新しい工場や店舗をつくるとき、いちばん重いのは最初の設備投資です。佐渡の地域資源を使った新規事業なら、その初期費用に、金融機関の融資とセットで助成が出る仕組みがあります。窓口は佐渡市ですが、国(総務省)の交付金を使う制度です。
対象は、佐渡市内に事業所を持つか、これから設ける民間事業者です。助成額は、対象経費から融資額と自己資金を引いた額で、上限は原則3,000万円。融資が助成額の4倍以上あれば最大5,500万円まで上がります。受付は随時ですが、融資が助成額と同額以上でなければ使えません。先に金融機関と佐渡市に相談する順番になります。
佐渡市 地域経済循環創造事業交付金の要点まとめ
正式名:地域経済循環創造事業交付金(ローカル10,000プロジェクト)
だれが
- 申請者
- 民間事業者等(佐渡市内に事業所を持つ・設ける)
- 対象業種
- 指定なし(地域資源を使う新規事業)
- 利用目的
- 新規事業の初期投資(施設・機械・備品)
- 対象地域
- 新潟県佐渡市
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(総合政策課へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- 5,500万円(原則3,000万円。融資次第で上乗せ)
- 補助率
- 対象経費の1/2が最大(融資が助成と同額以上必要)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月1日〜2027年3月31日(随時受付。事前調整が先)
- 事業の完了
- 最長2年度(交付決定を受ける年度から)
うちの事業は対象になる?
次の8つに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 8
次に当たると対象外です。
- ✕ 既存事業の拡大・延長
- ✕ 融資が助成額より少ない
- ✕ 融資元がメガバンクだけ
- ✕ 広告・商品開発費だけの事業
総務省のQ&Aでは、地域密着、地域課題への対応、地域金融機関の融資、新規性、モデル性(地域に前例がなく、同じ課題を抱える他の自治体にも広げられること)の5つを必須要件としています。
「佐渡ならではの資源」は、農林水産物などの地元産品や、伝統産業などの地域の歴史文化が例に挙がっています。耕作放棄地や、歴史的建造物ではない普通の空き家は、地域資源として扱われません。
新規性は、事業者にとって新しい事業かどうかで見ます。飲食業の会社が宿泊業に挑戦する場合は新しい事業にあたります。既存事業の拡大や延長は対象外です。
法人でなくても申請できます。個人事業主、任意団体、これから設立する会社、地域外の企業や大企業も、事業が要件を満たしていれば対象です。
融資元は、新潟県内に本店か支店がある地方銀行・信用金庫・信用組合・農協などと、日本政策金融公庫などです。メガバンク、信金中央金庫、農林中央金庫、商工中央金庫は対象外。つなぎ融資は融資額に数えません。金融機関が経営者に連帯保証人になることを求めるのも認められません。
いくら出る?
助成額は、対象経費から融資額等と自己資金等を引いた額です。融資額等には、金融機関の融資のほか、ふるさと融資、地域活性化ファンドの出資、民間クラウドファンディングで集めた資金も入ります。
助成額の上限は、融資額が助成額の何倍かで決まります。
| 融資額が助成額の… | 助成額の上限 |
|---|---|
| 1倍以上2倍未満 | 3,000万円 |
| 2倍以上3倍未満 | 4,000万円 |
| 3倍以上4倍未満 | 5,000万円 |
| 4倍以上 | 5,500万円 |
融資は助成額と同額以上が条件なので、自己資金がなければ、助成額は最大でも対象経費の半分です。次の例は、自己資金がないものとして計算しています。金額は計算の例です。
- 融資と同額で組む:対象経費4,000万円 × 1/2 = 助成2,000万円(融資2,000万円)
- 4,000万円の区分に届く:助成4,000万円 × 2倍 = 融資8,000万円以上(対象経費は1億2,000万円〜)
- 5,500万円の区分に届く:助成5,500万円 × 4倍 = 融資2億2,000万円以上(対象経費は2億7,500万円〜)
上限の5,500万円まで受けるには、対象経費が2億円台後半の規模になります。
令和8年度から、上限が上がりました。以前の資料にある「原則2,500万円、最高5,000万円」は改正前の数字です。令和8年4月1日以降に交付申請をする事業から、新しい上限が適用されます。
何に使える?
対象にならないものを先に確認します。
- 広告宣伝費、商品開発費、事業分析・再構築費などのソフト経費
- 用地取得費
- 事業者が自分で行う調査研究費
- 振込手数料、各種申請関連経費、収入印紙、各種保険料
- 事業に直接使ったと特定できない一般事務用品
- 既存事業にあたる部分(宿泊業者が宿泊と飲食を新たに始めるなら、飲食の分だけが対象)
ソフト経費は、国庫補助事業の対象に入りません。ローカル10,000プロジェクトには地方単独事業という別の枠があり、広告宣伝費などはそちらの対象になると総務省のQ&Aにあります。佐渡市がその枠を実施しているかは、市のページに書かれていません。ソフト経費を使いたい場合は、総合政策課に聞いてください。
対象になるものは次の4区分です。
- 施設整備費:建物・付属設備・構築物の設計、工事監理、建築工事、修繕、購入
- 機械装置費:機械装置の設計、工事監理、修繕、購入、リース・レンタル(必要な著作権等の無形資産の取得費を含む)
- 備品費:備品の購入、リース・レンタル
- 調査研究費:連携する地域の大学が行う調査研究
設備投資だけを計上しても構いません。対象事業費に下限はありません。対象になるのは、交付決定の日以降から完了報告までに使った経費です。
単価50万円(税抜)以上のものを買うときは、資本関係のない2社以上から見積を取ります。自社施工やグループ会社からの調達は、調達価格に含まれる利益を除いて経費に入れます。
申請の流れ
- 佐渡市に相談する(事業者→総合政策課 政策推進係。事業構想の段階で。電話 0259-63-3802)
- 金融機関と融資の話を進める(事業者→地域金融機関。融資の了解が得られる状態まで。融資の見込みでも申請はできる)
- 実施計画書と見積書をそろえる(事業者→佐渡市。市が総務省に提出する。総務省への提出は毎月末までの扱い)
- 国の審査を待つ(総務省。外部有識者の審査のあと、採択の内定、市への内示)
- 交付申請書を出す(事業者→佐渡市。様式第1号。審査のあと。交付決定は標準で提出の翌々月下旬)
- 事業を行い、実績報告を出す(事業者→佐渡市。様式第7号。完了から20日以内か、交付決定の年度の3月31日の、早いほう)
- 額の確定を受けて、請求する(佐渡市→事業者。確定通知のあとに様式第9号で請求し、支払いは精算払いが原則)
申請は随時受付です。ただし、総務省に出す前に、金融機関と佐渡市との事前調整が必要です。国は事前相談制を取っていて、申請から交付決定までは原則2〜3か月かかります。
国の令和8年度分の提出期限は、令和9年3月31日です。交付決定は予算の範囲内で行うため、申請状況によっては受付が止まることがあります。佐渡市の予算額は、市のページに書かれていません。早めに総合政策課に確認してください。
必要な書類
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実施計画書は総務省の様式で、記載例も公開されています。交付金申請調書は、事業が2年度にわたるときだけ要ります。交付決定前着手届は、やむを得ず交付決定の前に着手するときだけです。誓約書には、事業を適正に実施できること、市税を滞納していないこと、暴力団に該当しないことを書き、事業の期間中と終了後5年間は守る内容です。
実施計画書は、収支計画書、初期投資計画書(経費の区分と、融資・自己資金・公費の内訳)、事業の説明(新規性・モデル性、金融機関との調整状況、事業化後のフォロー体制)からできています。収支計画書は、各年度のキャッシュフロー(収入から経常的な支出を引いた額)が、金融機関への返済予定額を上回るように作る決まりです。
実績報告書には、収支清算書、契約書・請求書・領収書・納品書の写し、完了が分かる写真、融資額が分かる書類を添えます。取得した財産があるときは、取得財産等管理明細表も出します。
電子データでの提出もできます。希望する場合は、総合政策課に電話で連絡します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:原則として、着手(工事等の発注を含む)は交付決定のあとです。例外にするには交付決定前着手届を出します。その場合も、決定までに生じた損失は自己負担で、決定額が申請額に満たなくても異議を申し立てない、決定までは計画を変えない、という条件を承諾することになります。
- 融資が助成額を下回った:融資は助成額と同額以上が前提です。融資額を減らすときは、事前に変更の承認が要ります。
- 事業化で収益が出た:事業の完了した翌年度から5年以内は、収益の状況を報告します。相当の収益が出たと認められると、交付した助成の全部または一部の納付を命じられることがあります。直近3年の決算のいずれかが赤字の場合などは除かれます。
- 取得した財産を勝手に処分した:単価50万円以上の財産は、決められた期間内に、承認なしで目的外の使用、譲渡、貸付、担保提供、取り壊しをできません。担保を設定するときは、交付決定のあと、設定の前に承認を受けます。
- 不正や指示違反があった:交付決定が取り消され、助成の返還を命じられます。返還には年10.95%の加算金がかかります。
令和8年度の変更点と、併用・消費税
令和8年度から、助成の上限が原則2,500万円から3,000万円に、最高額が5,000万円から5,500万円になりました。区分も、1倍以上2倍未満、2倍以上3倍未満、3倍以上4倍未満、4倍以上の4つに変わっています。
令和7年度のうちに実施計画書が総務省に提出されていて、新しい上限だと助成額が下がる事業は、従前の上限が適用される経過措置があります。
国の補助金との重複は、原則として認められません。対象経費と収支を完全に切り分けられる場合は可能です。
消費税の仕入控除税額(課税事業者が仕入れにかかった消費税として差し引ける分)は、減額して申請します。申請の時点で金額が分からないときは、そのまま申請し、確定したあとに報告して、返還を命じられることがあります。
よくある質問
融資を受けずに、交付金だけで申請できますか?
できません。融資額等が助成額と同額以上であることが、必須の条件です。融資は地域金融機関などによる長期の無担保融資で、つなぎ融資は数えません。申請の時点では、融資決定の証明書がなくても申請できますが、金融機関から融資の了解を得ている状態まで調整しておく必要があります。まず金融機関に事業計画を相談してください。
補助率1/2とは、何の割合ですか?
国が自治体に交付する交付金の率です。自治体が事業者に出す助成のうち、国が持つ割合の原則が1/2という意味で、事業者が受け取る割合ではありません。事業者の助成額は、対象経費から融資額等と自己資金等を引いた額です。融資が助成額と同額以上必要なので、自己資金がなければ、助成額は最大でも対象経費の半分になります。
上限5,500万円まで受けるには、どのくらいの融資が要りますか?
融資額が助成額の4倍以上必要です。助成を5,500万円受けるなら、融資は2億2,000万円以上。自己資金がなければ、対象経費は2億7,500万円以上の規模です。助成額が小さければ、必要な融資も小さくなります。たとえば助成が2,000万円なら、融資は2,000万円以上で足り、3,000万円の区分の範囲に収まります。
個人事業主や、これから設立する会社でも申請できますか?
申請できます。総務省のQ&Aでは、株式会社のほか、一般社団法人、NPO法人、漁協や観光協会などの公共的団体、個人事業主、任意団体も可能とされています。新しく立ち上げる会社も申請できます。ただし、佐渡市内に店舗、工場、事業所、事務所等を持つか、設ける予定があること、市税の滞納がないことが条件です。
佐渡市の外にある会社や、大企業でも申請できますか?
事業が要件を満たしていれば、地域外の企業や大企業も申請できます。ただし、佐渡市の制度として使うには、市内に店舗、工場、事業所、事務所等を持つか、設ける必要があります。また、事業は地域の資源を使った地域密着型で、事業者にとって新しい事業である必要があります。計画が要件に合うかは、総合政策課に相談して確かめてください。
既存の事業を広げる場合や、改装だけでも対象になりますか?
既存事業の拡大や延長にあたる内容は、対象になりません。対象は、事業者にとって新しい事業の初期投資です。複合事業の場合は、新しい事業の部分だけが対象になります。たとえば、宿泊業者が宿泊と飲食を新たに始めるなら、対象は飲食事業の分だけです。古民家などを持っていて改修だけをする場合、その建物は担保設定の対象にもなりません。
融資に担保は必要ですか?
原則として、担保のない無担保融資が対象です。ただし、この交付金事業で新築または購入する財産には、担保を設定できます。既に持っている古民家を改修するだけの場合、その建物には設定できません。保証は付けられますが、金融機関が経営者に連帯保証人になることを求めるのは認められません。担保を設定するときは、交付決定のあと、設定の前に承認を受けます。
申請の締切はいつですか?
佐渡市は随時受付で、締切の日付は示されていません。国の令和8年度分の提出期限は、令和9年3月31日です。ただし、交付決定は予算の範囲内で行うため、申請状況によっては受付が止まることがあります。総務省に出す前に、金融機関と佐渡市との事前調整が必要です。事業を始めたい時期から逆算して、早めに市に相談してください。
申請から交付決定まで、どのくらいかかりますか?
国は、申請から交付決定まで、原則2〜3か月としています。標準のスケジュールは、実施計画書等の提出の翌月から外部有識者の審査、翌々月の中旬に採択の内示と交付申請、翌々月の下旬に交付決定です。審査の状況によっては、これより遅くなります。この前に、市への相談と金融機関との融資の協議があるので、その期間も見込んでおく必要があります。
交付決定の前に工事を始めてもいいですか?
原則として、交付決定のあとに着手します。工事などの発注も着手にあたります。やむを得ない事情がある場合だけ、交付決定前着手届を出せば、交付決定の前に着手できます。たとえば、輸入した機械装置の納品に時間がかかり、年度内に完了するために先に発注が要る場合などです。事前着手を考えているなら、必ず先に相談してください。
事業の期間は何年ですか?
交付を受けようとする年度を含めて、最大2年です。2年にわたる場合も、事業計画書は全体で作ります。交付申請、契約、実績報告、支払いは、1年目と2年目で分けます。対象経費も各年度で切り分けます。年度をまたぐ工事の契約を結び、1年目は前金払いだけ、という形は認められません。1年目は設計、2年目は建築工事、といった分け方が例に挙がっています。
事業が成功したら、助成金を返すことになりますか?
返すことがあります。事業の完了した翌年度から5年以内は、収益の状況を市に報告します。相当の収益が出たと認められると、交付した助成の全部または一部に相当する金額の納付を命じられることがあります。ただし、直近3年間の決算のいずれかが赤字の場合や、対象経費の内容に再投資して公益への貢献が認められる場合は、この限りではありません。
