失業手当(雇用保険の基本手当)をもらえるかは、退職の理由と雇用保険に入っていた期間で決まります。自己都合で辞めた人は離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上、会社都合(倒産・解雇など)の人と特定理由離職者(契約の雇い止め・病気などやむを得ない理由)は離職の日以前1年間に6か月以上あれば、期間の条件を満たします。そのうえで働く意思と能力があり、仕事を探しているのに就職できない「失業の状態」にあることも条件です。
自己都合で辞めた人は手続きのあと7日の待期に加えて原則1か月の給付制限があり、そのあいだは支給されません。この記事では2つの条件の中身と、会社都合・特定理由離職者と判定される退職理由を先に書きます。そのあとに「12か月」の数え方と何歳までもらえるか、パート・内定・扶養などケース別の扱いを、ハローワークと厚生労働省の資料で確かめて並べました。
失業手当がもらえる条件の早見表
退職の理由ごとに、加入期間の条件ともらい始めるまでの期間を並べました。
| 退職の理由 | 必要な被保険者期間 | 支給が始まるまで | 給付日数(65歳未満) |
|---|---|---|---|
| 正当な理由のない自己都合 | 離職の日以前2年間に通算12か月以上 | 7日の待期+原則1か月の給付制限 | 90日〜150日 |
| 定年・契約期間の満了(更新を望まなかった) | 離職の日以前2年間に通算12か月以上 | 7日の待期のあと | 90日〜150日 |
| 懲戒解雇(自分の責めによる重大な理由の解雇) | 離職の日以前2年間に通算12か月以上 | 7日の待期+3か月の給付制限 | 90日〜150日 |
| 倒産・解雇など(特定受給資格者) | 離職の日以前1年間に通算6か月以上でもよい | 7日の待期のあと | 90日〜330日 |
| 雇い止め・やむを得ない理由の自己都合(特定理由離職者) | 離職の日以前1年間に通算6か月以上でもよい | 7日の待期のあと | 雇い止めは特定受給資格者と同じ日数(2027年3月31日までの離職) |
厚生労働省のパンフレット4ページでは、定年と契約期間の満了で辞めた人は解雇と同じく7日の待期のあとから支給されます。表のどこに当たるかは、会社が出す離職票に書かれた理由と本人の申し立てをもとにハローワークが決めます。
自分が当てはまるかを3つの順で確かめる
自分がもらえるかは、次の順で確かめると迷いません。
- 辞めた会社で雇用保険に入っていたか(週20時間以上・31日以上の見込みで働いていたか)
- 退職の理由が、自己都合・会社都合(特定受給資格者)・特定理由離職者のどれに当たるか
- 2で決まる期間(2年間か1年間)の中に、被保険者期間が12か月か6か月あるか
3つともそろったうえで、ハローワークで求職の申込みをして仕事を探せる状態なら受け取れます。2で迷ったら、このあとの「退職理由で条件が変わる」の節の一覧で、自分の辞め方に近いものを探してください。
条件1:失業の状態にあること
ハローワークの「基本手当について」は、受給の1つ目の条件を「失業の状態」にあることとしています。ハローワークで求職の申込みをして、就職しようとする積極的な意思といつでも就職できる能力があるのに職業に就けない状態です。
厚生労働省のQ&Aは、失業の状態を次の3つがすべてそろった状態としています。
- 積極的に就職しようとする意思があること
- いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること
- 積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと
辞めただけでは条件を満たしません。厚生労働省のQ&Aの1問目も、基本手当は退職すれば必ず受けられる保険ではなく、受給要件を満たした場合にだけ受けられると説明しています。
原則として失業手当を受けられない人
厚生労働省の雇用保険のパンフレットは、原則として求職者給付を受けられない人として次の例を挙げています。
- 家事に専念する人
- 昼間学生など、学業に専念する人
- 家業に従事していて職業に就けない人
- 自営を始めた人、自営の準備に専念する人
- 次の就職が決まっている人
- 雇用保険の被保険者にならない短時間の仕事だけを希望する人
- 自分の名義で事業を営んでいる人
- 会社の役員に就任している人(予定や名義だけの役員も含む)
- 就職・就労中の人(試用期間を含む)
- パート・アルバイト中の人(週20時間未満なら、働いた日と収入を申告すれば失業している日の分を受けられる場合がある)
- 同じ事業所で就職と離職を繰り返していて、また同じ事業所に就職する予定の人
会社から解雇されて、解雇は無効だと裁判などで争うために就職活動をしない人は、そのままでは失業の状態に当たりません。厚生労働省のパンフレットによると、この場合は条件付きで受給できる制度があるので、ハローワークに相談します。
病気・妊娠・出産・育児ですぐに働けないとき
病気やけが、妊娠・出産・育児ですぐに働けない人は、その間は失業の状態に当たらないので受け取れません。ただし受給期間の延長を申請すれば、働けるようになってから受け取れます。受給期間は原則として離職した日の翌日から1年間です。30日以上続けて働けないときはその日数だけ延ばせて、延ばせるのは最長3年間です。
厚生労働省のQ&A Q14とパンフレット5ページでは、60歳以上の定年などで辞めて、しばらく休んでから仕事を探したい人も受給期間を延ばせるとしています。離職した日の翌日から2か月以内に申請すれば、最大1年延ばせます。病気などによる延長は、郵送や代理人でも申請できます。休養のための延長は原則として本人が来所します。
条件2:雇用保険の被保険者期間
2つ目の条件は雇用保険に入っていた期間です。ハローワークの「基本手当について」は「離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること」としています。特定受給資格者と特定理由離職者は「離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可」です。
「被保険者期間1か月」の数え方
被保険者期間は、カレンダーの月で数えません。離職日からさかのぼって1か月ごとに区切り、その区切りの中に賃金の支払いの基礎になった日が11日以上ある月を1か月と数えます。11日以上の月が足りないときは、賃金の支払いの基礎になった時間が80時間以上ある月を1か月と数えます。
厚生労働省のQ&A Q2では、区切ったときに1か月に満たない端の期間が出たら、日数が15日以上で賃金の支払われた日が11日以上あれば2分の1か月と数えます。週3日・1日4時間のパートで働いていた人は、月の出勤が11日を下回る月があり得ます。80時間の基準で数え直して足りるかを確かめてください。
前の会社の期間は通算できるか
転職した人は、前の会社で雇用保険に入っていた期間を足せる場合があります。Q45が示すとおり、前の会社を辞めてから基本手当(再就職手当などを含む)を受け取らずに1年以内に次の会社で雇用保険に入れば前の会社の被保険者であった期間も通算されます。
反対に過去に基本手当や再就職手当を受け取ったことがある人は、Q2の注1のとおり受け取ったあとの被保険者期間だけが数えられます。前の離職で失業手当をもらってから今の会社で12か月たたずに自己都合で辞めると、条件を満たさないことがあります。「通算して12か月」に前の職場の期間が入るかどうかは、前の離職で失業手当を受け取ったかで決まります。
病気や出産で給料が出なかった期間があるとき
離職前の2年間(倒産・解雇などは1年間)に病気・けが・出産・育児などで30日以上続けて賃金を受けられなかった人は、その日数を足した期間で判断します。Q2では、足したあとの期間は最長4年間です。休職していた期間が長い人でも、さかのぼる期間を延ばして12か月を満たせることがあります。
退職理由で条件が変わる:自己都合・会社都合・特定理由離職者
被保険者期間が12か月に届かなくても、特定受給資格者か特定理由離職者に当たれば6か月で条件を満たします。給付制限がかからず、給付日数が多くなる場合もあります。ハローワークは特定受給資格者を「倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた」人と説明しています。
特定受給資格者になる主な退職理由(会社都合)
ハローワークの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」に並ぶ理由を、分かりやすく縮めて並べます。
倒産などで辞めた場合
- 倒産(破産・民事再生・会社更生などの申立て、手形取引の停止など)
- 1か月に30人以上の離職の届出がされた、または被保険者の3分の1を超える人が辞めた
- 事業所の廃止
- 事業所の移転で通勤が難しくなった
解雇などで辞めた場合
- 解雇(自分の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)
- 契約のときに示された労働条件が事実と大きく違った
- 賃金の3分の1を超える額が支払期日までに払われなかった
- 賃金が85%未満に下がった(または下がることになった。本人が予見できなかった場合に限る)
- 離職直前6か月のうちに、連続する3か月で45時間、いずれか1か月で100時間、または連続する2か月以上の平均で月80時間を超える時間外労働があった
- 妊娠・出産・育児・介護に関する制度の利用を不当に制限されたり、不利益な取扱いを受けたりした
- 契約の更新で3年以上続けて雇われたのに、更新されなかった
- 契約のときに更新すると示されていたのに、更新されなかった
- 上司・同僚などからの故意の排斥、著しい冷遇や嫌がらせを受けた(セクハラ・マタハラなどの事実を事業主が知りながら措置をとらなかった場合を含む)
- 事業主から直接または間接に退職を勧められた(以前からある早期退職優遇制度への応募は除く)
- 会社の責任による休業が3か月以上続いた
- 事業所の業務が法令に違反した
特定理由離職者になる退職理由
特定理由離職者は、特定受給資格者以外で、契約の更新がなかったことやそのほかやむを得ない理由で辞めた人です。範囲は大きく2つに分かれます。
1つ目は雇い止めです。期間の定めのある労働契約が満了し、本人が更新を望んだのに更新の合意に至らなかった人が当たります。ハローワークは、契約書に「契約の更新をする場合がある」とあるような更新の明示はあっても確約まではない場合がこれに当たると補足しています。
2つ目は、正当な理由のある自己都合です。次のような理由で辞めた人が当たります。
- 体力の不足、心身の障害、病気、けが、視力・聴力・触覚の減退など
- 妊娠・出産・育児などで辞め、受給期間の延長措置を受けた
- 父母の死亡・病気・けがで扶養のために辞めざるを得なかった、常に看護が要る親族の病気やけがで辞めた(家庭の事情の急変)
- 配偶者や扶養すべき親族と別居を続けることが難しくなった
- 結婚による住所の変更、育児で保育所を使うため、事業所の移転、鉄道やバスの廃止・ダイヤの変更、事業主の命による転勤・出向や配偶者の転勤に伴う別居の回避などで、通勤ができなくなった・難しくなった
- 退職勧奨に当たらない人員整理などで、希望退職者の募集に応じた
特定理由離職者と判定されるには
特定理由離職者かどうかは本人が申し出るだけでは決まりません。厚生労働省のQ&A Q21では、ハローワークが「本人の主張、証拠書類と事業主の主張等を確認の上、離職理由を決定する」とされています。手続きの日に、理由を示す書類を持っていくことが判定を左右します。
持っていく書類は理由によって違います。Q23は、パワハラで辞めた場合の例として、配置転換の辞令の写し、就業規則、労働契約書、賃金台帳を挙げています。雇い止めや病気で辞めた場合に何を出せばよいかは、Q&Aやハローワークのページに書かれていませんでした。ハローワークに前もって聞いてください。
パワハラについてQ23は、部下の職務上の失態に管理者が注意や叱責をすることは通常起こり得るので、それだけでは基準に当たらないとしています。故意にのけ者にされた事実や嫌がらせを繰り返し受けた事実は、日付の入ったメモやメールで残しておくと説明しやすくなります。
離職票の理由が実際と違うとき
Q7に従い、離職票に「自己都合」と書かれていても実際は解雇だったなら受給の手続きのときにハローワークの担当者に伝えます。離職理由はハローワークが双方の主張と証拠を確かめて決めます。判定に納得できないときはQ46のとおり、処分を知った日の翌日から3か月以内に都道府県労働局の雇用保険審査官へ審査請求ができます。
会社都合や雇い止めと判定されると、国民健康保険料(税)の軽減を受けられることがあります。Q22では、雇用保険受給資格者証の「離職理由」の欄が11・12・21・22・23・31・32・33・34の人が対象です。詳しくは市区町村の国民健康保険の窓口に聞きます。
雇用保険に入っていたかを確かめる
被保険者期間を数える前に、そもそも雇用保険に入っていたかを確かめます。厚生労働省のQ&A Q24とQ35では、雇用保険の被保険者になるのは原則として週の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがある人です。パート・アルバイト・派遣でも、この条件で働いていれば入っています。入っていたかどうかは、給与明細の雇用保険料の欄で目安がつきます。
厚生労働省の「雇用保険法等の一部を改正する法律の概要」では、この加入の条件が2028年10月1日から週の所定労働時間「10時間以上」に広がります。それより前に辞める人は週20時間の基準で判断されます。
パートで失業手当を受けるときの手続きと金額は、パートで失業保険をもらう方法にまとめています。
いつからもらえるか:7日の待期と給付制限
条件を満たしていても、手続きをした日からすぐには支給されません。全員に7日間の待期があり、自己都合で辞めた人にはさらに給付制限がかかります。自己都合で辞めた人は、7日の待期のあと原則1か月は支給されません。
| 退職の理由 | 支給が始まるまで |
|---|---|
| 解雇・定年・契約期間の満了 | 求職申込みのあと7日の待期が過ぎてから |
| 正当な理由のない自己都合(令和7年4月1日以降の離職) | 7日の待期+原則1か月 |
| 正当な理由のない自己都合(令和7年3月31日以前の離職) | 7日の待期+原則2か月 |
| 5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合で辞めて受給資格の決定を受けた人 | 7日の待期+3か月 |
| 自分の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇・懲戒解雇) | 7日の待期+3か月 |
自己都合で辞めた人でも、給付制限が解除される場合があります。厚生労働省のパンフレット4ページでは、令和7年4月1日以降に受講を始めた教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練などを離職の日前1年以内に受けた人と、離職後に受けている人が対象です。途中で辞めた講座は当たりません。教育訓練給付金の対象講座は教育訓練給付制度の記事で探せます。
Q29では、振り込みは失業の認定日のおよそ7日後とされています。初回の振込日の目安は失業手当はいつからもらえるかと、自己都合の場合の失業保険は自己都合だといつからで日数を数えています。
何日分・いくらもらえるか
もらえる日数(所定給付日数)は離職の日の年齢と被保険者であった期間、離職の理由で決まり、90日〜360日のあいだです。自己都合・定年・契約満了の人は次のとおりです。
| 被保険者であった期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 65歳未満 | 90日 | 120日 | 150日 |
倒産・解雇などの特定受給資格者と雇い止めの特定理由離職者(2027年3月31日までの離職)は、年齢と期間によって90日〜330日です。たとえば45歳以上60歳未満で被保険者期間が20年以上なら330日です。障害者手帳を持つ人など就職が困難な人は150日〜360日になるので、Q9のとおり手続きのときに手帳を持っていきます。
1日あたりの額(基本手当日額)は、離職前6か月の毎月決まって払われた賃金の合計を180で割った賃金日額のおよそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)です。賃金の低い人ほど率が高くなります。上限額は年齢で決まっていて、令和8年8月1日からは次のとおりです。
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,270円 |
| 45歳以上60歳未満 | 9,110円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,830円 |
厚生労働省のQ&A Q10が載せている目安は、総支給額が平均月15万円の人で月11.2万円程度、20万円で13.9万円程度、30万円で17.3万円程度です。検索の上位には令和7年8月改定の古い上限額を載せたままの記事もあるので、額はハローワークのページで確かめてください。日数の全体は失業保険はいつまでに、日額の計算は失業手当はいくらと総額の計算シミュレーションにまとめています。
年齢の条件:失業手当は何歳までもらえる?
基本手当(いわゆる失業手当)を受けられるのは、65歳になる前に辞めた人です。65歳以上で辞めた人は、高年齢被保険者として「高年齢求職者給付金」を受け取ります。こちらは毎月の支給ではなく一時金で、基本手当日額の50日分(被保険者であった期間が1年以上)か30日分(1年未満)です。
高年齢求職者給付金の条件は、離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あることと、働く意思と能力があるのに職に就けないことです。基本手当と違い、受給期間の延長の制度は使えないとQ14は書いているので、離職の日の翌日から1年の期限までに手続きを済ませてください。
Q26のとおり、60歳から64歳で辞めた人は、基本手当を受けているあいだ、65歳になるまでの老齢厚生年金が止まります。基本手当が減るのではなく、年金の支給が止まる仕組みです。どちらが得かは年金事務所で年金額を確かめてから決めてください。
こんなときはもらえる?ケース別の扱い
契約期間の満了・派遣の契約終了で辞めたとき
契約期間が満了して辞めた人は、給付制限がかかりません。更新を望んだのに更新されなかった人は特定理由離職者に当たり、離職前1年間に6か月の被保険者期間で条件を満たします。3年以上更新されてきた契約が更新されなかったときや更新が約束されていたのに更新されなかったときは、特定受給資格者です。派遣で働く人も、派遣元と結んだ雇用契約の終わり方で同じように判断されます。
次の仕事の内定が出ているとき
Q2では、基本手当は雇用の予約や就職の内定・決定がなく失業の状態にある人にだけ支給されると説明しています。内定が出たあとに受給の手続きをしても受けられません。受給の手続きの前から内定していた会社に入っても、Q39の要件7により再就職手当は出ません。仕事が決まっていない段階で手続きをしてそのあと早く決まった人は、残りの日数に応じた再就職手当を受けられる場合があります。
フリーランス・個人事業主として独立するとき
自営を始めた人や自営の準備に専念する人は、失業の状態に当たらないので受け取れません。ただし離職の翌日以後に事業を始めた人は、事業をしている期間を受給期間に数えない特例(最大3年間)を申請できます。事業を始めた日の翌日から2か月以内に、住所地のハローワークに申請します。事業をやめて仕事を探すことになったときに、残りの受給期間で基本手当を受けられる仕組みです。
パンフレット2ページには、求職活動をしながら創業の準備や検討をしている人は支給を受けられる場合があると書かれています。どこまでが準備に当たるかは状況で変わるので、ハローワークで相談してください。
配偶者の扶養に入っているとき
Q25が示すとおり、扶養家族であっても受給の条件を満たしていれば基本手当を受け取れます。ただし基本手当を受けていると、配偶者の健康保険の扶養に入れない場合があります。扶養の基準は健康保険組合ごとに決まっているので、配偶者の勤務先か健康保険組合に聞いてください。詳しくは失業保険は扶養に入れるかにまとめています。
不妊治療をしているとき
Q13は、不妊治療中の人でも、受給の条件を満たせば基本手当を受け取れると説明しています。体調がすぐれない日が多く今すぐ働けないときは、受給期間を延ばせます。医師の診断書だけでは働けるかどうかが分からない場合も、不妊治療に専念してしばらく働けないことをハローワークに伝えれば延長の手続きができると、Q13は書いています。治療のあと妊娠したときは、妊娠・出産・育児の期間と続けて最大4年(受給期間1年+延長3年)まで延ばせます。
受給中に病気やけがで働けなくなったとき
受給の手続きのあとで病気やけがのために15日以上働けなくなった人は、基本手当の代わりに同じ額の傷病手当を受けられます。Q28に書かれた扱いです。14日以内の病気やけがで認定日に行けないときは、Q31が認定日の変更の理由に挙げています。健康保険の傷病手当金や労災の休業補償給付などを受ける日と、待期・給付制限の期間中の日は傷病手当の対象になりません。30日以上働けない見込みなら、傷病手当ではなく受給期間の延長を申請する道もあるので、ハローワークに相談してください。
再就職したあと、すぐにまた辞めたとき
再就職手当を受け取ったあとでも、基本手当の残りの日数があり、受給期間が終わる前にまた失業の状態になれば残りの基本手当を受けられます。Q44に書かれている扱いです。再就職先で新しく受給資格を得てから辞めた場合は、新しい受給資格で受け取ります。退職日の翌日以降できるだけ早く、雇用保険受給資格者証と再就職先を辞めたことが分かる書類を持ってハローワークで求職の申込みをします。
受け取った失業手当に税金はかかるか
Q27では、雇用保険の基本手当は非課税で、確定申告は要らないとされています。年末調整や確定申告の収入にも入れません。
条件を満たしていても、もらえない・止まるケース
被保険者期間と失業の状態の2つを満たしていても、次のような場合は支給されないか、途中で止まります。厚生労働省のQ&Aとパンフレットにある例を、つまずきやすい順に並べました。
- 受給期間(離職の日の翌日から原則1年)を過ぎた(日数が残っていても支給されない)
- 失業の認定日にハローワークに行かなかった(その認定日までの期間が支給されない)
- 認定日までの求職活動の実績が足りない
- 週20時間以上・31日以上の見込みで働き始めた、または7日以上の契約で週20時間以上・週4日以上働いている(就職している期間とされる)
- 会社の役員に就いている(名義だけの役員も含む)
- アルバイトの日や収入を申告しなかった(不正受給として支給が止まる)
アルバイトについて、Q24は受給資格の決定のときに上の条件で働いている期間は、実際に仕事をしていない日も含めて「就職」している期間になると書いています。働く日数と時間を増やす前に、ハローワークでどの扱いになるかを確かめてください。
受け取っているあいだに守る条件
受給資格が決まったあとも、失業の状態が続いていることを4週間に1回の失業の認定日に確かめられます。Q32のとおり、認定日にハローワークに行かなかったときは、その認定日までの期間について支給されません。
求職活動の実績は、原則として前回の認定日から今回の認定日の前日までに2回以上要ります。給付制限が3か月の人は待期の満了から給付制限のあとの最初の認定日の前日までに3回以上、それ以外の人は待期の満了から最初の認定日の前日までに1回以上です。Q34では求人への応募やハローワークの職業相談は実績になりますが、求人情報を見ただけや職業紹介機関への登録だけでは実績になりません。
受給中や給付制限中にアルバイトやパートをした日は、収入の有無にかかわらず失業認定申告書に書いて申告します。Q35とQ36に書かれた扱いです。申告せずに受け取ると不正受給になります。それ以降の支給が止まるうえ、不正に受け取った額の3倍の額の納付を命じられる場合があります。週20時間以上で31日以上の雇用見込みがある条件で働き始めたときは、就職の手続きが要ります。
手続きの流れと持ち物
手続きは、住所を管轄するハローワークで行います。厚生労働省のパンフレットとQ&Aにもとづく流れは次のとおりです。
- 会社から離職票-1・離職票-2を受け取る
- 住所を管轄するハローワークで求職の申込みをし、離職票を出す(受給資格の決定)
- 雇用保険説明会に出る(待期のあいだか、待期が明けたあとに開かれる)
- 4週間に1回の認定日に失業の認定を受ける
- 認定日のおよそ7日後に振り込まれる
持ち物は次のとおりです。
- 離職票-1と離職票-2
- マイナンバーカード(ない人は個人番号の確認書類と身元確認書類)
- 写真2枚
- 本人名義の預金通帳
写真はマイナンバーカードを手続きのたびに見せれば省けます。複数の離職票を持っている人は、短い期間のものもすべて出します。
Q5では、離職票は会社が離職日の翌々日から10日以内にハローワークへ届け出て、会社を通して本人に届くとされています。10日を過ぎても届かないときは会社に確かめ、会社が手続きをしないときは退職証明書などを持ってハローワークに相談してください。Q11のとおり受給期間は離職の日の翌日から1年間で、過ぎると日数が残っていても受けられません。離職票が届いたら早めに手続きをしてください。
給付日数が330日の人は受給期間が1年と30日、360日の人は1年と60日です。給付日数の多い人ほど、手続きが遅れると日数を使い切れなくなります。
給付制限の期間中に就職が決まったとき
給付制限の期間中に就職が決まっても、再就職手当を受けられる場合があります。ただしQ39の要件4により、離職理由で給付制限を受けた人は、待期が明けてから1か月のあいだはハローワークか許可・届出のある職業紹介事業者の紹介で就職したことが条件です。知人の紹介や自分で応募した会社に、この1か月の間に就職すると再就職手当は出ません。採用が決まったら、Q37のとおり就職先に採用証明書を書いてもらってハローワークに申告します。
よくある質問
自己都合で辞めましたが、勤めたのは10か月です。もらえますか?
今の会社の10か月だけでは、自己都合の条件の12か月に届きません。ただし離職の日以前2年間に前の会社で雇用保険に入っていた期間があり、そのあと基本手当を受け取らず1年以内に今の会社に入っていれば、通算して12か月を満たせることがあります。辞めた理由が病気や家庭の事情などで特定理由離職者に当たれば、1年間に6か月で足ります。ハローワークで前の会社の加入記録も含めて確かめてください。
失業手当の条件の「12か月」は勤続年数で数えますか?
勤続年数ではなく、被保険者期間で数えます。離職日から1か月ごとに区切り、賃金の支払いの基礎になった日が11日以上ある月を1か月とします。11日以上の月が足りないときは、80時間以上働いた月を1か月と数えます。月に10日しか出勤していない月が続くと、在籍は1年でも12か月に届かないことがあります。
会社都合なのに、離職票は自己都合になっています。どうすればいいですか?
受給の手続きのときに、ハローワークの担当者へ実際の退職理由を伝えてください。ハローワークは本人の主張と証拠書類、事業主の主張を確かめて離職理由を決めます。解雇の通知書や退職勧奨のメール、労働契約書などがあれば持っていきます。ハローワークの判定に不服があるときは、処分を知った日の翌日から3か月以内に雇用保険審査官に審査請求ができます。
パワハラで辞めた場合は会社都合になりますか?
上司や同僚から故意にのけ者にされたり著しい冷遇や嫌がらせを繰り返し受けたりして辞めた場合は、特定受給資格者に当たります。厚生労働省のQ&Aは、特定の個人を狙った配置転換や給与体系の変更も例に挙げています。一方で、仕事のミスに対する注意や叱責だけでは当たりません。配置転換の辞令の写しや就業規則、賃金台帳などの書類と日付入りの記録を持って手続きに行ってください。
病気で退職した場合は特定理由離職者になりますか?
体力の不足や心身の障害、病気やけがで辞めた人は、正当な理由のある自己都合として特定理由離職者に当たります。被保険者期間は離職前1年間に6か月で足り、給付制限もかかりません。ただし基本手当を受けるには、いつでも働ける状態であることが必要です。すぐに働けないときは受給期間の延長を申請し、治ってから手続きをします。
契約期間の満了で辞めた場合、すぐにもらえますか?
契約期間の満了で辞めた人には給付制限がかからないので、7日の待期のあとから支給の対象になります。本人が更新を望んだのに更新されなかったときは特定理由離職者で、離職前1年間に6か月の被保険者期間で条件を満たします。更新を望まずに満了で辞めた人は、被保険者期間の条件は2年間に12か月です。契約書の更新の条項を持って手続きに行ってください。
パート・アルバイトでも失業手当はもらえますか?
週の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがある条件で働き、雇用保険に入っていればもらえます。条件は正社員と同じで、自己都合なら離職前2年間に被保険者期間12か月以上です。給与明細の雇用保険料の欄で、入っていたかの目安がつきます。週20時間未満の短い仕事だけを希望する人は、失業の状態に当たらないので受けられません。
失業手当は何歳までもらえますか?
基本手当は、65歳になる前に辞めた人が対象です。65歳以上で辞めた人は高年齢求職者給付金になります。被保険者であった期間が1年以上なら基本手当日額の50日分を、1年未満なら30日分を一時金で受け取ります。離職前1年間に被保険者期間が6か月以上あることが条件です。60歳〜64歳で受け取るあいだは、65歳までの老齢厚生年金が止まります。
次の仕事が内定していても失業手当はもらえますか?
もらえません。基本手当は、雇用の予約や就職の内定・決定がなく失業の状態にある人にだけ支給されます。内定が出る前に受給の手続きを済ませてそのあと内定して就職した場合は、所定給付日数の3分の1以上を残していれば再就職手当を受けられることがあります。手続きの前から内定していた会社への就職は、再就職手当の対象外です。
自己都合でも給付制限なしでもらえる場合はありますか?
あります。正当な理由のある自己都合(病気・家族の看護・結婚や配偶者の転勤による通勤困難など)で特定理由離職者と判定されれば、給付制限はかかりません。令和7年4月1日以降に受講を始めた教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練などを離職前1年以内に受けた人と、離職後に受けている人も、給付制限が解除されます。
給付制限のあいだにアルバイトをしてもいいですか?
できます。ただし初回の認定日と給付制限が明けた最初の認定日に出す失業認定申告書に、収入の有無にかかわらず働いた日を正確に書いてください。週20時間以上で31日以上の雇用見込みがある条件で働くと、雇用保険の被保険者になるので就職の手続きが要ります。申告しなかった場合は不正受給になり、受け取った額の3倍の納付を命じられることがあります。
フリーランスや個人事業主になる予定でももらえますか?
自営を始めた人や自営の準備に専念している人は、失業の状態に当たらないので受け取れません。離職のあとに事業を始めた人は、事業をしている期間を受給期間に数えない特例(最大3年間)を申請できます。申請は事業を始めた日の翌日から2か月以内です。事業をやめて仕事を探すときに、残りの期間で受け取れるようにする仕組みです。
離職票が会社から届かないときはどうすればいいですか?
会社は離職日の翌々日から10日以内に雇用保険の資格喪失の届けを出し、ハローワークが発行した離職票が会社を通して届きます。離職票がほしいと会社に伝えてあるのに10日を過ぎても届かないときは、まず会社に処理の状況を確かめます。会社が手続きをしないときや催促しても届かないときは、身元確認の書類と退職証明書など退職が分かる書類を持って、住所を管轄するハローワークに早めに相談してください。
失業手当をもらうと年金はどうなりますか?
65歳になる前の人が基本手当の受給の手続きをすると、基本手当と老齢厚生年金の併給の調整が行われます。基本手当を受けているあいだは老齢厚生年金が止まり、基本手当の額は変わりません。年金のほうが多い人もいるので、手続きの前に年金事務所で年金の額と止まる期間を確かめてください。厚生労働省のQ&A Q26で調整の対象とされているのは、65歳になるまでの年金です。
定年退職で、しばらく休んでから仕事を探したいときは?
定年で辞めた人は給付制限がかかりませんが、すぐに仕事を探さない間は失業の状態に当たりません。60歳以上の定年なら、離職した日の翌日から2か月以内に受給期間の延長を申請すれば、本来の1年に最大1年を足せます。仕事を探せるようになってから手続きをすれば、所定給付日数をもらい切りやすくなります。65歳以上で辞めた人の高年齢求職者給付金には、この延長は使えません。
