失業保険(基本手当)の期間の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険・失業給付) |
| 対象者 | 個人(離職して求職中の方) |
| 対象地域 | 全国 |
| 支給される期間の目安 | 90日〜360日(所定給付日数。年齢・被保険者期間・離職理由で決まる) |
| 受け取れる期限 | 原則、離職日の翌日から1年間(この期限を過ぎると日数を残していても打ち切り) |
| 一般の離職者(自己都合・定年等) | 90日〜150日 |
| 特定受給資格者(倒産・解雇等) | 90日〜330日 |
| 就職困難な方(障害者等) | 150日〜360日 |
| 延長できる場合 | 病気・妊娠・育児等で30日以上働けないときは受給期間そのものを最大3年延長できる |
| 公式サイト | ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 |
離職してハローワークに行くと、「所定給付日数」という言葉に必ず出会います。失業保険がもらえる期間は一律ではなく、年齢・雇用保険に入っていた期間・辞めた理由の3つで90日から360日まで変わります。この記事では「自分は何日分もらえるのか」を表で確認できるようにし、あわせて「1年」という受給期限の注意点を解説します。
被保険者期間の要件(そもそも受給できるかどうか)は「失業手当 条件」の記事で、金額の計算方法は「失業手当 いくら」の記事で詳しく解説しています。
所定給付日数はどう決まるか
所定給付日数とは、基本手当を受け取れる最大の日数のことです。厚生労働省の業務取扱要領では、次の3つの区分で日数を分けています。
- 一般の受給資格者(自己都合退職・定年退職・契約期間満了など)
- 特定受給資格者・特定理由離職者(倒産・解雇・雇止めなど、本人の落ち度でない離職)
- 就職困難な方(身体障害者・知的障害者・精神障害者など)
同じ「10年間働いて自己都合で辞めた45歳」でも、倒産による離職なら日数が大きく変わります。まずは自分がどの区分に当てはまるかを、下の表で確認してください。
どれに当てはまるか(所定給付日数の一覧表)
一般の受給資格者(自己都合・定年・契約期間満了等)
被保険者期間だけで日数が決まり、年齢は関係ありません。
| 被保険者期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 所定給付日数 | 90日 | 120日 | 150日 |
特定受給資格者・特定理由離職者(倒産・解雇・雇止め等)
年齢と被保険者期間の組み合わせで決まります。倒産・解雇による離職のほか、2027年3月31日までに離職した一部の「更新を希望したのに雇止めにあった」方(特定理由離職者)も、暫定的にこの表が適用されます。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | — |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
45歳以上60歳未満で被保険者期間20年以上の方が最も手厚く、330日(1年近く)受け取れます。一方、30歳未満は被保険者期間が20年に達すること自体がまず無いため、「20年以上」の欄は用意されていません。
就職困難な方(身体障害者・知的障害者・精神障害者など)
| 離職時の年齢 | 被保険者期間1年未満 | 被保険者期間1年以上 |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
就職困難な方は、就労が可能な状態にある身体障害者・知的障害者・精神障害者などが対象です。受給資格を決定する時点でこの状態にあることが確認できれば、一般の区分よりずっと長い日数が設定されます。
具体例で確認する
- Aさん(32歳、同じ会社に7年勤務、自己都合退職): 一般の受給資格者に該当し、被保険者期間10年未満なので90日
- Bさん(48歳、同じ会社に15年勤務、会社都合の解雇): 特定受給資格者に該当し、45歳以上60歳未満・10年以上20年未満なので270日
- Cさん(58歳、同じ会社に22年勤務、定年退職): 定年退職は一般の受給資格者の扱いなので、年齢に関わらず被保険者期間20年以上の150日(倒産・解雇ではないため特定受給資格者の表は使えません)
自分はどのパターンに当てはまるか(早見の場合分け)
3つの表を行き来するより先に、まず自分がどの列に入るかを絞り込むと早いです。
| あなたの状況 | 見るべき表 | 日数の目安 |
|---|---|---|
| 会社都合ではなく、自分の意思で退職した | 一般の受給資格者 | 90日〜150日(被保険者期間のみで決まる) |
| 会社の倒産・解雇・大幅な賃金未払いで辞めた | 特定受給資格者 | 90日〜330日(年齢×被保険者期間で決まる) |
| 契約更新を希望したのに雇止めにあった | 特定理由離職者(暫定的に特定受給資格者と同じ表) | 90日〜330日 |
| 障害者手帳を持っている、または同等の状態にある | 就職困難な方 | 150日〜360日 |
| 離職票の離職理由に納得がいかない | 実態を確認したうえで該当する表を再検討 | ハローワークで異議を申し立てられる |
迷ったら「一般」より条件のよい表に当てはまらないかを先に疑うことが実務上のポイントです。特定受給資格者・特定理由離職者・就職困難な方はいずれも一般の受給資格者より日数が手厚いため、思い込みで「自己都合だから90日」と決めつけると、本来もらえる日数を取りこぼします。
特定受給資格者・特定理由離職者に当てはまるか
期間が大きく変わる分かれ目は「一般の離職者」か「特定受給資格者・特定理由離職者」かです。ここを勘違いしたまま手続きを進めると、本来もらえるはずの日数より少ない日数で決定されてしまうことがあります。
特定受給資格者になりやすい離職理由
- 会社の倒産、事業所の廃止
- 解雇(本人の重大な責めに帰すべき理由による解雇を除く)
- 賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった
- 離職前6か月のうちに、時間外労働が1か月100時間超、または連続する2か月平均で80時間超
- 退職勧奨を受けた、いわゆる「肩たたき」にあった
特定理由離職者になりやすい離職理由
- 有期契約が満了し、本人が更新を希望したが更新されなかった(雇止め)
- 体力の不足、心身の障害、疾病・負傷により働き続けることが困難
- 妊娠・出産・育児による離職
- 家族の看護・介護のため、家庭の事情が急変した
会社が「自己都合」と処理していても、実態が解雇や長時間労働による離職なら、特定受給資格者として扱われる可能性があります。離職票の記載と実態が食い違うと感じたら、タイムカードや退職勧奨のメールなど、客観的な資料を持ってハローワークに相談してください。判定は事業主の判断だけでなく、ハローワークが離職者の申立ても踏まえて行います。
「みなし特定受給資格者」の暫定措置
2027年3月31日までに離職した特定理由離職者のうち、契約更新を希望していたのに雇止めにあった方は、暫定的に特定受給資格者とみなして所定給付日数が決定されます。この暫定措置は法律上の期限が定められているため、離職時期によって扱いが変わる可能性がある点も押さえておいてください。
受給期間は原則「離職の翌日から1年」
所定給付日数と混同しやすいのが「受給期間」です。所定給付日数が何日残っていても、離職日の翌日から1年を過ぎると基本手当は支給されません。
たとえば所定給付日数が150日ある方でも、離職後にハローワークへの求職申込みが遅れ、実際の受給開始が遅くなると、1年の期限内に150日ぶんを消化しきれないことがあります。早めにハローワークで手続きを始めることが、日数を無駄にしないための最初のポイントです。
なお、所定給付日数が330日・360日と多い方は、1年間では消化しきれない可能性があるため、受給期間が「1年+30日」「1年+60日」に自動的に延びる仕組みになっています。
受給期間を延長できる場合
次のような事情で30日以上働けない状態が続くときは、本人の申出により受給期間そのものを最大3年間(合計4年間)延長できます。
- 病気やケガ
- 妊娠・出産・育児
- 親族の介護
- その他やむを得ない理由
この延長は「所定給付日数を増やす」ものではなく、「1年」という受け取れる期限を先に延ばすものです。たとえば出産・育児で1年半働けない場合、その分だけ受給期間の始期をずらせるので、育児が落ち着いてから改めて基本手当を受け取れます。申出はハローワークで行い、原則として働けなくなった日の翌日から30日を経過した後、早めに手続きする必要があります。
病気・ケガで働けない期間は「傷病手当」に切り替わることもある
求職の申込みをした後、15日以上引き続き病気やケガで働けない状態になった場合、基本手当の代わりに「傷病手当」を受け取れます。傷病手当は基本手当の日額と同じ金額で計算され、所定給付日数の範囲内で支給される点が、受給期間そのものを延ばす「延長」とは仕組みが異なります。
- 働けない日数が14日以内: そのまま基本手当の対象として扱われます
- 働けない日数が15日以上: 傷病手当の対象になります(所定給付日数の枠内で支給)
- 働けない状態が30日以上続く見込み: 傷病手当ではなく、受給期間そのものを延長する手続きを選ぶこともできます
同じ「病気で働けない」状況でも、日数の見込みによって傷病手当と受給期間延長のどちらを使うべきかが変わります。長引きそうな場合は、早めにハローワークで相談し、どちらの手続きが自分に合っているか確認してください。
給付制限期間と待期期間の違い
「期間」という言葉が指すものは所定給付日数・受給期間だけではありません。実際に振込みが始まるまでの待期期間・給付制限期間も、失業保険の「期間」を理解するうえで欠かせない要素です。
- 待期期間(7日間): 離職理由を問わず、受給資格の決定後、失業の状態が7日間続かないと支給が始まりません。この7日間はすべての受給者に共通です
- 給付制限期間: 自己都合退職の場合、待期期間の満了後にさらに給付制限がかかります。2025年4月の改正で、原則2か月から原則1か月に短縮されました。ただし、離職日からさかのぼって5年間のうちに3回以上、自己都合退職で受給資格の決定を受けている場合は、従来どおり3か月の給付制限が課されます
- 教育訓練を受けると給付制限が解除される場合がある: 離職期間中や離職日前1年以内に、雇用の安定・再就職に資する教育訓練を受けた方は、2025年4月1日以降の要件を満たせば給付制限そのものが解除されます
特定受給資格者・特定理由離職者には、原則としてこの給付制限がかかりません。同じ所定給付日数でも、給付制限の有無で実際にお金を受け取れるようになるタイミングが1〜3か月変わります。
申請の流れ(期間の観点から)
- 離職票の到着(退職後おおむね10日〜2週間): 会社が手続きした離職票が自宅に届きます。届かない場合は会社かハローワークに確認してください
- 求職の申込み・受給資格の決定: 離職票を持ってハローワークへ行った日が起点です。ここで所定給付日数と受給期間が確定します
- 原則7日間の待期期間: 受給資格の決定後、失業の状態が7日間続かないと支給が始まりません。全受給者に共通です
- 給付制限期間(自己都合退職の場合のみ): 待期期間の満了後、原則1か月(2025年4月以降)
- 初回の失業認定日: 受給資格決定日からおおむね4週間後です。以降は4週間に1度認定を受けます
- 初回振込: 認定日から1週間前後で指定口座に振り込まれます
- 所定給付日数ぶんを消化するか、離職日の翌日から1年(延長がある場合はその期間)が経過すると受給終了
給付制限がある自己都合退職では、離職から初回振込までの目安はおよそ2か月半〜3か月かかります。会社都合(特定受給資格者)で給付制限がなければ、1か月〜1か月半程度に短縮されます。退職前から生活費の見通しを立てておくことが実務上のポイントです。
期間で損をする・短くなる要因
- 求職申込みが遅れる: 受給期間の起算日は離職日の翌日で固定されており、手続きが遅れた分だけ実際に使える期間が短くなります
- 失業の認定日を無断で休む: 認定日にハローワークへ行かないと、その期間は原則として基本手当が支給されません
- 1年の受給期間内に日数を使い切れない: 延長手続きをしないまま療養等で長期間求職活動ができないと、残日数があっても受給権が消滅します
- 離職理由の判定が確定するまで時間がかかる: 会社と本人の離職理由の主張が食い違う場合、特定受給資格者に該当するかどうかの認定に時間がかかり、結果的に所定給付日数の決定が遅れることがあります
- 給付制限中に就職が決まり、そのまま働き始める: 給付制限期間中の求人応募や採用面接自体は問題ありませんが、実際に就労を開始すると「就職」扱いになり、その時点で基本手当の受給資格そのものが終了します。給付制限が明ける直前に採用が決まった場合でも、就労開始日以降の基本手当は支給されません。ただし条件を満たせば再就職手当の対象にはなります
- アルバイトの申告漏れが不正受給と判断される: 給付制限期間中・受給中を問わず、就労した事実や収入を失業認定申告書に記載しないと、日数の計算以前に不正受給として扱われ、それまで受け取った基本手当の返還に加え、悪質な場合は返還額と同額以下の納付を命じられることがあります
よくある質問
自己都合退職でも特定受給資格者の日数表が使えますか?
原則として使えません。特定受給資格者は倒産・解雇など会社都合の離職が対象です。ただし、賃金の未払いや長時間労働、有期契約の雇止めなど「正当な理由のある自己都合退職」に該当する場合は、特定理由離職者として扱われ、同じ表が適用されることがあります。該当するかどうかはハローワークで確認してください。
所定給付日数を使い切る前に就職が決まったらどうなりますか?
残った日数に応じて「再就職手当」を受け取れる場合があります。所定給付日数を多く残して早期に再就職するほど、再就職手当の給付率は高くなる仕組みです。詳しい支給要件はハローワークで確認してください。
60歳で定年退職した場合、所定給付日数は他の年齢より優遇されますか?
定年退職は一般の受給資格者の扱いになるため、特定受給資格者向けの手厚い表は適用されません。60歳以上65歳未満で特定受給資格者に該当する離職(解雇等)であれば、150日〜240日の表が使えます。
受給期間の延長を忘れて1年を過ぎてしまったら、日数が残っていてももらえませんか?
原則としてもらえません。受給期間の延長は「働けなくなった日の翌日から30日経過後」に申出が必要で、この手続きをしないまま1年が経過すると、所定給付日数を残していても受給権は消滅します。体調不良や育児などで働けない期間が生じそうな場合は、早めにハローワークへ相談してください。
転職を繰り返していて雇用保険の加入期間が通算されるか不安です。日数はどう数えますか?
同一の事業主のもとで引き続き雇用された期間のほか、離職から次の就職までが1年以内であれば、前の会社での被保険者期間も通算されるのが原則です(基本手当を受給していない場合に限ります)。詳細な通算のルールは個別の履歴によって異なるため、ハローワークで確認してください。
給付制限期間中に短期のアルバイトをしても大丈夫ですか?
給付制限期間中の就労自体は禁止されていませんが、内容によっては「就職」とみなされ、その後の基本手当の受給に影響することがあります。また、給付制限期間中に得た収入の申告漏れは不正受給とみなされるおそれがあるため、就労の予定がある場合は事前にハローワークへ相談してください。
特定受給資格者に該当するかどうかは、いつの時点で判定されますか?
離職時の年齢と、離職日までの被保険者期間(算定基礎期間)で判定されます。離職理由の認定自体は、離職票の提出後、初回の失業認定日までに行われるのが一般的です。事業主との主張が食い違う場合は、確認に時間がかかることがあります。
就職困難な方(障害者手帳がある場合等)は、いつの時点で該当を判定されますか?
受給資格を決定する時点で、就労が可能な状態にある身体障害者・知的障害者・精神障害者等に該当するかどうかで判定されます。手帳の有無だけでなく実際の就労可能性も見られるため、該当しそうな場合は障害者手帳等の書類を持ってハローワークの窓口で確認してください。
給付制限期間中に就職が決まった場合、所定給付日数はどうなりますか?
給付制限が明ける前に就労を開始すると、その時点で失業の状態ではなくなるため基本手当の受給資格は終了し、日数を消化する前でも打ち切りになります。ただし所定給付日数を一定以上残して早期に再就職した場合は、残日数に応じた「再就職手当」を受け取れることがあるため、就職が決まったら早めにハローワークへ申し出てください。
認定日に体調不良で行けなかった場合、その回の所定給付日数は消滅しますか?
やむを得ない理由があれば、証明書類(診療明細書等)を提出することで、後日認定を受けられる場合があります。ただし無断で認定日を欠席すると、その期間分は原則として支給されず、日数を残したまま受給期間の1年が経過すると打ち切りになります。事前または事後速やかにハローワークへ連絡することが重要です。
