 補助上限額
- 賃金助成は1人1日3,800円
- 補助率
- 経費助成は対象経費の1/6、賃金助成は日額の定額
いつ・どこへ
- 申請受付
- 訓練終了後、定められた期限内
経費助成には上限額がありません。補助率は、都道府県の補助で助成対象になった経費の1/6です。
うちの会社は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
訓練を行う事業主だけでなく、従業員を受講させる事業主も対象です。最後の項目は、どちらの助成を受けるかで変わります。
- 経費助成:都道府県から広域団体認定訓練助成金か認定訓練助成事業費補助金の交付を受けて、認定訓練を実施する
- 賃金助成:認定訓練の施設に労働者を通わせ、人材開発支援助成金(人材育成支援コース)の支給決定を受ける
建設事業主とは、建設労働者を雇って建設事業を行い、雇用保険に加入して雇用管理責任者を選んでいる事業主です。中小企業事業主の資本金と常時雇用者数の基準は、業種ごとに決まっています。自社が当たるかは、労働局で確かめてください。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 一人親方や同居の親族だけで営む
- ✕ 別表3に載らない訓練科を受ける
- ✕ 県の補助も支給決定も受けていない
県の補助を受けていなくても、認定訓練の実施が「人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)」の対象になる場合があります。
いくら支給される?
支給は3種類あります。3つ目の賃金向上助成・資格等手当助成は、賃金助成の支給決定が前提です。
- 経費助成:都道府県の補助で助成対象になった経費の1/6
- 賃金助成:受講した労働者1人につき、受講日数 × 3,800円
- 賃金向上助成・資格等手当助成:1人につき、受講日数 × 1,000円
たとえば次のようになります。金額は計算のための設例です。
- 県の補助の対象経費が120万円の訓練:120万円 × 1/6 = 20万円
- 5人が10日間受講:5人 × 10日 × 3,800円 = 19万円
- 同じ5人で賃金向上助成も受ける:5人 × 10日 × 1,000円 = 5万円
賃金助成と賃金向上助成・資格等手当助成の合計には、上限があります。一つの事業所で、一つの年度(4月1日から翌年3月31日)に1,000万円までです。受講日数に数えるのは、人材育成支援コースの支給対象になった日だけです。
賃金向上助成と資格等手当助成は、訓練開始日の前日から6か月前の日から申請日までに、事業主都合で社員を離職させていないことが条件です。そのうえで、訓練修了の翌日から1年以内に、次のどちらかを満たします。
- 算定対象の全員の毎月の賃金を5%以上増やす
- 資格等手当を就業規則などに定め、全員の賃金を3%以上増やす
何に使える?
対象にならないもの
- 別表3に載らない訓練科の経費や賃金
- 県の補助の対象にならなかった経費(経費助成の場合)
- 人材育成支援コースの支給対象にならなかった日(賃金助成の場合)
- 一人親方の訓練
対象になるもの
- 都道府県の補助で助成対象になった認定訓練の運営経費(消費税相当額を含む)
- 雇用保険の被保険者である建設労働者が受けた、認定訓練の日数分の賃金
経費助成の対象経費は、県の通知で確定した額が基準です。建設関連の訓練とそれ以外の訓練の経費は、書類で分けて示します。
申請の流れ
訓練が終わってからの手続きです。助成の種類で期限が違います。
- 訓練を実施する、または受講させる(事業主→認定訓練の施設。訓練科が別表3に載るか先に確認する)
- 経費助成を申請する(事業主→管轄の労働局。県の精算確定の通知が出た日の翌日から2か月以内)
- 賃金助成を申請する(事業主→管轄の労働局。人材育成支援コースと同じ申請期間内)
- 賃金向上助成・資格等手当助成を申請する(事業主→管轄の労働局。賃金などを支払った3か月目の支払日の翌日から5か月以内)
提出先は、雇用保険の適用事業所を管轄する労働局です。電子申請の場合は、雇用関係助成金ポータルから出します。
必要な書類
経費助成の申請に付ける書類です。
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賃金助成は、人材開発支援助成金の支給申請書の写しなどを付けます。電子申請では、ポータルが指定する対象労働者一覧も要ります。
賃金向上助成・資格等手当助成は、支給決定通知書の写しと確認シート、賃金台帳(改定の前後3か月分)を付けます。賃金要件で申請するときは改定前後の雇用契約書を、資格等手当要件で申請するときは手当を定めた就業規則などを付けます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 経費助成の期限を過ぎた:県の精算確定の通知が出た日の翌日から2か月以内です。通知を受け取った日を控えておきます。
- 前提の支給決定がない:賃金助成は、人材育成支援コースの支給決定がなければ受けられません。賃金向上助成と資格等手当助成は、賃金助成の支給決定が前提です。
- 訓練科が別表3に載っていない:建設関連と認められる訓練科の一覧から外れると、助成の対象になりません。
- 賃金や手当の引き上げを戻した:合理的な理由なく賃金を下げたり、手当をやめたりすると、要件を満たしたと認められません。
- 訓練前後に事業主都合で離職させた:賃金向上助成と資格等手当助成は、この期間の解雇などがあると対象外です。
よくある質問
都道府県の補助金を受けていなくても申請できますか?
経費助成は、都道府県から広域団体認定訓練助成金か認定訓練助成事業費補助金の交付を受けていることが前提です。受けていない場合、経費助成はそのままでは対象になりません。ただし、認定訓練の実施が「人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)」の対象になる場合があります。詳しい条件は、そのコースのリーフレットで確かめてください。
賃金助成だけを単独で申請できますか?
できません。賃金助成は、人材開発支援助成金(人材育成支援コース)の支給決定を受けていることが前提です。その支給決定も、中小建設事業主が認定訓練を行う施設に労働者を通わせる場合に限られます。まず人材育成支援コースの要件を満たし、その申請期間内に、建設労働者認定訓練コースの賃金助成を申請します。
経費助成と賃金助成は、両方受けられますか?
要件を満たせば、両方受けられます。経費助成は都道府県の補助が、賃金助成は人材育成支援コースの支給決定が、それぞれ前提です。片方だけの利用もできます。ただし、申請の期限と提出書類は別々です。経費助成は県の精算確定の通知から2か月以内、賃金助成は人材育成支援コースと同じ申請期間内に出します。
対象になる訓練は、どこで確認できますか?
支給要領の別表3「認定訓練における建設関連の訓練の種類等一覧」に載る訓練課程と訓練科が対象です。厚生労働省の「建設事業主等に対する助成金」のページに、支給要領へのリンクがあります。申請書に書く訓練科目は、労働局がこの別表と照らし合わせて確かめます。判断に迷うときは、先に管轄の労働局に聞いてください。
中小建設事業主とは、どんな事業主ですか?
雇用保険の適用事業所を持つ建設事業主のうち、中小企業事業主に当たる事業主です。「建設の事業」の雇用保険料率が適用される事業主か、建設業の許可を受けて営み、それ以外の保険料率が適用される事業主のどちらかで、雇用管理責任者を選んでいる必要があります。一人親方は含まれません。事業協同組合や職業訓練法人などの団体も、要件を満たせば対象になり得ます。中小企業事業主の範囲は、業種ごとの資本金と常時雇用する労働者数の基準で決まります。自社が当たるかは、支給要領の共通要領か、管轄の労働局で確かめてください。
一人親方や家族経営でも申請できますか?
できません。労働者を雇わずに自分で建設業を営む一人親方は、助成金の事業主に当たりません。同居の親族だけを使って建設事業を営む場合も、原則として労働者を雇っているとは扱われず、対象外です。社員を雇用保険に加入させて雇っている事業主が対象になります。同居の親族の範囲は、六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族です。
経費助成の申請期限はいつまでですか?
訓練が終わったあと、県の補助の精算確定の通知が出た日の翌日から2か月以内です。通知の日付は、県から届く精算確定の通知書で分かります。この通知は、助成金の申請に付ける書類にもなります。届いたらすぐに申請の準備を始め、日付を社内で共有しておくと、期限を過ぎる失敗を防げます。
賃金助成の申請期限はいつまでですか?
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)と同じ支給申請期間内です。固定の日付はなく、人材育成支援コースの訓練の時期で決まります。先に人材育成支援コースの申請期間を確認し、同じ時期に建設労働者認定訓練コースの賃金助成も出します。2つの申請書類を同時に準備しておくと、出し忘れを防げます。
賃金向上助成と資格等手当助成は何が違いますか?
どちらも賃金助成の支給決定が前提で、1人あたり受講日数 × 1,000円が支給されます。違いは条件です。賃金向上助成は、訓練修了の翌日から1年以内に、算定対象の全員の毎月の賃金を5%以上増やします。資格等手当助成は、手当を就業規則などに定め、全員の賃金を3%以上増やします。どちらか一方を満たせば足ります。
助成の合計に上限はありますか?
賃金助成と賃金向上助成・資格等手当助成の合計が、一つの事業所で一つの年度に1,000万円までです。年度は、支給申請の日を基準に4月1日から翌年3月31日までをいいます。経費助成は、この合計の対象に含まれません。経費助成そのものには金額の上限がなく、県の補助の対象経費の1/6が支給されます。
申請はどこへ出しますか?
雇用保険の適用事業所の所在地を管轄する都道府県労働局です。窓口に出すほか、電子申請もできます。電子申請では、雇用関係助成金ポータルの「支給申請書」に入力し、ポータルが指定する一覧を添えます。事業主団体が申請するときは、管轄の労働局に出します。提出方法で迷うときは、労働局の助成金窓口に聞いてください。
熊本地震などの被災で訓練が終わらなかったらどうなりますか?
厚生労働省のページに、令和8年熊本地震への対応が載っています。地震の発生前から始めていた訓練が、被災で修了できなくなっても、助成できる場合があります。該当するときは、自己判断で諦めず、管轄の労働局に相談してください。天災など、事業主の責に帰さない理由で期限内に申請できない場合の取扱いも、支給要領に定められています。
