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就業促進定着手当とは?再就職後に給料が下がったら

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再就職手当をもらって新しい会社で働き始めたものの、前の会社より給料が下がってしまった——このようなときに追加で受け取れるのが就業促進定着手当です。再就職手当とセットで語られることが多い給付ですが、対象になる人・計算方法はまったく別物です。この記事では、就業促進定着手当だけに焦点を絞って解説します。

「定着」という名前の意味

就業促進定着手当という名前には、「再就職先に定着してほしい」という制度の趣旨が込められています。再就職手当を受け取って早期に再就職しても、賃金が大きく下がってしまうと、その職場を辞めて再び失業状態に戻ってしまう人が出てきます。再就職後6か月間の継続雇用を支給要件にすることで、単に再就職しただけでなく、その職場に定着して働き続けることを後押しするという狙いがある制度です。

就業促進定着手当は「再就職手当を受け取った人」限定

まず前提として、就業促進定着手当は再就職手当の支給を受けた人だけが対象です。再就職手当そのものの支給要件(支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることなど)を満たしていない場合は、就業促進定着手当も対象外になります。再就職手当の条件をまだ確認していない場合は、先に別記事「再就職手当の条件を8つ全部満たせるか確認する方法」で確認してください。

制度が始まった時期

就業促進定着手当は、平成26年(2014年)の雇用保険法改正で新設されました。それ以前は、再就職後に賃金が下がっても、その差額を補う仕組みは存在せず、早期再就職によって受け取れる再就職手当だけが再就職を後押しする給付でした。賃金低下という早期再就職につきまとうリスクに対応するため、再就職手当に加えてこの手当が新設されたという経緯があります。

「賃金が下がった」の判定はどの時点の賃金と比べるか

就業促進定着手当の計算では、「離職前の賃金日額」と「再就職後6か月間の賃金の1日分」を比較します。ここでいう「離職前の賃金日額」は、基本手当(失業手当)の計算に使われた賃金日額と同じもので、離職前6か月間の賃金総額をもとに算出されたものです。つまり、単純に「前職の月給」と「今の月給」を比較するのではなく、雇用保険上ですでに確定している「賃金日額」同士を比較するという点を理解しておく必要があります。この賃金日額は、離職時に交付される雇用保険受給資格者証に記載されています。

再就職先の給与体系が変わった場合の注意点

再就職先が前職と異なる給与体系(月給制から日給制、あるいは年俸制から月給制など)を採用している場合、賃金の比較がやや複雑になります。どのような給与体系であっても、実際に支払われた6か月間の賃金総額を、支払基礎日数で割って1日分の額を算出するという考え方は共通しています。給与明細だけでは判断が難しい場合は、再就職先の給与担当者やハローワークに相談しながら、正確な賃金日額を確認することをおすすめします。

支給要件

  • 再就職手当の支給を受けていること
  • 再就職先に6か月以上雇用されていること
  • 再就職先での6か月間の賃金(1日分に換算した額)が、離職前の賃金日額より低いこと

つまり、再就職後6か月間働き続け、その間の給料が前職より下がっていた場合に、差額の一部が支給される仕組みです。給料が下がっていない、あるいは上がっている場合は、そもそも支給対象になりません。

就業促進定着手当を受け取った人の実例イメージ

制度の仕組みを理解しやすくするため、架空の人物を例に一連の流れを整理します。

45歳のAさんは、自己都合で前職を退職し、基本手当の所定給付日数150日のうち110日を残した状態で再就職しました。支給残日数が所定給付日数の3分の2以上あったため、再就職手当は支給率70%で支給されました。ところが再就職先の給料は、前職より月2万円ほど下がっていました。6か月間勤務を続けた後、賃金証明を準備してハローワークに就業促進定着手当を申請し、支給決定日から6か月経過した日の翌日から2か月以内という期限内に手続きを完了させました。 このように、再就職手当と就業促進定着手当は、それぞれ別のタイミングで、別の手続きとして申請する必要がある点がポイントです。再就職手当を受け取った時点で安心してしまい、その後の就業促進定着手当の申請を忘れてしまうケースもあるため、6か月後の予定をあらかじめ手帳やカレンダーに書き込んでおくとよいでしょう。

計算式

就業促進定着手当の額は、次の式で計算されます。

(離職前の賃金日額 − 再就職後6か月間の賃金の1日分の額)× 再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数

賃金日額は、64歳以下の基本手当を計算するときに使う賃金日額と同じ考え方です。詳しい賃金日額の算出方法は、別記事「失業手当はいくら?総額の計算シミュレーション3例」で解説しています。

給付率を左右する「支払基礎日数」の考え方

計算式の中の「支払基礎日数」は、再就職後6か月間のうち、実際に賃金の支払い対象となった日数を指します。月給制の場合はおおむね暦日数(30日や31日など)がそのまま支払基礎日数として扱われるのが一般的ですが、日給制・時給制の場合は実際に勤務した日数が支払基礎日数になることがあります。雇用形態によってこの日数の数え方が変わるため、同じ賃金水準でも支給額が変わってくる点は、計算をする際に見落としやすいポイントです。正確な支払基礎日数は、再就職先が発行する賃金証明書に記載されるため、自己判断で計算するよりも、その書類の記載内容をもとに確認することをおすすめします。不明な点があれば、賃金証明書を作成する給与担当者に直接確認しておくと、申請時の手戻りを防げます。就業促進定着手当は、条件さえ満たしていれば確実に受け取れる給付なので、面倒に感じても申請を諦めないことが大切です。手続きに不安がある場合は、早めにハローワークへ相談し、必要な書類や進め方を確認しておきましょう。再就職後の6か月間を安心して過ごすためにも、制度の内容を事前に把握しておくことが大切です。分からないことは早めに解消し、落ち着いて新しい職場に定着していきましょう。焦らず一歩ずつ、必要な手続きを確実に進めることが大切です。分からないことがあれば、いつでもハローワークに相談してください。

上限額(2025年4月改正)

就業促進定着手当には上限があります。2025年4月1日以降に再就職手当を受給した人は、「基本手当日額×支給残日数×20%」が上限額です。計算結果がこの上限額を超える場合は、上限額が支給額になります。

この上限は制度改正で見直されており、2025年3月31日以前に再就職手当を受給した人には、改正前の割合(再就職手当の支給率が60%だった人は40%、70%だった人は30%)が適用されます。いつ再就職手当を受け取ったかで、就業促進定着手当の上限の計算式が変わるため、自分がどちらに該当するかは再就職手当を受け取った時期で確認してください。

計算シミュレーション(賃金が下がった場合)

具体的な金額感をつかむために、2つのケースで試算します。いずれも2025年4月以降に再就職手当を受給したケースとし、上限額は「基本手当日額×支給残日数×20%」で計算します。

ケース1: 月給28万円→再就職後24万円に下がった場合

  • 離職前の賃金日額: 28万円×6か月÷180日 ≒ 9,333円
  • 再就職後の賃金日額: 24万円×6か月÷180日 ≒ 8,000円
  • 差額: 9,333円−8,000円=1,333円
  • 支払基礎日数180日として計算: 1,333円×180日=239,940円
  • 基本手当日額(仮に6,000円)×支給残日数(仮に90日)×20%=108,000円が上限
  • 上限額を超えるため、支給額は108,000円

ケース2: 月給35万円→再就職後30万円に下がった場合

  • 離職前の賃金日額: 35万円×6か月÷180日 ≒ 11,667円
  • 再就職後の賃金日額: 30万円×6か月÷180日 ≒ 10,000円
  • 差額: 11,667円−10,000円=1,667円
  • 支払基礎日数180日として計算: 1,667円×180日=300,060円
  • 基本手当日額(仮に8,355円・上限額)×支給残日数(仮に120日)×20%=200,520円が上限
  • 上限額を超えるため、支給額は200,520円

※賃金日額・支給残日数は説明のための仮の数値です。実際の金額は雇用保険受給資格者証に記載の基本手当日額・支給残日数と、再就職後の実際の給与明細をもとに計算されます。

いずれのケースも、差額をそのまま6か月分積み上げた金額より、実際の支給額は上限で頭打ちになることが分かります。給料の下がり幅が大きいほど上限に達しやすくなる点は事前に理解しておくとよいでしょう。

申請期限(タイミングを逃すと受け取れない)

就業促進定着手当の申請には期限があります。再就職手当の支給決定日から6か月経過した日の翌日から2か月以内に、ハローワークへ申請書類を提出する必要があります。

  • 再就職手当の支給決定
  • 再就職先での勤務開始(6か月間の賃金実績を積み上げる期間)
  • 6か月経過後、申請書類の準備(再就職先発行の賃金証明が必要)
  • 支給決定日から6か月経過した日の翌日から2か月以内に申請

この2か月の期限を過ぎると、たとえ給料が下がっていても就業促進定着手当を受け取れなくなります。 再就職から6か月が近づいたら、勤務先の給与担当に賃金証明の発行を早めに依頼しておくことをおすすめします。

そもそも再就職手当を受け取らない方がよいケースもある

早期に再就職すること自体が目的化してしまうと、条件に合わせるために賃金の低い再就職先を選んでしまうことがあります。就業促進定着手当は、そうした賃金低下のリスクを一定範囲で補う仕組みではありますが、上限額の範囲でしか補填されないため、賃金の下がり幅が大きすぎる再就職先を選ぶと、就業促進定着手当を含めても生涯収入で見て不利になる場合があります。 再就職手当・就業促進定着手当の金額だけで転職先を決めるのではなく、長期的なキャリアや収入の見通しも踏まえて判断することが重要です。

就業促進定着手当を受け取った後、さらに賃金が上がった場合

就業促進定着手当は、あくまで再就職後6か月間の賃金実績にもとづいて1回だけ支給される一時金です。その後7か月目以降に賃金が上がっても、すでに確定した支給額が変わることはありません。 逆に、7か月目以降にさらに賃金が下がった場合も、追加の給付は発生しません。就業促進定着手当は、あくまで「再就職後6か月間」という一時点の状況を基準にした制度である点を理解しておいてください。

なぜこの手当があるのか(早期再就職とのバランス)

再就職手当は「早く再就職するほど支給率が高くなる」仕組みのため、なかには給料が下がる仕事でも早期に決めてしまう人が出てきます。就業促進定着手当は、早期再就職を選んだ結果、賃金が下がってしまった人の不利益を一定範囲で補う役割を持っています。再就職手当の支給率(60%・70%)を高めたことと、就業促進定着手当をセットで用意することで、早期再就職を後押ししながら、賃金低下のリスクを緩和する制度設計になっています。

支給残日数によって上限額が変わる

就業促進定着手当の上限額は「基本手当日額×支給残日数×20%」で決まるため、再就職手当をもらったときの支給残日数が多いほど、就業促進定着手当の上限額も高くなります。 つまり、早期に再就職して残日数を多く残せば残すほど、再就職手当自体の支給率も高くなり(3分の2以上残せば70%)、就業促進定着手当の上限額も高くなるという関係になっています。

支給残日数基本手当日額6,000円の場合の上限額基本手当日額8,355円(上限額)の場合の上限額
60日72,000円100,260円
90日108,000円150,390円
120日144,000円200,520円
150日180,000円250,650円
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基本手当日額にも年齢別の上限があり、離職時の年齢が60歳未満なら6,570円、60歳以上65歳未満なら5,310円が再就職手当の計算上の上限です(毎年8月1日に見直される場合があります)。就業促進定着手当の上限額を計算するときの基本手当日額も、この上限の範囲内で計算されます。

賃金以外の労働条件が変わった場合はどうなるか

就業促進定着手当は、あくまで「賃金」が下がったかどうかで判定される制度です。勤務時間や勤務地、雇用形態(正社員からパートへの変更など)が変わったこと自体は直接の判定基準にはなりませんが、これらの変化が結果として賃金の低下につながっていれば、支給要件を満たす可能性があります。逆に、勤務時間が短くなっても時給が上がるなどして賃金総額が下がっていなければ、支給対象にはなりません。

六か月間の賃金に含まれるもの・含まれないもの

計算に使う「再就職後6か月間の賃金」は、基本給に加えて、諸手当(残業代・通勤手当等の扱いは個別の給与規程による)を含めた実際の支払額をベースに算定されるのが一般的です。ただし、臨時に支払われる賃金や、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)は、基本手当や就業促進定着手当の算定対象となる「賃金」には含まれない扱いが一般的です。具体的にどの手当が算定対象になるかは、再就職先が発行する賃金証明書の記載内容とハローワークの確認によって決まります。

必要書類

申請には、再就職先が発行する賃金証明(6か月間の賃金額が分かる書類)と、雇用保険受給資格者証が必要になるのが一般的です。詳細な様式や提出先は、再就職手当の支給決定時にハローワークから案内される書類で確認してください。

常用就職支度手当を受けた場合はどうなるか

再就職手当ではなく「常用就職支度手当」(就職困難な方などが対象になる別の給付)を受けた場合、就業促進定着手当の対象にはなりません。就業促進定着手当はあくまで再就職手当とセットの制度であり、常用就職支度手当を受けた人向けの同様の追加給付は設けられていません。自分がどちらの手当を受けたかは、ハローワークから交付される支給決定通知書で確認できます。

申請を忘れた場合、後から追加で申請できるか

就業促進定着手当の申請期限(再就職手当の支給決定日から6か月経過した日の翌日から2か月以内)を過ぎてしまうと、原則として申請を受け付けてもらえません。「そのうち手続きしよう」と先延ばしにしていると、気づいたときには期限切れになっているケースが実際に多いため、再就職手当の支給決定を受けた時点で、6か月後の申請期限をあらかじめカレンダーに記録しておくことをおすすめします。

就業促進定着手当を受け取った後の税金・社会保険料の扱い

雇用保険から支給される給付金は、原則として所得税が非課税とされています。就業促進定着手当も同様に、受け取った金額に所得税がかかることはありません。また、雇用保険の給付は社会保険料(健康保険・厚生年金保険料)の算定基礎にも含まれません。ただし、再就職先で実際に受け取っている給与そのものには通常どおり税金・社会保険料がかかるため、混同しないよう注意してください。

よくある質問

再就職先で6か月経つ前に転職してしまった場合はどうなりますか?

就業促進定着手当は「再就職先に6か月以上雇用されていること」が要件のため、6か月未満で転職した場合は対象外になります。6か月間は同じ再就職先で継続して雇用されている必要があります。

賞与(ボーナス)は就業促進定着手当の計算に含まれますか?

計算に使う「賃金日額」の考え方は基本手当の計算に準じますが、実際にどの賃金が算定に含まれるかは個別の給与体系によって扱いが異なる場合があります。詳しくはハローワークの窓口で、ご自身の給与明細をもとに確認してください。

再就職手当は70%の支給率でもらいましたが、就業促進定着手当の上限額の計算に支給率は関係しますか?

2025年4月以降に再就職手当を受給した人については、支給率にかかわらず「基本手当日額×支給残日数×20%」が上限額になります。2025年3月31日以前に受給した人は、支給率60%なら40%、70%なら30%という異なる割合が適用されるため、ご自身がいつ再就職手当を受け取ったかを確認してください。

就業促進定着手当の申請はオンラインでできますか?

ハローワークの窓口での申請が基本ですが、雇用保険の一部手続きはオンライン(雇用保険手続きの電子申請)に対応している場合があります。対応状況は最寄りのハローワークに確認してください。

再就職先の会社が賃金証明の発行に協力してくれない場合はどうすればよいですか?

賃金証明は就業促進定着手当の申請に必須の書類です。会社側に発行の協力が得られない場合は、早めにハローワークに相談してください。会社への案内や、必要に応じた対応方法について助言を受けられます。

就業促進定着手当を受け取ることを再就職先に伝える必要はありますか?

就業促進定着手当の申請には再就職先が発行する賃金証明が必要になるため、事実上、会社側に協力してもらう必要があります。個人的な受給の予定を詳しく伝える義務はありませんが、賃金証明の発行を依頼する際に、制度の概要を簡単に説明しておくとスムーズに手続きが進みます。

就業促進定着手当は何回でも受け取れますか?

再就職手当を受け取るたびに、その都度の要件を満たせば就業促進定着手当を受け取れる可能性があります。ただし、再就職手当自体に「就職日前3年以内に再就職手当を受けていないこと」という要件があるため、短期間で転職を繰り返す場合は、そもそも再就職手当自体が対象外になり、結果として就業促進定着手当も対象外になる点に注意してください。

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対象になるか、いくら出るか、いつまでに何を用意するか。 申請の可否で迷ったら、補助金を扱う専門家に確認するのが確実です。相談は無料です。

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免責事項: 本記事の内容は2026年9月時点でハローワーク公式資料をもとに確認できた情報にもとづきます。計算式の係数・上限額は制度改正・年度改定により変更される場合があるため、実際の申請にあたっては必ず最寄りのハローワークで最新の内容をご確認ください。本記事のシミュレーションは計算方法を説明するための仮の数値であり、実際の支給額を保証するものではありません。本記事は制度の解説を目的とするものであり、社会保険労務士による申請書類の作成代行を示唆するものではありません。

出典(一次情報)

この記事を書いた人
まっさん。|元経営者
補助金で会社を立て直した元経営者

補助金で会社を立て直した元経営者。資金繰りに悩んだ末に補助金を活用して事業を再建した経験から、中小企業・個人事業主が“本当に使える補助金”とその活かし方を発信しています。掲載内容は公募要領などの一次情報をもとに整理しています。

本記事は情報提供を目的としており、補助金の採択・交付を保証するものではありません。 補助上限額・補助率・締切等の内容は変更される場合があります。申請にあたっては、必ず 公式サイト・最新の公募要領をご確認ください。