試作品をつくってみたい。AIで検査を自動化できるか、本格導入の前に試したい。どちらも、結果が出る前に費用が先に出ていきます。
栃木県産業振興センターの助成金は、その費用の2/3以内を助成します。対象は、宇都宮市など県内5市4町に事業所を置く中小企業者。上限は、研究開発が150万円、AI・IoTの試験導入など3区分が各100万円です。令和8年度は2回に分けて公募していて、2次公募の締切は、研究開発が11月30日、ほかの3区分が12月15日(いずれも17時必着)です。
交付決定日以前に発注や契約をした分は、助成の対象になりません。見積を取るところまでは進めて、契約は決定の後にします。
中小企業高度化・事業創出助成金の要点まとめ
正式名:中小企業高度化・事業創出助成事業助成金
だれが
- 申請者
- 事業者(中小企業者。法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 研究開発・技術開発・産学官連携の取組
- 対象地域
- 栃木県内の5市4町(宇都宮市ほか)
- 従業員数
- 中小企業者の範囲内(業種ごとに異なる)
いくら
- 補助上限額
- 研究開発150万円/ほか3区分は各100万円
- 補助率
- 2/3以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月5日〜2026年12月15日(研究開発は11月30日)
- 事業の完了
- 交付決定日から最長1年間
うちの会社は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
5市4町は、宇都宮市、鹿沼市、日光市、真岡市、下野市、上三川町、芳賀町、壬生町、高根沢町です。公募要領では「高度技術産学連携地域」と呼んでいます。
中小企業者は、中小企業基本法(第2条第1項)が定める会社と個人です。業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっていて、詳しい基準は栃木県産業振興センターの公募要領で確かめてください。個人事業主も対象に含まれます。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 5市4町の外に事業所がある
- ✕ 大企業の子会社などにあたる
- ✕ 他の補助金を受けている事業
大企業の子会社などとは「みなし大企業」のことです。同じ大企業が株式や出資の1/2以上を持つ法人、複数の大企業が2/3以上を持つ法人、大企業の役員か職員が役員の1/2以上を占める法人が、これに当たります。
4つの区分、どれを選ぶ?
| 区分 | こんなときに | 上限額・助成率 |
|---|---|---|
| 研究開発助成事業 | 新素材や地域資源で新製品を開発したい | 150万円以内・2/3以内 |
| AI・IoTソリューション試験導入助成事業 | 本格導入の前に、AIやIoTを現場で試したい | 100万円以内・2/3以内 |
| 大学等との連携型経営課題解決助成事業 | 大学と組んで、技術面の経営課題を解決したい | 100万円以内・2/3以内 |
| 起業家(学生・スタートアップ)との共同事業化助成事業 | 学生やスタートアップのアイデアを商品にしたい | 100万円以内・2/3以内 |
公募要領には、事業目標の例も載っています。AI・IoTの試験導入なら、検査時間が20分から10分、不良率が3%から1%、設備の停止が月5時間から2時間という書き方です。大学との連携なら、不良率を5ポイント下げる、作業時間を30時間減らす、といった指標になります。
新商品の開発を目的にした大学との共同研究は、研究開発助成事業を選びます。大学等との連携型は、新商品開発以外の経営課題が対象です。
「大学等」は、大学(大学院を含む)、職業能力開発大学校、短期大学、国立高等専門学校です。起業家との共同事業化の「起業家」は、交付申請日の時点で創業後10年以内の中小企業者・企業組合・LLP、または具体的なビジネスプランを持つ学生(グループも可)を指します。起業家への資金提供やコンサルティングが主な目的の事業は、対象外です。
いくら戻ってくる?
対象経費に2/3をかけた額です。消費税は経費に入れません。上限に届くのは、研究開発なら対象経費が225万円のときです。
- 研究開発で、対象経費が120万円:120万円 × 2/3 = 80万円
- 研究開発で、対象経費が300万円:300万円 × 2/3 = 200万円 → 上限の150万円
- AI・IoTの試験導入で、対象経費が90万円:90万円 × 2/3 = 60万円
- AI・IoTの試験導入で、対象経費が150万円:150万円 × 2/3 = 100万円(上限ちょうど)
外注加工・委託費、技術指導受入費、共同研究費の合計には枠があります。助成金の申請額の50%以内です。申請額が80万円なら、この3つの合計は40万円までです。
申請額は千円未満を切り捨てて書きます。
助成金は先に入りません。事業が終わった後の検査を経て支払う「精算払い(後払い)」なので、費用はいったん自分で払います。
何に使える?
対象にならないもの
- 消費税・地方消費税、振込手数料、旅費・宿泊費
- 交付決定日以前に発注・契約したもの
- パソコン、プリンターなど汎用性が高いもの
- オフィスソフト、ウイルス対策ソフト、生成AIの有償版
- 事務改善や営業・広報が目的の試験導入
- 連携相手との間での経費負担
対象になるもの
- 機械装置・工具器具費(AI・IoTの区分は借用のみ)
- 消耗品・原材料費(使える期間が1年未満で10万円未満のもの)
- 外注加工・委託費、技術指導受入費
- 共同研究費(研究開発の区分)
- 知的財産権等関連経費(研究開発の区分。弁理士の手続代行費や翻訳料など)
- システム関連経費(AI・IoTの区分。クラウドサービスの利用料など)
- 試験・検査・データ分析などの経費
ソフトウェアの研究開発や開発に限り、直接人件費も入ります。助成金総額の40%が上限で、個人事業主と法人の役員(使用人兼務役員を除く)の人件費は対象外です。パソコンなどが汎用品として外れるかどうかは、見積の段階で事務局に聞いておくと確実です。
申請の流れ
- 事前相談をする(事業者→栃木県産業振興センター 次世代産業支援チーム。公募要領が勧めています)
- 書類を持参か郵送で出す(事業者→センター。研究開発は11月30日、ほかは12月15日の17時必着)
- 審査を待つ(センター。審査会は1月の予定。プレゼンを求められることがある)
- 書面で結果が届き、交付決定を受ける(センター→事業者。決定は2月上旬の予定)
- 交付決定の後に発注して事業を進める(事業者。最長1年。途中で中間報告と中間検査がある)
- 実績報告を出して検査を受ける(事業者→センター。適正と認められれば助成金が支払われる)
必要な書類
準備できた 0 / 11
定款と登記事項証明書は法人が、開業届か確定申告の写しは個人事業主が出します。交付申請書(様式第1号)には、事業計画書と事業予算書が付きます。直近3年間に受けた補助金や申請中の補助金を書く欄もあります。登記事項証明書は、申請時点で直近3か月以内に発行されたものです。共同研究予定証明書は共同研究をする場合だけ、経営課題解決連携予定証明書は大学等との連携型だけ、共同事業予定証明書は起業家との共同事業化だけの提出です。AI・IoTの区分は、導入するソリューションの仕様、価格、借用期間が分かるカタログや見積書を付けます。起業家との共同事業化では、相手方の定款・登記事項証明書(学生なら学生証の写し)も要ります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定より前に発注した:交付決定日以前に発注や契約を結んだものは、対象外です。
- 汎用品を入れた:パソコンやプリンターなど、目的外に使えるものは外れます。
- 外注や委託が多すぎる:外注加工・委託費などの合計は、申請額の50%以内に収めます。
- 区分を間違えた:新商品開発を目的とした共同研究は、大学等との連携型でなく研究開発を選びます。
- 事業の内容が変わった:変更や中止が必要になったら、先に承認の申請を出します。内容が不適当と認められると、交付が全部または一部取り消されることがあります。
令和8年度は2回の公募に分かれている
令和8年度は、6月11日から7月31日までの公募(1次)に続いて、10月5日からは2次公募です。1次の交付決定は10月上旬の予定でしたが、2次は2月上旬の予定です。事業期間は交付決定日から最長1年なので、実施の時期も変わります。
2次の提出書類には、直近2期分の決算書の写しが加わりました。1次の公募要領の書類一覧には、決算書の記載がありませんでした。審査会も、1次は9月で、2次は1月の予定です。
よくある質問
対象地域の外の企業でも申請できますか?
できません。対象は、宇都宮市、鹿沼市、日光市、真岡市、下野市、上三川町、芳賀町、壬生町、高根沢町の5市4町に、主たる事務所か事業所を持つ中小企業者です。この助成事業は、高度技術振興基金の運用益と、5市4町が出す負担金を財源にしています。地域の外に本社があって、対象地域に事業所を置く場合は、事前相談で確かめてください。
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。公募要領は、中小企業者を「会社及び個人」と定めています。法人の定款と登記事項証明書の代わりに、税務署への開業届の写しか、確定申告の写しを出します。ただし、直接人件費は、個人事業主と法人の役員(使用人兼務役員を除く)の分が対象外です。ソフトウェア開発で自分の作業時間を人件費にしたい場合は、注意してください。
4つの区分は同時に申請できますか?
公募要領に、同時申請を認める記載も、禁じる記載もありません。区分ごとに対象事業と対象経費が分かれていて、ほかの補助を受けている事業は対象外です。同じ経費を二重に計上することはできません。複数の区分を考えているときは、事前相談で取組を整理してから、出す区分を決めてください。
他の補助金と一緒に使えますか?
同じ事業では使えません。公募要領に「他の補助金等の助成を受けている事業は、助成対象外」とあります。別の取組なら、制度によって扱いが分かれます。知的財産の取得費は、他の制度で支援を受けている場合、この助成金には計上できません。同じ経費に別の補助が付かないよう、事前相談で確認してください。
いつから発注や契約ができますか?
交付決定の後です。交付決定日以前に発注または契約を結んだものは、助成の対象になりません。2次公募の交付決定は、2月上旬の予定とされています。それまでは、見積を取る、仕様を固める、といった準備にとどめます。工事業者やベンダーの予定を押さえたいときは、決定後に契約するという条件で相談しておくと進めやすくなります。
パソコンやオフィスソフトは対象になりますか?
対象になりません。機械装置や経費のうち、汎用性が高く、目的外に使われる可能性が高いものは外れます。例としてパソコンとプリンターが挙がっています。AI・IoTの区分では、オフィスソフト、ウイルス対策ソフト、生成AIの有償版も例に入っています。試験導入の対象になるのは、検証のために専用で使う機器やクラウドサービスの利用料などです。
人件費は対象になりますか?
ソフトウェアの研究開発や開発に限り、対象になります。研究開発やソフトウェア開発に直接関わった人の人件費で、助成金総額の40%が上限です。個人事業主と法人の役員(使用人兼務役員を除く)の分は対象外です。ハードウェアの試作や、AI・IoTの試験導入のための人件費は、対象経費に挙がっていません。
助成金はいつ支払われますか?
事業が終わった後です。実績報告書を出すと、完了検査が行われ、適正と認められれば助成金が交付されます。途中でも、中間報告と中間検査があります。費用はいったん自社で払うので、自己資金で立て替えられる計画を組んでおきます。帳簿と証拠書類は、翌年度から5年間保存します。
外注や委託が多い計画でも使えますか?
使えますが、枠があります。外注加工・委託費、技術指導受入費、共同研究費の合計は、助成金の申請額の50%以内です。大学等との連携型は、外注加工・委託費と技術指導受入費の合計が、同じ50%の枠に入ります。起業家との共同事業化は、要領の注記に共同研究費も含まれています。見積を取る段階で、申請額を先に出して、合計がその半分に収まるかを確かめておきます。
みなし大企業とは何ですか?
中小企業でも、大企業の影響が強いために対象から外される会社です。公募要領には3つの条件があります。同じ大企業が発行済株式か出資金額の1/2以上を持つ。複数の大企業が2/3以上を持つ。大企業の役員か職員が、役員総数の1/2以上を兼ねている。どれかに当たると申請できません。親会社や出資元がある会社は、割合を確認しておきます。
新商品開発のために大学と共同研究をするときは、どの区分ですか?
研究開発助成事業を選びます。公募要領の「事業選択のポイント」に、新商品開発を目的とした共同研究は研究開発助成事業を選ぶ、と書かれています。大学等との連携型経営課題解決助成事業は、生産性の向上、技術継承の効率化、設備の稼働率といった、経営課題の解決が目的です。大学との共同研究に使う経費は、研究開発では共同研究費として計上できます。
審査はどのように行われますか?
事業計画書の内容を、5つの観点から総合的に評価します。研究開発なら、目的の明確さ、独自性、実現性、実施・管理の体制、経費の妥当性、事業化の可能性です。外部有識者による審査会の評価を踏まえて、センターが採否を決めます。必要に応じて、ヒアリングや現地調査、審査会でのプレゼンテーションがあります。結果は書面で通知され、理由の問い合わせには応じてもらえません。
問い合わせ先はどこですか?
公益財団法人栃木県産業振興センターの産業振興部 次世代産業支援チームです。電話は028-670-2608、所在地は宇都宮市ゆいの杜1丁目5番40号です。公募要領は、応募を検討する人に事前相談を勧めています。区分の選び方、対象経費、書類の書き方で迷ったら、書類を出す前に相談しておくと、出し直しを防げます。
