失業手当(基本手当)の金額の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当・失業保険) |
| 対象者 | 個人(離職して求職中の方) |
| 対象地域 | 全国 |
| 計算のもとになる金額 | 賃金日額(離職前6か月の給与合計 ÷ 180) |
| 給付率 | 50%〜80%(60〜64歳は45%〜80%)。賃金が低いほど給付率は高い |
| 基本手当日額の上限(30歳未満) | 7,450円(令和8年8月1日〜) |
| 基本手当日額の上限(30〜44歳) | 8,270円(令和8年8月1日〜) |
| 基本手当日額の上限(45〜59歳) | 9,110円(令和8年8月1日〜) |
| 基本手当日額の上限(60〜64歳) | 7,830円(令和8年8月1日〜) |
| 基本手当日額の下限(全年齢) | 2,562円(令和8年8月1日〜) |
| 公式サイト | 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更(令和8年8月1日改定)」 |
失業手当は「前の給料の何割」という単純な計算ではありません。離職前6か月の給与から「賃金日額」を出し、そこに50〜80%の給付率をかけて「基本手当日額」を決めるという2段階の計算です。しかも年齢区分ごとに上限額があり、この上限額は毎年8月1日に見直されます。この記事では、令和8年8月1日改定後の最新の数値で、実際の計算例を示します。
もらえる期間は「失業保険 期間」の記事、そもそも受給できるかの条件は「失業手当 条件」の記事で解説しています。
計算の流れ:賃金日額 → 給付率 → 基本手当日額
ステップ1: 賃金日額を出す
賃金日額 = 離職前6か月間に毎月決まって支払われた賃金の合計 ÷ 180
ここでいう「賃金」には、ボーナス(賞与)や退職金は含まれません。毎月の基本給・各種手当(残業代・通勤手当等を含む)が対象です。
ステップ2: 給付率をかける(賃金水準が低いほど高い率)
賃金日額に、次の給付率をかけたものが基本手当日額になります。賃金の低い方ほど高い給付率(最大80%)が適用され、賃金が高い方ほど給付率は下がって50%(60〜64歳は45%)に近づきます。
いくらもらえるか(年齢区分別の計算表)
令和8年8月1日以降に適用される、賃金日額と基本手当日額の対応です。
30歳未満
| 賃金日額(w) | 基本手当日額(y) |
|---|---|
| 3,203円以上5,480円未満 | y = 0.8w |
| 5,480円以上13,490円以下 | y = 0.8w − 0.3×{(w−5,480)/(13,490−5,480)}×w |
| 13,490円超14,900円以下 | y = 0.5w |
| 14,900円超(上限) | y = 7,450円(上限額) |
30歳以上45歳未満
| 賃金日額(w) | 基本手当日額(y) |
|---|---|
| 3,203円以上5,480円未満 | y = 0.8w |
| 5,480円以上13,490円以下 | y = 0.8w − 0.3×{(w−5,480)/(13,490−5,480)}×w |
| 13,490円超16,540円以下 | y = 0.5w |
| 16,540円超(上限) | y = 8,270円(上限額) |
45歳以上60歳未満
| 賃金日額(w) | 基本手当日額(y) |
|---|---|
| 3,203円以上5,480円未満 | y = 0.8w |
| 5,480円以上13,490円以下 | y = 0.8w − 0.3×{(w−5,480)/(13,490−5,480)}×w |
| 13,490円超18,220円以下 | y = 0.5w |
| 18,220円超(上限) | y = 9,110円(上限額) |
60歳以上65歳未満
| 賃金日額(w) | 基本手当日額(y) |
|---|---|
| 3,203円以上5,480円未満 | y = 0.8w |
| 5,480円以上12,120円以下 | y = 0.8w − 0.35×{(w−5,480)/(12,120−5,480)}×w、または y = 0.05w+4,848 のいずれか低い方 |
| 12,120円超17,400円以下 | y = 0.45w |
| 17,400円超(上限) | y = 7,830円(上限額) |
下限額は全年齢共通で2,562円です。 賃金日額が3,203円未満の方でも、基本手当日額は2,562円が保証されます。
具体的な計算例
例1: 32歳、離職前6か月の給与合計126万円(月平均21万円)
賃金日額 = 1,260,000円 ÷ 180 = 7,000円
30〜44歳の表にあてはめると、5,480円以上13,490円以下の区分なので、
y = 0.8×7,000 − 0.3×{(7,000−5,480)/(13,490−5,480)}×7,000 ≒ 5,201円
基本手当日額はおよそ5,201円。所定給付日数が120日なら、給付総額の目安は5,201円×120日=約62万円です。
例2: 50歳、離職前6か月の給与合計252万円(月平均42万円)
賃金日額 = 2,520,000円 ÷ 180 = 14,000円
45〜59歳の表では13,490円超18,220円以下の区分にあたるため、給付率は一律50%です。
y = 14,000円 × 0.5 = 7,000円
所定給付日数が270日(特定受給資格者・20年未満10年以上)なら、給付総額の目安は7,000円×270日=約189万円です。
例3: 62歳、離職前6か月の給与合計108万円(月平均18万円)
賃金日額 = 1,080,000円 ÷ 180 = 6,000円
60〜64歳の表では5,480円以上12,120円以下の区分にあたります。
y = 0.8×6,000 − 0.35×{(6,000−5,480)/(12,120−5,480)}×6,000 ≒ 4,635円(もう一方の式 y=0.05×6,000+4,848=5,148円 と比較し、低い方の4,635円が採用されます)
所定給付日数が150日(一般の受給資格者・被保険者期間10年以上20年未満)なら、給付総額の目安は4,635円×150日=約70万円です。
月収20万・30万・40万円だとどうなるか(早見の計算例)
「離職前6か月の給与合計」と言われても、月収からすぐ引き算できないと分かりにくいものです。ここでは月収(額面。残業代・各種手当込みの平均額)が20万円・30万円・40万円だった場合の目安を、年齢区分ごとに並べます。
| 月収(額面) | 賃金日額 | 30〜44歳・45〜59歳共通の基本手当日額(※) |
|---|---|---|
| 20万円 | 約6,667円 | 約5,037円 |
| 30万円 | 約10,000円 | 約6,307円 |
| 40万円 | 約13,333円 | 約6,744円 |
※ いずれも上限額(30〜44歳8,270円、45〜59歳9,110円)に届かない賃金水準のため、両区分で同じ給付率が適用され金額は同じになります。
月収が上がるほど、基本手当日額の伸びは鈍くなります。これは給付率が賃金水準に応じて80%から50%へ下がっていく仕組みのためです。月収20万円の方はおおむね75%相当が出ますが、月収40万円の方は50%程度まで下がります。「給料が高い人ほど手厚い」わけではないという点は、退職前に知っておくと生活設計の見通しが立てやすくなります。
自分はどのパターンに当てはまるか(場合分け表)
計算式を追うより先に、「自分がどの列に入るか」を確認したほうが早い場合もあります。次の表で当てはまる行を探してみてください。
| あなたの状況 | 見るべき区分 | 注意点 |
|---|---|---|
| 20代・30代で、直近の給与が比較的高かった | 30歳未満または30〜44歳の表 | 上限(7,450円または8,270円)に届くかを先に確認 |
| 40代後半〜50代で、管理職として高収入だった | 45〜59歳の表 | 上限9,110円が最も高い区分。ただし上限超は一律頭打ち |
| 60歳以上で再雇用・定年後に賃金が下がった | 60〜64歳の表 | 給付率の下限が45%(他の年齢は50%)。上限7,830円も他より低い |
| 育休・傷病等で離職前の給与が一時的に下がっていた | 賃金日額の計算そのものを要確認 | 特例計算がある場合があるため、ハローワークで確認したほうが早い |
| パート・アルバイトで働いていた | 賃金日額の計算式は同じ | 賃金水準が低いほど給付率が上がる(最大80%)ため、正社員より実質の補填率は高くなりやすい |
上限額・下限額は毎年8月1日に改定される
基本手当日額の上限額・下限額は、毎年度の平均給与額の変動にあわせて8月1日に見直されます。令和8年度は前年度と比べて給与水準が約2.7%上昇したことを受けて引き上げられました。
| 区分 | 令和7年8月〜 | 令和8年8月〜 |
|---|---|---|
| 30歳未満(上限) | 7,255円 | 7,450円 |
| 30〜44歳(上限) | 8,055円 | 8,270円 |
| 45〜59歳(上限) | 8,870円 | 9,110円 |
| 60〜64歳(上限) | 7,623円 | 7,830円 |
| 下限(全年齢) | 2,411円 | 2,562円 |
離職時期によって上限額が変わるため、7月末退職と8月退職とで、同じ給与水準でも受け取れる基本手当日額が異なる場合があります。 上限額に近い賃金水準の方は、この改定時期をまたぐかどうかで金額が変わる可能性があることを知っておくとよいでしょう。
給付総額の目安(所定給付日数別シミュレーション)
基本手当日額が分かれば、所定給付日数をかけることで受け取れる総額の目安が分かります。もらえる期間(所定給付日数)の詳しい決まり方は「失業保険 期間」の記事で解説していますが、ここでは金額のイメージをつかむための早見表を示します。
| 基本手当日額 | 90日 | 120日 | 150日 | 240日 | 330日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4,000円 | 36万円 | 48万円 | 60万円 | 96万円 | 132万円 |
| 6,000円 | 54万円 | 72万円 | 90万円 | 144万円 | 198万円 |
| 8,000円 | 72万円 | 96万円 | 120万円 | 192万円 | 264万円 |
同じ基本手当日額でも、所定給付日数が90日と330日では給付総額に3倍以上の差が出ます。金額だけでなく期間もあわせて確認することが、失業中の生活設計には欠かせません。
失業中に働いた場合の減額の計算
失業の認定期間中にアルバイト等で収入があった場合、基本手当が減額されることがあります。令和8年8月以降の控除額は1,429円です。
計算式: (収入の1日分に相当する額 − 1,429円)+基本手当日額 が、賃金日額の80%相当額を超えるとき、超えた額だけ基本手当日額が減額されます。
具体例
賃金日額7,000円、基本手当日額5,201円の方(60歳未満)が、認定対象期間(28日間)中に2日間内職し、1日あたり3,000円の収入を得た場合。
- 賃金日額の80%相当額 = 7,000円×0.8 = 5,600円
- 収入から控除額を引いた額 = 3,000円 − 1,429円 = 1,571円
- 基本手当日額との合計 = 5,201円+1,571円 = 6,772円 → 5,600円を上回るため、超えた分(1,172円)が減額される
- 内職した日の支給額 = 5,201円 − 1,172円 = 4,029円
働いたことを申告せずに満額を受け取ると不正受給になり、受給額の返還に加えて追加の納付を求められることがあります。収入があった日は必ず失業認定申告書に正しく記載してください。
早期に再就職すると「再就職手当」で残りの日数分もまとまってもらえる
所定給付日数を多く残して早期に再就職が決まると、基本手当の代わりに「再就職手当」を一時金として受け取れます。支給率は、所定給付日数の残りが3分の2以上なら基本手当日額の70%、3分の1以上3分の2未満なら60%が、残日数ぶん一括で支給される仕組みです(基本手当日額には別途上限あり)。早く決まるほど支給率が高くなるため、給付総額だけを見て「長く失業していた方が得」とは一概に言えません。
申請から振込までの流れと期限
金額の計算ができても、「いつ振り込まれるか」が分からないと生活費の見通しが立ちません。目安になる日数を並べます。
- 離職票の到着: 退職日からおおむね10日〜2週間程度で会社から届きます。届かない場合は会社かハローワークに確認してください
- 求職の申込み・受給資格の決定: 離職票を持ってハローワークへ行った日が起点です。ここで基本手当日額・所定給付日数が確定します
- 待期期間7日間: 受給資格の決定後、失業の状態が7日間続かないと支給が始まりません
- 給付制限(自己都合退職の場合): 待期期間の満了後、原則1か月(2025年4月改正)
- 初回の失業認定日: 通常、受給資格決定日からおおむね4週間後です
- 初回振込: 認定日から1週間前後で指定口座に振り込まれます
自己都合退職だと、離職から初回振込までの目安はおよそ2か月半〜3か月です。会社都合(特定受給資格者)で給付制限がなければ、1か月〜1か月半程度に短縮されます。退職前に生活費を準備しておくかどうかは、この期間の長さで判断してください。
減額・不支給になる要因
- 賃金日額が上限額を超えている: 上限額を超える部分は切り捨てられ、上限額がそのまま基本手当日額になります。役職者や高収入だった方ほど、実際の給付率は50%を大きく下回ることになります
- 失業の認定期間中にアルバイト等で収入がある: 収入から一定の控除額(令和8年8月以降は1,429円)を差し引いた額と基本手当の合計が、賃金日額の80%相当額を超えると、超えた分だけ減額されます。超過額が大きい日は不支給になることもあります
- 賃金に賞与・退職金を含めて計算してしまう: 賃金日額はあくまで毎月決まって支払われる賃金が対象で、賞与は含まれません。年収ベースで見積もると、実際より高く見積もりすぎることがあります
- 60〜64歳の給付率を60歳未満と同じに考えてしまう: 60〜64歳は給付率の下限が45%(60歳未満は50%)で、算定式も異なります
- 認定日にハローワークへ行かない: 4週間に1度の失業認定日に来所しないと、その期間の基本手当は原則として支給されません。金額の計算がいくら正しくても、認定を受けなければ振込自体が発生しません
- アルバイト・内職の申告漏れ: 収入があった日を失業認定申告書に記載しないと、金額の計算以前に不正受給として扱われ、返還や納付を求められることがあります
- 受給期間の1年を過ぎてしまう: 所定給付日数を残していても、離職日の翌日から原則1年(延長がある場合を除く)を過ぎると、基本手当日額の計算が正しくても支給そのものが打ち切られます。手続きが遅れるほど使える期間が短くなるため、離職後はできるだけ早くハローワークで手続きを始めてください
- 給付制限が明ける前に就労を開始してしまう: 給付制限期間中は待機扱いですが、その間に採用され実際に働き始めると、その時点で失業の状態でなくなり基本手当の対象から外れます。金額がいくら高く計算されていても、就労開始日以降は支給されません
よくある質問
ボーナスが多い会社に勤めていましたが、基本手当日額の計算に反映されますか?
反映されません。賃金日額は「毎月決まって支払われた賃金」の合計を180で割って算出するため、賞与(ボーナス)は計算に含まれません。月給が同じであれば、ボーナスの有無で基本手当日額は変わりません。
離職前6か月のうち、育児休業や病気で給与が少ない月があった場合はどうなりますか?
原則として、実際に支払われた賃金の実績で計算されるため、休業等で給与が下がった月があると賃金日額が低くなる可能性があります。ただし、業務外の傷病等による休業で著しく賃金が低下した場合の特例計算が設けられている場合があるため、該当しそうな方はハローワークで確認してください。
基本手当日額の上限に達すると、それ以上の高収入だった人も同じ金額になりますか?
はい。賃金日額が上限額を超える場合、上限額を超えた部分は計算に反映されず、上限額に対応する基本手当日額が一律に適用されます。高収入だった方ほど、実質的な給付率(賃金に対する基本手当の割合)は下がります。
60歳で定年退職し、再雇用で賃金が下がった場合、基本手当日額の計算にはどちらの賃金が使われますか?
離職前6か月間に実際に支払われた賃金が計算の基礎になります。定年退職後に再雇用で賃金が下がり、その後さらに離職した場合は、再雇用後の(下がった)賃金水準で計算されるのが原則です。
給付制限期間中も基本手当日額は変わりませんか?
給付制限は「支給が始まるまでの期間」であり、基本手当日額そのものの計算方法には影響しません。給付制限が明けたあとに、計算された基本手当日額どおりに支給が始まります。
失業認定期間中にアルバイトをした場合、収入をいくらまでなら全額もらえますか?
収入から控除額(令和8年8月以降は1,429円)を差し引いた額と基本手当日額の合計が、賃金日額の80%相当額以下であれば、基本手当は減額されず全額支給されます。具体的な上限額は人によって異なるため、収入があった際は必ずハローワークで確認・申告してください。
再就職手当を受け取ると、残りの所定給付日数はどうなりますか?
再就職手当は「残った所定給付日数ぶんの基本手当」を一時金としてまとめて受け取る制度のため、受給後に改めて基本手当を請求することはできません。ただし、再就職先を一定期間内に離職した場合の扱いなど、詳細な条件はハローワークで確認してください。
離職票が届く前に基本手当日額を自分で計算しておくことはできますか?
給与明細から離職前6か月分の毎月の賃金(賞与を除く)を合計し、180で割れば賃金日額のおおよその目安は自分で計算できます。ただし正式な金額は、離職票に記載される確定した賃金額をもとにハローワークが算定するため、目安と数百円程度の差が出ることがあります。
給付制限中にアルバイトをしても基本手当日額の計算に影響しますか?
給付制限期間中の収入そのものは、賃金日額(離職前6か月の賃金から算出)には影響しません。ただし受給開始後に認定期間中の収入として申告が必要になり、金額によっては当日の基本手当が減額されることがあります。就労の予定がある場合は事前にハローワークで確認してください。
