失業保険(雇用保険の基本手当)がもらえる日数は、90日から360日までの幅があります。決まり方は離職日の年齢と雇用保険に入っていた期間と離職の理由で、同じ45歳で10年勤めた人でも、自己都合なら120日、会社都合の解雇なら270日です。
もうひとつ見落としやすいのが「受給期間」です。基本手当を受け取れる期限は原則として離職日の翌日から1年間です。日数が残っていてもこの期限を過ぎると支給は止まります。
この記事では「何日もらえるか」「いつまでに使い切るか」「期限を延ばせるのはどんなときか」の3つに絞って、厚生労働省とハローワークの公式情報で整理します。金額の計算はいくらもらえるかを扱った記事、支給が始まる時期はいつからもらえるかを扱った記事で詳しく扱っています。
失業保険の期間の要点まとめ
「期間」と呼ばれるものは3種類あります。どれを指して調べているのかで、見る場所が変わります。
| 呼び方 | 意味 | 長さの目安 |
|---|---|---|
| 所定給付日数 | 基本手当を受け取れる最大の日数 | 90日〜360日 |
| 受給期間 | 所定給付日数を使える期限 | 原則、離職日の翌日から1年(延長すると最長で3年加算) |
| 待期期間・給付制限 | 受給手続のあと、支給が始まらない期間 | 待期は7日、自己都合の給付制限は原則1か月 |
一般の離職者(自己都合・定年退職など)は90日〜150日で、倒産・解雇などの特定受給資格者は90日〜330日、就職困難者は150日〜360日です。65歳以上は別の制度(高年齢求職者給付金)になり、30日分か50日分の一時金になります。
失業保険は何ヶ月・何日もらえるか
厚生労働省のハローワークインターネットサービスは、所定給付日数を「受給資格に係る離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などによって決定され、90日~360日の間でそれぞれ決められます」と説明しています。月数に直すと、最短で3か月、最長で12か月です。
どの表を見るかは離職の理由で決まります。自分がどの区分かをまず確かめてから、表に進んでください。
| 離職の理由 | 区分 | 日数 |
|---|---|---|
| 自己都合・定年退職・懲戒解雇など | 一般の離職者 | 90日〜150日 |
| 倒産・解雇・退職勧奨など | 特定受給資格者 | 90日〜330日 |
| 契約が更新されなかった(更新を希望した場合) | 特定理由離職者(暫定で特定受給資格者と同じ表) | 90日〜330日 |
| 正当な理由のある自己都合(病気・家庭の事情など) | 特定理由離職者 | 90日〜150日 |
| 障害者手帳を持つなど、就職が難しい | 就職困難者 | 150日〜360日 |
一般の離職者(自己都合・定年退職など)
年齢は関係なく、雇用保険の被保険者であった期間だけで決まります。
| 被保険者であった期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 所定給付日数 | 90日 | 120日 | 150日 |
1年未満の欄は特定理由離職者だけが使えます。一般の離職者は離職前2年間に12か月以上の被保険者期間が要るためです。
特定受給資格者と、一部の特定理由離職者
年齢と被保険者であった期間の組み合わせで決まります。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | なし |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
いちばん長い330日は45歳以上60歳未満で被保険者であった期間が20年以上の人です。30歳未満の「20年以上」の欄が空いているのは、20年に達すること自体がまずないためです。
就職困難者(障害者など)
| 離職時の年齢 | 被保険者であった期間1年未満 | 1年以上 |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
具体例で確かめる
- 32歳で同じ会社に7年勤めて自己都合で辞めた場合は、一般の離職者で10年未満なので90日です。
- 48歳で15年勤めて解雇された場合は、特定受給資格者で45歳以上60歳未満、10年以上20年未満なので270日です。
- 58歳で22年勤めて定年退職した場合は、一般の離職者で20年以上なので150日です。
- 28歳で2年勤めた有期契約が更新を希望したのに更新されなかった場合は、特定理由離職者です。離職日が令和9年3月31日までなら特定受給資格者と同じ表が使え、30歳未満で1年以上5年未満の90日になります。
- 50歳で障害者手帳を持ち、被保険者であった期間が5年の場合は、就職困難者で360日です。
年齢は離職日の時点で数えます。35歳・45歳・60歳をまたぐ直前に辞めるかどうかで、行の区分が変わることがあります。
自己都合と会社都合で期間はどう違うか
違いが出る理由は会社都合(特定受給資格者)のほうが、再就職の準備をする時間がないまま離職する人として手厚く扱われるためです。ハローワークは「一般の離職者に比べ手厚い給付日数となる場合がある」と案内しています。
10年以上20年未満勤めた人で比べると、自己都合は一律120日です。会社都合は30歳未満で180日、35歳以上45歳未満で240日、45歳以上60歳未満で270日になります。
特定受給資格者の範囲はハローワークの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」に載っています。主なものは次のとおりです。
- 倒産や事業所の廃止、事業所の移転で通勤が難しくなった離職
- 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)
- 賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった離職
- 賃金が85%未満に下がった離職
- 離職前6か月に、連続3か月で45時間、1か月で100時間、連続2か月以上の平均で80時間を超える時間外労働があった離職
- 事業主から退職するよう勧められた離職(恒常的な早期退職優遇制度への応募は含まれません)
- 上司や同僚からの嫌がらせや、ハラスメントを事業主が放置したことによる離職
特定理由離職者は契約更新を希望したのに更新されなかった人と、病気・家族の看護・結婚に伴う転居・通勤が難しくなったといった正当な理由のある自己都合の人です。前者は暫定措置で特定受給資格者と同じ日数表になります。ハローワークのページにはこの暫定措置の対象を「令和9年3月31日までの間に離職した方」と書いてあります。それ以降の扱いは確認できませんでした。離職が近い人は窓口で確かめてください。
定年退職・契約期間満了・雇い止めの場合
定年退職
定年退職は一般の離職者の扱いです。被保険者であった期間が20年以上なら150日、10年以上20年未満なら120日、10年未満なら90日です。年齢が60歳を超えていても解雇などではないので特定受給資格者の表は使えません。
定年後すぐに働く予定がなく、しばらく休みたい人は、先に述べる受給期間の延長を使います。離職日の翌日から2か月以内に申請すれば、最大で1年間、受給期間を延ばせます。
契約期間満了・雇い止め
契約期間満了で辞めた場合は本人が更新を希望したかどうかで分かれます。
- 更新を希望したのに更新されなかった場合は、特定理由離職者です。暫定措置で特定受給資格者と同じ表になります。
- 更新が3年以上続いたあとに更新されなかった場合や、契約時に更新すると明示されていたのに更新されなかった場合は、特定受給資格者そのものです。
- 本人が更新を希望しなかった場合は一般の離職者(90日〜150日)です。
契約書に「更新する場合がある」と書いてあるだけでも、特定理由離職者の基準に当たります。契約書と離職票の離職理由の欄を、手続の前に見比べておくと安心です。
65歳以上の場合は一時金になる
離職した時に65歳以上の高年齢被保険者は、基本手当ではなく「高年齢求職者給付金」の対象です。被保険者であった期間が1年以上なら基本手当日額の50日分、1年未満なら30日分が、失業の認定1回で支払われます。
64歳と65歳で、受け取れる額が大きく変わります。たとえば被保険者であった期間が10年以上20年未満の人が自己都合で辞めた場合、64歳なら基本手当で120日分、65歳なら一時金で50日分です。年齢は離職日で決まります。退職日を決める前に、誕生日との前後関係を確かめてください。
高年齢求職者給付金には受給期間を延ばす制度が使えません。
障害者・就職困難者の日数は150〜360日
就職困難者は身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を持っている人などです。厚生労働省のQ&Aは手帳を持つ人は受給手続の時に持参するよう案内しています。一般の離職者より日数が長いので、手帳を持っているのに申し出ないと、本来の日数より短く決まる可能性があります。
就職困難者の表は1年未満なら150日、1年以上なら45歳未満で300日、45歳以上65歳未満で360日です。360日の人は受給期間が1年と60日になります。
被保険者期間の数え方と、通算・合算
日数の表を引くには雇用保険の被保険者であった期間が要ります。受給できるかどうかの条件にも同じ期間が使われます。
- 一般の離職者は離職前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上必要です。
- 特定受給資格者と特定理由離職者は離職前1年間に通算して6か月以上あれば受給資格を得られます。
- 賃金を支払った日数が11日以上ある月(または賃金の支払の基礎になった時間数が80時間以上ある月)を、被保険者期間1か月として数えます。
厚生労働省のQ&Aによると、離職から1か月ごとに区切った期間で数え、11日以上の月が1か月です。端数の期間は15日以上あり、かつ賃金の支払日数が11日以上なら、2分の1か月として加えます。
転職していて会社が複数ある場合も離職前の期間を通算します。前の会社と今の会社の期間を合算して、2年間に12か月あれば足ります。ただし過去に基本手当(再就職手当を含む)や特例一時金を受けたことがあれば、その支給を受けたあとの期間しか数えません。
前の会社を辞めたあと、基本手当や再就職手当などを受けないまま1年以内に次の会社で雇用保険に入った場合は、前の会社で加入していた期間も通算されます。厚生労働省のQ&Aの説明です。
日数の表に使う「被保険者であった期間」も、同じ考え方で数えます。ただし表の区分(5年・10年・20年)の細かな数え方は、公式ページに詳しい記載がありませんでした。境目に近い人は離職票を持ってハローワークで確かめてください。
病気、けが、出産、育児などで30日以上賃金を受けられなかった期間があれば、その日数を2年間(倒産・解雇などは1年間)に足して判断します。足したあとの期間は最長で4年間です。
受給期間は離職日の翌日から1年が原則
所定給付日数と混同しやすいのが受給期間です。受給期間は「日数を使える期限」で、原則として離職日の翌日から1年間です。
この期限を過ぎた日以後は日数が残っていても基本手当を受けられません。厚生労働省のQ&Aにも「所定給付日数分を受給し終わっていなくても、その日以後、支給を受けることはできません」と書かれています。
具体例で見ます。9月30日に離職して、所定給付日数が150日の人は、受給期間が翌年の9月30日までです。手続が離職の3か月後でも待期7日と給付制限1か月を挟んで、期限の前に150日を使い切れる計算です。一方離職から10か月後に手続をした自己都合の人は、待期7日と給付制限1か月を挟むと、期限までに使える日が1か月に届きません。
所定給付日数が330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日が受給期間になります。1年では使い切れないので、そのぶん長く設定されています。
退職して手続を後回しにすると、受け取れる日数が削られます。離職票が届いて、すぐ就職しないなら、速やかにハローワークへ行ってください。離職票は会社が離職日の翌々日から10日以内に手続をして発行します。それを過ぎても届かない場合はまず会社に処理状況を確認します。それでも動かなければ、退職したことが分かる書類を持ってハローワークに相談できます。
受給期間を延長できる場合
病気・けが・妊娠・出産・育児などで働けないとき
離職日の翌日から1年の間に、病気・けが・妊娠・出産・育児などの理由で、引き続き30日以上働けなくなったときは、受給期間を延長できます。延ばせるのは働けなかった日数分です。上限は最長3年で、本来の1年と合わせて最大4年になります。
所定給付日数が330日と360日の人は、延ばせる上限が「3年−30日」「3年−60日」になります。
延長は日数を増やす制度ではありません。基本手当を受け取れる期限を後ろにずらして、働ける状態になったあとに受け取れるようにする制度です。
病気の種類はうつ病などの精神疾患でも変わりません。厚生労働省のQ&Aが求めるのは「延長の理由を証明する書類(例えば医師の証明書等)」で、病名の指定は読み取れませんでした。診断書で就労が難しいことが分かるかどうかをハローワークが判断するので、事前に窓口へ相談しておくのが確実です。
不妊治療も対象になりえます。医師の診断書だけでは就労が難しいかどうかが分からない場合は、治療に専念してしばらく働けない状態であることを伝えれば、延長の手続ができると厚生労働省は説明しています。妊娠に至った場合は妊娠・出産・育児の期間と続けて、最大4年まで延長できます。
延長申請の期限と書類
延長申請は30日以上働けなくなった日の翌日以降、早いうちに出すのが原則です。延長後の受給期間の最後の日までなら出せます。ただし遅くなると全日数を使い切れない可能性があるので、早めがよいです。
受給手続がまだなら、持っていく書類は次のとおりです。
- 離職票-2(複数ある場合は全部)
- 受給期間延長申請書
- 延長の理由を証明する書類(医師の証明書など)
すでに受給手続をしているなら、離職票の代わりに雇用保険受給資格者証を出します。申請は郵送や、委任状のある代理人でもできます。入院中でハローワークへ行けない場合の窓口は、住所を管轄するハローワークです。
延長した受給期間は働ける状態に戻ったらハローワークで手続をして、基本手当の受給を始めます。
定年退職などで、しばらく休みたいとき
定年などで退職して、しばらく求職の申込みをしない人も、受給期間の延長ができます。離職日の翌日から2か月以内に申請します。延ばせる期間は最大で1年です。
離職後に事業を始めたとき
離職後に事業を始めた人や、事業の準備に専念し始めた人は、事業の実施期間を受給期間に入れない特例を申請できます。最大3年で、事業の開始日などの翌日から2か月以内の申請が条件です。ほかにも事業の実施期間が30日以上であること、就業手当や再就職手当の支給を受けていないことなどの要件があります。
傷病手当との違い
受給手続のあとで、病気やけがのため15日以上続けて働けなくなった場合は、基本手当の代わりに傷病手当を受けられます。日額は基本手当と同額です。働けない期間が14日以内なら、基本手当の対象になります。
傷病手当は所定給付日数の範囲内で支給されます。待期期間や給付制限期間の日は対象外で、健康保険の傷病手当金などが出る場合も受けられません。
働けない期間が30日以上になりそうなときは、傷病手当ではなく受給期間の延長を選べます。どちらが合うか迷う場合は先にハローワークへ相談してください。
公共職業訓練を受けるとき
ハローワークの職業相談で、再就職のために公共職業訓練が必要と認められて受講を指示された場合は、訓練期間中に所定給付日数が終わっても、訓練が終わる日まで基本手当が続けて支給されます。訓練の受講指示は原則として所定給付日数内の支給残日数が一定以上ある時点で行うことになっています。
待期期間7日と給付制限:「期間」の意味は日数だけではない
受給手続のあと、基本手当がすぐ出るわけではありません。
待期期間は求職の申込み後に失業の状態にある7日間です。離職理由を問わず、全員にかかります。
自己都合で辞めた場合は待期のあとに給付制限がかかります。給付制限の期間は離職日で変わります。
| 退職日 | 給付制限 |
|---|---|
| 令和7年4月1日以降 | 原則1か月 |
| 令和7年3月31日以前 | 原則2か月 |
| 退職日から遡って5年のうちに、2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けていた場合 | 3か月 |
| 自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇) | 3か月 |
表の3か月の行は、厚生労働省の案内の文言どおりです。「2回以上」は過去に受給資格決定を受けた回数と読めるので、今回の離職は3回目以降に当たると考えられます。数え方に迷う人は、ハローワークで確かめてください。
リ・スキリングのために教育訓練を受けた場合は、給付制限が解除されます。対象は令和7年4月1日以降に受講を始めた教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練などを、離職日前1年以内に受けた人と、離職日以後に受けている人です。途中でやめた講座は対象になりません。重責解雇の人も対象外で、受講を始めたあと、受給資格決定日や初回認定日までにハローワークへ申し出る必要があります。
会社都合の特定受給資格者には給付制限がありません。同じ所定給付日数でも実際に受け取り始めるまでの時間が1〜3か月違います。待期や給付制限の考え方はいつからもらえるかを扱った記事、自己都合の具体的な流れは自己都合の場合のいつからを扱った記事にまとめています。
給付制限がある人は、最初の認定日までの求職活動の回数も決まっています。厚生労働省のQ&Aによると、給付制限が3か月の人は待期満了後から最初の認定日の前日までに3回以上、2か月の人は2回以上です。1か月の人の回数はQ&Aに書かれていませんでした。給付制限のない人は1回以上で、その後は認定日ごとに原則2回以上が必要です。
離職理由が実態と違うときの変更・異議
離職票の離職理由は会社が書きます。実際は解雇や退職勧奨なのに「自己都合」と書かれていると、日数は少なく、給付制限もつきます。
厚生労働省のQ&Aは離職票の理由が実際と違う場合は、受給手続の時にハローワークの担当者へ伝えるよう案内しています。離職理由を証明する書類があれば、持っていきます。厚生労働省のQ&Aが挙げる例は賃金台帳や労働契約書、就業規則などです。退職勧奨を受けたやり取りの記録も手元にあると話が早くなります。ハローワークは本人の主張と証拠書類と事業主の主張を確認して、離職理由を決めます。
ハローワークの決定に納得できない場合は、都道府県労働局の雇用保険審査官に審査請求ができます。期限は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内です。所定給付日数の判定(特定受給資格者かどうか)への不服は、「基本手当が支給終了となった認定日」の翌日から3か月以内です。
退職の前に、残業時間やハラスメントの記録を手元に残しておくことを勧めます。これは編集部の考えで、公式の案内にあるわけではありません。
期間中のアルバイト・パートはどう扱われるか
給付制限の期間中のアルバイトも受給中のアルバイトも、仕事をした事実の申告が必須です。
厚生労働省のQ&Aによると、次の期間に当たる人は「就職」している扱いで、基本手当を受けられません。
- 雇用保険の被保険者になる働き方をしている期間(原則、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあるもの)
- 契約期間が7日以上で、週20時間以上かつ週4日以上働く契約の期間
この条件に当たらないアルバイトなら、受給手続はできます。ただし仕事をした日は支給の対象にならなかったり、収入額によって減額されたりします。失業認定申告書に、収入の有無にかかわらず、働いた日を正確に書きます。
申告しないと不正受給です。それ以後の支給が止まり、返還を命じられるうえ、不正に受け取った額の2倍以下の金額の納付を命じられることがあります。ハローワークの案内は「2倍に相当する額以下」、厚生労働省のQ&Aは「3倍の額の納付」で、後者は返還分とあわせた数え方です。パート勤務の詳しい条件はパートの場合を扱った記事、扶養に入れるかどうかは受給中の扶養を扱った記事に譲ります。
期間を使い切る前に再就職が決まったら
所定給付日数を使い切る前に、安定した職業に就いた場合は、再就職手当を受け取れる可能性があります。厚生労働省のQ&Aには要件が8つ書かれています。いちばん大きいのは支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることです。
- 支給残日数が3分の2以上: 基本手当日額 × 残日数 × 70%
- 支給残日数が3分の1以上: 基本手当日額 × 残日数 × 60%
例として、日額が5,000円で所定給付日数が90日の人が、60日を残して就職したとします。残日数は3分の2以上なので、5,000円 × 60日 × 70% = 21万円です。使い切るまで待つより、早く決めたほうが手元に残るお金が多くなる場合があります。
1年を超えて勤務する見込みがあること、待期満了後の就職であること、給付制限を受けた場合は待期満了後1か月間は、ハローワークなどの紹介による就職であることなども要件です。受給手続の前に再就職先が決まった場合は、再就職手当を含む各手当を受けられません。
再就職手当を受けたあとに、また失業の状態になった場合は、日数が残っていて受給期間が終わっていなければ、基本手当を再び受け取れます。
総額の目安と、基本手当日額の上限
もらえる総額は所定給付日数 × 基本手当日額です。日額は離職前6か月の賃金の合計を180で割った賃金日額の、おおむね50〜80%(60歳〜64歳は45〜80%)で、賃金が低いほど割合が高くなります。
日額が5,000円なら、90日で45万円、150日で75万円、330日で165万円です。この数字は日数と総額の関係を見るための計算例です。自分の日額は離職票をもとにハローワークが計算します。
日額には年齢区分ごとの上限があります。令和8年8月1日に改定された上限額は、次のとおりです。
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,270円 |
| 45歳以上60歳未満 | 9,110円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,830円 |
下限は年齢にかかわらず2,562円です。この上限・下限は毎年8月1日に見直されるので、離職の時期によって使う数字が違います。金額の計算の詳しい方法は金額を扱った記事と計算方法を扱った記事を読んでください。
基本手当は非課税です。確定申告は要りません。
日数が変わる境目:退職日を決めるときに確かめること
表の区切りは5年・10年・20年と、35歳・45歳・60歳です。境目をまたぐと、日数が大きく変わります。
たとえば45歳で被保険者であった期間が9年11か月の特定受給資格者は、5年以上10年未満の行なので240日です。1か月後に10年に達していれば、10年以上20年未満の行で270日になります。30日の差です。
退職日は会社との話し合いや就業規則、契約の期間で決まることが多く、自由に動かせるとは限りません。境目に近い人は会社の離職票に書かれる離職日と被保険者であった期間を、ハローワークで確認するのが確実です。
手続の流れを「期間」の目で見る
- 離職票が届きます。会社は離職日の翌々日から10日以内に手続をします。
- 住所を管轄するハローワークで、求職の申込みと受給資格の決定をします。ここで離職理由が判定され、所定給付日数が決まります。
- 雇用保険受給者初回説明会に出ます。受給資格者証と失業認定申告書を受け取り、第1回の失業認定日を教えてもらいます。
- 待期の7日と、自己都合なら給付制限が過ぎます。
- 原則4週間に1回、ハローワークで失業の認定を受けます。この間に求職活動の実績が要ります。
- 認定日の約7日後に、指定の口座へ振り込まれます。
実際の振込日はハローワークや金融機関も個別には把握していません。入金日の問合せには答えてもらえないので、認定日から1週間ほどを目安にしてください。
手続に必要な書類は離職票-1と-2、マイナンバーカードなどの個人番号の確認書類、運転免許証などの身元確認書類、写真2枚、本人名義の預金通帳かキャッシュカードです。開庁時間は平日の8時30分から17時15分です。
期間で損をする・短くなる原因
- 手続が遅れる。受給期間の起算日は離職日の翌日で動かないので、遅れたぶんだけ使える期間が短くなります。
- 認定日に理由なくハローワークへ行かない。その認定日までの期間と、認定日当日は、支給を受けられません。さらに次の認定日の前日までに求職活動をしないと、その次の期間も支給されません。
- 病気で働けない期間が続いているのに、延長の申請を出さない。1年を過ぎると日数が残っていても受給権は消えます。
- 働いた日の申告を漏らす。不正受給と判断されて、それ以後の支給が止まります。
- 離職理由の判定が長引く。会社と本人の主張が食い違うと、確認に時間がかかります。
認定日に行けない事情があるときは事前にハローワークへ連絡すると、認定日を変更できる場合があります。面接や採用試験、資格試験、働けない期間が14日以内の病気やけがなどが例です。
よくある質問
失業保険は何ヶ月・何日もらえますか?
所定給付日数は90日から360日で、月数にすると3か月から12か月です。離職日の年齢と、雇用保険の被保険者であった期間と、離職の理由で決まります。一般の離職者(自己都合・定年退職など)は90日〜150日、特定受給資格者は90日〜330日、就職困難者は150日〜360日です。自分の日数は上の表で区分を確かめたうえで、受給資格の決定の時にハローワークで確定します。
自己都合と会社都合で、もらえる期間はどれくらい違いますか?
自己都合は一般の離職者で、被保険者であった期間だけで90日・120日・150日が決まります。会社都合の特定受給資格者は年齢も絡み、最大330日です。たとえば45歳で10年勤めた人は自己都合なら120日、解雇なら270日です。ほかに会社都合は給付制限がなく、自己都合は待期の後に原則1か月の給付制限がつきます。
定年退職の場合、もらえる期間は何日ですか?
定年退職は一般の離職者の扱いです。被保険者であった期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です。60歳を過ぎていても倒産・解雇ではないので、特定受給資格者の表は使えません。すぐに働く予定がなく休みたい場合は離職日の翌日から2か月以内に受給期間の延長を申請すると、最大1年延ばせます。
契約期間満了や雇い止めの場合は、どの区分になりますか?
更新を希望したのに更新されなかった場合は特定理由離職者です。離職日が令和9年3月31日までなら、暫定措置で特定受給資格者と同じ日数表になります。契約が更新されて3年以上続いたあとの雇い止めや、更新すると明示されていたのに更新されなかった場合は、特定受給資格者です。本人が更新を希望しなかった場合は一般の離職者になります。
65歳以上は失業保険を何日分もらえますか?
65歳以上で離職した高年齢被保険者は、基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象です。被保険者であった期間が1年以上なら基本手当日額の50日分、1年未満なら30日分で、失業の認定は1回だけです。64歳以下の離職なら基本手当(60歳以上65歳未満の区分)になるので、年齢は離職日で判断されます。
失業保険はいつまでもらえますか?1年を過ぎるとどうなりますか?
基本手当は原則として離職日の翌日から1年間が受給期間です。所定給付日数が残っていても1年を過ぎた日以後は支給されません。所定給付日数が330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日が受給期間です。離職票が届いたら、すぐ就職しない限り、早めにハローワークで手続をしてください。
受給期間の延長はいつまでに申請しますか?うつ病でも使えますか?
病気やけがで30日以上働けなくなった日の翌日以降、早めに出すのが原則です。延長後の受給期間の最後の日までなら申請できます。うつ病などの精神疾患でも医師の証明書など延長の理由を示す書類が必要になる点は同じです。病名による制限は公式ページから読み取れませんでした。事前にハローワークで確認してください。
離職票の離職理由が実際と違います。変更してもらえますか?
受給手続の時に、ハローワークの担当者へ実際の理由を伝えます。離職理由を証明する書類があれば持参してください。ハローワークは本人の主張・証拠書類・事業主の主張を確認して離職理由を決めます。決定に納得できない場合は雇用保険審査官に審査請求ができます。期限は処分を知った日の翌日から3か月以内です。
転職を繰り返していても、被保険者期間は通算されますか?
通算されます。離職前2年間(特定受給資格者などは1年間)の被保険者期間を合算して、12か月(特定受給資格者などは6か月)以上あれば受給資格があります。賃金の支払日数が11日以上ある月(または支払の基礎になった時間数が80時間以上ある月)を1か月と数えます。日数の表に使う期間は、前の会社を辞めたあと基本手当などを受けずに1年以内に次の会社で雇用保険に入れば、前の期間も通算されます。過去に基本手当(再就職手当を含む)を受けたことがあれば、その支給を受けたあとの期間だけが対象です。
失業保険を一度もらったら、次は何年後にもらえますか?
何年後という年数の決まりはありません。受給したあとはその支給を受けたあとの被保険者期間だけが数えられます。新しい勤め先で離職前2年間に12か月以上(特定受給資格者などは1年間に6か月以上)の被保険者期間ができれば、再び受給資格を得られます。受給したからといって、加入期間がなくなるわけではありません。
失業保険の期間中のアルバイトはできますか?
できます。ただし週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあるなど、雇用保険の被保険者になる働き方は「就職」とみなされ、基本手当を受けられません。それ以外のアルバイトも仕事をした日は支給の対象外になったり、収入で減額されたりします。収入の有無にかかわらず、働いた日を失業認定申告書に正確に書いてください。
待機期間(待期)と給付制限は何が違いますか?
待期は求職の申込み後に失業の状態にある7日間で、自己都合でも会社都合でも同じです。給付制限は自己都合の人だけに、待期のあとにかかる追加の期間で、原則1か月です。ただし5年のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合で退職して受給資格決定を受けていた場合や、重責解雇の場合は3か月になります。
障害者手帳を持っている場合、何日もらえますか?
就職困難者に当たる場合は被保険者であった期間が1年未満なら150日、1年以上なら45歳未満で300日、45歳以上65歳未満で360日です。身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などを持っているなら、受給手続の時にハローワークへ持っていきます。申し出ないと、一般の離職者の日数で決まる可能性があります。
早く再就職が決まったら、期間は無駄になりますか?
無駄にはなりません。所定給付日数の3分の1以上を残して安定した職業に就けば、再就職手当を受けられます。残りが3分の2以上なら基本手当日額 × 残日数 × 70%、3分の1以上なら60%です。1年を超えて勤務する見込みがあることなど、8つの要件があります。詳しくはハローワークで確認してください。
