会社を辞めずに、新しい事業を始める。そんな選択肢があることを知らない会社員は多いはずです。
令和6年度「多様な人材の活躍による企業価値向上促進事業(出向起業補助金)」は、大企業等に勤める人材が、所属企業を辞職せずに外部資金調達や個人資産の投下によって起業したスタートアップへ出向・長期派遣される形で新規事業に取り組む場合に、その費用の一部を補助する制度でした。この記事を書いている時点で、令和6年度分の募集は終了しています。制度の内容と、次回に備えてできることを見ていきます。
出向起業補助金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者・個人のどちらも(出向起業を行う個人と、その受け皿となるスタートアップ双方が関わる) |
| 制度名 | 令和6年度「多様な人材の活躍による企業価値向上促進事業(出向起業補助金)」 |
| 対象業種 | 汎用 |
| 利用目的 | 人材確保・雇用(出向起業を通じた新規事業創出) |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 規定なし(出向元は大企業等を想定) |
| 補助上限額 | 一般枠500万円(ハードウェア開発含む場合1,000万円)、MBO型起業枠2,000万円 |
| 補助率 | 一般枠1/2以内、MBO型起業枠2/3以内 |
| 申請受付 | 一次公募は2024年5月17日〜6月13日17時で終了 |
| 公式サイト | 出向起業補助金 公式サイト |

どんな制度だったのか
「出向起業」とは、大企業等に籍を置いたまま、外部の資本が入った独立系スタートアップへ出向・長期派遣研修という形で参画し、新規事業に取り組む働き方です。会社員としての身分を維持しながら起業に近い経験を積めるという点が、通常の独立起業と大きく異なります。
補助金には2つの枠がありました。
- 一般枠:補助率1/2以内、補助上限額500万円(ハードウェア開発を含む場合は1,000万円)
- MBO型起業枠:補助率2/3以内、補助上限額2,000万円
DBに記録されている「上限1.6億円」という数字は、制度全体の予算規模を指すもので、1件の出向起業案件が受け取れる上限額はこれより大幅に小さい点に注意が必要です。実際に個社・個人が使える金額は、一般枠なら最大1,000万円、MBO型起業枠なら最大2,000万円と考えるのが実態に近いです。
現在の受付状況
一次公募は2024年5月17日から6月13日17時までで、すでに終了しています。補助対象期間は交付決定日から一般枠は2025年2月14日、MBO型起業枠は2025年2月28日までとされており、対象期間もすでに終わっています。
出向起業補助金は経済産業省が継続的に実施してきた事業で、過去複数年度にわたって公募が行われてきた実績があります。次回公募の有無・時期は本記事執筆時点で確認できていません。
次回公募に備えてやっておきたいこと
- 出向元企業の理解を得ておく:出向起業は所属企業の協力が前提になる制度です。人事部門や上司との調整には時間がかかります
- 出向先となるスタートアップとの関係を作っておく:資本が独立したスタートアップへの出向が要件になるため、対象になる企業を早めに探しておくと動きやすくなります
- 事業計画の骨子を固めておく:どんな新規事業に取り組むのか、公募開始前に整理しておくと申請がスムーズです
よくある質問
今から申請できますか?
いいえ。令和6年度の一次公募は2024年6月13日で終了しています。次回公募の有無・時期は本記事執筆時点で確認できていません。経済産業省経済産業政策局産業人材課への問い合わせで最新状況を確認できます。
個人事業主でも申請できますか?
制度の想定は「大企業等に所属する人材が出向起業する」形です。個人事業主が単独で申請する枠組みではないため、対象になるかどうかは事務局への確認をおすすめします。
一般枠とMBO型起業枠はどちらが有利ですか?
MBO型起業枠は補助率2/3以内・上限2,000万円と、一般枠(1/2以内・上限500万〜1,000万円)より手厚い設計です。ただしMBO(経営陣による事業の買収)を伴う形態が要件になるため、誰でも使える枠ではありません。自社の状況に応じてどちらが該当するか、事前に整理しておく必要があります。
